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今月の放言

私を見ないで、裸を見て 酒井あゆみ

直筆短冊

ヘルス、ホテトル、愛人業、性感、AV…。性の名のつくあらゆる風俗業を自らの足で渡り歩き、経験。その体験を踏まえ現在は風俗関係を中心としたルポルタージュを執筆している作家、酒井あゆみ。今までの経験と職業柄からくる自称“精神的インポ”であると語る彼女。だが取材後、インポの原因はどうやら別にあることが判明した。

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プロフィール 酒井あゆみ

1971年、福島県生まれ。上京後、18歳で風俗の世界に入り、ファッションヘルス、AV女優、ホテトル、性感マッサージ、契約愛人業などを経験する。著書に『売春論』『セックスエリート 年収一億円、伝説の風俗嬢をさがして』『人妻風俗嬢』など。

第1章 性に興味はなかった

「仕事柄、うちにもフランス書院文庫はいっぱいあるんですよ。棚2~3コ分くらいの量はあると思います。ただ精神的インポなんでこれで興奮するってことはないですけど(笑)。エロの表現が巧みなので、率直に『凄いなあ~』って思いながら読ませてもらってます。特に私の場合はセックスの経験談だけで、こういう舐め回すような視線っていうのはないですから、上手いなあって思いますね。「オトコの人はこう見るのかあ」とか、逆に「こんなに綺麗な世界じゃないんだけどなあ」とか勝手に思ってます。

ここにある作品だと『人妻と痴漢集団』(足利武志著 '05刊)、『秘書室の人妻奴隷』(望月薫著 '05刊)とかありますね。過去に人妻を題材にした本を出したことがあるせいか、うちは人妻系が多いですかね。あと私の中で人妻、女子高生、風俗嬢っていう3大テーマみたいになっているので、こういった人たちがどう描かれているのかっていうのはやっぱり気になりますし。

初体験は16歳の時でしたけど、それまで性に対して特別に興味をもったというか、意識をしたことはなかったし、このような官能小説とかエロ本とかを見て、性に関する知識を得たっていうこともないです。初体験の後は2~3人と経験しましたけど、逆に体験人数が少なかった分だけ余計なことを考えずにすんなりと風俗の世界に入れたんだと思うんです。実際、風俗嬢とかに取材をすると体験人数が多い人ってそんなにはいませんしね。

色々とこなせる器用な女のコっていうのは、援助交際とかして適当に稼いでますからね。多少の危険は伴いますが、こっちの方が会社に管理されずに自由に交渉できますし。この取材後にエンコ-の取材で地方に行くんですよ。恐いですよ~、今の若いコたちって(笑)。今のコは「エンコ-じゃなくて愛人業です」って堂々と言いますからね。病気などの問題も含めてエンコ-は危険だっていう情報は彼女たちも当然もってますから、キャバクラなどに流れて賢く稼いでるわけですよ。私の時代は援助交際っていう言葉自体が生まれてなかったから、無かったといえば無かったんでしょうけど、似たようなことはみんな個人的にやってましたからね。それが援助交際なのか愛人業なのかっていうのはわからないですけど。

私を見ないで、裸を見て 酒井あゆみ01
私を見ないで、裸を見て 酒井あゆみ02