ヘルス、ホテトル、愛人業、性感、AV…。性の名のつくあらゆる風俗業を自らの足で渡り歩き、経験。その体験を踏まえ現在は風俗関係を中心としたルポルタージュを執筆している作家、酒井あゆみ。今までの経験と職業柄からくる自称“精神的インポ”であると語る彼女。だが取材後、インポの原因はどうやら別にあることが判明した。
私が生まれ育った福島県って何もなかったんですよ。正直、ヤンキーしかいないみたいな(笑)。何もすることのないそういう場所にいて顔もフケ顔だったせいか、私は15才の頃から水商売をしていたんです。だから、なんとなく風俗の世界っていうのはこういうもんだっていうのはわかっていたと思うんです。高校時代から地元の女の先輩に「ちょっとウチのお父さんと会ってよ」って呼ばれて、その人の家に行ってその先輩のお父さんとセックスすることでお金をもらったりしてましたし。今思えば、あれが援助交際だったのかなあ、って感じですよね。
そんな田舎から脱出すべく、高校卒業と同時に上京しました。そしてしばらくして風俗の世界に入りました。さっきも話したように、地元でも同じようなことをしていたので、風俗に対する特別な感情や思いみたいなものはなかったですね。当時仲良くしていた男性が「“ヘルス”っていうのがあるからやってみたら?」って感じで。最初はヘルスについてはもちろん、フェラチオすら知りませんでしたから、カルチャーショックではありましたよね。そこで必死になってやってるうちに1回やっても100回やっても同じだなって、逆に開きなおってしまったんですよねえ(笑)。もうそこからは突き進みました(笑)。最初はヘルスで、ホテトル、愛人業、性感って感じで。とにかく一日に20万円は稼ぐっていうのが自分の中でのノルマで、一日でかけもちなんてザラでしたから、本当に疲れました。
当時の私の10代後半~20代前半頃のセックスに対する概念は、イッたことがないせいか、とにかく淡々としてましたね。オナニーはしていたので、オナニーは気持ちいいっていうことはわかっていたんですけど、それしかなかったと思うんです。仕事のときはもちろんプライベートも含めて、セックスの最中にオトコの人が上に乗っかってくるのとか冷静に見てたりしてましたから(笑)。16歳の初体験のときですら冷静でしたね。率直に「ああ、セックスって気持ちいいもんではないんだなあ」っていう。だから同級生くらいの若いオトコとしようが、先輩のお父さんとしようが、結局誰としようがオトコの人のペニスは同じで、同じようにセックスは「気持ちよくないものなんだ」っていう考え方になってしまって…。当時の私にとって“セックスは手段であり、お金である”っていう感じでした。だから、最近の女子高生がいう「セックスなんて誰とヤッても同じ」っていう考えは、なんとなくわかる気がするんですよねえ。