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今月の放言

恋愛は切り花のように…。 室井佑月

直筆短冊

「男は顔」「バカな男はかわいそう」…。先天的な感性に加え、女性として積んできたさまざまなキャリアが生み出す彼女の発する言葉の数々は、一見どれも厚くて堅い殻をまとった、いびつなものばかり。だがそこに内包されているのは、ホットチョコレートのように甘くて温かなもの。それは驚くくらい子供らしい無垢な発想と女性らしいピュアな感覚でできていた。

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プロフィール 室井佑月

1970年生まれ。青森県出身。ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、銀座のホステスなどを経て、現在は小説家&エッセイストとして雑誌や新聞などで執筆。最近では母親という立場からコメンテーターやパネリストとしても活躍している。著書は『熱帯植物園』『恋のQ&A』『恋より仕事』など多数。

第4章 夫婦こそアブノーマル

男はなるべくエッチな想像ができない人がいいですね。この人はどうやってキスして、どうやってエッチまでもっていくんだろう、みたいな。だって想像できちゃうと、想像以上のことってないでしょ。あとエッチのイニシアティブは絶対に彼にとらせます。

例えば、基本的に一日三食ってきまっているゴハンでも、私は好きなものを食べたいし、どこかに行きたいと思えばそこに行くし、何かを買いたいと思えばそれを買うだろうし。とにかくそれは彼氏がいるときでも変わらないので、付き合っているときはどんなときでもイニシアチブはつねに私がとっているんです。だからこそセックスのときは、イニシアティブは男性にわたすかも。

だって私を誘って、きちんとカッコ良くしかも満足させなきゃいけないっていう、そんな大変なことを考えたら、私だったらヤル前にイヤになっちゃうと思うんです。だから女性誌とかに書いてある、もっとああして、こうしてっていう風にプレイ中に会話をしましょうみたいなことは、絶対に嘘だと思います。ホントにその人のことが好きなら感じていなくても、感じているふりをしてあげるのはあたり前。私はそう思いますね。そこの部分て女の人よりも男の人の方が断然重要なんですから。

だから私の中でのセックスでの快楽っていうのは、それほど重要なものではないんです。出会って付き合い始めた蜜月の頃はすごく燃えるけど、そこを越したらセックスはどうでもよくなる。その瞬間はすごく楽しいけど。そこから先で重要な部分はセックスではなくなっているんです。私は、花は鉢植えよりも切り花の方が好きなんです。同じように恋愛やセックスもお互いに熱くなれる一時だけ好きな人と一緒にいたいんです。

私にとってはセックスレスというのも関係ないです。ただ、よそでされているっていうのは他の女とやっているというわけだから、それはバカにされているみたいでイヤです。でもこの場合は相手の女性に関係ない、私自身の感情の問題なので決してジェラシーではないですね。だから今まで嫉妬深いと言われたことはないですね。猜疑心は強いって言われたことがありますけど(笑)。すごい極端ですね。世間では夫婦のセックスレスが話題になっていますけど、私的には夫婦でやるセックスこそ“アブノーマル”だと思いますね。だって家族なのに気持ち悪くないですか? ゴハン食べたり団らんしたりする中にセックスですよ。そこでできるって相当アブノーマルだと思いますね。だからずっと女房一筋で浮気なんて一度もしたことがありませんっていうような人が一番の変態だと思いますね。

(文:オオサワ系)

恋愛は切り花のように…。 室井佑月07
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