イラストレーター、デザイナー、フォトグラファ-。クリエイターとしてさまざまな顔をもつ常盤響。芸術的才能の固まりのような氏が抱く恋愛観や性に対するポリシーは、外見だけみれば先天的なものと後天的なものが入り混じった、ごくごく普通なもの。だが根本的に違うのは、思春期にむくむくと成長した自意識と大人への憧れ。それらはどちらも常人には太刀打ちできない、高い壁と深い闇へと変貌を遂げた。
高校生になってデヴィッド・ボウイなど、わりと中世的なものに惹かれたんです。ゲイがかっこいいみたいなファッショナブルな時期ってあったじゃないですか。「欲望なんかなきゃいいのに」なんて青くさいことを考えていた時期がありました。「食欲、性欲、睡眠欲がなくて、音楽や映画だけあればいい」みたいな。そんな時期に女のコ2人組みに犯されたんです。
殴られたりして犯されたわけじゃないんですが、僕がディスコで酔っぱらってしまって、そのときに家に誘われて色々といじられたんです。その当時の自分はすごく美意識も自意識も高かったし、別にその子たちとセックスをしたいわけじゃなかった。むしろイヤだった。でも、なぜか勃起しているっていう事実にすごく憤りを感じましたね。「欲望なんかいらないって言ってたやつが、ヤりたくもない女に対して勃起してるじゃないか」みたいな(笑)。それがトラウマになって恋愛や女性に対してのめり込めなくなったような気がします。
初恋は相当遅くて、実は初体験より遅いんです。セックスはただやってみたかったっていうだけで、そこに感情みたいなものは特になかったですね。これをやっとかなきゃいけないだろうっていう義務感というか。そのときは射精もしなかったですからね。自分が求めていたものとは違うっていう感じでした。「ツバって意外とくさいんだな」とか(笑)。その後何人かとセックスはしましたが女性と付き合うということは20歳くらいまでなかったですね。まあ、前述のトラウマのせいもあるんでしょうけど。
女性に対して骨抜きにされるほど好きになったことはないです。メンタルな部分が強いのか、いつもどこか冷めている部分があるんです。セックスに関してもないですね。僕は射精は最悪しなくてもいいんです。自分よりも相手に気持ちよくなって欲しいっていう。だからかなり長い間、セックスで射精はしませんでした。それは快感がうすいとかいうことでなく、頭の中がいっぱいいっぱいっていう(笑)。今でもどちらかというとイきにくい方ですね。今だに自分の中で男女という部分にこだわり過ぎているところが原因だと思います。だからセックスは喜んで欲しいと思っている反面、なめられたくないという気持ちがあったりしますし…。なんか複雑ですよね(笑)。
とにかく相手が喜ぶことが、僕にとってはセックスを楽しむということなんです。僕は痛いのは嫌いですから、殴られたり蹴られたりするのはちょっと別ですけど、女の子が求めることはできる限りしてあげたいっていうのは常にありますよ。基本的にはマゾっぽいと思うんですけどね。