時計やメガネ、シャープペンシルなど数多くのヒット商品を世に送り出してきた、日本が誇る世界的建築家であり、プロダクトデザイナーである。そんな想像力の塊といっても過言ではない彼がもっているエロ観とは、いったいどんなものなのだろう。クリエイターという視点を意識しつつ、独自の世界観を披露してもらった。
((フランス書院文庫を前にして)ちょっとわくわくしますね(笑)。エロって想像力が必要じゃないですか。特に官能小説は想像力をかきたててくれますからね。ただ僕は学生時代とか若い頃に、エロ本やエロ雑誌をこそこそと読んでいたっていうくらいで、官能小説はあまり読んだ経験がないんです。最近だとネットでたまに見るくらいですね。まあ、見ているとつい集中してしまって、仕事がはかどらなくなってしまうんですけど(笑)。
あとこうやってよく見てみると、わりとキレイな装丁なんだなあっていう。正直、もっとハードで変態チックなものだと思っていたので、これは意外でしたね。個人的にはこのカバーを外すとその下にさらに何らかのデザインがなされているという仕組みだと嬉しいですね。これだけ表がキレイなデザインなら、中はもっとエロくするとか、また表と中でストーリー性をもたせるとかね。
個人的にはエロ本というよりも、デザインとして凄くセクシーな写真集とかは結構持っています。写真集が好きなんですよ。というのも、あれって量産物ではあるんですが、一つ一つが完成された作品じゃないですか。サム・ハスキンスやデビッド・ハミルトン、ジョック・スタージェスですとか、ああいう懐かしい感じのする美しいエロが好きですね。エロ写真というよりもむしろアートに近いものの方です。逆にグラビアなどは興味がないんです。写真に深みがないというか、写真家の意図が感じられないっていうか。イヤらしさみたいなものも含めて、もう少し撮る側の意思が感じられるようなものであって欲しいですね。
ここに並べられた本はどれも凄まじいタイトルですが…(笑)。職業柄、デザインなど視覚的なものが気になってしまいます。例えばヒップが写っている絵なんですが、ただヒップが写っているっていうんじゃなくて、こちらを振り返っているような、そういうポーズとか好きですね。そういった意味ではこの『熟臀母交換 親友の母と継母』(星野ぴあす著'06年7月刊)とか、ヒップが強調された装丁が気になっちゃいます。ただ「母」っていうのがちょっといやですね。こういう趣味はないので(笑)。
男にとって性欲を吐き出すことって凄く簡単なことじゃないですか。ただ思春期の若者じゃあるまいし、文化的なレベルでの性的欲求を満たすということであれば、ポージングやランジェリーのデザイン一つをとってもこだわるというか。もちろんセックスそのものも嫌いじゃないですが、そこまで辿り着くまでのプロセスを楽しむっていうのがいいですよね。
僕が以前お付き合いしていた女性なんですが、美人でランジェリー好きな方がいたんです。たくさん持っていたし、ブランドとかそういったことにも詳しくて。その人はTバックしか穿かない人で、これがまた色っぽくてね。ランジェリーの美しさはもちろん、自分の体のラインの魅力も熟知しているわけですから、凄く官能的なわけですよ。セックスに対するそういうアプローチの仕方って重要ですよね。