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今月の放言

女体こそがデザインの基本 トミタ・ジュン

直筆短冊

時計やメガネ、シャープペンシルなど数多くのヒット商品を世に送り出してきた、日本が誇る世界的建築家であり、プロダクトデザイナーである。そんな想像力の塊といっても過言ではない彼がもっているエロ観とは、いったいどんなものなのだろう。クリエイターという視点を意識しつつ、独自の世界観を披露してもらった。

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プロフィール トミタ・ジュン

1967年生まれ。一級建築士/東京電機大学講師。ニューヨーク大学アート学部スタジオアート学科卒。東京電機大学建築学科卒。グリーン建築で著名なエミリオ・アンバースに師事。'96年ペットボトル「アクアブロック」でIDアニュアルデザインレビューのグランプリ受賞。その後も通産省グッドデザイン賞、中小企業庁長官特別賞、大阪グッドデザイン賞などを受賞。現在はプロダクトデザインや建築、グラフィックなど幅広い分野で活躍している。

第2章 デザイナーはスケベ?

ウチは実家にデビッド・ハミルトンの写真集とかが置いてあるような家庭で、女性の裸の写真集はわりと身近でしたね。あと父親が持っていた『プレイボーイ』をいないときに引っぱり出して見たりしてました。それが小学生くらいだったかなあ。あとマセた友達がいて、なぜか完全に局部が見えている洋物女性のポジを持っていたやつがいたんです。それを友達と一緒に公園とかで見たりしていましたね。

その影響かどうかわかりませんが、「自分ではそんなことない!」って思いつつも、ふくよかな女性が気になってしまうんですよ。ふくよかな人とセックスする方が楽しいと思うんです。ぷよぷよしていて皮膚がさざ波のように波打つわけじゃないですか。一時期、僕は“ふくよかな女性がいかにすばらしいか”ということを酒の席で語ってましたね。「世の中はすべて波動であり、つまりウェーブで成り立っている。その相乗性を極めると大きな波動が生まれて、あの皮膚の揺れ具合は、宇宙戦艦ヤマトの波動砲と同じ理論なんだ」って(笑)。

もちろん僕はデザイナーだから、そんなアホなことを言ってないで、ちゃんと美意識を高めなきゃっていうのがありますよ。でもやっぱり「ふくよかな人の方がいいのかなあ」なんて時々思っちゃいますね。

胸の形とかも気になってしまいますが、女性を見て思わず目がいってしまうのはやっぱりお尻ですね。デザイナー的な観点で言わせてもらうと、モディリアーニっていうイタリアの画家が描いた数人の裸婦が寝そべっている絵があるんですが、そのヒップのラインなどはなだらかな山の稜線のようで、非常に美しいと思いますね。

あとニットやカットソーといった柔らかい素材の中に、女性の体が大事に包まれていて、それをはがしたときに出てくるイメージっていうんですかねえ、大事にパッケージングされた高級な卵みたいな。そういうのってすごく官能的だなあって思います。あと個人的に女性の体って正面から見るより、横から見た方が断然セクシーだと思いますね。また全体的なフォルムもそうですが、柔らかさや弾力、ディテールにも興味があるんですよね。

さらにボディラインの話で言えば、昔のイタリアの車はシルエットが丸みを帯びていて女性の体みたいなんです。あれは本当にエロいんです(笑)。フェラーリのカーデザイナーのピニンファリナっていうのは相当スケベなんだろうなあって思いますね。車の名前もフェラ…ですから(笑)。一般的にデザイナーはスケベであるっていう見方は結構あるんですが、僕自身も例外じゃないですね(笑)。

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