一覧に戻る

今月の放言

女体こそがデザインの基本 トミタ・ジュン

直筆短冊

時計やメガネ、シャープペンシルなど数多くのヒット商品を世に送り出してきた、日本が誇る世界的建築家であり、プロダクトデザイナーである。そんな想像力の塊といっても過言ではない彼がもっているエロ観とは、いったいどんなものなのだろう。クリエイターという視点を意識しつつ、独自の世界観を披露してもらった。

profileName

プロフィール トミタ・ジュン

1967年生まれ。一級建築士/東京電機大学講師。ニューヨーク大学アート学部スタジオアート学科卒。東京電機大学建築学科卒。グリーン建築で著名なエミリオ・アンバースに師事。'96年ペットボトル「アクアブロック」でIDアニュアルデザインレビューのグランプリ受賞。その後も通産省グッドデザイン賞、中小企業庁長官特別賞、大阪グッドデザイン賞などを受賞。現在はプロダクトデザインや建築、グラフィックなど幅広い分野で活躍している。

第4章 性欲がすべての動機

昔アメリカに留学していてその時に感じたことなんですが、アメリカ人ってあまりエロくないと思うんです。例えばセックスひとつをとっても、何かスポーツに近い感覚っていうか。特に日本人の男性って、女性に拒まれたり恥ずかしがられたりする方が燃えたりするじゃないですか(笑)。言葉遊びなど、そういうエロとは直接結びつかない部分が発達している分、日本の方が優れていると思いますね。

メンタル的な嫌らしさって、後天的というか後付けじゃないですか。もともと持っているわけじゃなく意識してやるっていう。その辺をわかっててやらしい方にもっていく女性って、ある意味素敵なエロだと思うんですよ。男性に対して女性の魅力を上手に見せていますよね。そういう人にはやっぱり惹かれちゃいますよ。

そう考えると極端な例は抜きにして、男性にとって一番幸せなのはルックスよりも、性格いい女性と付き合うことですよ。「気持ち良くなってもらいたい」「楽しんでもらいたい」っていう風に前向きに考えていれば、セックスの最中もそれなりの態度で接してくれますから。僕の経験上、下手にキレイな女性ともなるとマグロなんて場合も少なくないですよね。あの、この際だから言わせてもらいますが、マグロだけは勘弁してください(笑)。これは日本中の女性に向かって言いたい。どんなに美人でも、あれだけは困りますから。

先ほどと話が重複しますが、アメリカ人のスポーツのようなセックスとマグロはダメですよ。だってやってても楽しくないでしょう。これは食事でもファッションでも、何でも通じることなんです。こだわりを持つことで楽しくなったりするわけじゃないですか。何でもいいとなると、何も楽しいことなんかないですよね。

僕が思うに、エロとか性欲ってすべてにおける「オトコの動機」だと思うんです。男っていうのは男としてのプログラムを持っているわけで、そのプログラムの中で一番コアな部分というかスイッチというか…。男はここからすべてが始まっているんだと思いますね。性欲、食欲、睡眠欲っていう人間の三大欲求ってありますが、メシ食って寝ているだけの毎日では飽き飽きして、つまらなくなり、いつしか『死んでもいいか』って思っちゃうんです。それに対してエロとか性欲っていうものは、すべての目的意識として存在していると思うんですよね。

(文:オオサワ系)

女体こそがデザインの基本 トミタ・ジュン07
女体こそがデザインの基本 トミタ・ジュン08