「女医」。健康な成人男子であれば、この一語を見ただけで、妄想や幻想をいくらでも抱くことができるだろう。ゲストは、おおたわ史絵。そう女医である。メディアを通して垣間見られる持ち前の美貌と、歯に衣着せぬ小気味よいトークに、どれほどの男たちが魅せられていることであろうか。今回の取材を通し、普段のメディアからは伝わらない医師として、また女性としての内面を見ることができた。
最近はインターネットやDVDなど、今は書籍よりもダイレクトで性を刺激するものがいくらでも手に入る時代じゃないですか。(フランス書院文庫を前にして)にも関わらず、こういった書籍がこれだけ根強い人気を保ち続けているっていうことに逆に感動しましたね。「あっ、人間社会は、ある意味健全なのかなあ」っていう。活字というものから一度自分の中で映像として置き換えて、それから空想の世界を作って膨らませていくという作業は、人間ならではの行ないであると思うんですね。猿や犬に同じことをやれといっても、恐らくできることではないと思いますし。
個人的に実際に手に取ることはありませんが、官能小説は一つの文化の風潮として認識していました。『こういう世界が確立されているんだなあ』と。タイトルを見ていると時代の流行というか、世の中のニーズがわかりますね。例えば『人妻・那美子《獄愛》』(綺羅光著'06年12月刊)なら、『そうか、今は人妻ブームなのか、ふむふむ』とか『熟女相談室 少年たちの相姦初体験』(牧村僚著'05年3月刊)なら、『へぇ~、熟女ねえ』みたいな(笑)。あとレンタルビデオ屋のAVコーナーも同様ですね。そういった興味本意でたまに覗いてます。恐らく店員からは『…気持ち悪りぃ女だなあ』とか思われているかもしれませんが(笑)。
本のタイトルにも見られますが、女医や看護婦って、エロいイメージが強いですよね。やっぱり白衣のイメージなんでしょうか。なんか中性的で色気も素っ気もないっていうか、そういったもの(白衣)で守られていると『この中はどうなってるんだ?』って思うのかもしれないですね。だからその気持ちもわからないわけでもないんですよ(笑)。私に手を出してくる人ですか? わかんないなあ。いるのかもしれないですが、私の方にそういったセンサーがないので。あと私がわからないような振りをしているのかもしれません。ですので、イヤな思いをしたことは特にないんです。
看護婦さんなんかだと、よくお尻を触られたとかって聞きますけどね。ええ、色んなことをされてますよ。入院中のおじいちゃんなんかはいくら年をとっててもやはりそういう欲求はあったりするんで。まあ看護婦さんたちも手慣れているので触られてもハイハイっていう感じです。ただ患者さんからすると、いくら同じ女性とはいえ、どうやらナースとドクターは違うみたいで、ドクターに触ってくる勇気のある患者さんていうのはいないみたいなんですね。怒らせてもいけない、と思っているようです。
私も職業柄、白衣を着て番組に出てくれとか、エロを絡めたコメントを求められたりします。でも、これまでは一切お断りしてきたんです。世の中の“女医(看護婦)=エロ”という図式に乗っかることに、医療に携わる人間として納得いかなかった。それともう一つは、私自身がエロというものに対し、あまり興味がないんです。
医者である私が言うのもなんですが、病気だと思うんですよ(笑)。これはもう昔からそう。若い頃って“モテることはいいことだ”みたいな空気があるじゃないですか。もちろん色々お付き合いさせてもらって、通り一遍等のことはしてきたつもりですよ。でもある時、世の中が盛り上がっているほどに、好いた惚れた、に自分が盛り上がっていないということに気づいたんです。おそらく性への欲求の差が大きな理由ではないかと思うんです。私の場合、動物的であるというよりも、自分がむしろ植物に近いものなんじゃないかって思うんですよね。