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今月の放言

快楽と生殖にセックスは二極化する おおたわ史絵

直筆短冊

「女医」。健康な成人男子であれば、この一語を見ただけで、妄想や幻想をいくらでも抱くことができるだろう。ゲストは、おおたわ史絵。そう女医である。メディアを通して垣間見られる持ち前の美貌と、歯に衣着せぬ小気味よいトークに、どれほどの男たちが魅せられていることであろうか。今回の取材を通し、普段のメディアからは伝わらない医師として、また女性としての内面を見ることができた。

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プロフィール おおたわ史絵

東京の下町出身、東京女子医科大学卒業。内科医としての様々な人との出会いや経験をもとに、1996年からメディアでの活動を開始。週刊朝日連載「デキゴトロジー」、ラジオ日本「トーク・ラジオ日本」パーソナリティーなど、読者、聴取者はもとよりメディア界での注目を集める。現在も医療の現場に携わりながら、朝の情報番組コメンテーター、ラジオパーソナリティなど各メディアで活躍。著書も多数あり、2005年に出版したエッセイ「女医の花道!」はベストセラーとなった。ライフスタイルの「自然派志向」を表現するブログなども展開している。

第4章 肌の触れ合いは愛情の確認作業

ちょうど医学生の道に進む頃ですが、五歳上の人とお付き合いしていたんですが、その当時は心が満たされていたと思います。その人は私が“デブ脱却”からもがいていた高校生くらいの頃からずっと見守っていてくれて、全てのことを受け入れてくれました。そうやって相手の男性から優しい心や愛情をもらうことによって、『私なんか』っていう自虐的で凍てついたものが、少しずつ溶けていくっていう感覚はありましたし、やっぱり一人では得られない幸せ、人と人との間でしか生まれない愛というものはたくさんあるんだということも知りました。

愛情って不思議ですよね。人間は言葉を持っているから、言葉をかけられた時に愛情を感じたっていうことが多いと思うんですが、でもやっぱり最終的には言葉でなく、「触れ合う」ことだと思うんです。例えば寝たきりで、いつ亡くなってもおかしくないっていうおじいちゃんがいたとします。そんな状態にも関わらず家族がお見舞いにきて、何ができるというわけでもないんだけれど、無意識におじいちゃんの足をさすり、おでこに手をあてているっていう。これって、たぶん愛なんだと思うんです。だから自分たちが相手に対して接したくなる、触れたくなるっていう瞬間っていうのが、理屈抜きの愛なのかなと思います。

一説によると夫婦間の愛情の長続きっていうのは、どれだけキスをしたかよりも、手を繋いだ時間が長いかが重要であるっていう報告があるんだそうです。それが夫婦の愛であったり、信頼関係に繋がるんですね。これは相手に愛を伝えるというだけでなく、自分自身の中でも大きな愛の確認作業なのではないかと思います。

バイセクシャルな人っているじゃないですか。この人たちってつまりハイパーセクシャリティなんですね。ようは異性に対しても同性に対しても愛情を抱けるっていう。それが大変強いものであり、強力なものになると、どちらでも愛せるようになるのでは、という説もあるんです。だから究極的に恋愛対象者っていうのは、必ずしも異性とは限らないのかもしれないですね。

ちなみに私にはレズ説もあるんですが、これは大いに違います(笑)。でも周りのホモセクシャルの友達からは『モテるからレズにいけ』ってよく言われるんですよ(笑)。もう言われ続けて何十年ですね。あと女王様キャラも言われますね。病院でパンプスとか履いていたら、男のコの後輩から『踏んでください』なんてよく冗談で言われましたけど(笑)。でも、そういう趣味もありません。この場を借りて否定させていただきます。

(文:オオサワ系)

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