それまでのAVの概念を根底から覆す、奇想天外な企画や発想を駆使し、あっという間に日本のAV業界の頂点に君臨したキング・オブ・AV、高橋がなり。業界の酸いも甘いも知り尽くした、世界一AVを愛する“変態のカリスマ”のエロ概念とは? 自身の考えを大きな声で理論的、かつ客観的に語るその姿は、まさに往年の“虎”を彷彿とさせた。
取材してもらってるそばからあれなんですが、僕はエロに興味がない人間なんです。ホント、異常にないんですよ(笑)。子供の頃はかなりの硬派というか奥手だったもので、男と遊ぶことが楽しいことであって、女はママゴトでもやってろよ! みたいな感じでした(笑)。それが中学生になって、いきなり女のコがバレンタインにチョコレートをくれたり、告白してきたり……。本当に理解できなかったですし、正直怖かったんです。もうその頃から女のコに追いかけられることが嫌でしたね。
トラウマとかではなく恋愛って、特に男の場合は、追い求めているから楽しいと思うんです。もちろん例外な方もいらっしゃるとは思いますが。とりわけ僕は完全に肉食系なものですから、いくら追われてもちっとも楽しくないんですよ。むしろ苦痛です(笑)。
僕は自分の親からものすごく愛されて育てられたんです。だから世の女のコも、僕と同じように大事に育てられているんだろうなぁ、と思うと、女のコを傷つけちゃいけないっていう考えが強くあったんです。ホント、異常に真面目でしたから。生半可には付き合えないって思ってましたね。
だから初体験だって、半ば自分に経験させたって感じでしたよ。伊藤(番組制作会社時代の上司であるテリー伊藤氏)にナンパに行ってこいって命令された時に、たまたまゲームセンターで声をかけた女のコと。俺は26歳だったかな。そのコに「教えてあげる」って言って。もうあんまり記憶になくて、おそらく無我夢中だったんだろうなあ。ただ、「そこじゃないよ」って、穴にリードしてもらったことは覚えてますね。
当時はもう毎日オナニーをしているわけですから、セックスをしたいっていう本能はあるわけですよ。でもそれをヤッちゃうと逃げられなくなるじゃないですか。付き合わなきゃならなくなるっていう、僕はそれが嫌だったんです。ヤリ捨てっていうのができればしてたんでしょうけど、当時の僕は、異常に真面目だったのでできませんでしたね。
だから僕には、風俗でちょうどよかったんです。あとくされがないわけですから。もう色々な風俗を経験しましたね。その中でも特に、ピンサロの女のコが一番プライドをもってやってたんですよ。いやあ、あれはカッコよかったですねえ、女のコたちが。「あと5分あるからもう一回頑張ってみようよ」っていう、プロ意識の高さ(笑)! その一生懸命さには純粋にカッコいいって思いましたね。中途半端なことはしないっていう女のコたちの姿勢は、その後のAVを作る際の姿勢にも反映されていると思いますね。