それまでのAVの概念を根底から覆す、奇想天外な企画や発想を駆使し、あっという間に日本のAV業界の頂点に君臨したキング・オブ・AV、高橋がなり。業界の酸いも甘いも知り尽くした、世界一AVを愛する“変態のカリスマ”のエロ概念とは? 自身の考えを大きな声で理論的、かつ客観的に語るその姿は、まさに往年の“虎”を彷彿とさせた。
AV業界に入ってから、女性に対する聖母像的なイメージというか、神聖なイメージみたいなものは一切なくなりましたね。さっき言った通り、愛情いっぱいに生真面目に育てられた僕は、綺麗な女性はセックスをしないって本気で思ってましたから(笑)。ちなみに、今でもそういう清純派の女優さんが好きですね。
(フランス書院文庫の一冊を指して)あっ、この『美母は淫母』(芳川葵・著 '07年06月刊)のイラストの女性は、桃ちゃんに似てるなあ! 実は僕、永遠の菊池桃子ファンなんですよね(笑)。わかりやすいでしょ。昔で言うところのサユリストみたいな。あの人の美しさって神がかってますよね、あの全く変わらない容姿っていうところに、いかに生き方がいいかっていうのが現れてますよね。もちろん、あの方をおかずにオナニーするなんてとんでもないですよ(笑)。とてもじゃないけどできません(笑)!
ただ、昔は自分の本能や欲望を表に出すという行為が、すごく恥ずかしいことだと思っていたんです。それが減っていったんですよね。逆にいうと、あるものを隠していた自分が恥ずかしくなったっていう。40才過ぎてオナニーしてるとかって平気で言えるようになりましたけど、20~30代の頃は絶対に言えませんでしたから。今の俺の方が器がデカくなったと思っています(笑)。
僕がAVで当たったのは、僕自身が単純にセックスよりオナニー派だったので、オナニーする人の気持ちがよくわかったからなんだろうなぁ、と思うんです。だから常に客の目線を忘れないように、現場の監督には「セックスをするな」って言っています。あと僕は撮影の現場へは行かないし、女優の裸も見ないようにしていました。10年間ずっと客側の位置にいたんです。AVの現場って入っていってしまうと、刺激に馴れちゃって麻痺しちゃうんです。そうすると、自分達が興奮するポイントと客のポイントがずれちゃうんですよね。
ところで、SODでオナニーと言えば、やっぱりオナカップの『TENGA(テンガ)』になるんですけれども、実はあれ、僕が勃起不全になったことがきっかけで生まれた商品なんですよ(笑)。「このまま終われるか!」っていう気持ちで色んなものを試したんですが、その結果ローションが一番有効だってことがわかりました。そこでローションをもっと普及させるべきだって考えたんです。ただ、我々は男性のオナニー市場しか持ってないから、最初はオナニー用のカップからやってみようということになりました。これは売れました。みなさんもぜひ一度、試してみてください!