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今月の放言

女のコを撮るのは僕の宿命 藤代冥砂

直筆短冊

女性を撮らせたら右に出るものはいない、と言わしめる希代の写真家である。被写体も気づかないうちに、その心を裸にし、瞬時に魅力を切り取る才能は、まさに百戦錬磨。果たしてこの、単なる女性好きでは済まされない、プレイボーイも真っ青な女心掌握術は、いかにして培われたのか。いやそれとも、神様から授かった才能だったのか……。

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プロフィール 藤代冥砂

千葉県出身。'95年から2年間、世界一周の旅に出る。'03年、第34回講談社出版文化賞写真賞受賞。雑誌グラビアから写真集、広告に至るまでボーダレスに活躍している日本を代表する写真家。現在、新潮社の人気写真集、『月刊』シリーズの100号記念『月刊100アニバーサリー』が絶賛発売中。

第2章 世界中の女を抱いた放浪の旅

昔から女のコは好きでしたけど、モテたっていう感じではなかったですね。常に追い求めてたっていう感じでした。今思えば、ユーモアがなかったかなあ。“やらせろ”的なオーラが強くて、とにかくガツガツしてましたね。でもそのガツガツ感も、大人になってからは写真で欲望を満たしているせいか、なくなったと思いますね。

初体験は中学3年の時でした。周りからあてがわれたっていうか、友達から『まだやってないの?』みたいな感じでいわれて。当時の僕はもう、あれもこれもやりたいって、意気込みだけはすごかったんですが、なかなか上手くいかなかったんです。初体験の時ですか? かなり焦りましたね。結局最後には上手くいったんですが、想像していたよりも全然気持ち良くなくて、愕然としたのを憶えてますね。

20代の頃、2年間海外を放浪していたんですが、日本人と比べると外人は積極的ですよね。あえぎ声とかもデカかったし。特に印象的だったのは、ベトナム人とセネガル人の肌のキメの細かさ。日本人の女性も肌がキメ細かいって言われますけど、そのもうワンランク上をいってるっていう感じですね。

あとビックリしたのがブラジル人。このときほど、人間として肉体差を感じたことはなかったですね。例えば、クラブやディスコへ遊びに行くと現地の女のコと仲良くなって、外へ連れ出そうとするわけじゃないですか。でも女のコは踊りたいっていうから朝の7~8時までガンガン踊るわけですよ。しかも、ちんたら踊ってると『アナタ、私と一緒に踊ることが楽しくないの?』って言われるので、そりゃもう激しく踊るわけですよ。そんなヘトヘトの状態で、部屋に帰ってからやるわけですが、とてもじゃないけど一回が精一杯。それでヒドイのが、それだけ無理して一回やったのに、次の夜また同じディスコに行くと、女のコ同士で笑ってるわけですよ『あっ、一回しかできなかったヤツだ』みたいな(笑)。

ブラジルの男性のすごいところは、こういった激しいナイトライフを普通にこなしながら、昼はビーチでサッカーしているところです、ごく普通に。あの国では、どんなに知的だったり金持ちだったりしても、セックスで負けちゃったら男として屈辱なんです。セックスは強くて当たり前なんでしょうね。もちろん女のコもすごい積極的です。そういえば、生まれて初めて女の子にビーチでナンパされたのがブラジルでした。

女のコを撮るのは僕の宿命 藤代冥砂03
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