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今月の放言

一生拭えぬ女性へのコンプレックス 深水元基

直筆短冊

身長190センチで端正なマスク。職業、俳優。今をときめく映画『クローズ ZEROⅡ』では、物語のキーマンとなる林田恵、通称“リンダマン”を演じるほどの男である。これでモテないわけがない。どれほどの武勇伝が聞けるかと思いきや、口をついて出てくる言葉はどれも穏やかなワードばかり。見た目とのギャップがある恋愛&性愛談義。聞き手として額面通り受けとることができないのは、男としての嫉妬がそうさせるのだろうか。

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プロフィール 深水元基

東京都出身。18歳よりモデルを始め、その後俳優へ転身。最近は映画を中心に活動している。4月11日より全国で公開される話題の映画『クローズ ZEROⅡ』(三池崇史監督作品)を筆頭に、『ガチバンⅡ』(元木隆史監督作品)、『非女子図鑑-混浴heaven』(オースミユーカ監督作品)など、今年は出演作品が目じろ押し。また俳優業のかたわら、人気アパレルブランド『CACTUS』のデザイナーとして、ファッション業界でも活躍している。

第4章 ガツガツなれる男がうらやましい

しばらく彼女がいないから、今恋愛したり付き合ったりするとどうなるのか、考えるとドキドキしますね(笑)。以前までのそれとは違うんだろうし。でも今だと、燃えあがることはなく、すごく冷静になっちゃってるんじゃないかなあ。これはあまり、よろしくないことなんだろうけど……。ぶっちゃけ彼女はそれほど欲しくはないですが、結婚はしたいですね。最近は、母性の強い女性に惹かれます。ただ押しつけがましい、あからさまな感じはダメ。ふっと見えたときの、何気ない振る舞いから伝わる、本物の母性じゃないと。

お互いに放っておける空気だったりとか、安心感だったりとか、付き合う当初からもうすでに、「付き合い始めて2年経ってます」のような関係がいいんです。もう、最初のドキドキ感とか刺激はいらないんですよ、なんか(笑)。

別にヤリ飽きたとか、そういうことでは決してないんですが、例えば女性を見たときに、おっぱい大きいなあとか、いいお尻してるなあとかって思ったりはしますけど、ただ単に「ふーん」って感じですよね。さっきも言ったように、こういう仕事柄、女性から言い寄られることがあったり、綺麗な女性が周りにいる環境だから、どん欲さや積極性に欠けるんでしょうね。こんなこと言ったら「なに言ってやがんだ」って思われるだろうし、一般的に考えたら羨ましい立場なのかもしれないですけど、でもそれが実は僕のコンプレックスなんですよ。ガツガツなれないっていう。

もし本当に好きな女性が現れたときですか? うーん、どうしていいかわからないかもしれない。どうしようどうしようって考え続けて結局、諦める……っていう情けないことになりそう。正直、モテたいとかヤリたいって思って積極的にアクションを起こせる人が本当にカッコいいなあって思うし、心底羨ましいです。

なんだかんだで、やっぱり中学時代の女性に対する苦手意識というか、コミュニケーション下手なコンプレックスが、今だに尾を引いてるんだと思います。高校卒業後に体育の専門学校に入ったんですが、そこが共学だったので、少しずつ喋れるようになって、そしてその後、こういう仕事に携わるようになってからは、昔ほど緊張しなくなりましたが……。

誰に対しても男女わけ隔てなく、すぐにフレンドリーになれる人っていますけど、本当に羨ましいですね。こっちは喋り方の引き出しというか対処法みたいなものが、相手の雰囲気によって色々あって、その人の性格に応じて繰り出していくっていう感じなのに、フレンドリーな人は、そういう細かいことは考えずに、すぐに相手との距離を縮めるじゃないですか。羨ましいなあ。僕なんか、現場で女優さんと一緒になるけど、喋らないですもん、ほとんど(笑)。僕はきっと、一生こういうスタンスでいくんだろうなあって思いますね。

(文:オオサワ系)

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