テレビではその豊富な知識と経験を武器に、舌鋒鋭く迫る姿が印象的である。そんな氏は、小学生時代にSM雑誌を通して淫靡な世界に触れて以来、自他ともに認める官能好きであり、さらに'90年代中期頃までであれば、ほぼ全作品読破しているというフランス書院文庫フリークでもあるという。今回はテレクラや援交ブームを期に得た独自の体験談なども踏まえ、持ち前の官能論を語っていただいた。
プロフィール 宮台真司
社会学者。宮城県出身。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在は首都大学東京准教授の顔をもつ一方で、テレビや新聞など様々なマスメディアを通じ、評論家としても活動している。著書は『日本の難点』(幻冬舎新書)、『<世界>はそもそもデタラメである』(ダヴィンチブックス)、『14歳からの社会学 これからの社会を生きる君に』(世界文化社)など多数。
MIYADAI.com.Blog
http://miyadai.com/関係性や物語を描いた官能小説が好きなのと同じことで、現実世界でも人の女を寝取るのが好きでした。先輩も後輩も関係なくね。やはり「あんな淫らな姿を知っているのは、俺だけだなぁ」って(笑)。その延長上で、厚木や町田などの郊外で、人妻をターゲットに“デパ地下ナンパ”してました。僕と食品売り場で押し問答をしているのを近所の知り合いの奥さんに見られたくないから、とりあえずその場で電話番号を交換してくれるんです。何人かに一人は電話をかけてきましたね。“イケナイことをしていると思っている相手と、イケナイことをさせている自分”っていう関係性が、エロかったんです。そういうのは、もう十五年以上前の話ですけどね。
最近は人妻・熟女ブームですが、雑誌を見るときれいな人妻ばかり出てて「こんなのいるかよ」って感じ。僕に言わせれば、人妻ってのは、もっとリアルな生活感がなきゃダメです。夕方になるとソワソワしてきて「子供を迎えに行かなきゃ」「買い物に行かなきゃ」ってつぶやいたりね。そして僕との激しいセックスの後、何ごともなかったように家に帰り、膣に僕の精液を溜めたまま「ママが心をこめて作ったのよ」なんて言って、夫と子供に夕飯を食べさせる、みたいな(笑)。それを言葉責めに使ったりね。学生だった僕は「なんだこの淫靡な関係性は!」って、そりゃ興奮しました。だから最近の「イメージとしての人妻好き」には違和感を覚えます。やっぱり「関係性におけるタブー」を楽しむほうがずっと興奮するものですよ。
この感覚は、僕に限らず、同世代男性がこのインタビューを読めば必ずわかってくれます。実はここに社会学的なポイントがあるんです。僕ら世代は男女を問わず、タブーが残っている一方、それが崩れていく端境期に当たります。それ以前の世代だと、言葉責めしようとしても、タブーが強すぎて乗ってくれない。逆にそれ以降だと、タブーがゆるくなりすぎて、言葉責めが効かないわけ。僕らはたまたま「おもしろい世代」だったんですね。おかげで「濃い性」を享受できたんだと思います。