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今月の放言

活字じゃなきゃダメなんだ 岡田斗司夫

直筆短冊

元祖オタクである岡田斗司夫の功績は大きい。従来サブカルチャー領域の個別分野のマニアでしかなかったオタクを膨大な情報集積回路を持つトータルな文化として認識させた。そんな元祖オタクが、セックスを語ると…。

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プロフィール 岡田斗司夫

1958年生まれ。大阪府出身。アニメゲーム会社ガイナックスを設立、多くのアニメ映画、コンピューターゲームを手がける。その後、東京大学オタク文化論のゼミ講師を務め、現在は『株式会社オタキング』代表取締役。新しい文化の担い手として活躍中。

第1章 20年かかって活字に行きついた

以前、唐沢俊一さん(評論家)のトークショーで、今日は皆でオナニーの事を話そうという事になって、各自のネタを持ち寄ろうと言ってたんです。結局、誰も持ってこなかったんだけど、僕はバカ正直に自分のネタのビデオを編集して持ってった。本気でそういうのを持ってきたのは僕だけだったので、ムチャクチャ恥かしかったんですけどね。そのビデオっていうのは、借りてきたAVを自分で編集したやつ。どういうのかって言うといかにも直球、白石ひとみとかのベタなやつがぎっしり詰まったビデオでした。

僕は今まで4回エロ本捨ててるんです。たまりにたまってどうしようもないという事もあったんですけど、やはり使える使えないで判断して。多い時は大きい手提げ袋で10袋ぐらいあったかな。その中身はどういうのかって言うと、写真集じゃなくて文庫か新書のエロ本。ハードカバーもあったかな。僕、写真集やビデオってダメなんですよ。この20年ぐらい「エロとは何だ?」って探して探して、やっと20年たって活字に行きついたんです。だから、フランス書院の本は今でもいっぱいありますよ。

僕のエロ本歴を振り返ると、20代から30代はとにかく色んな物(エロ小説)を集めようと思った。最初はエロとユーモアが合体しているやつ。いわゆる艶笑物って言うのかな。エロはお笑いと合体してないと読めない時期ってあるんでしょうね。それからビジネス物、OLが会社で乱れてゆくというスタイルが好きになって、最後はやはりストーリー性のあるものに魅かれていった。エロ小説と普通の小説のギリギリの所。これ以上リアリティがあると普通の小説になっちゃうという限界のエロ小説、これがエロ小説を選ぶ基準でしたね。

25歳ぐらいの時、東京と大阪の往復っていう出張が凄い多かったんです。東京駅の八重洲口だったんですけど、エロ本がやたら置いてある本屋があったんですよ。そこで棚を丸々買うぐらいの勢いで買っていました。家では嫁さんに見つからないようにマンションのトイレの上の天井を外して、そこを秘密の図書館にしてね。

活字じゃなきゃダメなんだ 岡田斗司夫01
活字じゃなきゃダメなんだ 岡田斗司夫02