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今月の放言

あの夏、ブラの紐が見えていたら… 阿藤快

直筆短冊

ある時はヤクザの親分、またある時は旅番組のリポーターと、その表情を変幻自在に操る“怪優”阿藤快。今回は自身の淡い体験談を踏まえ、性に関する独自の概念を語ってもらった。銀幕からもブラウン管からも決して伝わらない、まさに素の告白。彼の目には懐かしき昭和の思い出が広がっていた。

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プロフィール 阿藤快

1946年生まれ。神奈川県出身。1972年映画『無宿人御子神の丈吉・牙は引き裂いた』で銀幕デビュー。以来『殺人遊戯』や『影武者』など数多くの映画に出演。その人情味溢れるキャラクターはお茶の間でも大人気。2001年11月14日に阿藤海から阿藤快に改名 。

第2章 30年越しで完結した初恋

俺らの時代は高校の学生手帳の心得に「交際禁止」ですよ。それで1、2年は坊主。きっと女の人が多いから、そうしたんだと思いますけどね。そんな中、俺の親友がある女の子とずっと付き合っていたんです。

典型的な話なんだけど、花火を見に行って、小田原の城址公園でデートしていたらしいんですよ。夜だから、もちろん真っ暗。親友のやつはどうしても彼女と寝たくなったっていうんですが、男と女がそんな状況で2人っきりになればそんなの当たり前ですよ。でもね、その親友は彼女をそう思ったことをきっかけに別れようと思ったっていうんですよ。ホントに別れちゃったもんなー。嘘みたいだけど、俺らの頃はそんな時代だったんですよ。切腹みたいなもんですよね。今の子が聞いたら「ばかか!」って言うと思うんだけど、すごく切実なものがあったと思うんだよね。

俺の初恋の相手は演劇部の子。その子はね、しゃきーんと廊下を歩いてるんですよ。歩く姿を遠くから見てるだけで何か意思みたいなものを感じたんですよね。他の子に名前を聞いたら“きよみちゃん”ていう名前が分かって、ラブレターっていうか年賀状だしたんですよ(笑)。俺の青春時代なんて、ほんとそんなもんですよ。会ってすぐにホテルへ行っちゃう今とは全然違う。

高校を卒業してしばらく経ってからたまたまテレビをつけたら、彼女が出てたんです。偶然見たんですよ! 彼女は女優になってたんですねー。その後、初めに想った人だから気になって、友達に聞いたんですよ、「彼女は今どうしてるんだ?」って。そしたら体を崩したっていうんです。今は東映系をやめて資生堂の仕事をしてるっていうのを聞いて早速会いに行ったんです。そしたら、「今恋をしてる」だとか「失恋して、小田原に戻ってきた」とか聞いて…。やっぱりね、女のほうが全然上なんですよ(笑)。俺のことなんかお構いなしでどんどん生きていた。その後も、初恋のなんとかっていう番組で会うことができました。30年越しでしたけど、俺のこの初恋は片思いで完結したんですよね。

あの夏、ブラの紐が見えていたら… 阿藤快03
あの夏、ブラの紐が見えていたら… 阿藤快04