ED(ErectileDysfunction:勃起不全)。いわゆる勃たないという病。日本男性の間で急速に広まり、早い人だと20代後半から患っているという。明日の幸せを夢見ながら、早朝から深夜まで身を粉にして働き、得たものが膨大な疲労とストレス。二松先生いわく、セックスレスの原因を聞かれ「最近は忙しいから」「睡眠不足で……」と答えたら黄色信号。これらはEDである事実を受け入れ難い、男の常套句に他ならないのだ。
プロフィール 二松まゆみ
'91年に主婦ネットワークの母体を作り、様々なイベントや活動を展開。主婦モニターをマーケティング、商品開発に活用する会社を興すなどし、'03年から「恋人・夫婦仲相談所」の運営を開始。以降、夫婦コメンテーターとしてセックスレスやEDなどについての研究を重ねつつ執筆、講演などを行なっている。「もっと、夫婦は恋できる」「ラストラブ」「彼には内緒私たちのセックス白書」「抱かない男の見分け方」など、著書多数。2008年1月夫婦仲改善DVD全3巻セット「となりの寝室事情」発売。HP「となりの寝室事情 うちの寝室事情」
若い夫婦の場合だったら、バイアグラやシアリスなど薬品を試してみればいいと思いますよ。バイアグラっていうと、なんか浮気とか風俗とか、そういうやましいイメージが先行しがちですけど、あくまで愛する奥さんのためのものですからね(笑)。あとあれは、心配をなくす効能もあります。つまり、そこで一時的に自信がつけば、次からバイアグラを使わなくてもいい方もたくさんいらっしゃるそうです。だから、自信を回復させるという意味合いで処方されている先生もいるようですね。
特に若年性EDの場合はそうなんです。さっきの自転車やミシンの話じゃないですが、ED治療薬はそこへ油を差すようなものでしょうか(笑)。バイアグラを試して、7年間のセックスレスにピリオドを打ち、二人で涙を流したという報告や、妊娠して最高にハッピーという報告も多数寄せられています。
第3のED治療薬として話題になっている『シアリス』には、私も注目しています。速効で勝負するバイアグラに対し、こちらは効用が36時間継続するんです。泌尿器科の先生方も実際飲んで試されたそうですよ。シアリスは、風俗や浮気相手というよりは、奥様とセックスを復活させたいと願う夫たちには、気負わずリラックスして取り組める、いいお薬だと思います。だって金曜日飲めば、日曜日までもちますから。
夫婦でゆっくりじっく取り組みたいっていうときには、シアリスが向いていると思います。でも、偽造薬には注意してください。ネットで輸入したりすると、安いけれど身体に害のある偽造バイアグラや偽造シアリスを送られてくる可能性がとっても大きいです。絶対、病院で処方してもらってくださいね。お医者さんは、ちゃんとあなたに合うED治療薬を処方してくださいます。
ちなみに女性用のバイアグラ的なものっていうのは、今のところないですね。アメリカかかどこかで試された先生もいましたけど、結局、血管が拡張するだけで、それで性器にも血が巡るので火照ってきて、感度がよくなるっていうレベルのことだけみたいです。それより濡れない女性の場合はジェルですよね。最近のジェルはもう、本当にすばらしいです。愛液と同じようにリアルに糸をひきますから。
でもジェルやピンクローターとか、いわゆる“アダルトグッズ”と呼ばれるものは、セックスをより楽しくするのに最適なツールであるにも関わらず、まだまだイメージが悪いところがあります。個人的にはアダルトグッズのメーカーさんと、ED治療薬の製薬会社さん、コンドームメーカーさんが一致団結すればEDやセックスレス、女性性機能障害、性感染症を防ぐ、すごく素敵な商品ができると思うんですけど……。薬事法などの問題があるみたいで、現実的にはかなり厳しいみたいです。
一時期人口が激減していたフランスは、だいぶ回復してきたという話ですが、あそこは国からの補助がしっかりしているんです。だって「骨盤底リハビリ」にまで、補助が出るんですから。産後、膣周りの筋肉が伸びたり、尿失禁や性器脱という症状を修復するリハビリを国家の政策としたと言うのですから驚きです。日本ではまったく考えられないことですが、このくらいセックスに対する意識が高ければ、また色々と変わってくるんでしょうね。