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新しい性のカタチ

日本は世界一のセックス貧国 二松まゆみ

ED(ErectileDysfunction:勃起不全)。いわゆる勃たないという病。日本男性の間で急速に広まり、早い人だと20代後半から患っているという。明日の幸せを夢見ながら、早朝から深夜まで身を粉にして働き、得たものが膨大な疲労とストレス。二松先生いわく、セックスレスの原因を聞かれ「最近は忙しいから」「睡眠不足で……」と答えたら黄色信号。これらはEDである事実を受け入れ難い、男の常套句に他ならないのだ。

日本は世界一のセックス貧国

プロフィール 二松まゆみ

'91年に主婦ネットワークの母体を作り、様々なイベントや活動を展開。主婦モニターをマーケティング、商品開発に活用する会社を興すなどし、'03年から「恋人・夫婦仲相談所」の運営を開始。以降、夫婦コメンテーターとしてセックスレスやEDなどについての研究を重ねつつ執筆、講演などを行なっている。「もっと、夫婦は恋できる」「ラストラブ」「彼には内緒私たちのセックス白書」「抱かない男の見分け方」など、著書多数。2008年1月夫婦仲改善DVD全3巻セット「となりの寝室事情」発売。HP「となりの寝室事情 うちの寝室事情」

第4章 そろそろ性についてまじめに語ろう

さっきの、マスターベーションのやり方からちゃんと教えるっていう話じゃないですけど、今の若い人に対しては、性教育の方法もしっかりと変えていかなきゃいけないですよね。性に対するモラルの低下が著しいですから。ゴムを付けないでやる人が増えてるわけだから、デキ婚も同じくらい増えちゃってるわけです。「なんでナマでしちゃったの?」って訊くと、「ナマでやらせないと彼氏を他の女にとられるから」とか、本当に理解に苦しむ理由なんですよね。そんな彼ならこっちからサヨウナラっていう感覚がないんです。女性の方が自分に自信がない。

やってる最中は気持ちよくて「愛してる」「結婚しよう」とかいくらでも言えて、その快楽に流されて子供を生むっていうのは、あまりに計画性が無さ過ぎです。それで亭主も19歳とかですから、収入がほとんどない。じきに生活が行き詰まります。そして生活が荒んでくれば、子供に対する虐待、それに犯罪にもつながる可能性があります。「ダンナがパチスロばっか行って、帰ってこなくてイライラしたから子どもに蹴りを入れた」というような告白も少なくありません。

あと若い人の間では、性感染症の蔓延もひどいんです。特に最近は20代女性の不妊症が増えています。例えば風俗で働く女性って、口内に病気を持っている人が結構いるってご存じですか? 男性は「フェラだから大丈夫だろう」っていう考えがありますが、その後に奥さんとセックスして、その菌が奥さんに感染しちゃうっていうケースがあるんです。それがまた子宮頸癌や不妊症の原因とかにもなるんですよね。不妊症って女性のせいになりがちですが、そうやって感染することが多いんです。男性陣には大声で伝えたいです。「お口も、喉も、あぶないのよ」って。

性感染症を防ぐという意味でも、もうペニスから白い膿が垂れまくっているとか、ペニスが4倍に赤く腫れ上がってるような、グロテスクでインパクトの強い写真やスライドを使って、「コンドームを付けてセックスをしないと、ものすごく怖いんだよ~!」っていうことを中学生くらいから叩き込まないとだめでしょうね。

下世話なエロ話って感じではなくて、テレビや新聞、雑誌などの各メディアも、まじめに性について考える記事が増えてますよね。あとひと昔前までは「セックスレスってクールでいいじゃん!」みたいな風潮でしたけど、今は「夫婦(カップル)で仲良くしよう」みたいな流れに変わってきている気がします。その反面、セックスというものに対して封印する風潮っていうのは、やっぱりまだまだあるんですよね。臭いものに蓋をするならまだわかりますが、これは臭いどころか、重要な事柄なんですけどね。

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