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新しい性のカタチ

セックスレスの深い闇 池下育子

直筆短冊

セックスレス――これは夫婦がお互いにしっかりと向き合い、改善策を講じないと熟年離婚になりかねない重大な問題である。そのためには、夫婦のお互いの普段からの心がけが大事であると、池下育子先生は語る。だが最近のセックスレス事情は、それだけでは解決できないほど複雑なのだという。高齢出産や更年期事情などをふまえ、現代の夫婦が、そして女性が抱える問題について伺った。

セックスレスの深い闇

プロフィール 池下育子

'92年に池下レディースクリニック銀座を開業。会社や人間関係などのストレスで悩む女性たちの相談に本音でアドバイス。女性の心身のトラブル全般について積極的に取り組んでいる。詳細はhttp://ikeshitaikuko.com/まで。

第4章 ジャガー横田さんが変えた出産意識

一方で、不妊症の人たちはすごく必死ですよね。特に、ジャガー横田さんが45歳で出産したときから、40歳過ぎてからの妊娠や出産、セックスに関する相談がとても増えましたね。出産問題が現実味を帯びてくるのが、だいたい30代半ば過ぎからですね。昔と今では出産に対する意識感覚が15年くらいズレているんです。だから昔の20歳の感覚が、今の35歳くらいですかね。最近結婚を発表した、女優の川島なお美さんがテレビで「47歳で赤ちゃんを作る」とおっしゃっていましたが、あの感覚が受け入れられるというのが、今の世の中なんですね。もし彼女が妊娠したら、世の女性の××歳までは出産できるっていう意識レベルが、また上がるでしょうね。それ考えると、ちょっと怖くなりますね(笑)。

日本人で自然妊娠の最高年齢が、現在のところ47~8歳。ただ52~8歳という例もあるんですが、これはアメリカで体外受精を浮けて、他の人の卵子を使って成功したというものです。今でもはっきりと憶えているんですが、15年前に私がここを開業したとき、当時は内膜症とかで、子宮を全摘の適応年齢が43歳以降が一般的でしたが、今は43歳以降でも不妊治療をされてる方はいっぱいいます。

初潮が始まる年齢はどんどん早まってますけど、閉経年齢は今も昔も一緒ですから、昔と比べて高齢出産がしやすくなったっていうことはないと思います。逆にダイエットや食事の問題で、卵巣機能が低下している女性が非常に多いので、みなさんおしなべて30代半ばでかなり卵巣機能が悪いです。ただ、ホルモン治療や排卵誘発剤などで治療を行なっていけば、授かる人はいると思います。とにかく高齢であればあるほど流産率も高まりますので、適齢期内での妊娠&出産が望ましいですね。ただ女性の選択肢が広がってしまった今は、出産自体がどんどん先延ばしになっているんでしょうね。

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