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オトナのお仕事

潜入せよ! コンドーム工場

第1章 潜入せよ! コンドーム工場

ガタンガタンと大きな音をたてて動く巨大なコンベアが設置されたこの工場内では、コンドームの洗浄や成型を行う。まず1周目のラインでは洗浄工程に進み、それが済むと今度はラテックスに浸漬される。2周目のラインの型が白くなっているのはそのせいなのだ。この型が1ラインで約2,000本あり、月~金曜までひっきりなしに稼動する。また成型したものには水分が含まれており、それを乾燥させるためにガラスで仕切られた室内にはヒーターが入っている。「室内の臭いと温度を体験して、まともに帰ってきた人はいない」と冗談混じりに語る工場長を尻目に、カメラマンは勇敢にも室内に潜入。だが即脱出。

「そのままでは型にくっついて離れないので、アンモニアを投入するんです。そうするとゴムが膨張して型から離れやすくなるんです」と、工場長はカメラマンを見つつ笑いながら語る。また一連の行程を見るにつけ、ゴムと並ぶ大事な資源の存在にも気づかされた。「水は一日に1,000トンは使いますね。電気試験をクリアするのに、きれいな水でないとできないんです。諸外国で良質なコンドームができない理由の一つが、水がよくないから。水に恵まれないと薄いコンドームは作れないんです」

もちろん原料であるラテックスも重要。こちらは輸入品ならではの特別な問題を孕んでいた。「主にマレーシア・タイから仕入れますが、ロットによって品質にバラつきがあったり。あとタイなどは現地の政治不安や気候の変化が多くて、つねにリスクがつきまとうんです」こういったリスクは取り引き先を分散させて安定供給することで回避している。

さらに海外取引きで避けては通れないのが為替問題。工場長が再び、ため息混じりに語る。「今は原料を中国でもかき集めていますから、正直きついですね。去年あたりからさらに値上がりして」この辺はコスト削減という形で対応しているというが、問題はそう簡単に解決されない。「大変です(笑)。商品価格も上げてもらわないと困るんですが。野菜なら不作っていう理由で仕方ないって思えますけどね」

潜入せよ! コンドーム工場01
潜入せよ! コンドーム工場02