一覧に戻る

オトナのお仕事

そしてコンドームはファッションになった

第3章 そしてコンドームはファッションになった

前述した伝説のヒット商品“リンクル”シリーズと並び、売れに売れまくった商品がある。それは平成4年に発売された“MICHIKO LONDON”だ。自社のアイデア&研究開発から生まれた“リンクル”とは対照的に、これは他からの要望で実現したヒット作。ファッションブランドとの共同製作というのは、もちろん当時業界初。それだけに反響はすごかった。「ある商社から持ちかけられたことから始まったんです。なにせ初の試みで戸惑いもありましたが、発売直後の凄まじい売れっぷりを目の当たりにしたら、そんなことも言ってられなくなりました。出荷直後に連日、補充注文の催促で(笑)」

このとき“MICHIKO LONDON”用に、中身の元型からパッケージデザインまですべてオリジナルで展開。いわゆる特別仕様であったわけだが、そんな工夫とは裏腹に、ヒットの要因は他にあったようだ。「『“MICIKO LONDON”のコンドームってどんなだろう』って、興味本位で買ってくれたこと、パッケージがオシャレで買いやすかったってことですね。あとは“MICHIKO LONDON”のブランド力です。若い人ってブランド好きでしょう」確かにこの“MICHIKO LONDON”のヒットを機に、コンドームが若者の間ではポピュラーなものとして浸透。オシャレなコンドーム専門ショップができ始め、手に取りやすくなったのも、ちょうどこの頃だ。

さらに低タンパク質コンドームもまた、リンクルと同様、自社開発から生まれてヒットしている商品の一つ。「タンパク質が多く含まれているとゴムの臭いがきついんです。実際、ユーザーからの声でも『ゴム臭がきつい』っていうのが多くあったんです。そこでこれを除去しようと長年かけて研究し、コンドームメーカーで初めて製品を出したんです。もちろん現在も発売してます」

反面、時代を彩る大ヒットの裏には、星の数ほどの失敗作もあることもまた事実。その代表が“コインコンドーム”。工場長は苦笑混じりに語ってくれた。「売れませんでした。映画『プリティ・ウーマン』にも衣装のイヤリングとして使われたり、アメリカでは大ヒットしたんですけどね。アメリカにあったウチの会社が作ったんですが、向こうではドライコンドームといって、ゼリーを含まない乾燥したものを好む人もいるんです。そこで日本でも売れると思ったんですが、ダメだったんですよねえ(笑)」

そしてコンドームはファッションになった01
そしてコンドームはファッションになった02