現在も、有料登録会員は毎月3~4割ペースで増えているという、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのDMM。だが、そんなイケイケな企業にだって将来への不安はつきものだ。その原因は今の20代前半の若者、いわゆる“携帯世代”のアダルトライフにある。さすがのDMMも、これには頭を悩ませている様子。
「ウチのユーザーは、20代後半から50代手前くらいが多いんです。20代前半のいわゆる携帯世代は、無料のサイトを少し見る程度で、あまり本格的な利用に踏み込んでくれません。そもそもその世代って、AV自体を観ないっていいますし……そういう意味でも将来的に不安は持っています」
しかしそこはDMM、この状況をただ静観するわけでなく携帯世代に向けた新プランはもちろん、コンテンツの増加やサービスの向上など、さまざまな方法を駆使し、常に打開策を講じている。最近ではi-Podで見られる動画の配信も始めた。「i-Podへの配信もおかげさまでペース的には伸びています。ただ小さなマーケットなので、現状ではそれほど大きな力を注いでいるわけではありません。将来的に成長してくれればと思いますが……」
とにかく見きれないほど膨大なコンテンツの量で勝負している。今後、DMM.ADULTにぜひ加わって欲しいメーカーは、ソフト・オン・デマンド、コアマガジンなど。一応「それとフランス書院さんも」と言っていただきました…。
このように将来に対する不安は抱きつつも、明確なビジョンと対策を持っているDMM。さらにインターネットやPC市場全体が、今後どうなっていくと思うか尋ねた。すると実に興味深い答えが返ってきた。
「アダルトビデオはなくならないし、動画配信も残ると思いますが、それをダウンロードする機器は、パソコンではないような気がしますね。例えばお茶の間のテレビ画面に映像がダウンロードされていくというか……つまり家電化製品へコンテンツが入っていくということです。インターネット自体も残るとは思いますが、PC台数の伸び、というのはそんなにないような気がします。いずれインターネット=パソコンのような固定観念はなくなってくるんじゃないでしょうか」
淡々と語るTさんだが、そうなると今後のDMMのビジョンは一体どうなってしまうのだろうか。「とはいえ、PCの普及台数はまだ臨界点には達しているとは思わないし、可能性は充分にあると思っています。我々としても、まだまだ頑張る余地はあります。それとWebの動きは早いので、色々なサイトを見て、良いところは貪欲に取り入れようと思っています。とにかく、いつどんなニーズに対しても応えられるようにすると同時に、常にコンテンツを増やし続ける努力は怠らないつもりです。これだけは今後も変わりません」
(文:オオサワ系) Web版、終わり