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オトナのお仕事

高い? 安い? 完成品は1体30万円

第2章 高い? 安い? 完成品は1体30万円

最初は熟女シリーズで、5種類7パターンを作りました。でまあ、ただの裸じゃおもしろくないなあって考えていたら、葛飾北斎の『喜能会之故真通』という春画シリーズに『蛸と海女』っていうのがあったので、それを現代風にアレンジして作ったんです。去年のアダルトトレジャーエキスポが終わってから始めて、完成まで7ヶ月かかったかな。それをイベントのときに出品したら、あっという間に売り切れてね。おかげさまで、そこからはそこそこ売れ始めましたね。

ベースには石粉粘土を用い、カッターなどを使って彫刻します。簡単に説明すると、まず粘土で原型を作ってシリコンで型どり。そして今度は型どりしたものの原型を抜いて樹脂を注入し、パカパカと取っていくわけです。プラモデルを想像してもらえるとわかりやすいかもしれませんね。だから一個の原型から30~40個くらいまではできます。モデルのイメージは自分の中の想像です。ただ、裸自体はデッサンをしないといけないので、それはヌードデッサンのモデルの写真があるので、それを使っています。

ちなみに、これ(『昭和喜能会之故真通 海女夢想』)を完成品で欲しいって言われたら1体30万円で売ってます。私は原型師ですから、普段は組み立てや塗装はしないんです。ファンの方からたまに手紙をもらったりすることがあって、「どうしてもあなたに作ってもらいたい」と。製作代行屋っていうのもあるんですが、そういう人よりも原型師である私にすべて手掛けて欲しいっていうね。もちろん、原型師だからといって、決して塗装が上手いわけじゃない。むしろ、たまにしかやらないから下手だと思う。でもやっぱりベースは原型師のイメージで作っているから、技術的な部分ではプロの塗装屋に劣るかもしれないけど、イメージの部分においては、技術じゃフォローできないアジがあるっていうのかな。とにかく産みの親である原型師が全工程を手掛けた方が好きっていうファンもいるんですよね。

原型は今までで、全8体かな。粘土から製品になるまで、だいたい3ヶ月くらいはかかるんです。『昭和喜能会之故真通 海女夢想』に至っては7ヶ月。だから決してバカ儲けできる商売じゃないんですよ(笑)。お客さんの年齢層は、だいたい40~50代の男性が多いですね。過去には70代の方もいました。

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