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羅刹鬼1 美女と野獣のプリズンブレイク(上) 5

第五章 ブッチャーの凶暴性


 バックの体位は控えている。
 なぜなら、女の子の膝がすりむけて大変なことになるからだ。
 この牢獄には何もない。ベッドもないし、布一枚さえないんだ。
 そんなむき出しの硬い床で四つん這いにさせて、ブッチャーが激しく揺さぶれば、あっという間に皮が剥けるし、肉もそげる。骨だって削れ始める。
 僕は女の子に気持ちよくなってほしいのであって、苦痛を与えたいわけじゃないんだ。
 だからバックは控えている。
 でも、たまには。白いたっぷりとした尻肉を堪能したくなってしまうのだ。
 立ちバックも悪くはないけれど、立ってると尻肉が硬くなってしまうのが泣き所。
 雄を誘惑する正しい体位はやっぱり四つん這い。
 そこで苦肉の策として開発したのがこれ。
 女を四つん這いにさせ、脛ごと抱えて持ち上げながら浅く腰を送る。こうすることで膝に負担をかけずに、後ろから責め立てることが可能になった。
「あ゛っ! うぅあ゛ッ! あ゛ぅ! あ゛っ……んあ゛! うんッ! あ゛っ! あああああ゛あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ――――ぐッッ――――ッ!!」
 女が激しく絶頂を迎えて尻をビクつかせた。
 全身をピンと伸ばして僕の射精を待っていた彼女は、やがてプルプルと肩を震わせると、力尽きて床にペタリ。突っ伏してしまった。
 この体位は、腕立て姿勢で頑張ってもらわないといけないから大変だと思う。こういう正式なトレーニング体勢があるほどだ。そういう意味だと、僕のところに送られてくる女はみんな元兵士だから、かろうじて遊べるプレイだった。普通の女では一分ともたない。
 なんなら、今みたいに手を下ろしてくれててもいい。僕が斜め上から突くようになるだけだ。
 たった今、僕が後ろから犯しているのは、茶色い短めの髪をソバージュにした女。
 実はこの子、すでに一度お別れを済ませたはずの子だ。どうしてまた戻ってきてしまったのかは不明だけれど、この子は開通済みだから、後ろから思いっきり腰をぶつけて楽しむことができた。
 彼女は僕の最高傑作の一人なんだ。おかげで僕も久しぶりに好き勝手できている。
「う゛ぅぅぅぅう゛ゥ゛ゥ゛……う゛ん゛あ゛あ゛あ゛ッ! ……う゛ゥ゛ゥ゛……んう゛ううぅ……う゛ぅゥゥ……」
 僕がブッチャーランスを奥深くまで突き立てると、顔面を硬い床に押しつけたソバージュの子は口の端から涎をこぼし、獣じみたうなり声を上げた。昨晩から凌辱しているけど、まともな反応は一度も返ってこない。彼女はすでに壊れていた。
 そんな精神とは裏腹に、彼女の充血した陰唇はだらだらと涎を垂らして、僕の赤黒いペニスにむしゃぶりついてくる。こういうところが、女という生き物の素直で可愛いところだ。特に、この子はタフな上に元から経験豊富だったみたいで、あらゆる僕の求めに応えてくれた。
 僕が太い肉棒を突き込む時には膣圧を弱めて迎え入れ、首を反らせて甲高く喘ぐ。逆に引き抜く時には力を込めて名残惜しく吸引。僕のカリ高な亀頭が彼女の膣を行ったり来たりするたびに、膣肉を使った野生の愛撫を返してくれた。奥深くで射精させようと誘い込むワイルドなセックスだった。
 彼女は僕にあてがわれた当初、とても元気な子だった。
 僕は元気な子の方が好きだ。なぜなら、いろいろとお話をしてくれるから。大人しい子だと震えたまま、じっと口を閉ざしてしまって情報が入ってこない。
 その点、ソバージュの子は罵倒まじりにたくさん話をしてくれたので、すごく嬉しかったのを覚えている。激しい凌辱劇の最後には、ぐったりとなって連れていかれるのは他のみんなと同じだけど、この子は次にやって来たときに、また元気に話しかけてくれたのが違っていた。
 僕をなじったり、攻撃的な物言いで始まって、最後はもっともっとって大声で泣き叫ぶのが彼女のお決まりのパターンだった。
 ああやって――ぶっ殺す――とか――食いちぎってやる――とか――銃さえあればお前なんか――とか――感じたくない――とか――もうイキたくない――とか――許して――とか――気持ちいい――とか――死んじゃう、トンじゃう、イクイク、助けて、壊れちゃう――とか。何でもいいから人間の言葉で語りかけてくれると、僕の理性がわずかばかりシャキッとするんだ。
 だから、この子を壊す日はちょっとナイーブな気分になった。彼女は最後に涙をこぼして一人の名前しか言わなくなってたけど……なんて言ったっけ。たしか、ロイ……? ジェイ……? だったかな。危ない危ない。忘れかけていた。まぁとにかく、誰かの名前を連呼してずっと謝ってた。なんで謝ってたんだろ?
 ――この子、もう壊れてるし、膝がすりむけちゃってもいいかなぁ……?
 やっぱり、この足ごと持ち上げる体位は普通のバック体勢とは違って、僕も気をつかうし、女の子も疲れてしまってセックスに集中できない。なにより腰を掴んだり、尻を揉んだりと、その柔らかい肉を弄べないのが大減点だった。
 ――せめて布があれば……。
 そんなことをぼんやり考えつつ、何度目かの射精の快感に身を任せて、ソバージュの子の子宮壁をザーメンでぶっ叩いていた、その時。
 僕の背後でガシャンと音がした。
 何事かと首だけで振り返ってみれば、僕のいる牢の内側に一人の女の子がいて、その子が格子を握りしめて大声でわめき散らしているところだった。
 格子を挟んで外側には男が二人。ただ、へらへらと薄笑いを浮かべて立っている。
 状況から見て、牢に放り込まれた新しい女だろうけど、僕は今、ソバージュの子に種付けしている真っ最中だ。同時に二人の女をあてがわれたのは初めてだぞ。はてな?
 動きを止めて凝視するブッチャーの視線に、恐る恐るこちらに顔を向けて小さな悲鳴を上げた女の子。眉をへの字に曲げて、その顔は恐怖で青ざめている。
 兵士にしては若い。服装も、普通の服に見える。
 僕のところに連れられてくる女の捕虜は、全員が元人間の女性兵だったこともあり、それらしい服装をしていた。彼女たちの年齢は戦うのに適齢期であって、若すぎず、衰えておらず。そういった塩梅なのに、あの子は明らかに若い。
 興味を引かれた僕は、ソバージュの子を貫いたまま立ち上がった。
 後ろから両脚ごと抱え上げる格好で、背面駅弁というやつだ。僕の逸物は馬なみだから、この体位でも充分に深く差し込めた。結果、ソバージュの子の自重でずっぷり深くいったけれど、この子は大丈夫。もう何をしたって甘い声で啼いてくれる。
 下から内臓を串刺しにされ、大声を上げて身もだえるソバージュの子を抱っこして、新しく入ってきた女の子に近づいていく。
 その子は不思議な格好をしていた。栗毛のショートヘアにベレー帽を乗せ、くりっとした目が特徴的だ。小動物的な可愛らしさがある。
 ズンズンと床を揺らして近寄る僕に、彼女は精いっぱいに背中を壁に押しつけて震えた。牢の外にいる男たちに、ベレー帽の子を助けるそぶりはない。ということは、事故ではなく、やっぱり僕に託された女だと見ていいだろう。
 僕はベレー帽の子の前に立って、ゆさゆさと揺すってみせた。
「――っぐ……!? う、う゛ぁああ゛ッ! あ゛ッ! い゛ぎぃッ! あ゛ッ! あ゛ッ! い゛ッ! い゛っっっっぐぅッ! あい゛ぐッ! い゛ぎッ――」
 今までとはまた違った性感帯を削り上げられて、ソバージュの子が悲鳴まじりの啼き声を上げた。
 そうして大股でご開帳された、僕と彼女の結合部を、ベレー帽の子にもよく見えるようにしてあげる。女を上下にジュッポジュッポと動かせば、僕のグロテスクな肉棒が出し入れされる様子と、男女の混じり合った体液があふれ出す様子が同時に鑑賞できる。これから君もこうなるわけだから、心の準備をしておいた方がいいという老婆心だった。
 ベレー帽の子は口を開けっぱなしになって声を失い、その光景に見入っている。怖がっているのか、純粋に驚いているのかは判別できない。
「あ゛ぅッ! あ゛ぅッ! あ゛ぅッ! ――あ゛ん、ひッ!? ひっっっっぐッッッ! ひっ! ひっ! ひっ! ひぃぃぃ! あぅひっ! ひぃ――ッ!」
 声が鼻にかかり始めた。細かく息をつないで、またイキたがっているようだ。ソバージュの子は僕の腕の中で身体をくねらせ、いいポイントを自ら探して踊っている。
 この子、すごいでしょう?
 濡れ具合がいいし、感度も抜群なんだ。君もすぐに、こうしてあげるからね。
 僕は黝い舌をぞろりと伸ばし、開きっぱなしの口へと侵入させた。
 そのまま口の中を丹念にねぶった。ジュブジュブ、ジュブジュブ。卑猥な音を立ててソバージュの子のほほ肉が蠢き回る。細かい動きができないから、イラマチオするみたいに無理やり出し入れするだけなんだけど。それでも、口粘膜をぐりぐりと犯されて彼女は目尻を落としてくれた。
「む゛~~~~~♡!? む゛~~~~~♡!? ん゛む゛~~~~~~ん゛ん゛ん゛ッッ♡♡♡!!」
 そんな可愛がりを続けていると、すぐに膣襞がきゅんきゅんと痙攣をし始めた。直後に彼女はひときわ大きく背中を震わせ、膣口もキューッと。尻肉にもギュッと力が入って僕の息子を根元から締め上げた。
 しばらくそうやって絶頂痙攣に苦しんでから、彼女は最後にくたりと脱力した。
 壁の鏡で確認すると、ソバージュの子は眼球をひっくり返し、恍惚に浸った顔で涙を流していた。やっぱりこの子は素晴らしい。こうなってもまだ、膣は別の生き物のようにジュルジュルと僕の肉棒をしゃぶってくる。
 ――あ。
 彼女の助演に集中しすぎていて、僕自身が射精するのを忘れてた。
 まぁでも、ここまでしっかりプレゼンテーションできたのだから、理解してもらえたのではないだろうか。これから僕にされる行為は、君を悦ばせるためのものであって、苦しませるものではないということを。
 僕は言葉を発せないので、自分の意志はこうやって行動で示すほかない。これで、ブッチャー凌辱の舞台に初来場となるベレー帽の子が感じているであろう不安も、多少は払拭できたことだろう。ご苦労さま。
「おぐっッッッ!?」
 僕は一緒になって熱演してくれたソバージュの子に、深いストロークを一撃。その労をねぎらってやってから、静かに床に横たえた。
 ベレー帽の子に顔を向けた。
 彼女の顔は、びっしょりと白く濡れていた。
 ――あー、潮がかかったのかな。勢いで僕の精子もかかっちゃったね。もう何時間もつながったままだったから、濃厚なミックスジュースになっているんじゃないかな。あふれる苦み。それが大人の味だよ。
 僕は次に仁王立ちになって、滾り立つブッチャーランスをベレー帽の子に見せつけた。
 この太くて熱くて暴力的なペニスが、これから君を征服する僕の相棒だ。よろしく。という念を込めてビクつかせてみせる。
 するとそれを見た男たちが、声を上げて笑い出した。
 何がおかしいのかは分からないけど、僕が期待しているのはこの子の衣服だ。
 天の恵みだ。
 あれを丁寧に剥ぎ取って床に敷けば、久しぶりに正統派のバックができるはず。やったぜ。
 まずはその服を拝借して、ソバージュの子をもう一度、バックで楽しんだら、次こそが君の番だ。そうだ、僕らの性行為を鑑賞して自分で慰めながら待ってるといい。あとが楽になる。この子、尻を叩くとドスケベに喘ぐから。君もきっと釣られて発情するよ。
 とりいそぎ、目的のベレー帽に向かって手を伸ばす。
 すると彼女は帽子を押さえ、目に涙を溜めて何かを叫び始めた。
「◎▽〒〓……&※◎★! ※&! ~~~~~~ッ!」
 何を言っているのか分からない、この感じ。
 そうか、この子はエイリアンなんだ。
 見た目が完全に人間の女の子だから気がつかなかった。
 ……いや、よく見ると尻尾あるじゃん。ふっさふさなものだから、服の一部かと思ったよ。いや、それにしても。なにそれ。ふっさふさだよ、ふっさふさ。
 さらにじっくり観察すると、濡れた瞳が縦に楕円形であることに気づかされる。きっと本来は縦割れの瞳孔なんだ。恐怖と興奮によって、まるで猫みたいに瞳孔が丸く開いていたんだね。尻尾まで膨らませちゃって。
 そんな彼女のどんぐり眼から、大粒の涙が落ち始めた。
 へぇー。エイリアンにしては大人しそうな子だ。珍しい。
 そうやって僕が感心している隙に、男の一人が格子の外から腕を伸ばしてベレー帽を奪い取ってしまう。
 すると下からぴょこんと現れたのは、綺麗な三角形の耳がふたつ。
 頭の上にピンと立った耳を両手で押さえ、女の子はへなへなとその場にへたり込んでしまった。
 猫耳……いや……狐耳?
 獣人系かな? 街でもたくさん見かけた。わりとメジャーなエイリアンだ。
 それはいいんだけど、ちょっと腹が立ったぞ。男がベレー帽を取ったから。これから使おうと思っていた貴重な布を……なにしてくれるんだ……おのれ……。
 状況を考える。
 僕の予想はこうだ。この狐っ子は、何らかの理由で罠にかけられた。実行犯が外の二人だ。狐っ子は僕にあてがわれたわけではなく、事故に見せかけて僕に凌辱させるために、ここに放り込まれた。
 虐めか何かかな? そんな雰囲気を感じる。
 ――いいように利用されるのも癪だな……。
 しばし逡巡。
 僕が出した答えは――。
 ビシュッと。カエルさながらに舌を伸ばし、男の手にあったベレー帽を奪い取った。
「!?」
 突然のことに、男たち二人は驚いて後じさり。
 一方、首尾よく布を奪い返した僕は、足元に倒れていたソバージュの子を脇に抱えてのしのし。狐っ子を放置する。
 鏡の前でベレー帽をバリィッと引き千切ってふたつにし、ソバージュの子の膝にそれぞれ敷いた。
 布さえあれば、狐っ子に用はない。
 そんなことよりもバックだ。念願のわんわんスタイルだ。彼女をわんわん、わんわん鳴かせるんだ!
 ズプリ。
 期待で膨れた赤黒い獣根が、ソバージュの子の、たぷっとした尻肉の割れ目に消えていく。
「――んぁああああぁ、ぁ、ぁ…………っ゛ああああああッッッ♡♡♡!?」
 やっぱり四つん這いだと力みが取れていい。挿入の感覚も違って気分転換になる。
 うんうん。これはちょうどいいぞ。ベレー帽がフェルト素材だから、ほどよいクッション性を発揮してくれている。彼女の膝は守られた。
「――ん゛あひぃッッ♡!? あ゛ッ♡ あ゛ッ♡ あ゛ッ♡ あ゛ッ♡♡!! あっ……ん゛ッッッ!! はひぃ……♡ ひぃぃぃ……♡ ひぃぃぃ……♡ ひぃぃぃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ……ッ!!」
 ソバージュの子も髪を振り乱して無心に僕自慢の息子を味わってくれている。生気が抜けていた声にも張りが戻った。後ろから挿入されて、乱暴にひと突きされただけで、小さなオーガズムを迎えたようだ。今も、突くたびに肉襞がしきりにビクビクと痙攣して、あふれ出す感動を伝えてくれていた。
 彼女、ずっとイキっぱなしじゃないか。重力に負けて垂れた乳肉を振り乱し、大小のオーガズムを乗り越えて、背骨を反らしてよがりっぱなし。ついには僕の動きに合わせて尻をグイッグイッと上に向けてくる。そんなにいいの? バックは滅多にできないもんね。それじゃあ、いってみようか。
 腰のくびれに手を回した。彼女の座骨を空間にピタリと固定し、ストロークを大きく、深くしてパンパンと尻肉を叩いてあげれば、彼女のエクスタシーは最高潮を迎えた。
「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛んッッ♡!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡!!」
 理性なんて一片も残されていない、発情した雌犬の啼き声。
 僕も夢中になって、念願の尻肉に貪りついた。
 突き込んで、ソバージュの子が啼いたら、密着させたまま中をグリグリとかき回す。すると彼女はお尻をキューっと閉めてくれるから、その緊張を揉みしだいてほぐし、柔らかくなった肉壺の中でしっかりと愛液を絡ませる。子宮に向かってあらゆる体液を吸い込まんとするバキュームに逆らい、ゆっくりと灼熱棒を引き抜いて、ピタリ。動きを止める。そのまま膣口の緊張が抜けるのを待って、勢いをつけてからまた尻肉をパァンと叩く。
 ソバージュの子の最奥を貫通し、僕のブッチャーランスが子宮壁に到達するたびに、彼女の引き締まった尻が、僕の下腹部に心地よい弾力を返してくれた。この密着感は素晴らしい。
「ひん……♡!?」
 ついでに黝い舌を伸ばして、彼女のアナルにグリグリとねじ込むのも忘れない。
 こうすることで、蜜壺の絡みがグッと良くなるんだ。
 実は彼女、後ろの穴も開発済みの貴重な女でもある。
 彼女が最高傑作たる所以のひとつだ。ソバージュの子はお尻が大好き。
 尻孔に挿入するのは、生殖行為とは関係ないから、バレると監視のエイリアンに止められてしまう。だからあんまりできないわけだけど、たまにはこうしてほぐしておかないと、次に使う時に辛いからね。
 そうだ。今日は久々に突っ込んでみようか。すごく欲しそうにヒクついてる。前の穴に太い棒をねじ込まれ、潰れたアナルがクチュクチュと音を立ててザーメンを咀嚼していた。このまま帰しちゃうのは残酷だね。よし、今日はアナルセックスしよう。
 そうと決めたらまた尻を叩く。あ゛あ゛と啼く。舌を差し込む。ひんと啼く。尻を叩く。啼く。グリグリ。啼く。叩く――。
 無限に繰り返せそうな魔性のルーチン。
 これぞケダモノのセックスって感じ。
 あとは一回射精してから、このルーチンに、後ろの穴に突っ込む、前の穴に突っ込む、のパターンを追加すれば完成だ。
 今日という日がソバージュの子で良かった。この子とバックの相性は抜群だ。僕の精子も盛り上がってきた。いまや突き込むたびに、陰唇の隙間からプシュプシュと愛液を吹き出すまでになった。このまま、中イキしっぱなしの蜜壺に吐き出したら、さぞや――
 痛ぇ!!
 僕が咄嗟に振り返ると、牢の外にいたはずの男が目に入った。
 僕の背中に向かって剣を振り下ろした姿勢で、わめき散らしている。

 瞬時に視界が真っ赤に染まり、僕の中でくすぶるブッチャーの凶暴性が爆発した。

 気がつくと、僕は攻撃してきた男の頭蓋を――殺す――噛み砕いて、中の桃色の白子を舌ですくい取って食べながら――甘くて美味しい――もう一人の男の首を――マズそう――ブッチャーの剛腕で締め上げて――ハラガヘッタ――壁に押しつけていた。
 歯茎むき出しの口を大きく開けて、吠えた。
 何度も、何度も。僕の奥深くで渦巻き続ける狂気を吐き出しながら。
 少しずつ落ち着いてくる。
 ――馬鹿だろ、こいつら……。
 看守だって僕を直接傷つけたりなんてしない。ムチで叩くか、スタンランスで刺激を与えるだけだ。わざわざ牢屋の中にまで入ってきて、剣で切りつけるとか……。
 エクストリーム自殺なら別のところでやってよ。大迷惑。これでまた独房送りだ。
 嬢がその後、どうなったか気になるから、それはそれでいいんだけど、長いこと牢獄を留守にすると、今度は先日の金髪の子が気になる。僕があまりに長期で仕事を休むと、彼女が別のブッチャーに渡る可能性があった。それはすごく嫌だ。一発で破壊されてしまう。彼女はまだ道半ば。彼女は僕が仕上げる。誰にも渡さない。
 ……僕は、
 仕事を、
 途中で、
 邪魔されるのが、
 ――大嫌いナンダ!
 ナンテコトシテクレル!

 コノウスラクソボケガッ!!

 ブッチャーの怒声が、牢獄を再び恐ろしげに鳴動させた。
 ペキリと小枝を折る音がした。
 僕が首を絞めていた男の眼球が、ギュルリとひっくり返った。手足が弛緩して、ぽたぽたと、彼のズボンの下から湯気を上げる液体が漏れてくる。
 静かに手を離すと、ベチャリ。男の身体は湿った音を立てて床に落ちた。
「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……」
 隣で腰を抜かしていた狐っ子が、尻をずって後ろに下がっていくのが視界に入った。引きつけでも起こしたのか、細かい息をつないで苦しそうだ。
 ――そうだ。この狐っ子に証言してもらえないかな。僕は剣で切りつけられて、正当防衛で殺したんだって。
 ……無理だ。
 分かってはいたけど、言葉なくしては土台無理な相談だった。
 それに、よしんば僕が話せたとしても、今の彼女の動転した様子ではその点、言い含められる気がしない。
 使えないなぁ、この子。
 ならせっかくだし、犯っちゃおうか。
 ソバージュの子が引き締まった地鶏だとすると、この狐っ子はぷりっぷりの若鶏といったところ。美味しそう。まずは腹ごしらえだ。
 食べかけだった頭の中身を勢いよく腹に収めた。
 口の端から、ボタボタと、いろいろな肉がこぼれ落ちてしまう。唇がないって、こんなにも不便。唇は大切にしようね。
 僕は頭部を失った身体を引きずり、狐っ子に歩み寄った。
 僕が一歩を踏み出すたびに、彼女は大粒の涙をこぼしてズリズリと後じさりした。瞳はまん丸。狐耳はぺたん。尻尾はぶわーっと逆立ってる。何か言いたげだけど、唇が震えるだけ。
 まぁ、何言われても僕、分かんないけどさ。
 それにしても柔らかそうな唇だ。でも、ちょっと小さい。
 正直あまり興味はない。どうせ僕の息子は入りきらないから。
 彼女の小さな口は見るからに入らないし、下の口をフル活用しても無理だろう。それこそ、殺す勢いでハメないと楽しめそうにない。
 ――アナルか? アナルなのか? 今日はアナルデー。毎日労働に従事する僕のために与えられたメーデー的な日。後ろの穴ならぜんぶ入るのかも?
 ――いやいや。
 ダメだダメだ。直腸へのダメージの方が致命的だ。あっという間に細菌感染して、やっぱり死んでしまう。これがあるからアナルセックスはハードルが高い。
 ああ、でもどうせ死ぬんだから、気兼ねなく遊んじゃえばいいのかな?
 落ち着け。
 ――落ち着け……。
 僕は今、攻撃されたこと、肉を食ったこと、そして射精を寸止めされたことの三重苦で、ブッチャーの凶暴性に呑まれかけている。
 この狐っ子も狐っ子で、すごく愛らしい怯え顔を見せてくれるのがいけない。お人形さんごっこでレイプしたい。
 僕は人間だ。
 正常な、精神の、持ち主だ。
 ここで狐っ子を犯し、殺し、食らってしまったら、また一歩、獣に近づいてしまう。そんな気がする。それでは駄目だ。ただでさえ思考回路がブッチャーの肉に引っ張られているというのに。
 深呼吸して、太い息を吐く。
 僕は人間なんだ。
 だから、人間らしく――。
 人間らしく――……。
 人間らしく狐っ子お人形さんレイプは諦めて、男どもの肉を食うことにした。
 肉を食べるのは好きだ。セックスと同じくらい強いエクスタシーを感じる。
 生きたまま食べるのが一番いいんだけど、今回は死体で我慢しよう。絞めたてだから、新鮮なのが救いだった。
 バリボリと音を立て、男どもを骨ごと咀嚼して胃に送り込んでいく。
 肉の重みと、骨の硬さを血で胃袋へと流し込むたびに、その底から、ぐらぐらと煮えたぎる水面がせり上がってくるのを感じる。

 それはオーガズムとは違う、別種の叫喚であり、火山めいて熱く、使命感に輝いていて、目を背けたくなるほどまぶしく、希望に満ちた、僕が帰属するべき、そら恐ろしい何か――。

 二人の男を平らげるのに、さほど時間は必要なかった。
 振り返ってみると、狐っ子は失禁。白目を剥いて床に転がっていた。
 床に残された血痕。主を失った遺留品。鏡の前には白濁液まみれのソバージュの子が倒れていて、隣にはひっくり返ったおもらし狐っ子。そして血腥いブッチャー。
 しんと凍りついたバイオレンスの中、さて、これからどうするべきかと自問する。
 とはいえ、覆水盆に返らず。狐っ子の小水、源に返らず。食べてしまったものは戻ってこない。僕にできることは少ない。
 ――不意に、キラリと光るものが目に入った。
 この薄暗く味気ない牢獄には似つかわしくない輝きに、自然と意識が奪われる。
 僕は足元に落ちていたそれを拾い上げた。前から気になっていたものだ。使いどころが分からないけど、でも、これはいつか役に立つ気がする。どこかに隠しておこう。
 そういえば射精寸前で邪魔されていたことを思い出した僕は、とりあえず引き続きソバージュの子に覆いかぶさることにした。
 男の遺留品からのぞいていた、小さなメダルを握りしめながら。


【ブッチャーナイフ】
 ブッチャーが振り回す巨大な肉切り包丁。
 ピックアップトラックを一刀両断にできるほど大きく、そして重い。長すぎるため、持って歩くと刃先をゴリゴリと引きずる。
 もともと名前もないような、ただの鉄塊なのだが、ジェヴォーダンがそう勝手に呼んでいる。主人公はいろいろなものに勝手に名前をつけるのが好きである。
 実は、ジェヴォーダンのブッチャーナイフは持ち手に皮が巻いてあったりと工夫されていて、時間をかけて人の生き血と脂で育ててある。中華鍋の感覚で愛着を持っているため、担当のエイリアンが間違ったナイフを持ってくるとすごく怒る。別のブッチャーに貸してしまったら最後、事故に見せかけて殺される。

 

(つづきは電子書籍本編でお楽しみください)

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