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【特別秘蔵版】禁母 3

第三章  今日だけは僕の「ママ」 三十六歳のレッスン

 


 晴天の週末とあって遊園地はにぎわっていた。男女のカップルや年若い少年少女のグループ、家族連れが笑顔で園内を歩きまわっていた。
「どう、楽しい?」
 松岡千佳は向かいの席に座る吉沢洋介に問いかけた。
 朝から洋介とふたりでいくつかのアトラクションを楽しみ、今は園内レストランのテラス席で休憩中だった。アイスティーを飲んでいた洋介は、ストローから口を離してうなずいた。
「はい。久しぶりに来るとやっぱり楽しいですね」
「ほんとう? こんなおばさんが相手だから、いやいやデートしてくれているんじゃないの?」
「そ、そんなことないですよ」
 洋介は慌てたように否定した。
 最近スポーツクラブで会っていても、洋介の態度はおかしかった。いつも難しい顔つきで、話し掛けても上の空のことが多い。学校の成績や友人関係の悩みかと思ったが、どうにも深刻そうで千佳としても心配だった。
「おばさんこそ、僕なんかが相手で良かったんですか?」
「いいのよ。こういう施設の主要なターゲットは洋介くんくらいの年頃の子だもの。洋介くんの反応が、とっても役に立つのよ。集客力の高いところは、研究のために定期的に偵察しないとね」
 千佳の経営する会社では、商業施設の企画や設計にも携わっている。会社の仕事の手伝いとそれらしい嘘をつき、洋介の気分転換になればと半ば強引に誘っての遊園地デートだった。
「そうですか。遊んでばっかりなのに、悪いなあ」
 洋介の苦笑のなかに、一瞬申し訳なさそうな表情がつくられるのを千佳は見逃さなかった。
(洋介くん、わたしが無理やり口実をつくって連れてきたことに勘づいているわね)
 昔から他人の心には敏感な子だった。洋介は千佳の考えを見通した上で、デートの約束に同意したのだろう。千佳は胸のなかでため息をつく。
(気を使ったつもりが、かえって負担を掛けることになっちゃったわね。……せっかく仕事っぽく見せるために、スーツまで着てきたのに。それだったらわたしも楽なかっこうをしてくればよかったわ)
 シャツにジーンズという洋介の服装を、千佳は少しうらやましく眺める。
 女社長っぽさを心がけ、今日の装いは色鮮やかなサーモンピンクのスーツで、スカートは膝上丈のタイトミニだった。黒のストッキングを穿き、足元はハイヒールで決めている。ラフな洋介の軽装とは対照的だった。
(それにしても洋介くん、いい男になったわねえ)
 さらさらの髪に整った目鼻立ちの洋介は、年頃の女の子たちの目を惹きつける。先ほどから隣りのテーブルに座る女子校生らしきグループが、こちらの席をちらちらと覗き見ていた。自分の息子が人気者になったようなうれしさを感じて、千佳は頬をゆるめた。洋介が千佳の笑顔に気づく。千佳の眼差しと正面から視線がぶつかり合うと、洋介は少女のように頬を染めてすぐにパッとうつむいた。
(ああん、こういうところがかわいいのよね)
 いつまでも初々しく、どこかまぶしそうに自分の方を見てくれる。洋介の涼やかな瞳の奥には、好意の気持ちが隠されていることが丸わかりだった。友人の母でもある三十六歳の女に変わらず魅力を感じてくれていると思うと、千佳はくすぐったいような悦びに包まれる。
「ねえ洋介くん、近頃落ち込んでいるみたいだけれど、何かあったのかしら?」
 千佳は核心に恐るおそるふれてみる。千佳が切り出した途端、洋介の顔色がさっと変わった。
(やっぱりなにかあったのね。洋介くんが勉強の悩みとは考えにくいし、かといって友だちと大げんかする性格とも思えないし……)
 思いを巡らせた千佳の頭に、ふっと洋介の義母、吉沢志穂の顔が浮かんだ。近所なので挨拶を交わして立ち話をする機会がよくあった。その志穂も、最近浮かぬ表情のことが多かった。
(まさか若いママとなにかトラブルがあったのかしら?……)
「もし悩み事があるなら、誰かに相談した方が気持ちも楽になると思うのだけど。おばさん相手じゃだめかしら」
「あの、だめってことじゃなくて……」
 洋介が狼狽えた感じに言葉を返した。だがそれ以上の説明はなく、洋介はじっとテーブルの上のアイスティーのグラスを見つめる。
(これ以上、詮索しない方がよさそうね)
 言いたくないことを無理に聞き出しても良い結果は得られないだろう。千佳はにこっと笑みを浮かべて話題を変える合図を送り、洋介に顔を近づけた。
「今日は水着姿じゃなくてごめんなさいね」
 内緒話をするようにささやいた。洋介が面を上げ、戸惑いの目で千佳を見た。
「え? 水着……」
「そうよう。さっきから洋介くん、下を向いてばかりなんですもの。スポーツクラブのときみたいに水着姿じゃないと、おばさんの方を向いてくれないのかと思って」
 洋介が赤面する。洋介が自分の水着姿に欲情し、プールの水のなかで時折勃起していることに、千佳も当然気づいていた。
「洋介くんはスーツはきらいなのかしら? こう見えてもわたしのタイトミニから覗く脚線美、取引先の社長さん連中には大人気なんだけどな」
「あの、からかわないでください」
 睫毛を繊細にふるわせて、困ったようにつぶやくと洋介は横を向いた。
「あっ――」
 突然、洋介が驚きの声をもらした。椅子の音をガタンと鳴らして立ちあがる。千佳は怪訝な目を向けた。一点を見据える洋介の表情が固まっていた。いったい何を目撃したのだろうと、千佳もその方角へと視線を向けた。
 レストランから十メートルほど先、小さな男の子を真んなかにして、母親と父親の家族三人が歩いていた。その母親の横顔を確認した瞬間、千佳も息を呑んだ。
(洋介くんのお母さん!――)
 洋介が子どものときに、離婚して家を出た生みの母だった。
(ご家族で遊園地に遊びに……)
 千佳も噂では聞いていた。洋介の母は平凡なサラリーマンの男性と再婚をし、一児をもうけたはずだった。
 コンパクトな白のジャケットにロングのプリーツスカートの母。傍らには眼鏡をかけたやさしそうな風貌の夫。男の子は手にソフトクリームを持っているが、舐めるのを忘れて、上を向いてさかんに父と母に話しかけていた。しあわせそうな家族の風景がそこにはあった。
「子どもがね、生まれたって親戚の人から聞いたことあるんだ……」
 母の姿を視界に入れて立ちつくしたまま、洋介が独り言のようにしゃべった。
(じゃあ、あの小さな男の子が、洋介くんの義理の弟……。そう言われればくりっとした瞳の感じが、洋介くんに似ている)
「名前も知ってるんだ。よういちって言うんだって。太陽の陽に、数字の一で陽一。いい名前だよね」
(いい名かもしれないけれど……)
 長子と主張するような名前だった。洋介の存在をなかったことにしたい実母の思いが透けて見え、千佳は胸でため息をついた。
 ソフトクリームがとけ落ちそうになっているのに気づいて、男の子がかぶりつく。男の子の口の周りが真っ白になったのに気づいた母が、しゃがみ込んでティッシュで拭ってやっていた。照れたように笑う息子に向かって、母は穏やかなやさしい相をつくっていた。吉沢家にいたときには見られなかった満ち足りた表情だった。
「よかった。ママ……お母さん、しあわせにやってるんだ……」
 洋介の異変を感じた。千佳は隣りを見る。洋介の頬を大粒の涙が伝っていた。
「洋介くん」
「あ、あれ、変だな。なんで涙が出てるんだろう。ご、ごめんなさい、おばさん」
 ぽろぽろとこぼれる涙に洋介自身もハッとし、急いで手の甲で拭う。だがあふれる涙滴はなかなか止まらなかった。
(我慢強い子が、子どものように……)
 胸が痛んだ。幼い頃から知っているが、少年が泣いた姿など一度も見たことがなかった。涙でぼやけるその視線の先には母がいる。やさしく包みこむような表情、自分には向けられなかった笑みが、手を伸ばせば届く距離にあった。しかし決して洋介には与えられることのない笑顔だった。
(そうね、きみはまだ子どもだったわね)
 千佳は、洋介が自分の息子と同じ、まだ少年だということを思い出す。席を立ち、洋介の隣りへとまわった。先ほどの女子校生たちが、人前で涙を流す洋介を興味津々の目で見ていた。千佳は黙って洋介を抱き締め、好奇の眼差しから守る。
「ごめんなさい、おばさん」
 洋介が涙顔を隠すように千佳の胸に額を押しつける。
(この子は、親にやさしく包み込んでもらえないまま、ここまで生きてきた)
 泣いても親が抱き締めてくれないのなら、泣くことに意味がないのだと諦めてしまうだろう。洋介の背に手をまわし、そのまま椅子に座らせた。テラス席は一段高くなっており、柵もある。母がもう一人の息子の存在に気づくことはない。
(お母さまに捨てられ、お父さまは無関心ですものね……)
 離婚間際の吉沢家のひどい有り様は千佳の記憶にも残っていた。近所に住み、同じ年の息子がいる。無関心ではいられなかった。
 洋介の母は、カルチャー教室や趣味の集まり、習い事と用事をつくっては毎日外に出かけていた。洋介は学校から家に帰っても一人だった。電子レンジで母のつくった夕食を温めて食べる日々。そのうち、母は食事をつくることもやめ、外泊が増えていった。
(この子に罪はないのに……)
 成績が上がれば、元の母に戻ってくれるかも知れないと考え、洋介が必死に勉強したことも知っていた。
 親の愛が欲しいと思いがんばったのに、結局それが得られることはなかった。子どもだった洋介は、家族が壊れていくさまをただ見ているしかなかった。
「ごめんなさい、おばさん」
 胸に顔を埋め、洋介は涙を流しつづける。服が濡れて、あたたかな感触が広がっていく。自分を捨てた実母が、自分以外の子をやさしくいたわる。仕方がないこととはいえ、残酷な現実だった。
(ひとりにできないわね……)
「場所を変えましょう。もう帰りましょうね」
 か細く肩をふるわせる少年を抱きかかえるようにして、志穂は席を立った。

 千佳は電気ポットで沸かしたお湯をカップに注ぎながら、ダイニングルームのようすをうかがった。洋介は、細長のダイニングベンチの一番端っこに、膝を抱えるようにして座っていた。泣きはらした顔の洋介を、義母の待つ家に送り届けるわけにもいかず、結局一人暮らしの自宅へと連れ帰った。
「少し落ち着いた?」
 千佳は、あたたかな湯気の立つホットレモネードを洋介に手渡した。うなずいた洋介がレモネードを一口すするのを確認してから、千佳はベンチの隣りに腰掛けた。一秒たりとも目が離せない、今の洋介にはそんな頼りなさがあった。
「迷惑かけてごめんなさい」
 洋介が謝り、グラスをテーブルに置く。まだ瞳が赤かった。
(繊細でやさしい子……)
 愚痴一つ口にしない洋介の態度に、千佳の胸はぬくもる。
「いいのよ。いつもしっかりしている洋介くんの、らしくない部分が見られたから心配だったの。洋介くん、そんなに肩肘張らなくてもいいのよ。無理しなくていいの」
「だって、みんな僕のこと」
 頼りない声だった。長椅子に座ったまま、千佳は洋介を抱き締めた。
「だいじょうぶ。嫌ったりしない。離れていかない。だいじょうぶよ。昔と違うわ、今のきみには志穂さんだっているでしょう」
「だけどママは……志穂さんは、もう僕のこと」
 洋介が重苦しくつぶやく。千佳は洋介の肩をつかんで、顔を覗き込んだ。
「お義母さんとなにかあったの?」
「じ、実はママと僕……」
 洋介がたどたどしく話しはじめた。その告白は予想外の内容だった。家族旅行で出かけた温泉宿で、義理の母と肉体関係を持ったのだという。
「ほんとうに? 洋介くんはお義母さんとしちゃったの?」
 確認の言葉が千佳の口をついて出る。悪い冗談であって欲しいと願うが、洋介は目を伏せて首肯した。
(そんな、息子と母親でとんでもないことを……)
 禁断の母子相姦に千佳の顔も引きつる。返す言葉が見つからなかった。内容が内容だけに、安易な慰めさえ投げかけるのがはばかられる。
(だから洋介くんは実のお母さんを目撃したとき、あれほど取り乱しちゃったのね。……こんなときに、あんなしあわせそうな場面と出くわすなんて)
 ひどいタイミングだと思うが、ここまで洋介の感情が崩れたからこそ義母との秘密を話す気になったともいえる。第三者に相談するきっかけを得たと考えれば、今の状況はまだ最悪ではないのかもしれないと、うなだれる洋介を眺めて千佳は考える。
「次の日の朝、ママは僕に向かってごめんなさいって土下座して謝ってきました。ママに非があるわけじゃないのに。悪いのは僕なんです。僕が無理にお酒を勧めて、酔ったママに襲いかかっていったんだから……だからママは何も」
(この子はこんなときまで、他人を気遣って……)
 懸命な口調で義母を庇う洋介を見ると、胸が疼いた。同時に、正座して頭をこすりつけて深々と謝罪をする吉沢志穂の悲しげな姿も、脳裡に浮かんだ。
(子どもに、近親姦の罪を背負わせたままにはできないものね)
 重い荷だった。酔いから醒め、母子姦の事実と向き合ったとき、志穂は死ぬほど悔やんだに違いない。洋介の心が不安定になったように、義母の心も大きくゆれ動いたはずだった。
「家に帰ってから、ママは僕が側にいると気まずそうで……前より会話も減ったし、僕もどう接していいかわからなくて。ママって呼びかけると、ビクって肩をふるわせて視線を避けるんです。僕のこと、もうきらいになったのかも」
(違うわ。洋介くんにママって呼びかけられるたびに志穂さんは……)
 同じ女同士、千佳には理解できた。母子でつながった日の、洋介の「ママッ」の歓喜の叫びが耳に甦るのだろう。
(そして相姦の罪悪感と一緒に、息子の腕に抱かれて熱い精液を受けとめたときの悦びを体が思い出す……。すぐ側に夫がいるんですもの。いたたまれないでしょうね)
「お父さんは何も気づいてないご様子なの?」
 洋介はうなずいた。家庭を顧みない夫だと千佳もよく知っている。後妻と息子の行き過ぎた一夜を知ったとしても、無関心を通すかもしれない性格だった。
(そういう夫だから志穂さんは……)
 夫婦関係がうまくいっていないところに、やさしい義理の息子の存在がするっと入り込んだ。弱った人間は、信頼できる人に寄りかかろうとする。義母は少しだけ心を慰めて欲しかったのかもしれない。
(でも、慰めを求めた相手と肉体関係を結ぶなんて。酔って平常心が失われていたにしても……)
 そこまで考えた千佳は、我に返って苦笑した。独り身の寂しさで自制を失った先例が、一番身近にあったことに思い至る。
(ひとのことは言えないわね。わたしこそかわいらしい魅力にころっと負けて、洋介くんに手を出しちゃった、危うい過去の持ち主ですもの……)
「いいのよ、あなたは何も悪くない」
 千佳は洋介の頭をそっと撫でた。
「おばさん……」
 ずっと誰かに投げかけて欲しかった言葉だったのだろう、洋介の顔になんともいえない笑みが浮かんだ。千佳は洋介の顔を胸元に押しつけた。けなげで素直な洋介に、年上の女は惹かれてしまう。
(志穂さんも、元々洋介くんに対して家族以上の想いがあったのかも)
 母と子以上の好意の下地があったのかもしれないと、千佳は自分のケースに照らし合わせて思う。千佳にとっても洋介は、息子の友人のひとりではなく、どこか気にかかる少年だった。
(この子は特別)
 腕のなかの少年を見つめる。洋介は目を閉じて千佳にひしとしがみついていた。千佳は洋介の背中に両手をまわし、さすってやる。安心した洋介の表情を見ていると母性本能が掻き立てられた。
「わたしがママになってあげるわ。だから悲しい顔しないで」
「ほんとう?」
 洋介がパッと顔を上げた。千佳は少年の顎先を指でつまんだ。
「ほんとよ」
 唇をやわらかに重ね、誓いを立てるようにキスをした。千佳の脳裏に、寮生活をしている我が子の顔が思い浮かんだ。
(高明、ごめんなさい。ママまたあなたを裏切っちゃった)
 洋介の頬に手を添え、唇をこすりつけながら息子に謝罪する。首を倒し込んでさらに深く口を被せていってしまう。止まらなかった。鼻から息をもらして、洋介の口腔をまさぐる。少年の口は甘かった。
(望むなら、恋人にだってなってあげるわ……)
 すべてを味わうように、歯列や歯茎も舐める。洋介もつながりを求めるように、舌を巻き付けてきた。三十六歳の女と少年はダイニングルームで、二年ぶりの濃厚なキスにふけった。
「洋介くんの涙を、わたし初めて見たわ」
 口を離してささやいた。洋介の唇は涎れでヌラヌラに光っていた。
「高校生にもなって、情けないよね」
「そんなことないわ。時には泣いたっていいのよ。感情を押し込める必要はないの。まだ少年なんだもの」
 千佳は顔を斜めにして、洋介の下唇を軽く咥えた。したたる唾液を吸い取る。洋介の荒い鼻息が左頬に当たっていた。
「この家、おばさんの匂いがするね……」
 そう言うと洋介は千佳の背に腕をまわし、身体を倒し込んできた。千佳は長椅子の上に押し倒される形になる。
「週末になると高明が高校の寮から帰ってくるけど。ずっとひとり暮らしのようなものだから。どんな匂いかしら?」
 頭上の洋介に向かって問いかけ、千佳は右手を下へと伸ばす。ジーンズの股間に指をかぶせた。
「ん……とってもいい香りがする」
 洋介がかすかに相を歪めた。抱き合ってキスをはじめたときから、肘の辺りに硬いモノが当たっていた。指先を上下にすべらせて、隆起の状態を確かめる。指を押し返す充血具合に千佳の頬はゆるんだ。
「それって、嗅ぐとおちん×んが大きくなる香りなのね」
「この家でおばさんとエッチなことしたのを思い出しちゃって……ごめんなさい」
「うふふ、いいの。わたしも思い出していたから」
 洋介のシャツの襟元を左手でつかみ、引き寄せた。ちゅっちゅっと頬や額、鼻の頭にキスを繰り返した。
「ん、わたしといるときはもっと肩の力を抜いて。きみはうちの子と遊んでいるときもそう。いつもどこかで緊張してる」
 接吻の雨を受け、洋介の表情がやわらいでいく。それを見ながら、千佳はジーンズのボタンを外し、ファスナーを引き下ろしていった。下着の上から、股間にふれてみる。
「あん、カチカチね。匂いだけでこんなになるの?」
 ペニスは下着を不格好に押し上げ、にぎり込めないほど膨らんでいた。ツメでツンツンとつつくと、盛り上がった下着部分がピクピクとふるえた。既に先走り液をにじませているらしく、布地に丸く黒っぽい染みがつくられていた。
「おばさんのキスっていやらしいんだもの。それに雰囲気がいつもと違うし。スーツで化粧も色っぽくて……」
 吐息をつきながら洋介が告げる。千佳はサーモンピンクのスーツ姿のままだった。オフィスモードのメイクのため、アイラインも派手めに引いてある。千佳は紅い口紅の塗られた唇を舌でちろりと舐めて、微笑んだ。
「新鮮な感じ?」
「うん。ママっていうよりできる女社長って感じがする」
「あら、実際おばさんできるのよ。前年比百四十%で成長させてるんだから。ん、洋介くんもこっちはぐんぐん成長したのね」
 邪魔なジーンズを腰からずり下げてしまい、下着を引き下ろして直接ペニスに指をかぶせた。洋介が逞しくなったことを、胴回りをつかんだ指でしみじみと実感する。
(あん、皮も剥けてカリも反り返ってる。すっかり牡のおちん×んね)
 スカートのなかを覗かれたのが、昨日のようだった。社長業と子育てが優先で、浮ついた話とは無縁だった。他人の指でふれられるのは久しぶりで、洋介に細い指で秘部をまさぐられたとき、ぴりりと電気が走った。
(指だけで達したことなんて、後にも先にも、あの日だけだったもの……)
 千佳は洋介のシャツのボタンを外し、胸を撫でた。筋肉ががっちりとついている。
「小さかった洋介くんがもう高校生ですものね。さあ、あのときみたいにおばさんに洋介くんのつばをたっぷり呑ませて」
 洋介の顔に笑みが浮かんだ。口を開き、唾液を垂らし落としてくる。千佳は目を閉じ、紅唇を大きく開いて、白く泡立った体液を受けとめた。
「ん、んふ……」
 息子と同じ年の少年が吐き出した唾液を呑む。トロンとした喉ごしに、ゾクゾクとしたふるえが走った。
(いやだ、立っちゃう……)
 乳房の辺りがむずがゆかった。千佳はまぶたを開いて、スーツの前ボタンを外した。パンと胸元の突っ張った、白のシルクブラウスがあらわれる。
「揉んでいいわよ」
 仰向けの姿勢のまま、かすれた声で告げた。少年は主人の帰りを待っていた飼い犬のように、勢いよく胸に飛びついてきた。
「ああ、千佳さんのおっぱい、やわらかい」
 ブラウス越しに胸をむんずとつかむと、ため息をついた。洋介の悦びの声には懐かしさがにじんでいた。
「昔から洋介くんはそうだものね。おっぱい、よっぽど好きなのね」
 千佳は洋介の手を避けて、シルクブラウスのボタンを外していく。黒のブラジャーに包まれた豊乳が、こぼれ落ちるようにして内からあらわれる。洋介は待ち構えていたように胸の谷間に顔を押しつけてきた。
「あん、そんなに慌てなくても」
 洋介はぐりぐりと顔をゆすっていた。振動が伝わり、乳房がジンと火照っていく。
(やだ、アソコまで……)
 脚の付け根も呼応したように熱を帯び、淫花の合わせ目がじっとりとほころんでいった。
「もう困った子ね」
 千佳は洋介の頭に腕をまわし、やわらかな肉丘で顔全体をくるみこんだ。洋介は、「んうう」と喉でうめいて、肉丘に圧迫される至福に浸っていた。
「おっぱい、吸っていいのよ」
 後ろ頭を撫でつけながら、ささやく。さっそく洋介が黒いブラジャーをぐっと持ちあげ、白い乳房を剥きだしにした。
「黒い下着、似合ってるね」
「そんなこと言って。鑑賞する間もなくずり上げちゃってるくせに。フランス製の高級品なのよ」
 上目遣いで見てくる洋介に、千佳は睨みつける真似をした。精緻なレースで装飾されたブラジャーは、乳房の上でくしゃっと帯状になっている。洋介は「だって」と小声でつぶやくと、右の乳首をぱくっと頬張った。
(なにが『だって』なんだか……)
 両手で豊満な乳房を揉み込みながら、右に左に口を移動させて一心不乱に吸っていた。安心して甘えられる悦びが洋介の仕種、表情にあらわれていた。千佳は左手で洋介の頭を撫でてやり、右手は腰の下へと伸ばす。
「おっぱいの先っちょ、硬くなった」
 口を離して洋介がうれしげに告げた。そしてピンと尖らせた乳首に一回チラと視線を落としてから、誇らしい表情で千佳を見た。唾液にまみれてかがやく紅い乳首は、恥ずかしいほど膨らんで、屹立していた。
「刺激を受けるとそうなるものなのよ。あなただって同じでしょ。こんなにガチガチにして」
「あ、うん……」
 洋介が眉間に皺をつくる。千佳の指がペニスをにぎっていた。先端からはねっとりとした粘液が垂れていた。それを引き伸ばすようにして、ゆっくりとペニスをしごいてやる。
「下の方も黒なのよ。お揃いなの」
「パンティ、黒なの?」
 千佳がコクンとうなずくと、洋介がすぐさま右手を腰の下へと伸ばす。
「んふ、指でさわって、色がわかるの?」
 そう返しながら、千佳も手を差し込みやすいようにストッキングに包まれた脚の角度を広げてやる。少年の手がスカートの内側に入ってくる。内ももに指がふれた瞬間、千佳の淫らな期待は、跳ね上がった。
「あんっ……」
 奥へと到達した指が、パンティの表面をこすっていた。女の中心を生地越しになぞってくる。
「パンストじゃないんだね」
 直接下着に指が届くことに、洋介が驚いた顔をしていた。
「そうよ。締め付けられる感じがあまり好きじゃないの。ガーターベルト使ってるの。洋介くん、こういう下着好き?」
 返事を聞かずともわかった。千佳の太ももとこすれ合っている洋介のペニスが、ピクンピクンとわななき、ストッキングの上に粘ついた興奮汁を垂れこぼしていた。
「うふふ、涎れが、いっぱい垂れてるわよ」
 洋介が羞恥の赤ら顔になりうなずく。
「おばさんのココだって、じっとりしてるよ」
「そうよ。熱くなって染みてるでしょ。同情だけで洋介くんと抱き合ってるわけじゃないってわかってくれる?」
 誘うように顎を持ちあげた。洋介が唇に向かって顔を沈めてくる。三十六歳の女と少年は、互いの秘部をいじりながら口づけを交わした。
「うん。うれしいよ。またこうして千佳さんと抱き合ってキスできるなんて」
 洋介が口をふれあわせたままささやいた。千佳は目元をやわらげ、ペニスのにぎりを強めてやる。
 千佳の指は膨らみ切った陰茎を撫でさすり、洋介はパンティの上から亀裂を指先でなぞる。歓喜するように肉棹がふるえていた。千佳の女芯も潤みを増していく。
「ねえ、洋介くん、今日は覗かなくていいの?」
「え?」
 洋介の疑問の声に対する解答のように、千佳は膝を立てて脚を横に広げた。タイトミニが大きく腰に向かってずり上がる。
「前はスカートめくって、なかをじろじろ見たでしょう。それとも、もうおばさんのスカートのなかには興味ない?」
 洋介の相貌が赤らむ。「ものすごく興味あるよ」と恥ずかしそうにつぶやき、股間から手を引いて上体を起こした。
「ああ、ストッキングとガーターベルト……」
 洋介が千佳の煽情的な開脚の姿勢に見入っていた。白い太ももとツヤツヤとかがやくストッキング、そしてレースで装飾された高価なパンティにガーターベルト、誰にも見せたことのないスカートの内側の光景を少年だけに披露していた。
「黒い下着、色っぽいね。千佳さんによく似合ってるよ」
「ありがとう」
(いやだ。ドロドロになっていく……)
 千佳は緊張の息を吐く。発汗が著しかった。股布の濡れ染みが大きく面積を広げていくのがわかる。鼠蹊部から内ももの辺りも、蜂蜜を塗ったようにテカっているに違いない。
「ねえ、これもらっていい?」
 洋介の手がパンティの両端に伸ばされた。脱がせていいかという問いかけだった。千佳はうなずく。
「ええ、あげるわ……」
 少年のふるえる指が下着のふちにかかる。シルク下着は汗を吸い、豊腰に貼り付いていた。なかなか引き下ろせずに、洋介の紅潮した顔にも汗粒が浮かんでくる。千佳が腰を浮かせて協力してやると、小さな布地はなんとかじりじりと降りていった。いきれた股の間を空気が抜けるのを感じた。
「ああん……」
 千佳は羞恥のうめきをもらし、両手を使って脚の間をスッと覆い隠した。パンティを足先から引き抜きながら、なぜ隠すのかと洋介が疑問の目を向けてくる。
「ちょっと待ってね。心を落ち着けるから。男の人に見られるの久しぶりなのよ」
(それに洋介くん、ママとわたしの身体を比べるでしょ……)
 心のなかで問いかける。洋介が唯一知っている女性は、二十八歳の年若い義母だけだった。出産を経験した三十六歳の女では分が悪すぎる。洋介になら、すべて見せてあげてもいいと思う。だが、もし幻滅されたらと考えると、なかなか踏ん切りがつかなかった。
「洋介くんもジーンズを脱いで」
 時間稼ぎのために、千佳はか細い声で請う。洋介は素直にうなずいて自分の腰からジーンズと下着を脱ぎはじめた。黒いパンティも大切そうに畳んでジーンズのポケットにしまう。腰の間では、上向きになったペニスが苦しそうにゆれていた。
(アレを、わたしの身体のなかに……)
 少年には不似合いなたくましい勃起を眺めて、千佳は吐息をつく。このまま流されるように関係を結んでいいのだろうかと、頭の片隅で理性がささやいていた。不謹慎、不道徳と他人から非難を受けても、何も言い返せはしないだろう。
「服、脱いだよ」
 シャツも脱いで裸になった洋介が、ベンチで寝そべる千佳を見下ろす。食い入るような目つきだった。千佳の身体が開かれ、秘密がさらされる時を今や遅しと待っている。
(この期待を裏切れないわね)
 自分がわざと十代の少年を焦らして楽しむ性格の悪い女に思えた。千佳は躊躇いを呑み込む。前を隠していた両腕を外して三十六歳の肉体を披露した。少年の視線が脚の付け根に突き刺さるのを感じた。秘唇が煮え、きゅんと奥の方がうねる。
「どう? わたし……」
 不安の眼差しを隠さずに、千佳は少年に尋ねた。ブラウスをはだけて乳房を丸出しにし、その上女の中心をあられもなくさらした痴態は、少年の目にどう映るのだろうかと想像すると、全身の血が沸騰するようだった。
「すっごく、きれいです」
 ふるえ声がこぼれ、少年の喉がゴクンと波打った。正直な感想だということは、視線が肌の上を執拗に這うことでもわかった。千佳のなかにあった躊躇いと恥ずかしさが薄まっていく。
(洋介くんの実のお母さんと、ほとんど年齢は変わらないのに。よかった……)
 千佳は安堵の息をつき、濡れた眼差しを少年に注いだ。
「スポーツクラブで水着の時も、このはちきれそうな身体をいつも見てました。眺める度に僕、勃起して……」
 欲情の瞳で洋介が告げる。千佳は微笑んだ。
(ええ、知ってるわ)
 自分でもボディラインにゆるみは見られないと思う。乳房や腰は女性らしく豊かに張っていても、腰はきゅっとくびれている。一児の母となっても衰えの見られない身体は、千佳も内心自慢だった。
「いつも大変なコトになってたのよね。こんな風に。つらいわよね」
 ベンチで仰向けの状態のまま、千佳は手を差し伸ばして洋介のペニスにふれた。
「あんっ」
 指先が当たった瞬間、少年は腰をふるわせた。肉柱は灼けつく熱を帯びていた。透明なしずくが玉となって、先端から棹裏を垂れ落ちていく。
「最近、オナニーしてないの?」
「う、うん」
 返事を聞いた千佳は、陰嚢を下からすくうようにして指で包み込んでみた。
(ずっしりしてる。いっぱい溜まってるのね)
 義理の母親との関係に悩み、自慰どころではなかったのだろう、陰嚢を持ちあげると、みっしりとした重みがあった。揉みほぐしてやると、子どもらしいやわらかな感触が指のなかで弾む。このなかに濃くドロドロの液が大量に詰まっていると思うと、子宮がぽうっと疼いた。
「早くしないと外に漏らしちゃいそうね」
 自身の発情は隠して、洋介を気遣うようにささやく。ペニスをつまんだ。腰をくいっと洋介に向かってにじり寄らせて、女裂に亀頭をすりつけた。
(ああ、硬いわ……)
 柔ヒダに切っ先が突き刺さり、先走りの粘液と女の発情汁が、ねっとりと混じり合う。千佳は美貌を引きつらせて、少年を見つめた。
「さあ、おいでなさい」
 洋介が腰を進めてくる。秘穴の入り口に圧迫を感じた。千佳は添えていた指を外した。蜜を垂らす肉壺に向かって、肉柱がもぐってくる。
「おばさん、埋まっていくよ」
 千佳にも見て欲しいというように、洋介が上ずった声をもらす。
(ああ、入っていくところ、見られてる……)
 花唇が割り開かれていくさまを、洋介は首を引いて凝視していた。求めに応じて千佳も柔らかな身体をきゅっと丸めて、自らの股間を覗き込んだ。
(ああ、なんていやらしい)
 黒い翳りの向こうの情景に、千佳もつばを呑む。蜜でヌメった牝の花びらは卑猥にめくり返って、色素沈着のないペニスをおいしそうに呑み込んでいた。
「どう? おばさんのなか、気持ちいい?」
「うん、あったかくてヌルヌルしてて――」
 洋介は言葉の途中で、腰を前に押し込んできた。剛棒が膣洞のなかを一気に嵌入してくる。虚をつかれ、千佳は髪を乱して仰け反った。
「ん、ああん、そんなっ」
 ズリュッという淫らな音が頭頂まで響いた。
「おばさんっ」
 叫びとともに、洋介が根元まで打ち込んできた。千佳は手を伸ばして洋介に抱きついた。ゆれる豊乳を少年の胸に押しつけ、首筋に息を吐きかけた。
「ああっ……」
 女壺全体で、硬い感触をじっくりと堪能する。
(すごい。いい味っ……)
 三十六歳の肉体は、埋めこまれた肉茎に対して相性の良さを感じた。括約筋をきゅっとすぼめる。女陰が蠕動してしっとりと少年を締め上げた。隙間のないぴちっとした密着の感覚に、千佳はもろく崩れていきそうな予感を抱く。
「ああ、おばさんのなかが動いてるよ」
「どう? 悲しい気持ちが小さくなるでしょ?」
 千佳は洋介の髪を指ですきながら問いかけた。つらい記憶と出来事を、自分の身体で忘れて欲しいと思う。洋介は気持ちよさそうに息をついて、うなずいた。
「気持ちよくて……ほっと安心する」
「洋介くんがしたくなったら、おばさんがこうして慰めてあげるから。お義母さんとは、もうこういうことしちゃあだめよ。いけないことなんですもの」
「そうだよね」
 表情が翳った。切ない眼差しで千佳を見る。
(そんな飼い主に叱られた子犬みたいな顔をして……)
 母性本能を刺激される瞳の色だった。千佳はぎゅっと洋介を抱き締めた。
「今の気持ちはどうなの。志穂さん……ママのことが好きなの?」
「わからない。お母さんとしても見てるし、ひとりの女性とも」
 うつむき加減の相貌を持ちあげ、洋介が答える。嘘偽りのない真摯な返事だというのは、曇りのない眼差しでわかった。
「そう。まだ整理がついていないのね」
(わたしだって変わらないわね。息子のお友だちと関係を持つなんて、いけないことなのに……)
 相手は息子の親友だった。仲良く遊ぶ同級生だった。その同級生の男性器をお腹いっぱいに呑んでいると思うと、熟れた女体は背徳のうねりに襲われる。
(なんて母親なのかしら……)
 息子高明の顔がまぶたの裏に映った。ブラウスは腕に引っかかったまま、タイトスカートは腰までたくし上がっている。乱れた着衣のまま親友に深々と貫かれる母の姿を見たら、一人息子はどれほど嘆き悲しみ、軽蔑するだろうかと思う。
「動いていい?」
 洋介が尋ねてくる。息子に申し訳ないと感じながら、千佳はいびつな微笑みをつくり、「どうぞ」とささやいた。
「ああっ、気持ちいい……ねえどう? おばさん。こんなやり方でいいの?」
 洋介が女体に打ちつけてくる。不安のにじむその表情は、自分が側にいていいのかと問うようだった。真っ直ぐに洋介を見上げて、年上の女は少年の抽送を受けとめる。
「いいわ。洋介くん、とっても上手よ」
 千佳も迎え入れるように下から腰を遣った。
「ああっ、おばさんのなかって、とろける……」
 柔ヒダにねっとりくるまれて洋介が喘いだ。ぬくもった吐息が、千佳の汗ばんだ美貌に吹き当たる。
(ああん、太くてステキ……)
 千佳の紅唇からも、抑えきれない快感のうめきがもれる。あたたかな粘膜のなかを硬い肉刀で削られる陶酔感は、息子への負い目さえも甘く消し飛ばしてしまいそうだった。
「ねえ、ここって高明が出てきた場所だよね」
 抜き差しを行いながら、洋介がつぶやいた。複雑に歪んだ表情と抑えられた小声には、親友への後ろめたさがこもっていた。千佳と同じように、少年も罪の意識を抱えたまま、親友の母を抱いていた。
「ええ、そうよ」
 千佳は小さくうなずくとそれ以上は言わないようにと、人差し指を少年の唇にあてがった。
(本来、こんな交わり合いなど無縁であるはずの存在なのにね。止められないの。ああ、洋介くんのおちん×んが出たり入ったり……ごめんなさい高明)
 千佳はもっと奥底まで突いてもらおうと、さらにはしたなく脚を開いていった。
「ああんっ、すごいわあ」
 少年の雄々しさに抗えない。貪欲に少年を咥え込み、蜜壺はうれしげに収縮する。豊満な肉体は充塞の喜悦に打ちふるえた。
「うう、イッちゃいそう」
 漏出しそうになったらしく、洋介が動きを一旦止めた。
「だめよ。このカチコチなのおばさんにもっと味わわせて。我慢するの」
 千佳はストッキングに包まれた脚を、少年の腰に絡めた。そのまま太ももで締め付け、挿入を深めた。
「あ、ああっ、おばさんっ」
 洋介は埋没の刺激に耐えられないというように悲鳴をあげた。
「さあ、突きなさい。奥の方をグチュグチュするの」
 千佳は洋介の首筋に噛みつくようにキスをして、命じる。久しぶりに味わう肉棒の硬さがたまらなかった。少年をやさしく導くことさえも忘れ、自らの快感にひた走ってしまう。
「う、うん」
 洋介はこもった息を吐くと、腰を大きく引いて肉柱を抜き出し、すぐさまズンッと極限まで埋め込んできた。
「あ、ああっ、それいいわあ……」
 千佳は紅唇をふるわせて、よがり泣いた。ウェーブのかかった柔らかな髪が、ふわっと舞い散った。
「おばさん、気持ちいい?」
 洋介は乱れる千佳の顔を覗き込み、深い位置で円をゆっくりと描いて、膣をこねまわしてくる。肉交の汁音が重なり合った腰の間からもれ響いていた。少年の性格だろう。自分だけが快感を貪る身勝手さはない。
「そんな風に、わたしのお腹のなかをやさしく撫でまわして……誰に教えて貰ったの……あ、ああっ」
 一転、洋介は突き込みを強めた。年上の女に摩擦の快美を浴びせてくる。はしたない抽送の音を聞いていると、自分が慰めているのか慰められているのかわからなくなっていく。
「ああ、おばさんの匂いだ」
 なんともいえないうれしさのこもった声を発して、いきなり洋介が鼻先を千佳の右の腋窩へ近づけてきた。
「あ、やん、な、何してるの?」
 千佳の頭は恥ずかしさと混乱で一気に掻き乱れた。発汗した己の身体から放たれる腋の匂いを、千佳もかすかに感じていた。女性なら誰でも隠そうとする腋臭を、洋介は鼻を鳴らして嗅ぎ取っていた。
「だ、だめ、そんな場所の匂い、嗅いじゃダメよ」
「どうして? いい香りだよ」
 洋介はなおも恥ずかしい臭気を吸い込み、下では抜き差しの動きを繰り返す。
(こんな、おかしくなるっ。少年を相手に、三十六歳の女が追いつめられて……)
 年上の矜持は、羞恥の行為と荒ぶる肉茎で、あっさりと打ち破られる。射精を耐える洋介よりも、千佳の方が危うかった。年下に呆気なく征服される恥辱の思いが胸を灼いた。
「あ、ああっ、いやっ……どうしてっ」
 紅い色が眼前を走った。女体がピンと突っ張る。呆気なく、一回目のオルガスムスが押し寄せた。
「あ、あう……うう」
 千佳は白い喉をさらしてうめいた。ストッキングに包まれたつま先を内にぎゅっと折り込んで、洋介の腰に巻き付けた脚をこすり合わせた。背に爪を立て、無我の至福に酔う。
「おばさん、どうしたの?」
 女性の絶頂姿をあまり目にしていないらしく、洋介が千佳の突然の変化を不思議そうに見ていた。少年の経験の浅さに千佳は感謝しながら、かぶりをふった。
「な、なんでもないわ」
 呼吸を整えながら、ごまかすように洋介の頬を手の平で撫でた。
「ああ、ねえ、ポーズを変えていいかしら? このままじゃわたし、洋介くんの背中を傷つけちゃいそうだから」
 爪で引っ掻いたことを千佳は詫び、汗のしたたる顎先を舐めて懇願した。
(この体勢だと、腋の下の匂いを嗅ぎ放題ですもの。それに恥ずかしいアクメ顔をなるべく洋介くんに見られないように……)
 十代の頑強さに勝つ自信もない。耐える意志は放棄していた。
「う、うん……」
 戸惑った顔をしながらも、洋介が上体を起こして女の潤みのなかから引き抜いた。
 千佳はベンチから起きあがると、横に立った。ダイニングテーブルに両手をつくと、背を反り返らせて、丸いヒップを少年に向かって差し出す。
(これなら表情を隠せる……)
 くいっと持ちあげられた豊腰に、少年がふれてくる。恍惚の抜けきっていない肉体は、手の感触にピクンとふるえた。
「おばさんの身体ってむちむちで、いやらしいね……ガーターベルトもとっても似合ってるよ」
 千佳の背後に立って、洋介が嘆声をもらした。むちっとした太ももから、お尻にかけての優美な曲線を撫でまわしてくる。
「ん、そんないやらしいだなんて」
 洋介は尻肉を揉みながら左右に開いていく。トロッと蜜が垂れていくのがわかった。
(ああ、あふれちゃう。こんなに涎れをタラタラこぼしちゃって……)
 発情のしるしを洋介に見られたのは間違いない。恥ずかしさで千佳の体温はカアッと上昇する。
「ああ、エッチな匂いだね」
「そ、そんなこと言っちゃだめよ」
 盛大な濡れ具合だと自分でもわかっているだけに、蜜肉から立ち昇る芳香の強さも容易に想像がついてしまう。さぞ濃厚な牝の匂いが、洋介のまわりにたちこめているはずだった。
(洋介くん、女の追いつめ方を知っている……)
 プライドを逆撫でにするセリフが女体に昂揚を生むことを本能でわかっていた。
 洋介が、柔らかな臀肉を揉み込んでくる。千佳は喘ぎながら、ぷりぷりとお尻を左右にふった。
「あ、あんっ」
 千佳の紅唇から嬌声がこぼれる。いきなりの挿入だった。ズッポリとペニスがはまり込んでいた。白いヒップが打ちふるえる。
「うう、いきなり……」
 テーブルの縁をにぎり込んで千佳は充塞にうめいた。少年の性器だというのに、引きつるような苦しささえある。
(たくましいわ。まったく隙間がない感じ)
「おばさんのお尻、おっきいね」
 感嘆の声が背後から聞こえた。千佳のウエストをつかんで、腰を遣いはじめる。洋介が頭のなかで誰か別の女性とサイズを比べているのが丸わかりだった。もちろんそれは義母の身体だろう。
「ねえ、洋介くん、大きなお尻好き?」
 背後をふり返り、媚びた声で千佳は問いかける。洋介はひまわりのような笑顔をつくった。
「うん。大好き」
 母を追い求めての交情なのかもしれない。少年の笑みを見つめて千佳は思う。と同時に、たとえ代替だとしてもこの少年の慰めとなるのならば構わないではないかと女心がささやく。
「よかった。大きいって恥ずかしいのよ。でも、できるならスレンダーなママとは比べないでね……あ、ああんっ」
 千佳の哀願の声は、リズム良く打ちつけられる抜き差しの動きで掻き消された。
「ああ、むっちりとしたお肉に包まれてる。たまらないよ」
 洋介はしなやかな獣となって双臀を貫いてくる。反動を受けて、垂れ下がる大きな双乳は、ぶるんぶるんと波打った。千佳は口元を噛み締めるが、二度三度と柔肉をこねられると紅唇はたちまちゆるんだ。
「あ、ああん、なんて気持ちいいの。このおちん×んすごいっ」
 大人の体面を整える余裕は失われていた。千佳も抽送に合わせて、お尻をクンと卑猥に突き出す。あさましい痴態をさらしてはいけないと理性の片隅で思いながらも、十代の激しさ、たくましさに熟れた肉体は翻弄される。
「あん、すごいっ、だめ」
(こんなに派手によがり泣いて……)
 淑やかな親友の母の顔は既になかった。汗ばんだ肌は艶美にかがやき、甘酸っぱい芳香をまとう。だらしなく崩れていく。
(イクッ――)
 愉悦が女体の限界を超えた。髪を華麗にふりまいて、上体がテーブルの上に突っ伏し、痙攣する。
「イクの? 千佳さん、気持ちいいの」
 年上の女性をオルガスムスへと押し上げられるうれしさが、洋介の声にはにじんでいた。ヒップに指を食い込ませ、とどめを刺そうと腰遣いが激しくなる。
「ああん、イクッ、イッちゃうっ」
 牝の音色を奏でて、女体は艶めく。頬をテーブルの上にすりつけ、悶えた。
「ああ、おばさんの汗に濡れた身体が、紅く染まって……きれいだ」
 千佳のなかで洋介の勃起がふるえていた。懸命に射精を我慢しているのだろう、精液かと思うような大量の先走り液が、内奥でドクドクとあふれていた。
「あ、ああん、洋介くん……」
 女がイキ果てるまで、必死に耐えてくれる洋介が愛しかった。千佳は二度目の絶頂の至福に酔いながら、肉付きの良いむっちりとしたヒップをふりたくって、少年の責めを堪能する。
 甘い空気を切り裂くように、いきなりダイニングルームに電子音が鳴り響いた。食器棚の横に置いてある電話機だった。洋介が抽送をゆるめる。数回コール音がつづき、自動的に留守番電話へと切り替わった。
「もしもし、母さんいる?……あれ、いないのかな」
 スピーカーから聞こえたのは千佳の息子、高明の声だった。洋介が背後でハッと息を呑む音を、千佳は気怠く陶酔した頭で聞く。
「どこ行ってるんだろう。今日、会社休みじゃなかったっけ?」
 困った感じに高明がしゃべっていた。
「ねえおばさん、出た方が……。高明急用なのかも」
 洋介が引き抜こうとする気配を感じた。千佳は慌てて洋介をふり返った。
「あ、やめないで。恥ずかしいお声がでないよう我慢するから。もっとつづけて」
 口から出たのは予想外の言葉だった。息子から電話がかかってきたにもかかわらず、性交の継続を懇願してしまう自分に千佳も内心驚く。洋介も目を丸くして千佳を見ていた。
(ひどい母親だわ……)
 息子に悪いと思うが、ここで交合を解いてしまうことが惜しかった。千佳は手を伸ばして、受話器をつかんだ。上体を伏した姿勢のまま、通話ボタンを押して耳にあてがう。
「はい松岡です。高明なの?」
「ああ、よかった。母さんいたんだ。明日の帰宅の時間なんだけどさ――」
「え、ええ。時間がずれるの?」
「そう。一時間早く帰るから」
「わ、わかったわ」
(セックスしながら、息子と会話なんて……)
 今自分は情けなく腰を突きだしたポーズで這い、息子の友だちに白い尻を抱えられているのだと思うと、血が逆流するようだった。女肉のなかで肉茎がビクンと跳ねた。
(ああ、洋介くんも興奮してるわ……硬い。さっきよりよりギンギン……)
「イクよ、おばさん」
 洋介が聞こえるか聞こえないくらいの抑えた声で、ささやいた。
「えっ」
 千佳は困惑顔で洋介を見る。絶頂に達したばかりの熱くたぎった女の最奥を、洋介が容赦なく突き込んできた。
「あっ、ああっ……ん」
 千佳は慌てて指を口に押し込み、もれそうになるよがり泣きを押し殺した。
「どうかしたの母さん?」
 突然甘い嗚咽を発し出した母に、高明が怪訝そうに聞いてくる。だがごまかしの言葉を返す余裕もなかった。狂乱の悦楽が女体で渦を巻く。
(こんなときに……いくっ、イクわっ……またイッちゃうっ)
「もしもし? 母さん?」
 耳の側で聞こえる息子の声と、ズチュズチュという規則的な汁音の重奏が、女の理性をおかしくさせる。罪悪感は凄まじく、それに比して快感も跳ね上がっていった。
「ちょ、ちょっと待っててね高明……ママ、キッチンに火をかけたままなの忘れてて……んうっ」
 口から指を外して、千佳は懸命に喘ぎ混じりの取り繕いのセリフを吐いた。
「あ、そうなの。止めてきなよ。このまま待ってるから」
 息子の声を聞きながら、千佳は再び盛り上がった性官能の波に呑み込まれていく。左手でぎゅっと送話口を包み込み、豊満な肢体をふるわせた。
(イクうっ)
 波濤が崩れて、一気にしぶきを上げた。手で受話器を塞いでいるとはいえ、アクメの声を盛大に奏でるわけにはいかない。千佳はきゅっと眉根を寄せ、右の手指を咥えてきりきりと噛んだ。口の隙間から「ひっ、ひっ」と息を吐く。
「ああ、すごくいやらしい顔になってるよ、おばさん」
 洋介が身体を前に倒し、テーブルに伏した千佳の表情を覗き込んでいた。美貌を紅潮させ、死に物狂いになってよがり泣きを耐えるさまは、少年を激しく昂らせ、欲情の渦へと巻き込んでいく。パンパンというバック姦の打擲音が高らかに鳴った。膨らんだ肉茎が、火照った粘膜を休みなく引っ掻いていた。
「でるよ、ああっ、でるっ」
(そんな、息子と電話中に……このタイミングで射精するなんてっ)
 恐れおののく心を無視して、樹液は容赦なく噴き出す。脚からは力が抜け、紅唇からは唸りがこぼれた。
「う……ううっ」
 ずいぶん長い間、忘れていた感覚だった。途切れなく粘っこい精液が飛び散って、内奥を満たしていく。目眩のする快感が広がり、千佳の肌は総毛立つ。
(出てる、熱いのがいっぱい出てるっ……ああ、息子の親友に種付けされてる)
 樹液の熱さを噛み締めた女体は、次いで身を灼く背徳感に包みこまれた。洋介との年齢差を考えれば、肉体関係が露見したときの非難は想像がつく。周囲はこぞって年上の千佳を責めるだろう。息子の高明も、母の浅はかな行為を決して許さないに違いない。
(ああ、もっとめちゃくちゃにして……)
 汗ばんだヒップはぬめった光を妖しく放ち、さらなる精液を求めるように卑猥にゆれた。罪の意識を、あふれる膣内射精の愉悦で忘れさせて欲しかった。
「あ、あはん……」
 指を噛むことすらできなくなり、千佳はテーブルクロスの上に爪を立てる。口元から涎れを垂らし、色っぽい呼気を吐きこぼした。
(ああ、なんて母親なの)
 息子の同級生相手のセックスに、夢中になっていた。少年の淫欲を煽るように、肉感的な肢体は伏したままくねる。
「そんないやらしくお尻ふって」
 少しやわらかくなったペニスで、洋介は女穴をこねてくる。精液の溜まった粘膜のなかを攪拌される愉悦に、千佳はぶるぶると豊腰をふるわせた。
(こんなの、理性を完全に逸してしまいそう)
「ん、母さん、電話に戻った? それとも誰かいる?」
 手で押さえていても、完全に音は消せない。息子は母以外の人の気配を感じ取っていた。
「い、今ちょうどね、洋介くんが来ているの」
 弾む息を抑えて千佳は告げた。
「へえ、早く教えてくれたらいいのに。ねえ、ちょっと洋介と代わってくれる?」
 千佳はふり返って受話器を後ろに差し出した。当惑顔の洋介だったが、おずおずと受け取って耳にあてがう。千佳の身体からゆっくりと離れ、結合を解いた。
「んっ……」
 トロンと糸を引いてペニスが尻の間から脱落し、千佳は大きくため息をついた。
「うん、そう、遊びに来てたんだ」
 息子と会話する洋介の声を聞きながら、千佳は身体を起こす。指で顔の汗を拭うと、腕に引っかかっているシャツを脱ぎ、ブラジャーを外した。ウエスト部分までたくし上がっていたスカートも脱ぎ落とすと、裸体に身につけているのは、黒のガーターベルトと太もも丈のストッキングだけとなる。
(この格好、まるで商売女ね)
 千佳は視線を洋介へと向ける。裸のままベンチに腰掛け、電話をしていた。どこかユーモラスな姿に笑みがこぼれる。千佳はテーブルの下にもぐり込んだ。四つん這いになって進み、椅子に座る洋介の脚の間に身体を入れる。
「きれいにしてあげるわね」
 洋介を見上げて、千佳は気怠い声でささやく。手を股間に伸ばし、ヌラヌラとかがやくペニスに指を添えた。
「え、だって……」
 洋介は手のなかの電話と、足元にいきなりあらわれた千佳を交互に見る。うろたえた表情がかわいらしかった。千佳は紅唇をチロリと舌で舐めて微笑むと、顔を逸物に近づけていった。
(ああ、この匂い)
 むんとした性臭が漂っていた。酸っぱい女蜜と、それを遙かに上回る青臭い精液の香が、千佳の鼻腔を埋める。
(おばさんのなかをぐりぐり抉って、たくさん射精したものね)
 脚の付け根が熱かった。秘苑は肉交の余韻で、ジンジンと疼いていた。樹液が逆流して膣口からしたたるのを意識しながら、千佳は頬にかかる髪をかきあげて、桜色の舌を大きく伸ばして棹裏を舐めていく。
(ああん、ミルクの味……)
 舌に広がる濃密な精液の香味に、千佳は陶酔の息を吐く。間を置かず、舌を伸ばして棹にこびりつく粘液を舐め取っていった。
「ん、ん……あ、待って。おばさん、社長なのにこんな真似、ダメだよ……」
 洋介の唸りが上から聞こえた。なめらかな肌、剥きだしの乳房、股間に生える黒い翳り……少年はストッキングだけの千佳の裸身を、じっとりとした視線で眺めていた。
「やめて欲しいの? でも娼婦みたいな格好で舐めてもらえると、おちん×んはうれしいみたいよ」
 千佳はピクつくペニスを軽くこすって、上目遣いに微笑んだ。射精したばかりだというのに、十代の硬さは容易に失われてはいかない。
「おれさあ、つきあってる子がいるっていっただろ?」
 息子の声がもれ聞こえてくる。洋介の腕がふるえていた。つかんだ受話器が耳から離れていた。千佳は舌を遣いながら、耳をすまして息子の声を聞く。
「ああ、キスしたって言ってた子だね」
 洋介が相づちを打つ。高明は男女交際の細かなことまで、洋介に話しているらしかった。親友らしい報告だと、千佳は頬をゆるめる。
(高明にもキスをするような彼女ができたのね)
「こんど、フェラくらいならしてくれそうな感じでさ」
「へえ、よかったね」
「なんだよ、その素っ気ない返事。洋介がこの前、女に舐めてもらったことあるとか言ったから、おれ焦ってるのに」
(そんなこと言ったの?)
 千佳は脚の間から目で問いかけた。
「うん。昔千佳さんがしてくれたの……うれしくて。ごめんなさい」
(ダメでしょ、そんなことぺらぺらしゃべっちゃ)
 千佳は舌腹をグッと押しつけて、過敏な裏筋を舐め上げた。
「ん、んう……」
 刺激が強すぎるのだろう、洋介は唇を噛み、声を押し殺す。快感の喘ぎをこらえる表情を見ていると、千佳はゾクゾクとする。
「そんな強くしないで……高明におかしく思われる」
 送話口を押さえて、洋介が懇願する。
(そうね、高明にこんなことばれたら……)
 母が洋介の足元で膝を揃えて、清めのフェラチオをしているなど想像もできないだろう。背徳の痺れを感じながら、千佳はねっとりと舌を這わせる。蜜液と白濁の液はふっくらとした紅唇のなかに、次々に消えていく。
(すごい。勃起が戻ってくる)
 驚異的な回復力だった。上に眼差しを向ける。顔の角度を変えて肉棹を丁寧に清めていく友人の母を、洋介もギラついた目で見ていた。異常なシチュエーションに少年も興奮を生じていた。視線に応えるように、千佳も棹の付け根から先端に向かって激しく舐め上げた。
(わたしまで、おかしくなりそう)
 むっちりとした太ももをこすり合わせた。秘所の奥の方から愛液がトロッと分泌されて、なかに溜まった精液を外へと押し出す。足の踵に、ボトッ、ボトッとザーメン液が垂れ落ちていた。
(ミルクをアソコから垂れ流す母親なんて……)
 倒錯の興奮が女体を包む。舐めるだけでは我慢できなくなり、紅唇を丸く開いて亀頭から咥えていった。
「ん……おいひい……あむ」
 鼻声をもらして口いっぱいに頬張り、根元まで達するとそこで紅唇をきゅっと窄める。
「もしおれが彼女とのハメ撮りとか成功したら、見せてやろうか。バックとか、騎乗位とかさ」
(高明はまだ子どもね)
 軽い冗談を飛ばすことで、息子がまだ童貞なことがわかった。明るく無邪気に話す息子の声を聞きながら、今度は唇を締めたまま相貌を引き上げた。口からゆっくりと肉刀を引き抜いていく。
(あなたの親友は、もう色々なこと知っているのよ。さっきはバックからママにずっぽりハメて中出しして、今も電話しながらママに後始末のおしゃぶりさせてるの)
 先端まで吐き出し、濡れ切った眼差しで自分を虜にした少年を仰ぎ見た。千佳の視線に気づくと、洋介はしあわせそうに笑んだ。
「ありがとう。気持ちいいよ、おばさん」
(もう、あなたがそんな笑顔でわたしを見るから……)
 千佳は俯いて吐息をついた。やさしく純粋な少年の姿に、いつの間にか心を奪われていた。
「もっと吸い取ってあげるわね」
 千佳は尿道口に唇をあてがい、頬をへこませて、ちゅうっと精液の残りを吸い出す。
「今度さ、洋介の彼女も紹介してくれよな」
「うん。まあ、そ、そのうち……」
 しゃべると、声がふるえるためだろう。言葉少なに曖昧な返事をしていた。千佳はそのままペニスを呑んで、ダイナミックに相貌を上下させた。唇を押し返す抵抗感と、喉につかえる息苦しさで、肉棒の充血が高まっていくのがわかる。
(ああ、こんなに早く硬く戻るなんて……ステキだわ)
 棹から垂れ流れた唾液をローション代わりにして、指で陰嚢をやさしく揉んでやると、屹立はギンと甦った。口腔を埋める肉塊の野太さに、千佳はうっとりと鼻から息を抜いた。
「明日そっちに帰るからさ。おれの家に遊びに来るだろ。またエッチなDVD見せてやるよ。寮の友だちで貸し借りしてるからさ。わかってるだろうけど母さんには内緒だぞ」
「うん、わかってるよ」
「母さんまだそこにいる?」
「あ、ちょっと、待って。……いや、い、いないよ。さっきキッチンの方に行ったみたい」
 洋介が千佳の口に向かって、ぐっと腰を突き出してきた。
「んむっ」
 喉奥を突かれると同時に、ドロッと残液があふれた。千佳はコクンと呑み下す。洋介はハアッと心地よさそうにため息をついてから、股間にかぶさる千佳の頭をありがとうと言うように、やさしく撫でた。千佳はそっと唇を引き上げ、外す。
「じゃあ戻ってきたら代わってくれよ」
「あ、ああ、戻ってきたよ」
 洋介が、千佳に向かって受話器を差し出した。千佳は口元についた粘液を指で拭いながら、受話器を受け取った。椅子とテーブルの間から這い出て立ち上がる。洋介の耳元に唇を近づけた。
「残り汁まできっちりわたしに呑ませるんだから……」
「ご、ごめんなさい」
「いいの。あなたのミルクおいしかったから。だけど高明には、ごめんなさいって心のなかで謝ってね」
 ちゅっとキスを交わす。当然のように舌を伸ばして洋介と舌を絡め合った。生殖液を呑んだばかりの口だった。精液臭漂う倒錯のキスを受け入れてくれる洋介に、千佳の子宮がジンと火照った。
(また発情しちゃいそう)
 千佳はそのまま脚を開いて、ベンチに座る洋介の膝の上に跨っていく。
「ん、お待たせ、高明」
 洋介とふれ合っていた唇を離し、息子と話す。電話を持つのと反対の指を腰の下に伸ばして、屹立するペニスをつまんだ。
「おばさん……」
 洋介が緊張と興奮の入り混じった目で、千佳のすることを見ていた。息子と電話の最中だという異常な状況が、千佳の理性と判断力をも妖しい領域へと誘い込む。丸い尻を落としていった。柔肉に肉柱が突き刺さる。
「んっ」
(ああ、すごい。なんでこんなに硬いままなの……)
 腰を左右にゆらし、切っ先と女壺の位置と角度を合わせた。
「あ、母さん。何してたの?」
「お、お茶を用意してたのよ」
 頬を紅潮させ、息子に返事をする。そして一気に腰を沈めた。ズンという衝撃が女体を縦に走った。顎が持ちあがり、髪がばさりと後ろになびいた。
「ん……んう……」
 歓喜の喘ぎを必死に呑み込む。熟れた乳房がぷるぷるとふるえ、腹部が波打つ。
(ああ、奥に届いてる……)
 千佳は受話器に手の平をかぶせ、洋介の耳に口を近づけた。
「ママはね……今洋介くんに、またハメられちゃっているところなの……」
 恨みっぽい眼差しを洋介に注ぎ、反動をつけて腰を遣いはじめた。
「あん、おばさん」
「たっぷり出したのね。聞こえるでしょ、アソコがヌチャヌチャいってる音。わたしのお腹のなか、洋介くんのミルクであふれているわ」
 歓喜のうめきをもらさぬように、洋介は口を手で押さえていた。千佳は目を細めて、前後する腰ふりの動作をさらに速める。
「なかに出すなんて。わたしのお腹にあなたの精子を注ぎ込むってことの意味、わかってる?」
 千佳は卑猥な腰の動きを止めずに、ささやきつづける。洋介は目を白黒させていた。口を覆う手を外すと、狼狽の表情で千佳を見る。
「そ、それは……」
「おちん×ん、こんなカチカチにして。またおばさんのお腹のなかで射精するつもりでしょう。おばさんのお腹、大きくしたいの?」
「じゃあ、明日の朝帰るから。母さん、駅までの迎え、忘れないでね」
 息子の声が聞こえ、千佳は送話口の手を外した。
「ええ、わかったわ、じゃあね高明」
 息子に別れの挨拶をし、受話器のボタンを押して通話を切った。テーブルに受話器を放った。これで洋介とのセックスに集中できると思うと、言い様のない昂揚が奥底の方から立ち昇ってくる。
「ごめんなさいおばさん。ちゃんと避妊しないとだめだよね……」
 相貌を切なげに歪めて、洋介が膣内射精を詫びる。泣きそうな潤んだ瞳で見上げられると、千佳の胸は甘く締め付けられた。
(ああ、もっと愛してあげたい。もっといじめてあげたい……)
「こういう風にママのなかにも流し込んだの? ママの身体もミルクまみれに?」
「あ、あの……」
 千佳は首を抱き、口ごもる洋介にキスをする。口元を塞ぎながら、洋介の胸に双乳を押しつけ、クイクイといやらしく腰をふった。乳房が、少年の胸肌を愛撫するようにやわらかにこすれる。
「あ、ああ、そんなされたら気持ちよすぎて、またでちゃうよっ」
「いいのよ、もっとわたしの身体を愉しんで。あなたも好きなだけ突き上げなさい」
 濡れた瞳を妖しくかがやかせて、千佳は告げる。愛しい少年に、女のなかで果てる悦びをもっと教えてあげたいと思う。
(ああ、わたしもまたイッちゃいそう)
 女性が上になる体勢だと、膣奥を押し上げてくるペニスをまざまざと感じる。好きに角度を変え、自分の性感帯にこすりつけることも可能だった。
「もうわたしたちの声を聞いている人はいないのだもの。我慢する必要、ないのよ」
 己に言い聞かせるように、千佳はささやいた。洋介の頬をなで、汗の浮かんだ額を舐め、かわいらしい耳たぶを噛む。
「おばさんのなかに好きなだけ出して」
「え? で、でも、おばさんが妊娠したら……」
 洋介が驚きの表情で、千佳を見ていた。狼狽は当然だと思う。少年、しかも息子の親友、そんな子どもが大人の女に精子を浴びせて、子を孕ませるなどふつうではない。
(もし、わたしが洋介くんに受精させられたら……)
 千佳は相を歪めた。あまりの背徳に想像だけで肌が粟立つ。世間も洋介の両親も、息子の高明も決してそんな結末を許しはしないだろう。
(わたしは、それでもあなたの笑顔が見たい)
 少年が満足するだけ、膣内射精を味わわせてあげたかった。自分の身体で、大人になってもらいたかった。
「遠慮しなくていいわ。おばさん年だもの。簡単に赤ちゃんできたりしないわ」
 虚偽のセリフが、すっと出てくる。これでまた少年は精液を存分に浴びせ掛けてくれるだろうと思うと、女壺がきゅんとうねった。
「え、そうなの?」
「ええ、だいじょうぶ。その代わり、もう志穂さん……ママのなかで射精しちゃだめよ。洋介くんもお義母さんが見込みないから、おばさんに乗り換える訳じゃないでしょ?」
「そ、そんなつもりはまったく――」
「じゃあいいの。好きなだけおばさんのなかに射精なさい。ママへの欲望も、わたしの身体で吐き出しちゃえばいいから……ああ、イクわあ」
 紅い罪の色が、白い女体を甘美に染める。少年に跨った女体は、髪をざわめかして突っ張った。
「ああ、もっと……もっとおばさんを突いて、犯してっ」
 喘ぎを放ち、きらめく汗を飛び散らせた。噴きこぼれる快楽と一緒に、拭い去ることのできない重い罪の意識を押し流して欲しかった。
「うん、おばさん」
 ベンチに座ったまま、洋介がグッグッと力強く女体を衝き上げる。またも鼻先を千佳の腋に押しつけ、羞恥の臭気を嗅いできた。
「いやだ、この子は、またそんな辱めを……ああ、イクッ、わたしまた……ごめんなさい、イクうッ」
 乱れた心は、肉体の昂揚を抑えられなくなる。千佳は己ばかりがアクメを繰り返し味わうことを詫び、はちきれそうなバストをゆらして絶頂へと昇りつめた。洋介の肩にしがみつき、太ももで腰を挟み込む。紅い花が目の前で咲き乱れていた。
「僕も……ああ、さっき出したばかりなのに、そんなケツをいやらしくふって……ああ、おばさんに吸い取られるよっ」
 ドクンと肉茎が膨張し、膣のなかに樹液が飛び散った。
「ああ、二回目出てるっ」
 アクメに酔う女体は、火傷するような射精液の熱さに悲鳴を放つ。
(すごいっ、洋介くんのミルクで溺れちゃいそう……)
 性の悦びを知った女は、十代の濃厚な精液を連続で浴びる衝撃に、ヒクッヒクッと痙攣する。味わったことのない極上の恍惚だった。エクスタシーのさなかだというのに、さらに一段上の高みへと押し上げられる。
「うう……たまらないわ」
 千佳は洋介の肩に相貌をこすりつけ、紅唇からだらしなく涎れを垂らす。
「おばさん……」
 射精の快感に、少年の瞳も焦点が薄らいでいた。
「ありがとう。いっぱい出してくれたのね……」
 年の離れた男と女は、恋人同士のように唇をねっとりと吸い合った。洋介の手が千佳の背にまわり、強く抱く。かしずく女の安堵感が、性悦の陶酔をより深めた。
「もう出し終わったみたい……」
 洋介がかすれた声でささやいた。どれほどキスをしていたのだろう。いつの間にか、ペニスの小刻みなわななきが収まっていた。
「ん、だめ……抜くのはまだよ」
 千佳は甘えた声で少年に哀願する。洋介の肩を斜めにぐいと押し、ベンチの座面に仰向かせた。千佳も一緒に身体をまわし込んで、洋介の腰の上に跨る騎乗位の姿勢をとる。
(ああ、こんな恥ずかしい体位で……)
 年上の女が馬乗りになる。まさに少年を襲っている絵図だった。
「なかで出すの、気持ちいいでしょ?」
 千佳は脚を大胆に開いた。チラと己の下腹部に目を落とす。
「ほら、垂れてるのがわかるでしょ? あなたの流し込んだミルクよ」
 充血の度合いを増した紅い盛花は、淫液でテカった肉筒をおいしそうに呑み込んでいた。
「ああ、おばさんの肉ビラ、こんなに広がって……」
 洋介も頭を持ちあげ、互いの接合部を覗き込んでいた。生々しい肉交の情景に、荒く息を吐き出す。
(洋介くん、わたしのアソコが大口開けてるところ、目に焼き付けてる……)
 千佳は脚をもっと淫らに広げて、結合部が見えやすいように便宜をはかってやる。ぷっくり腫れぼったくなった花びらはあざやかに色づき、泡立った精液がべっとりと周囲を縁取っていた。そして隙間からにじみ出た白い液が、会陰に向かってドローッと垂れていく。
(こんなに濃いのをドクドク注ぎ込まれて……受胎したかも……)
 千佳は洋介の上に覆い被さり、相貌を両手で挟んだ。
「あなたも、呑みなさい」
 妖しく上気した相でささやき、朱唇から泡立った唾液をツーッと垂らす。洋介は口を大きく開けて待っていた。唾液は洋介の口のなかに落ちていった。
「おいしい? もっとわたしと気持ちいいことしたいでしょ?」
 洋介を見下ろし、告げた。
「うん」
 洋介が目尻を下げてうなずく。淫欲にのめりこんでいる状態だとの自覚はある。それでも満足そうな洋介の笑みを見ると、膣内射精を許してあげて良かったと思えた。
「たくさん洋介くんからミルク、絞り取ってあげるわね」
 少年を征服したいという欲望が、身体を支配していた。白い双乳を弾ませ、丸い熟臀を踊らせる。腰にきゅっと力を込め、女肉にはまった肉茎を食い締めて楽しむ。
「どう? おばさんの腰ふり、洋介くん満足してくれる?」
 奏でる声は、男の歓心を買うような牝の音色だった。脚で床を蹴り、円を描くように豊満な腰をまわし込んで、十代の肉柱を貪る。攪拌され、泡立った体液がだらだらと隙間からこぼれ落ちるのがわかった。茂った陰毛までも、牡と牝の淫汁でべっとりと股間に貼り付き、グチョグチョと猥りがわしい音が響く。
「ゆれるおっぱいがきれいで、たまらないよ」
 洋介の左右の手が、千佳の乳房をつかんだ。膨らんだ肉丘を指で乱暴に押し潰し、揉んでくる。
「ん、そんなゴムボールのおもちゃみたいににぎって遊んで」
 大きく変形した己の乳房が、嫌でも視界に入ってしまう。夫と別れて以来、こんな風につかまれたことはなかった。白く丸い乳房が男の指で歪められるさまは、自分の目で見ても卑猥だと感じる。
「でも、おっぱいこうやっていじられると、気持ちいいでしょ?」
 洋介が訊く。千佳はコクンと首を縦にふった。もっと乱暴に揉んで欲しいと請うように、洋介の手の甲に自分の手の平を重ねて、グイグイと指を遣った。
「ああっ、洋介くん……」
「僕ね、千佳さんのこと好きだよ」
 洋介が、尖った乳頭を指先でこすりながら微笑んだ。
(わたしのこと、名前で……)
 千佳の心が華やぐ。知り合いの『おばさん』ではなく一人の女として自分を見てくれているのだ。
(わたしはほんきでこの子のことが……。だけどたとえ愛し合っているとしても)
 年齢差はかなりある。高校生と大人の女が恋愛するなど、所詮許されはしない。千佳は言い得ぬ想いを込めて、摩擦の腰ふりを行った。甘酸っぱい牝蜜と、むわっとした精液の臭気が濃厚に立ち昇っていた。
「もっと腰をふって、千佳さん」
 洋介が下から抽送をしてくる。ザーメン液を柔肉にすり込むように、こねくりまわしていた。
「ああ、お腹にあたたかいミルクが広がって……だ、だめ、しないで……感じる場所に、当たってるの。また、わたしだけイッちゃうから」
「いいよ。千佳さんの感じる顔、僕に見せて」
 洋介のやさしい声を聞きながら、粘膜をジリジリこすられ、千佳の頭は熱っぽく混濁する。乳房をにぎられ、絞られていた。全身に快感が渦巻いていた。
「イクッ、ああ、だめ。このまま、イキっ放しになっちゃう、ああんっ……」
 わななく紅唇からは切羽詰まった喘ぎ声が連なって、こぼれる。
(たとえ恋人同士にはなれなくとも、こうして抱いてもらえるなら……)
 千佳は、肉棒の硬さと生殖液の浸透を感じながら、性欲の処理でもよいではないかと思う。
 相貌を倒し込んでいった。朱唇を差し出した。洋介が目を細め、千佳の唇を待つ。
(好き……わたしも、洋介くんが好きよ……)
 唇がふれ合った瞬間、千佳は連続のアクメに襲われた。喘ぎをこぼして洋介の口のなかを舐めまわし、ゆたかな尻の角度を変えて、甘美な衝き上げを受けとめつづける。
 三十六歳の女は、身も心も少年に奪われていた。

 

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