【完全版】大いなる肛姦 3
第二章 媚肉の贈物
1
坂部の言ったことは嘘ではなかった。見るからにキザったらしい若者が、残忍な笑みを浮かべて肩を揺すりながら近づいてくる。左右に子分らしい二人の男を従えているところからも、筋金入りのヤクザなのだろう。
「坂部、何かいい話らしいな。こんなところまで呼びつけるからには、チャチなもんじゃねえだろうな」
若者は竜也だった。銀座のホステスを弄んでいた最中に呼びだされて、しぶしぶ出てきただけに機嫌が悪く、妙に突っぱっている。
不機嫌そうにチラッと江美子を見る。顔は見えないが、両手を天井から吊られた女の爪先立ちのポーズが竜也の好き心をそそる。しかも、服の上からでも成熟した肉体であることがひと目でわかるほどなのだ。プロポーションの素晴らしい長身に、シックなハイヒールをはいた姿は、ふるいつきたくなるほどだった。
「きっと気に入ってもらえますよ」
坂部は、江美子を上から下まで舐めるように見つめながら言った。
「ふん、この女か。贈り物っていうのは」
竜也は江美子に近づく。
「な、何をするの」
いきなり髪をつかまれ、顔を上向かされて、江美子は思わず叫んだ。
「こ、この女は……坂部」
「どうです、気に入ってもらえましたかな」
「江美子……江美子じゃねえか」
竜也の口から咥え煙草がポトリと落ちる。驚愕が顔いっぱいにひろがったかと思うと、だらしなく顔が崩れた。
「フフフ、まさかこんなところでお目にかかるとはな。びっくりしたぜ」
「まだ手はつけてませんよ」
満足した様子の竜也に坂部は安心した。
竜也の眼は、ギラギラと淫らに光り、江美子に吸いついたまま離れない。さっきまでの不機嫌が嘘みたいに生き生きとしている。
「さあ、もう坊ちゃんのものですぜ。ただし、おとなしく抱かれませんよ、この獲物は。相当なジャジャ馬ですからね」
「坂部、さすがだぜ、よくやってくれた。フフフ、この女、俺は夢にまで見たんだ」
必死に顔をそむける江美子を、強引に自分のほうへ向かせながら、竜也は笑った。
「手を、手を離して」
江美子は、品物みたいに扱われる屈辱に、思わず叫んだ。それでなくても、竜也のような男は、江美子が最も嫌いなタイプである。虚勢ばかりで薄っぺらで、見ているだけで虫酸が走る。
「なるほど、相変わらず生きがいいぜ。奥さん、久しぶりだな」
「ええッ……」
思いがけない言葉にびっくりして江美子は竜也を見た。どこかで会った気もしていたが、やはり……しかし、どうしても思いだせない。
「奥さん、いつかは電車の中でずいぶんと俺の足を痛めつけてくれたな。今日はその礼をさせてもらうぜ」
ハッとした江美子の顔から、たちまち血の気が消える。
「あなたは……」
「へへへ、思いだしたようだな。俺のほうは、一日たりと奥さんのことを忘れたことはないぜ。ムチムチした奥さんの尻の感触をな……」
「よくもあんな真似を……向こうへ行って、私に近づかないで!」
ニヤニヤとのぞきこむ竜也の顔を見ているうちに、気の遠くなるような恐怖が襲ってきた。竜也は、坂部なんかよりもずっといやらしく、蛇みたいに恐ろしい男のような気がしてきた。
電車の中でのたまらない羞恥と屈辱は、まだはっきりと覚えている。これまで何度か電車の中でいたずらをされたことはあったが、竜也ほどしつこい指に悩まされたことはない。思いだすだけでもヘドが出そうだ。その竜也の相手をさせられる。江美子は気も狂わんばかりだった。
「俺の足を踏みつけたばかりか、頬までひっぱたいてくれたな。フフフ……この代償は高えぜ」
竜也は、せせら笑うと江美子の腰に手をまわした。グイッと江美子が竜也に引き寄せられる。
「あッ、何を、何をするのッ」
けたたましい悲鳴をあげて、江美子は本能的に身をよじった。
「何をするかって? 決まってるじゃねえか。電車の中のつづきをしてやるぜ。奥さんの尻はとびきりだからな」
「そんな、そんなこと許さないわッ」
「許さないと言っても俺はやるぜ。たっぷり奥さんの尻を楽しんでから、本格的なお礼をさせてもらうぜ。俺をひっぱたいたお仕置きをな、へへ」
「誰があなたなんかに……けだもの」
江美子の声が次第に恐怖に震えはじめた。この男は、ただ自分を犯すのではなく、嬲りものにする気では……。恐ろしい予感がふくれあがった。
横から江美子の恐ろしい予感を裏づけるかのように、坂部が口を開いた。
「奥さん、坊ちゃんは普通のやり方じゃ満足しないんですよ。フフフ……いわゆるサディストというやつでしてね。特に女のアヌスに目がないんだ。アヌス、わかりますか。奥さんのお尻の穴ですよ」
「な、なんということを……」
「奥さんのお尻の穴をこういうもんで責めることにかけては天才ですよ、坊ちゃんは。フフフ、きっとヒイヒイ泣くことになりますね、奥さん」
坂部は、竜也のために用意した不気味な器具を、江美子に見せつけるように並べはじめた。妖しい光を放つ巨大なガラス製浣腸器、アヌスバイブレーター、大小のガラス棒、アヌス拡張器、ネラトン氏管など、江美子が見たことのない器具ばかりである。それが何かわからなくても、女を責める淫らな器具であることはわかる。
江美子の心臓が気の遠くなるような恐怖で凍りついた。やはりそうだったのか……竜也をひと目見た時から、ただ抱かれるだけでない気がしていたのだ。嬲られる……。
「坂部、気がきくな。フフ」
竜也の眼は、もう淫らな光をいっぱいに放っている。竜也は、江美子を自分のほうへ引き寄せると、スッと片手を江美子の双臀に這わせた。
「あ、あ、何をするの。バカなことはやめなさい」
江美子は腰をよじって、けたたましい悲鳴をあげはじめた。ムッチリと肉のついた人妻の双臀が、竜也の手の中でプリプリ震えた。江美子はもう必死だった。縛られている身を狂ったように揺すって、力の限り抵抗する。
「フフフ、あんたがいやがればいやがるほど、俺は燃えてくるんだ。それにしても奥さんの尻、ゾクゾクするほど色っぽいぜ」
竜也は、調子に乗ってスカートの上から撫でつづける。やがて、しつこく双臀を這いずりまわっていた手を、江美子のスカートの中へ入れようとした。
「あ、あ、いやッ、やめてッ、やめなさい!」
本能的に江美子の片脚が舞いあがっていた。その瞬間、江美子に蹴りあげられた竜也が、あお向けに引っくりかえった。
「うわッ! や、やりやがったな」
竜也は、悲鳴をあげた。蹴りあげられたところが急所だけに、すぐには起きあがれない。
「い、いやらしい真似をするからです。私はあなたの言うままにはならないわッ」
江美子も、蒼白な顔を震わせながら吐くように言う。キッと竜也を睨みつけてはいるものの、おびえは隠せない。今の江美子には弱みを見せることは許されない。もし見せれば、調子に乗ってどんな恥ずかしいことをされることか。
「坊ちゃん、だから言わないことじゃないでしょうが」
やれやれといった顔で、坂部は竜也を抱き起こす。起こしながら耳もとで何事か囁く。
竜也は、女を数多く知っているとはいえ、なんといってもまだ若い。それにやたら暴力的に女に接する彼は、強姦によってしか女と交わったことがないのだ。
江美子のような魅力的な女をネチネチ責める能力は天才的だった。その彼がドジを踏んだのは、憧れていた江美子を前に、頭に血が昇っていたからだろう。
「坂部、言われなくてもわかってるぜ」
江美子に蹴られて冷静になったのか、竜也の口もとに薄笑いが浮かんだ。
「へへへ、気の強い女だ。こいつはちょっとやそっとじゃ仕込めねえな……だが、その分楽しみもデカいというもんだ」
竜也は苦笑した。江美子のように気の強い女を、あらん限りの方法で辱しめ、屈服させることに、このうえない喜びを感じるのである。バラにトゲが多ければ多いほど、引きちぎった時の喜びも大きいのだ。
「奥さん、どうしても俺に可愛がられるのはいやらしいな」
「あなたのような男、見るだけでも吐き気がするわ。けだもの!」
「そうかい、フフフ……奥さんには雅子という妹がいるんだって、それにひろ子というガキもよ」
「…………」
江美子は、ハッとしたように坂部を見た。竜也に江美子の弱みを教えた坂部の卑劣さに怒りがこみあげてくる。
「卑劣よ、女を脅迫するなんて、何が狙いなの!?」
「フフフ、だから言ったでしょうが。坊ちゃんに抱かれてもらうってね」
坂部は、竜也と顔を見合わせて笑った。
「け、けだものッ……」
「坂部、そろそろ妹の雅子を見せてやったらどうだ。そうすりゃ決心もつくだろうよ」
竜也は、もっともらしく言った。
「フフフ、そうしますかね」
坂部は、壁のカーテンをスルスルと引いた。壁にはマジックミラーがはめこまれ、その中に雅子が映しだされている。
「あッ……雅子、雅子ッ」
激しく取り乱して雅子の名を叫ぶ江美子の唇からは、血の気が失せている。
雅子は全裸で後ろ手に縛りあげられたまま、布団の上に泣き伏している。その雅子をフンドシひとつの徳二がニヤニヤ見おろしている。
「妹に何を、何をしたの!?」
「別に、暴れるんでちょっと裸になってもらっただけですよ」
「よくもそんな真似を……早く妹の縄を解いて、服を着せてッ」
江美子の瞳が憎悪に燃え、怒りがこみあげてくるのか、体がブルブル震えた。
「そう怒ることはないでしょう。裸にしただけで、まだ手はつけていない」
坂部は、しゃあしゃあとうそぶいた。すでにたっぷりと骨までしゃぶりぬいた雅子である。雅子の肉のゆらめきを思いだして坂部はニヤリとした。
「妹に、妹に服をかえしてッ」
「フフフ、そうはいきませんよ。ねえ、坊ちゃん」
竜也の出番だとばかりに、坂部は竜也を見る。
「フフフ、奥さんの怒った顔はまたなんともいえねえな」
江美子の凄艶な美しさに、うなるように竜也は言った。
「そんな話をしてるんじゃありません。早く妹の縄を解いてッ」
「それは奥さん次第だぜ。雅子にはまだ手をつけてねえが、奥さんがダダをこねると、代わりに雅子が泣くことになる」
「ど、どういうことですか!?」
「奥さんがおとなしく俺に尻を触らせることだぜ。素っ裸でな、へへへ」
江美子の美しい顔が、みるみる蒼白になり、背筋に冷たいものが走った。
「俺が奥さんの体を触っているうちは、妹は無事だ。それに奥さんが素直に服を一枚一枚脱がされるたびに、妹には逆に着せていってやるってことよ」
竜也は、江美子の弱みを容赦なくついてきた。気の遠くなるような竜也の言葉である。
自分が竜也の慰みものにならなければ、妹の雅子が……妹を救うにはもう自分が犠牲になるしかない。しかし、あのいやらしい器具を使われて嬲られる……。
江美子の心臓が縮まり、恐怖に冷たくなった。
「どうだい、俺に脱がされて、尻の穴までいじくりまわされる気になったのかい」
意地悪く、ネチネチと言葉で江美子を嬲りながら、わざとアヌス拡張器を手に取って、江美子の顔の前にチラつかす。
おぞましい器具を目の前に持ちだされて、江美子は、
「そんな、いやよ、絶対にいや」
無我夢中で口走っていた。
「そうかい、それじゃ仕方ねえな。俺は、奥さんじゃなくて女子大生の雅子でもいいんだぜ。へへへ、ヒイヒイ言わせてやるか」
竜也は、雅子のほうを見ながらうそぶいた。竜也の眼中にはもう江美子しかないと言ってよかった。江美子がなんと言おうと、骨まで、いや、尻の穴までしゃぶりつくすつもりなのだ。そのくせ江美子の苦しむ様子を見て、楽しんでいる。
「やめてッ、雅子に手を出さないで」
江美子は、吊りさげられた肢体を必死に揺さぶって叫んだ。本能的に、いやッと叫んだ江美子だったが、雅子のいる部屋に向かおうとする竜也を見たとたん、そう叫ばずにはいられなかった。
「お願い、やめて……」
江美子は、自分の置かれた立場も忘れたように哀願した。もう、その美しい瞳に怒りの炎はない。今にも泣きだしそうな、絶望の瞳だった。
「それじゃ、電車の中のつづきをやってもいいのかな」
「…………」
「だんまりか。となると雅子を楽しむとするか。へへへ」
「ま、待って、雅子だけは助けてやって」
飢えきった竜也の、蛇のような眼を見て、江美子は絶望した。
もうだめだ、自分が嬲られるしか道はない。竜也が手にする恐ろしい器具が、どのように使われるかわからなくとも、むごたらしく、自分の体を襲う光景が、江美子の脳裡をよぎった。雅子はまだ二十歳だ。結婚を約束した恋人の純一もいる。愛する妹のために自分が……江美子は悲しい決意をするのだった。
「妹だけは手を出さないで……代わりに……」
気も遠くなるような屈辱と恐怖に、もうそれ以上は言えない江美子。
「いいんだな。へへへ、それじゃ尻の穴までいじくりまわしてやるぜ」
勝ち誇ったような竜也の笑い声の中で、江美子は眼を閉じ、血がにじむほど下唇を噛んだまま、ガックリと肩を落とすのだった。
2
「フフフ、まずは妹の体に何かかけてやりたいだろ。となりゃ、奥さんが上半身を剥きだしにしなくちゃな」
「あ、ああ、そばに来ないで」
「可愛い顔をしやがる。おびえた顔も色っぽいぜ。へへへ……そんなに俺が恐いのか。今に、奥さんが考えてるよりもっと恐い男だということをたっぷり教えてやるぜ」
竜也の手が、江美子のノースリーブにかかった。後ろから抱きしめるように胸のふくらみをわしづかみにする。
「ヒィッ……あ、ああ、いやッ、いやッ」
江美子は悲鳴をあげてのけ反った。愛する妹のためにこの地獄を耐えなくては……。そう思っても思わず悲鳴をあげずにはいられない。
「う、うう……けだものッ」
「プリプリといい手触りだぜ、奥さん」
胸のふくらみを味わうようにしばらく揉みこんでいた竜也は、一気にノースリーブを胸もとから引き裂いた。ノースリーブが無残に引き裂かれて床に落ちた。成熟した豊艶な乳房がブルッと震えて露わになる。子供がいるとは思えぬほど、乳首はピンクがかって愛らしい。
「あ、あ……見てはだめッ」
うろたえて江美子は頭を振る。
「ほう……見事なおっぱいしてるじゃねえか、奥さん。形がなんともいかすぜ。フフフ、剥き玉子みたいじゃねえか」
江美子の乳首を竜也が突ついた。江美子は悲鳴を噛み殺し、両眼を閉じた。チョンチョンと突つかれるたびに、しびれるような快感が襲ってくる。そのおぞましい感触に、体中がキュッと引きしまる。
「これで準備はよしと……それじゃ電車の中でのつづきをさせてもらうぜ」
江美子の前にまわった竜也は、江美子の腰を引き寄せるようにして、スカートの裾を高々とめくりあげる。
「うッ、うう……」
「この尻だ。へへへ、まったくムッチリした尻だぜ」
竜也は、ゆっくりとパンティの上から江美子の双臀をなぞった。胴震いがくるほど肌触りがいい。尻たぶの頂きからキュッと落ちこんだ深い谷間は、江美子の尻肉の豊かさをあますことなく指先に伝えてくる。
「ううッ……け、けだものッ」
江美子は、今にもほとばしりそうな悲鳴を必死に噛み殺した。
こんなけだものに嬲られるなんて、いやよ、絶対にいやッ……。
屈辱に耐えきれず、片足がブルブルと床から離れかけた。
「おっと、また、俺を蹴飛ばす気かい、奥さん。妹がどうなってもいいのかな」
竜也のてのひらが、双臀から太腿の裏側へと繰りかえし往復しながら這いずりまわる。豊満な尻肉がキュッと締まった。
「ああ、口惜しいッ」
江美子は声を振りしぼった。愛する夫にしか許したことのない美しい肌である。それをヘドの出そうなけだものが、荒々しくまさぐっていく。江美子一人なら、必死に抵抗し、死をも覚悟することができる。だが、今の江美子は、妹を押さえられている。そればかりか子供のひろ子まで……。マジックミラーの中の雅子を見ながら、歯をくいしばる江美子である。
「色っぽい唇だぜ、へへへ」
双臀をまさぐりながら、竜也は江美子の髪をつかんでしごきあげた。あお向けになった江美子に竜也の唇が吸いついた。よだれが溜まっていたのであろう、ベチャッという不気味な感触である。
「うう、くうッ……」
竜也のなめくじのような唇で口をふさがれた江美子の上半身が反りかえった。
歯の間を割って舌を吸いとろうとする竜也の動きに、江美子は双臀を這うおぞましい感触も忘れて、必死に歯をくいしばった。口に気をとられている間に、パンティのゴムに竜也の指がかかったかと思うと、クルッと双臀のほうから剥きおろされる。
「く、くう、うう……」
いやッ、脱がさないで……絶対にいやッ……。
江美子は、絶叫した。だが、竜也に口をふさがれていては、呻くように喉が鳴っただけであった。クリックリッと双臀が左右に振られる。
「坊ちゃんは熱いキスに忙しそうなので、後はこの私が」
坂部はかがみこむと、剥きおろされたパンティをズルズルと引きさげていった。
豊艶な人妻の双臀が、坂部の目の前にあった。白くムッチリと肉が乗り、頂きの高い双臀はフランス女性のように形がいい。ムンムンと匂うような色香に、さすがの坂部も圧倒されかけた。
「なるほど、坊ちゃんが夢中になるのもわかりますよ。なんともたまらない尻をしている。フフフ、実に見事だ……」
スカートのホックをはずして江美子を全裸に剥きながら、坂部はうなるように言った。
坂部は、年がいもなく興奮した。竜也のような若僧にくれてやるのが、なんとももったいない気がする。だが、竜也は黒川組二代目を約束されている若親分だ。計画の遂行のためにこらえるしかなかった。
「く、くくう……」
また江美子の喉が泣いた。素っ裸に剥いた江美子の黒髪をわしづかみにしたまま、柔らかな唇を貪る竜也は、片手を裸の双臀に這わせながら、もう江美子に夢中になっている。
「フフフ、残るはこのハイヒールだけですね、奥さん」
坂部の手が江美子のハイヒールにかかる。その時、竜也はようやく軟体動物を思わせる唇を江美子から離した。江美子にとって長くつらい口づけだった。
「坂部、靴は脱がすな。素っ裸にハイヒールだけ、美しい奥さんにはお似合いだぜ」
口もとのよだれを拭いながら竜也は言った。竜也は、あらためて江美子を見た。
「奥さん、俺とキスをするのがいやらしいな。まあいい、そのうちじっくり責め落としてやるぜ。フフフ」
上から下へと江美子の裸身に眼を這わせていく。ムッチリと白く、しぼりあげれば母乳の出そうな乳房は、まだ男を知らぬような新鮮さに満ちあふれている。キュッとくびれた腰から太腿にかけては、人妻特有の成熟した肉づきがピチピチと弾けそうだ。太腿の付け根の女の茂みは、白い肌とは対照的に黒々と神秘的な美しさだった。
竜也は、じっくりと上から下までのぞきこんでうなるように言った。
「た、たまらねえ。まさかこれほどの体をしてるとはな」
蛇のような眼は、もう狂ったようにギラギラと血走っている。
「坊ちゃんも眼が肥えてなさる。これほどいい女は、数多く女を仕込んできた私にも、初めてですよ」
坂部が相槌を打つ。
「み、見ないで。見てはだめッ……こんなことして、タダですむと思っているの」
江美子は、吐くように言った。もうたまらない羞恥と屈辱に泣き崩れそうになる。だが、恥ずかしがってはかえってこの男を喜ばすだけであると知ったのか、江美子は必死に強がってみせる。
「女をこんなふうにしか扱えないの。最低よ、あなたたちはけだものよッ」
江美子の必死の叫びも、竜也にとっては心地よい音楽でしかなかった。かえってサディズムの血をかきたててくれる。
「それにしてもいい尻をしてやがる。フフフ……早く見てやりたいぜ」
竜也は、江美子の後ろにまわると双臀の前にかがみこんだ。
「な、何をする気なの。バカなことはやめてッ」
何をされるのかという恐怖心に、江美子の尻肉がキュッと硬直した。剥き玉子のような江美子の白い双臀を見ているだけで竜也は達しそうになった。
「奥さんは素晴らしい体をしてやがる。その中でもこの尻はピカ一だ。ムッチリとして弾けるようだ……」
まるで宝物でも扱うように、竜也はそっと両手で触れていく。
「さ、触らないで。いやよッ」
尻肉がクリックリッと左右によじれる。尻たぶをそれぞれ左右の手で包みこんで持ちあげるように撫でまわしてくる感触は、竜也のしつこい性格を伝えてくる。
「フフフ、そそられるぜ」
両手いっぱいに尻肉を味わう竜也は、両方の親指に力を入れて肉にくいこませると、思いきって左右に割り裂いた。
「い、いやッ、そんなところを……いやよッ」
江美子は、恥ずかしい行為に必死に両膝を閉じ合わせる。だが、後ろからの侵入に、驚くほど割れひろがっていく。肉が割れひろがっていく感覚が、忍びこんでくる外気とともに、たまらない羞恥となって江美子を襲った。
「フフフ、のぞいてきやがったぜ」
竜也がうわずった声で言った。
「どんなですかね、坊ちゃん。奥さんのお尻の穴は……」
ニヤニヤと坂部が聞く。
「す、すぼめてやがる……いいもんだぜ。たまらねえよ、奥さんのケツの穴は」
尻の穴というところを強調して竜也は言った。江美子に聞かせるためである。
「い、いやあッ……見てはだめ。けだものッ、けだものッ」
狂ったように江美子は体を揺すった。愛する夫にも、眼に触れさせたことのない箇所である。排泄器官でしかないと思っていたところを、嬲りの対象にされ江美子は狼狽した。江美子は、もう妹のことも忘れたように抵抗した。その激しさに、あやうく突き飛ばされそうになった竜也は、苦笑して立ちあがった。
「フフフ、よほど尻の穴はいやらしいな。となりゃ、どうあってもいじくりまわしてやるぜ。坂部、縄だ。脚を縛るんだ」
竜也は、いっそうサディズムの血をかきたてられたように淫らに笑うのだった。
3
淫らで妖しい気配がもう部屋いっぱいに立ちこめている。
「フフフ、奥さん。この縄でその綺麗な脚を縛らせてもらいますよ。思いっきりその脚をおっぴろげるようにね……そうすりゃ、坊ちゃんも安心して奥さんのお尻を責められるというわけですよ」
坂部は、縄をしごきながら言った。
「もういやッ。これ以上の辱しめはいや。どこまで辱しめれば気がすむっていうの!」
江美子の声が、恐怖にひきつっている。
もう耐えられない。恥ずかしい姿に縛りつけたうえで、お尻を嬲る気だ……。江美子をドス黒い絶望感がおおっていく。いきなり、坂部は江美子の左足首に手をかけた。上へ持ちあげるように割り裂こうとする。
「あ、あ、何をするの。バ、バカなことはやめてッ」
江美子は、下半身に力を入れて固くすくませながら、あわてて悲鳴をかなでた。力を入れた両脚がブルブルと震える。だが江美子は爪先立ちで吊られている身だ、男の力にかなうはずはない。ジワジワと両脚が離れはじめる。
「な、なんてことを……けだものッ」
江美子は狂ったように体を揺すってのけ反った。
「おい、お前ら、手を貸すんだ」
あまりの抵抗に、坂部は竜也についてきた二人の子分に向かって怒鳴った。
「へい、そいつはありがてえ」
役得とばかり二人は飛びつく。激しくくねる江美子の両脚を押さえつけると、坂部に手を貸すように片脚の膝のところに縄を巻きつけていく。
「縄はいや、縛られるのはいやよッ」
「フフ、おとなしくするんだよ、奥さん」
江美子の左の膝に縛りつけた縄を天井のフックにかけると、力まかせに引きはじめた。
「あ、あ、ああッ……」
江美子の喉から、羞恥の悲鳴があがった。悲鳴とともに、江美子の左脚が横へ割り裂かれながら上昇していく。
いくら閉じ合わせようとしても無駄だった。グイグイ縄が引かれるたびに、内腿に外気が忍びこむ感触に、江美子は嗚咽しはじめた。江美子が初めて見せた涙である。
「ひどい、ひどいわッ、いや、助けて……」
膝がヘソの高さまであがったところで固定されると、江美子はもう動こうとはしなかった。いや、動かそうにも動けないのだ。
「すげえ。何もかも剥きだしだぜ、奥さん」
竜也がいやらしい呻き声をあげてのぞきこんだ。
「ああッ、どこを見てるの。いやよ、見てはだめッ」
江美子は、血の出るような声で叫んだ。
「フフフ、泣くのはまだ早いぜ。今にもっといろんな方法でヒイヒイ泣かせてやる」
まるでねばりつくような熱い視線を這わせながら竜也は笑った。
女の秘密のすべてが目の前にあった。艶のある黒い茂みの奥に女の生命がのぞいている。剥きだされた女の秘密は、妖しいまでの生々しさで竜也を圧倒した。
竜也は、両手いっぱいに江美子の太腿をなぞりあげると、震える指先でそっと触れた。ビクッと江美子の体が緊張した。
「ヒィッ……いやあッ、触らないでッ」
すさまじい悲鳴が噴きあがる。
「へへへ、そんなふうにいやがって泣かれると、かえって触りたくなるぜ。それにしても生々しい……」
竜也の唇からは、もうだらしなくよだれがあふれている。竜也のいたぶりは、休むことなくつづいていく。
「あ、ああ、見ないで……見ないで……」
うわ言のように江美子は繰りかえした。
「き、綺麗なもんだ……とても子供を生んだとは思えねえ」
さらに大きく剥きだしにしながら、竜也はうなった。指先で何度もまさぐるたびに、それはヒクヒクと口惜しげに蠢く。
「フフフ、可愛い蕾じゃねえか」
指先で羞恥の蕾をさぐりあてた竜也は、ニヤリとする。
「ヒ、ヒィッ……」
ビクン、ビクンと江美子の体がはねあがった。
「敏感なんだな、奥さん。ちょっと揉みこんだだけで、そんなに喜ぶとはな。フフフ」
「も、もういやッ、犯すなら早く犯してッ、辱しめはもうたくさんよ」
耐えきれないように江美子は叫んだ。
ネチネチと嬲られるのはもうたくさんだ。いっそ早く犯されたほうが……。
「お、おとなしく抱かれるわ……そんな辱しめは、もう耐えられない……」
「奥さんはもう我慢できねえとよ。早く抱いてちょうだいか、へへへ……坂部、俺に代わってバイブで可愛がってやんな。これだけの体をしてるんだ、一度すっきりさせてやらねえとな」
竜也は、江美子の双臀のほうへまわりながら言った。
「え? しかし坊ちゃんは」
思いがけない竜也の言葉に坂部は驚いた。これまでこんなことはなかった。竜也は、女をすぐにしゃぶりつくし、アヌスを犯してしまうのが常だった。それを江美子の場合は、坂部にバイブを使えと言う。
「坂部、いつもと違うんで不思議そうな顔をしてるな。フフフ、これだけの御馳走となりゃ、俺はすぐに食わねえんだよ。たっぷり時間をかけて楽しまなくちゃよ」
「坊ちゃん、そんなにこの女が……」
予想以上の成果だった。坂部自身、竜也がこれほど夢中になってくれるとは思っていなかった。これで一段と計画を遂行しやすくなった。坂部は心の中でニヤリとするのだった。
「それじゃ、俺は奥さんをいじくりまわしてやるとするか。フフ」
剥き玉子のような江美子の尻たぶに、竜也はゆっくりと指をくいこませた。
「やめてッ……やめてッ」
尻たぶをジワジワと割り裂かれる感覚に、江美子は狼狽した。
「おとなしく抱かれると言ったのよ。もう嬲られるのはいやッ」
「俺の女になりたいというのか、奥さん。俺に尻の穴を捧げる気になったと……」
〝尻の穴を捧げる〟この言葉の意味を江美子はまだ知らない。しかし、江美子は激しく頭を振ると、
「バ、バカなことは言わないで。私には夫がいるのよ。ただ抱かれるだけの約束でしょ。早くすませてッ」
吐くように言った。
「亭主がいても俺の女にはなれる。そのうち、亭主より俺のほうがよくなるぜ。へへへ」
竜也は、割り裂いた双臀の底から眼をそらすことなく言った。
「なんてことを……誰が、誰があなたみたいなけだものと」
「そうかよ。それじゃけだものがどんなことをするか、教えてやるぜ。俺の責めはきついぜ。きっと女に生まれたことを後悔するはずだ。フフフ」
くいこませた指に力を入れて、さらに割り開くと、江美子の菊座をのぞきこむ。
小さくすぼまったアヌスは、まだ男に触れられたことのない神秘的なたたずまいを見せていた。竜也の熱い視線が伝わるのであろう、尻肉がキュッと収縮する。
「そんなところを触るなんて……触らないで……ヒイ、ヒ、ヒ……変態ッ」
指先で恥ずかしい箇所をジワジワ揉みこまれて、江美子は泣き叫んだ。
自分のアヌスに異常なまでに興味を示す竜也に、あらためて竜也の変質性を思い知らされた江美子である。
「やめてッ、やめてッ」
「フフフ、すぼめてやがる。この可愛い口が今にふっくらしてくるんだぜ、奥さん」
「ひ、ひどい……けだものッ」
アヌスを嬲られるのは、花園をいじくりまわされるよりも恥ずかしい。ずっとおぞましい感覚なのだ。めくるめく恥ずかしさに江美子はむせび泣いた。
「フフフ、やっと女らしい泣き声をあげたじゃねえか、奥さん。そんなにいいのか?」
竜也は、執拗に江美子のアヌスを揉みほぐしていく。菊の花の襞をひと筋ずつなぞるようにこすりこんでいく。
「どうです、坊ちゃん」
バイブレーターを手にした坂部が、江美子の花園に指を這わせながら聞いた。
「眼をつけただけのことはあったぜ。たまらねえ尻の穴だ。こいつは仕込むのが楽しみだ。坂部、ガラス棒を取ってくれ。そこの細いのだ」
「坊ちゃん、今日は慎重ですね」
ガラス棒を渡しながら坂部が言った。
「ああ、これだけ綺麗なアヌスを俺の太いので傷つけたくないんでな。ジワジワひろげてからのお楽しみというわけよ。おい、お前らも奥さんがもっと気分出すように、おっぱいをモミモミしてやんな」
連れてきた二人の子分に向かって竜也は言った。
「へい」
二人の子分は、ペコリと頭をさげると、ニヤニヤ笑いながら左右から江美子の乳房にむしゃぶりついた。
「やめて、いや、いやッ」
高ぶった声をあげて、江美子は必死に体をよじっていやらしい手を避けようとする。だが、片脚を吊りあげられている身では、いくら暴れてもはかない抵抗だった。
「奥さん、このガラス棒が何だかわかるかい。フフフ、奥さんの尻の穴に入れるんだぜ。このガラス棒をな。フフフ」
ガラス棒を江美子の目の前にチラつかせると、竜也はゆっくりと的に触れさせた。
「ヒ、ヒィッ……」
ガラス棒がゆっくりと押し入ってくる感覚に、江美子の喉から強烈な泣き声が噴きあがった。尻肉が硬直したかと思うと、肢体がガクンとのけ反る。
「おっとと……」
二人の子分が、江美子を押さえこんで笑った。白く豊艶な乳房が男の指の中でタプタプと揉みこまれ、悲鳴とともに形を変える。
「どうだい、奥さん。ガラス棒の味は」
竜也は、ガラス棒をさらに埋めこんでいきながら笑った。
クルックルッとガラス棒が江美子の中でまわる。つづいてスッと引かれたかと思うと、グイッと押し入ってくる。これが何度も繰りかえされるのだからたまらなかった。必死に声を出すまいと噛みしばった歯の間から、耐えかねた悲鳴があがる。
「う、うう、くうッ……あ、ああ……」
すさまじい羞恥だった。江美子の顎がたまらずにのけ反る。
「こっちもあふれてきましたよ。フフフ、好きなんですね、奥さん」
繊細な神経を指先で刺激しつづけていた坂部が竜也を見る。
「ああ、こっちまで流れてきてるぜ」
竜也もニヤリとする。
「乳首も硬くおったって、コリコリですぜ」
二人の子分も思わず声をあげた。
「坊ちゃん、触ってみませんか」
坂部の誘いに、竜也は指を前へまわした。ほんのりと、とろけるような感覚が温かみとともに伝わってくる。
「グッショリじゃねえか。とろけるようだぜ……そろそろ欲しいんじゃねえのか」
指先の果汁のしたたりを嗅ぐようにしながら竜也はニヤリとした。
「あ、あ、いい……い、い……」
ガラス棒を操作されて江美子が泣いた。
坂部は、男性を象ったグロテスクな突起物をかざしてみせる。スイッチが入るとブーンとうなりながら先端がクネクネと頭を振る。
「そ、そんなもの、いや、使わないでッ」
江美子は、おびえた顔をひきつらせる。
「フフフ、奥さん、たっぷり楽しませてあげますよ。ぶっつづけで三回はね」
バイブレーターの先端が江美子に触れた。
「ヒィッ、いやッ」
ブーンという振動が、濡れそぼった果肉にたまらない刺激となって襲ってきた。
もうそれだけで頭の芯までジーンとしびれるようだ。自分の意志とは関係なく、肉が蠢く自覚に、江美子は狼狽した。感じまい、そう思っても官能の疼きは驚くほど、ドクドクとあふれてしまう。「江美子は敏感なんだね」と言った夫の言葉が、あらためて悲しく思いだされた。
「奥さん、入れますよ」
坂部は、江美子の肉の蠢きに舌を巻く思いで、ゆっくりと押しすすめた。
「あ、ああッ……あなた、許してッ」
愛する夫の面影が脳裡をよぎった。夫にしか許したことのない肢体である。
「お腹いっぱいに頬張るんですよ、奥さん。へへへ、それ、そうれ……」
それは、江美子が白眼を剥くまでに深く、重く沈んでいった。女の弱点を知りつくした抽送が、次々と送りこまれてくる。
「あ、あ……い……い、こんな……」
めくるめく官能の嵐の中で、こらえてもこらえても嬌声が噴きあがってしまう。江美子は肉欲の渦の中で、もうどうすることもできなかった。
「あッ……あ、あ……」
もう嫌悪感はなかった。ただひたすらに官能の炎に身を焼きつくすことしかなかった。
「こりゃ激しいね、奥さん。そんなにいいのかよ。へへへ、これだけの体をしてりゃ無理もねえけどな」
竜也も、一段と巧みにガラス棒を操っていく。江美子に残された道は、もう官能の炎に身を焼きつくすことだけであった。
【Web連載はここまで。続きは本編でお楽しみください】
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本編には挿絵が付いています