船で帝国から獣大陸へ高飛びを目論むヤリ捨て盗賊・クロック。
船上でも魔人・シュゼットとまぐわう、性に奔放な逃避行。
人大陸の最果て・ルシェローラ港に到着した途端──当然、娼館へ。
仲間には内緒で、猫獣人のメスと一夜限りの逢瀬を満喫しているが、
物陰からは女勇者の手先の魔法使い・ヘルミーネが覗き見していて……
一方、王国では魔王軍強襲の兆しが。勇者パーティにも試練が迫る!
女たらしのカスの盗賊の逃亡劇、時代が動く第4巻! 人大陸完結編!
第一話 船上の暇潰し
第二話 船上でもっと暇潰し
第三話 vs勇者パーティ
第四話 勇者を見たら逃げよう
第五話 反省会
第六話 ルシェローラ港
第七話 女将に口説き交渉
第八話 交渉成立
第九話 スパイの末路
第十話 クラブ、ディープキャット
第十一話 新人従業員の使い心地
第十二話 金は全てを解決する
第十三話 アンナの真意
第十四話 皇女様の社会見学
第十五話 再会(偽)
第十六話 なし崩し
第十七話 帰ってくる者、帰ってこない者
第十八話 消えた少女
第十九話 終わりの始まり
第二十話 聖女と勇者
幕間 少女の軌跡・探し続ける少女
幕間 少女の軌跡・焦がれる少女
幕間 少女の軌跡・再会する少女
幕間 少女の軌跡・鎖がる少女
幕間 少女の軌跡・分岐点
書き下ろし番外編
本編の一部を立読み
第一話 船上の暇潰し
「んっ、んうっ、ちゅ、ちゅる……」
狭い甲板室の中で、しっとりとした水音が響く。
「んっ、一体、何を言ってくるのかと思えば、いきなりこれですか……んむっ」
言葉を紡ぐために離された唇を、首の後ろから引き寄せて再び繋げる。
舌は入れない、啄むようなキス。
愛情を示すかのような行為で、他の行動はしない。
胸や尻なんかにも触らずに、ただただ抱きしめながらちゅっちゅっと口付けを交わしている。
「んっ、ちょっと……んちゅ、はっ、んんむ……!!」
シュゼットを追いかけてきたクロック。そのいきなりの行動に、困惑をしているらしいシュゼット。
怒る女にどんな甘い言葉を繕うのか見てやろうとでも思っていたのか。
ただ迫られただけならそこまで驚くこともなかっただろう。
そのまま押し倒されれば、いつもの罵詈雑言をこれでもかと飛ばしたに違いない。
しかし今日のクロックは勝手が違った。
長々と、延々と、ひたすらに彼女の唇を捉え続けたのである。
「ちゅ、ちゅっ、ちゅっ、んちゅ……」
かれこれ十分。いや、二十分は続いているであろう執拗なキス。
シュゼットは、どうしていいか分からないと身を任せきりになっていた。
「んっ、ふぅ……い、つまでする気で……んんむっ」
しつこい愛情表現ですっかりとろけた目。
口だけは何とか抗議しようとしているが、その手は抱き返すように男の背に回している。
嫌がる素振りはない。むしろ、彼女は自分から舌を出してきた。
いい子だ、と。自分から求めるような動きができたことを褒めるように頭を撫でて、差し出された舌先をちゅっと吸い出す。
ちょっとは許されたかな。
自分から舌を出すということは〝させている〟から〝同意の上でする〟へと変わったということだ。今ならセックスにこぎつけても拒絶されずに挿れさせてくれるだろう。
陥落したように思えるだろうか。しかし、そもそも彼女は既にクロックのモノ。
反旗を翻される前に宥めたようなものだ。今後も蔑ろにしていると思われれば、またこういうことが起きてしまうだろう。
「……脱がすぞ」
余計な会話は不要。セックスは察し合いだ。
しかし何でも一つのルールに則るわけではない。こういう機嫌を損ねた時は言葉で気持ちを確認することも大事なことだ。
彼女をゆっくりと押してベッドに寝かせると、すぐに下から手を差し込んだ。
シュゼットは何も言わずに腰をあげる。それを認識すると、なるべく優しい動きで丁寧に下着を下ろした。
……さて、どうっすかな。
このままいっちまうか? いや、その前に、だ。
シュミーズの下より露わになる、貴族付き使用人の恥部。
結構な蜜が溢れている辺り、しつこいキスでかなり興奮したらしい。
取り敢えず下着を脱がさせてくれるくらいには許されたわけだが、懸念がある。根本的な解決に至ったわけではないことだ。
彼女は大事に扱えと言っていた。シュゼットが怒ったのは、蔑ろにされていると思ったからだろう。
それは分かった。もちろんそのつもりで対応する気はある。
しかし、だ。朝からアデリーナを可愛がったくらいで怒るというのは、はっきり言って面倒でしかないのではなかろうか。
彼女の上半身を片手で抱え上げる。
赤ん坊を抱えるかのように優しく抱き上げると、朱の差した彼女の顔に近づき、再び唇を重ねた。
先ほどから幾度となく交わしている口付け。
彼女の気を逸らした隙に空いた手を伸ばし、シュミーズの下に潜り込ませて剥き出しの局所に触れる。
「んっ……!! あ、やっ……んむぅ……っ」
赤ちゃんのように抱えられた体勢で股を弄られるのは些《いささ》か恥ずかしかったのか、彼女は掴みかかって僅かな抵抗を示した。
そこまで強い力ではないので無視し、彼女を引き寄せて口付けしながらスリスリと手全体で局部をなぞる。
逆の立場なら授乳手コキになっただろうか。今の状況を名付けるなら、口付け手マンとでも呼べばいいのか。
「ちょ、ちょっと……これっ」
「あー、ほら、暴れんな。気持ちよくしてやるから」
「やっ、だっ……!!」
羞恥で落ち着かないらしい。腕にしがみつき、足を閉じようとしてくる。
若干暴れるのが鬱陶しいので、強めに抱き寄せて胸板に押し付け、彼女の顔が見えない状態でマ×コを弄る。
スリスリと、ムニムニと、硬く尖る陰核を撫でながら柔らかい女性器の入り口をなぞる。
その勢いで中指を侵入させる。親指の腹で突起をクリクリと刺激しつつ、膣内の腹部側にあるザラついた面を同時に撫でる。
すぐにビクビクと身体を震えさせ始めた。
元より半分は出来上がっていた彼女の身体は、限界までそう遠くはなかった。
しばらくもしないうちに身体が絶頂の準備を始めたことを悟ったのか、シュゼットは抵抗をやめて黙りこくった。
そのまま男の手淫でイカせてもらうべく、胸に顔を埋めたまま足を少し開き、ふぅふぅと息を荒げながら受け入れ姿勢を見せる。
よしよし、いい感じだ。
そのままだぞ。
ここまでされたのなら取り敢えず最後までシて欲しい。イク直前なら、誰でもそう思うことだろう。
彼女の変化の切り替わりをギリギリまで見定める。
ちゅこちゅこと響く、イヤらしい音。
蜜が溢れる淫口を攻めながらヨシヨシと撫で続けていると、彼女の腰が、尻が持ち上がった。
腰をくねらせて彼女が絶頂を果たそうとした瞬間──
「…………んえ?」
クロックはその手を止めた。
「……ところでシュゼット。ちょっと聞きてぇことがあんだけどよ」
交渉を仕掛ける場合、餌をぶら下げながらやるのが基本である。
クロックは、シュゼットとの関係において円滑に譲歩させるべく、彼女の絶頂直前マ×コを掌握した状態で会話を始めた。
「俺は二人を囲うって話をしたじゃねぇか。何で今更怒ってたんだよ。俺はアデリーナだけじゃなくお前のことだっていくらでも抱くつもりだってのによ」
とんでもなく酷い男だ。生殺しとかいうレベルではない。
くすぶる感覚に疼いて仕方ないのか、はぁはぁと息を荒げながら涙目で見上げるシュゼット。
あとちょっとシゴいてもらえれば気持ちよくイケたはずなのに、突然それを人質に取られてしまった。
シュゼットは、体裁を取り繕うのもやめて口を開いた。
「だ、だって……当たり前じゃないですか。三人で一緒に寝てたはずなのに、朝起きたら一人だった時、私がどれだけガッカリしたか。……人の目を盗んでイチャイチャとエッチしてた貴方には、理解できませんか」
「……なるほど」
気持ちよくて溢れたらしい涙は、彼女の頬を伝って零れ落ちた。
タイミング的に、悲しくて泣いたようにも見える。
朝というのは恋人が特に優しくされたい時間の一つだ。
その時に居たはずの相方がおらず、他の女とセックスしていたとなれば寂しいだの妬ましいだのと思ったりするかもしれない。
言われてみれば当然だろう。三人で寝た初日に彼女を放置したのは良くなかった。
「大体貴方、昨日も夜中にアデリーナさんとシてたじゃないですか。そんなにあの子がいいんですか」
「……ん?」
「……なんですか。気付いてないとでも思ってましたか。貴方が寝ている彼女に腰を打ち付けていたの、私は見ていましたよ」
どうやら夜中のおイタがバレていたらしい。
アデリーナに夢中になりすぎて、シュゼットの視線に気付いていなかった。
ってことはあれか。
昨晩と今朝で二回とも見せつけてたってことか。
なるほどな。そら怒るわな。と納得させられた。
彼女からすれば、どう考えてもアデリーナ第一にしか見えなかったことだろう。
拗ねるのも無理はない話だ。
「いや……何か目が覚めちまってな。アイツは元々俺の奴隷でよ。こう……セックスしたら寝れるなって、あの頃の名残でつい……な?」
何か言わなければという気持ちで、口から適当な言葉を吐く。
言った瞬間、あまりよくないことを言った気がした。
それを耳にした彼女は、何言ってんだコイツ、とばかりに顔をしかめた。
「……なんですか名残って。つまり貴方は、奴隷だった頃から彼女に無理強いしてたわけですか。断れないのをいいことに、やりたい放題していたと?」
何故奴隷だったのか。何故解放したのか。
そんな事は些末だとばかりにスルーした彼女は、クロックの行動のみに食いついた。
僅かな情報を元に、シュゼットは類い希なる知恵を発揮し、見事な解答へと至る。
導き出されたのは非常に都合の悪い正解だ。
「…………いや、んなことは……」
「そうですか。私は貴方が彼女の股に顔を突っ込んでいた時から見ていましたけど、あれはそういうことだったのですね」
シュゼットの目が、段々と細くなっていく。
「いやいや、それはただの前戯だって……」
「えぇ、見ていましたよ。彼女の股に顔を突っ込んで、断れないのをいいことに貪っているところを。そのあと、彼女の優しさにつけ込んでパンパンと腰を打ち付けてましたね。私の視線にも気付かないくらい夢中になって」
先ほどまでのうっとりした顔はどこへやら。
彼女は、嗜虐心すら感じられるほど怪しい笑みを浮かべると、鬼の首をとったかのようにクロックの醜態を指摘し始めた。
「そういえば言ってましたね。私に、使用人になれとかなんとか。勢いで言った冗談かと思ってましたけど、実は私から断る権利を奪いたかったんですね」
それは本当に冗談のつもりだったが、面倒なので流す。
そんなことより、無駄に聡明な彼女の思考を何とかすべきではないか。
もはや交渉どころではないだろう。
彼女の言葉を遮るべく、手の動きを再開させる。
寸止めしていた愛撫の再開だ。再び室内にねっとりした水音が響く。
んくっ?! と声を吐き出したシュゼット。
しかし、彼女も負けじと口角を曲げた。
「拒否できない女なら、簡単にチ×ポ突っ込めますもんね。んっ、断れない彼女とのセックスは、気持ちよかったですか? さぞや優越感で満たされていたことでしょう。私にも、んくっ、同じことを、しようとしてたんですねっ。大方、好きな女のタイプは、っ、すぐ、ヤれる女、んっ、とかでしょうか」
言いたい放題だ。
しかしそこまで極端な趣味ではないが、間違いでもない。
週一で決まった時間しかヤれないお上品なお姫様より、毎日好きな時にヤれる小汚い奴隷や村娘の方が好きに決まっている。
優しくしたい女だって同じだ。毎日ケーキを食べる着飾った女より、籾殻《もみがら》を剥いで小銭を稼いで生きる女の方が大事に扱いたくなるもんだ。
内心で同意しつつ、冷めかけていた彼女の胎に、熱を灯し直す。
速すぎず、遅すぎない。弱い箇所を満遍なく撫で上げ、プシプシッと愛液を弾くアソコをほじくり出す。
「あ、貴方がどうしてそういう人、なのか、んっ、分かりますよっ。自分より弱い立場じゃないと、んっ、口説けないからでしょう。力も金もない貴方如き、あっ、あっ、誰も、相手にしないから。ほっんと、んっ、情け、ない人です…あっ!」
核心に触れるシュゼット。少し違うが、大体合っている。大体は。
女という生き物は他人のことにとかく敏感だ。クロックが女を掌握するのを得意としていても、女だって何も見ていないわけではない。
シュゼットは、この短い関わりの間にクロックという人物をつぶさに見続けていた。
自分の胎に新しい命を宿したかもしれない男を理解すべく、あらゆる行動を分析し続けていた。
「うるっせぇマ×コだな。だったら何なんだよ。黙って股開いとけ」
そんな健気な彼女だが、明かしてきたのは黒い部分だ。
歓迎できるはずもない。
いつぞやの夜、憎まれ口を叩き合っていた日のように、口汚く彼女を詰る。
知らない女を路地裏に連れ込んで襲うかのように雑に扱う。
せっかく優しくしようと気遣っていたが、もはや気にしても仕方がない。
「サイッテーです。開き直るとか、程度が知れ──くっ、ふぅっ、んっ」
開き直るしかないだろう。
本性を知ってる相手に取り繕うほどアホらしいこともない。
口の減らないメイドをしっかりと抱き留め、なるべく本人に音が聞こえるようイヤらしい動きでマ×コを掻き出す。
寸止めから間が開いたといってもほんの僅か。すぐに熱が灯った彼女の身体は、再びピクピクと絶頂の準備を始めた。
このまま、なるべく情けなくイカせてやる。
そんなつもりで女性器をちゅこちゅこ鳴らしながら肉芽をシゴきあげると、大粒の涙を溜めた目で彼女は見上げた。
「こ、こんなことしたって所詮貴方は──」
「うるせぇって。さっさとイケ《・・》」
命令を下す。誰が上であるかを教えるように。
そのままやかましい口を塞いだ。抱える彼女を引き寄せて唇を繋げ、黙らせる。
瞬間、彼女はギュッと強くしがみついて──大きく跳ねた。
「んっ──ぐぅぅぅうぅぅぅーッ!!」
釣り上げられた魚が上品に跳ねれば、こんな感じだろうか。
彼女は服にしがみつくのをやめ、クロックの背に腕を回して力いっぱい抱きしめた。
プルプルと震えるシュゼット。上半身だけ見れば落ち着いたイキ方だ。
投げ出されている下半身は激しく動いた。
ヘコヘコと腰をスライドするように動き、ベッドを軋ませる。
指をくわえ込んだ肉穴は、いつもの中出しチ×ポと勘違いしたかのようにうねうねと絞り上げるようにまとわりつく。
余計なこと言ってねぇで大人しくしてればいいものを。
今日はあれだな。徹底的に可愛がらないとダメだな。
悪いことを考えるクロックは、彼女の唇を強めに吸いながら手を動かし続けた。
浅イキでは終わらせない。絶頂したマ×コを絶え間なくシゴきを続け、追い込みをかける。
そう簡単には戻ってこられないよう陰核を虐めながら中の粒を執拗に攻め続ける。
気持ちいい波が引いていったのか。彼女は段々と苦しげに抵抗を始めた。
絶頂が済んだばかりの生殖器を刺激されるのは、男女どちらでも辛いものだ。
「んぐっ! ふうっ、ふっ、んぐぅぅぅッ!」
懇願するようにタップを始める彼女を無視し、愛液が漏らしたように溢れてグズグズになっている陰部を刺激し続ける。
脚を閉じられないよう股に足を差し込み、暴れられないよう強く抱きしめる。
抵抗を奪った状態でひたすらにマ×コを虐め続ける。すると──
プシィーッ! と、彼女は潮を吹き出した。
「おいシュゼット。お前今晩もここで寝るってのに、漏らしてんじゃねぇよ」
出たのは潮だ。尿ではない。
しかも漏らしたのではなく、漏らさせられただけ。やったのはクロックだ。
しかしそれは他人から見た意見だろう。当の本人はそれどころではない。
何かを出してしまったことを理解した彼女は、新たな黒歴史ができたことに羞恥を浮かべた。
「んくっ、あっ、ちっ、ちが……んうっ、貴方が……!」
「あぁ? お前は漏らせって言われたら漏らすのか。子供か?」
子供が出さないものを出しているのだ。むしろ大人の証だろう。
彼女を言葉で雑に攻めつつ、まだアソコを弄り続ける。
腰を暴れさせて逃げようとするシュゼット。
イッてもイッてもやめない執拗な手マンだ。垂れた涎を拭く余裕もないらしい彼女は、詰《なじ》り返すこともできずに酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。
そのまま刺激を続ける。
時間が経てば、やがて絶頂の波はひく。苦しみが終わると、手淫は再び気持ちいいという感覚をもたらし始める。
彼女の必死の呼吸に色が混じり始める。抵抗は鳴りを潜め、代わりに委ねるように脚が開かれる。
一度イク前より強い感覚を味わっているであろう彼女は、ねっとりした視線をクロックに差し向けた。
頃合いを見て手を止めると、彼女の股から手を引いた。
「……セックスすんぞ。……いや、マ×コ使うぞ。股開けよ」
シュゼットを一旦解放し、立ち上がって脱衣する。
彼女の肢体と痴態に大きくそそり立ったチ×ポがぶるんと飛び出る。
それを見た彼女は、ゴクリと喉を鳴らした。
彼女の反応の機微を見逃さなかったクロックは、見せつけるようにシュゼットの前に立った。
何も言わずに無言で彼女に近寄り、陰茎を突き出す。
情緒もロマンも、女への気遣いなんて微塵もない。ただヤらせろという態度。
その動きを見たシュゼットは、震える両足を自ら持ち上げると──ピクピクと震える女性器を差し出した。
第二話 船上でもっと暇潰し
「んっ! んぐっ、くっ、ふっ……んああッ!」
ドタッ、ドタッ、と叩くようにベッドを軋ませる。
ここは船の中で、他に人はほぼいない。
近所迷惑を考える必要もないので、人の耳を気にせず激しく音を鳴らして女を攻める。
「あっ、あっ、あんっ! あうっ!」
男の下で惜しげもなく喘ぐ、青交じりの黒髪を乱れさせる女。
貴族家の使用人という瀟洒《しょうしゃ》で優美だった彼女は、強引に本性を暴かれて雌猫のように鳴く。
上半身は、帝都でどこかの誰かが外に干していたシュミーズで覆っており、下半身は何も身につけていない。
剥き出しの股はチ×ポで貫かれ、卑しく誘うような腰使いで男のモノを悦ばせている。
「いいぞ。マ×コうねってきたな。このままイかせてやるぞ」
むちむちの尻を押し潰し、柔らかくまとわりつく肉の壺に力強く陰茎を押し込み、両腕を押さえながら幾度も腰を上下させる。
服の中で暴れる乳を尻目に彼女を眺めていると、不意に肉壁がギュッと締め上がった。
「イケ《・・》」
わざわざ命令口調で指示を出す。
絶頂時にいつもしがみつこうとする彼女の癖を逆手に、両腕を押さえる力を込めて、封じる。
すると彼女は──。
「んうううッ、くっ──あああッ♡」
自由がきく上半身をくの字に曲げ、衣で隠れたままの胸を突き出すように跳ねた。
手を伸ばし、まるで絶頂を褒めるかのように、頭を撫でる。
絶頂中だ。反応こそないが、大変な侮辱だろう。
ピクピクと震えるシュゼットは、服の上からでも分かるほど硬く尖った乳首を突き出し、息を止めて快感の衝撃を堪えている。
絶頂の山が過ぎると、彼女は止めていた息を荒く吸い、急ぎ酸素を求め始めた。
厚い胸を大きく上下させるシュゼット。
いつもなら労いの言葉でもかけて少し休みを取るところだが、今日は女体を労ることなくそのまま腰を打ち込み続ける。
彼女がイっても終わりではない。まだセックスは終わっていないと、震える膣壁でチ×ポを扱き続ける。
こちらの意図は理解していたであろうが、我慢して受け止めていた彼女は段々と苦しげな顔になってきた。
自分を組み敷く男に涙顔を向け、懇願にも似た表情を見せる。
ダメだ。やめてやらない。
こちらの意図を雰囲気だけで伝えると、口の悪い使用人は必死な形相を浮かび上がらせた。
「……くっ、い、一旦、や、やめ……ッ!!」
「お、どうした。もしかして降参か?」
辛い、と。イッたマ×コにピストンするのをやめて欲しい、と。
明らかにそういう意図で言葉を繰り出そうとした彼女に、意地悪い台詞を吐く。
「くっ……な、何でも、なっ、んくっ……ですよッ!」
すると彼女は、分かりやすく強がる選択を取った。
そっぽを向き、汗で濡れた頬に髪を張り付かせ、苦しげな表情を隠す。
まるで初めて無理強いでもするかのような気分になる。
そんな強がりを見せられると、ムキになって犯したくなるのが男というものだ。
狙ってやっているのかとさえ思う。
まぁスパイだしな。
何されても耐えられる訓練とか受けてきたんだろうし。
イキマ×コを扱かれたくらいで白旗をあげるスパイなどいるはずもない。
微かに聞こえる波の音と、彼女の嬌声を耳に少し逡巡したあと、抵抗できないよう封じていた手を解放した。
陰茎は差し込んだまま、彼女の足を掴んでグイッと回し、腰を腕力で持ち上げる。
脱力状態だった彼女はされるがままに体位を変え、男に尻を向ける体勢になった。
彼女は手で布団を掴んでいるものの、顔は半分ほど枕に埋めてぐったりしている。
「さ、さっさと……んっ、終わってください……! 航路の、んっ、確認など──」
「あー、いーってそんなん。今日のお前はマ×コでチ×ポ扱くのが仕事だ。他のことは忘れろ」
こんな時でもクソ真面目か、と呆れ半分感心半分に思いつつ、彼女を本格的に攻め始める。
激しいピストンはやめて、彼女に入ったままの竿を奥へ奥へと挿し込む。元より奥にぶつかりまくっている中で、最奥を押し上げる感じでグイグイと突く。
彼女の中に埋まるチ×ポ。その先端に当たる、プリプリとした感触。
その部分を執拗に、かつ丁寧にリズムよく押し込む。
「どうだ、これ。チ×ポくそ長くなっちまったからな。イイとこ簡単に当たんだろ」
「なっ、にを……ふ、普通です……んうっ。何、自信過剰に……んっ、なってるんですか……!」
荒い吐息を深々と吐きながらも、呼吸の合間に憎まれ口を叩くシュゼット。
絶頂して間もないが、激しい行為ではなくなったために幾分余裕ができたらしい。
これなら何とか、とでも思ったのだろうか。しかし本当の攻めはここからだ。
最初の一回はイかせることで膣に準備させただけであり、真の目的は──女のもっとも弱い場所を狙うためなのだ。
「はっ、はっ、はっ、はっ──」
何とか息を整えようと必死になっているシュゼット。
尻丸出しで、服はめくれて下乳が少しだけ見えている。
二度の絶頂を経て粘ついた汗が皮膚を覆い、尻を掴めばピッタリと手に張り付くような感触がする。
「いや、いいマ×コになったな。キュウキュウまとわりついてきやがって。毎日こん中にチ×ポ突っ込めるんだ。開発してきた甲斐あるぜ」
「んっ、はっ、はっ、な、何ですか……んっ、開発って」
「あ? 開発は開発だぞ」
パン、パン、とリズミカルに尻を打つ。
本気汁が飛沫をあげて散り、汚れた布団がさらに染みを作る。
かきまぜられた密壺は何かが足りないとばかりに蠢き、絶頂したことなど忘れたかのように再びチ×ポを歓待し始める。
「お前とはいつまでの付き合いになるか分かんなかったからな。毎日セックスしてる時に、一応俺好みの身体になるよう調整してきたんだ。ほら、下っ腹が疼いてこねぇか?」
クロックの怪しい言葉。不可思議な宣言。
何かを感じたのか、シュゼットは黙り込んだ。自らの腹部に手を当て、怪訝な表情をする。
さて、何を思うのだろうかと様子を見ながら、彼女の胎を丹念に往復する。
「んっ、くっ……何ですか、コレ……いつもと……」
「お、分かるか。いつもと違うだろ? 女が一番感じるのはそこなんだよ。ちゃんと使えるようになるまで時間がかかっちまうのがネックなんだが──」
クロックは、シュゼットがちゃんとそこで感じていることを確認し、ニヤリと悪い顔をした。
「使えるようになったらめちゃくちゃイイんだぜ。イッた時、漏らしながら失神する女もいるくらいにな」
漏らしながら、失神する。
自分を貫く男の目的を悟ったのか、彼女の膣穴がキュッと締まった。
セックス中に緊張すると、マ×コは反射的に締まる。危険を察知したのだろう。まるで欲しがるような動きを見せる。
しかして今の彼女に何ができるだろうか。
先ほど強がりを見せたばかりの彼女を観察する。腰を止めず、彼女の性器で気持ちよくなりながら背後から眺める。
「うっ──くっ、ふっ……ううっ」
シュゼットは、膣穴の抽送に耐えながらも動かない。
今更になってやめてと言えないのだろう。返答に窮した彼女は、背後をチラチラと覗きながらも言葉を紡げないでいる。
まぁお前はそうだろうな。
魔人族だからかな。無駄にプライドたけぇから。
たかだかセックスくらいで根をあげたなどと思われたくないのだろう。
どうせそういう反応をすると思ってたので、特に驚きもなく彼女を追い詰め続ける。
少しずつ抽送の速度をあげ、彼女のよく締まるマ×コをちゅぽちゅぽと擦りあげて刺激する。
奥のプリプリを執拗に虐め、子供を産むのに何の心配も要らなそうな尻をギュと押し潰す。
脳に絶えず快感信号が送られている彼女がそこまで冷静に考えられるはずもない。
何かを迷っているのか、枕に顔を押し付けて黙ってピストンを受け止めるシュゼット。
そうこうしているうちに彼女の胎は段々と限界へ近づいていった。
ポルチオ刺激によって感覚が蓄積し、膣内は収縮し、小さなイキが幾度も彼女を襲い始める。
「んっ……くうぅっ、くっ、ふううぅぅ……!!」
気がつけば、灰のシュミーズは色が変わるほど汗を含んでピッチリと彼女に張り付いている。
一段と感じているのだろう。
深呼吸を繰り返し、明らかに深いところに沈んでいっている。
今の行為はいつものとは違うのだ。
男が抜きたいだけの行為ではなく、シュゼットを一番下まで落とすための本気セックスなのだ。
彼女は抗う選択を取らなかった。それにより、身体はそのまま底の見えない先まで連れ込まれようとしている。
「おうシュゼット。自分からケツ押し付けてんじゃねぇか。んなにイイのかよ」
いつの間にか彼女は、その柔らかい臀部をグイグイと押し付けてきていた。
膣内も身体の痙攣に合わせてキュンキュンと反応し、くわえ込んだチ×ポをこれでもかと締め上げる。
返答をしない彼女は、気付いていないのだろうか。何かを言おうと思ったが、別にいいかと流すことに決める。
ここまで我慢していたクロックだったが、さすがにそろそろ限界が来ていた。
「……っし、そろそろ出すぞ。ここだ、ここに出すからな。出されたらイケ《・・》よ」
再び、命令を下す。
余所様の使用人である彼女に、主人面で上から指示を下す。
チ×ポで奥を突き、彼女のもっとも弱い場所を指定して、何をするのかを口にすることで、本人に理解させる。
「はぐっ?! くっ……ふっ、ふっ、ふぐぅぅぅっ……!!」
痙攣を始めるシュゼット。
下腹を中心に、全身に行き渡る快感の中心部に何をされるのかを知った彼女は、苦しげな声をあげ始めた。
どうやら想像だけで絶頂の準備を始めたらしい。
「いや、はえーって」
全身をぶるぶると震えさせる彼女に、慌ててパンパンと腰を早める。
先にイかれては台無しだ。ただセックスして楽しむつもりでやっているわけではないのだ。
イケと言われたらイク身体になったと彼女に認識させること。彼女を完全に征し、生意気なことを言えなくなるようにすること。
彼女を完全に征服する。
今日はそのための足がかりにすることにしていた。命令されればイかされ、チ×ポを突っ込まれたら底なし沼のように深くイクのだと体に覚えこませる。
彼女の女を完全に掌握してしまう。そうすれば生意気な口も多少は治まるだろうという、そういう計画なのだ。
「あー、よし。もういいぞ。イケ《・・》」
込み上げる射精感。
既に止められないところまで迫り上がったのを感じると、加減をやめて一気に腰を打ち付ける。
傍から見たら少し情けないかもしれないくらい彼女の尻に甘えるようにしがみつき、気持ちの良い穴を貪る。
ぬっぽぬっぽと抽送し、種汁が流れてくることを覚悟した雌穴に服従を要求する。
「んっ、くっ──あ、あああぁぁぁぁーッ!!」
ほんの僅かに、彼女の方が先に限界を迎えた。
狭い甲板室に、悲鳴に近い声が響く。
膣内が大きくうねりをあげて、チ×ポを咥えたまま激しく収縮する。
「ぐっ!」
彼女のオーガズムに釣られたかのように、先端より一気に放出が始まった。
我慢していた堰が切られ、強い波が襲いくる。掴んでいた尻を、ぎゅっと握って射精の感覚に耐える。
「あっ──がっ、はぐっ……あ、あッ♡ ああッ♡」
「おらっ、暴れんなっ」
強い絶頂に、大きく跳ねる彼女の腰を力いっぱい押さえ込み、子宮までの道を確保して中に吐き出していく。
肉厚たっぷりのケツに、どぷどぷと注ぎ込まれる精子。
引き締まった胎の筋肉に押し潰されんばかりに揉まれ、留まることなく排精していく。
「あぁー♡ あっ♡ あーっ♡ あぁぁーッ♡」
止まらない腰。膣内をほじり、かき回しながら射精する。
男のねっとりとした種付けの仕方に、激しい絶頂を続ける魔人の女。
イッているのに膣壁をごりごりと削られ、まだ終わってないと勘違いさせられていつまでもイキ続ける。
マ×コいっぱいに頬張ったクソデカチ×ポが宣言通りに最奥に吐き出した時点で、彼女は前後不覚に陥った。
一番ダメなところ。一番気持ちいいところにグッと押し付けられて、びゅーびゅーと勢いよく出される。
その衝撃が下腹から全身に行き渡り、全ての神経を邪魔するほどの快楽信号が送られ、猛烈な痙攣を引き起こした。
呂律が回らない。舌の動かし方も分からなくなった彼女は、ただただ赤ん坊のような声を発した。
声を出さないと意識が飛ぶとでも思ったのか、ガクガク震えながら無為に発し続けた。
「……ふぅ」
しつこく絡みつく肉襞を越え、たっぷりと吐精しきる。
彼女のイキマ×コは大変に心地良かった。目一杯に搾り取られ、しっかりと子袋に流し込むと、深い満足感が湧き上がる。
ヤることヤって、これでもかと吐き出したマ×コを拝もうと、チ×ポを抜き取る。
ぬぷっ、と。愛液でコーティングされた股全体が露わになると、一筋の線、とは言えないほど太い白濁がどぽりとこぼれ落ちた。
そのまま彼女の下半身を解放する。べたんっ、と支えを失った彼女の尻はベッドに沈み込んだ。
「……大丈夫か?」
「あ♡ がっ……はっ、あっ♡ はうっ♡」
全く大丈夫ではなさそうだ。
チラと顔を覗き込む。
涎と涙でクシャクシャになった彼女は、拭き取ることすらできずにビクン、ビクンと痙攣を続けている。
「……ちょいやりすぎたか」
体勢的に呼吸に支障をきたしそうな気がして、彼女の身体をグッと引っ張り、転がす。
身体に触れただけでビクンと跳ねる彼女を仰向けに変えて、気道を確保する。
脱力しきった、魔人族の雌顔。
汗でひっついた髪をかき上げて顔を晒させる。すると彼女は我に返ったようにクロックを見つめた。
目の前にいるのは彼女の身体を制圧した男。彼女は、涎が垂れっぱなしの口を開いた。
「はっ、はっ……気は……済みました、か……」
「……あ?」
この期に及んで、彼女は平気だったとでも言わんばかりの言葉を口にした。
お前の我が儘に付き合ってやったぞと、笑みさえも浮かべた。
「……あんだけ盛大にイッといて何言ってんだ。気持ちよかったろ? 今のはチ×ポでしかできない、女が自分でできないやつだ。俺だけがここまで気持ちよくしてやれるんだぜ。今後もこれを味わいたいなら……分かるよな?」
お前の身体は俺が管理する。気持ちよくなりたいなら言葉には気をつけろと。
そんな意味を込めて彼女の髪を撫でる。
「ばっかみたい……あっ、貴方こそ、何言ってるんですか……私はお腹に、貴方の子を抱えているんです、よ……」
シュゼットは、まるで話の噛み合わなさそうな話で反論した。
「……いや、それがどうしたよ。責任なら取るって。それよりお前も──」
いい加減口の悪さをなんとかしろ、と言いたかった。
「責任、取るつもりなら……女の諫言《かんげん》くらい……受け止める度量を持ったらどうですか……はぁ……はぁ……自分より弱い相手に酷いことする貴方だと……分かった上で、産むって言ってるんですよ……」
ピキッと身体が固まる。
真剣な表情だ。彼女は、揶揄《からか》う気で言ってるわけではないのは間違いない。
「はぁ、はぁ……傷ついた女に強引に迫る、貴方みたいなクソ野郎の子供を、産むって言ってるんですよ。ちょっと口悪く言ったくらいで、チ×ポで分からせようと、しないでください……このお腹は、とっくに貴方に、制圧されてるんですから……」
──なるほど。確かに。確かに。
言われてみればその通りだ。まごうことなき事実。
よくよく思い返さなくても、彼女との最初の行為は襲いかかった結果だ。エルナに足を貫かれ、戦闘不能になって抵抗できないのをいいことに無理やり犯した。
彼女からすれば完全にクソ野郎である。そんな男の子供を産むと言っているのだ。優しく扱うことはあれど、少々暴言を吐かれたくらいで酷いことをするのはあまりに酷い。
「……すまん。ちと気が短すぎたわ」
「……あら。珍しい言葉を吐きますね。謝罪という概念を知ってたなんて、驚きです」
謝った瞬間にさっそく煽ってくる。
割と真面目に言ったのに、このクソ女と言い返すべきだろうか。
ヒューっと、甲板室の扉から隙間風が吹き抜ける。
涼しげな空気が流れたことで、いつの間にか汗をかいていることに気付く。
シュゼットに至っては汗だくだ。北の土地にいるとは思えないほど、全力疾走した後のような姿だ。
このまま放置すれば風邪でもひいてしまいそうだ。この状態でいつまでもお喋りしているわけにもいかないだろう。
「……はぁ。取り敢えず、少し休みます。そしたら航路の確認と船内の──」
「いや、ヤり直すわ」
「……はい?」
しかしこのままではいられない。いられなかった。
彼女の嫉妬や諫言はさておき、男クロック。セックスのあとに呆れ顔を晒されるなど何とも不甲斐ないのではないか。
先ほどの行為は本気で彼女を落としにいったのだ。イケるタイプの店の嬢が相手なら、ほとんどが店の外でもヤらせてくれるようになった。
自信があった。しかし彼女の心には通じなかったのだ。
「いや、今回は俺が悪かったよ。お前の口の悪さなんて可愛げくらいに思ってたはずなんだが、ムキになっちまった。だからお詫びもかねて、お前に俺の本気を見せるわ」
「……いえ、待ってください」
シュゼットは、力の入らない腕でプルプルと身体を引きずり、後ずさりを始める。
「心配すんな。漏らそうが何しようが絶対揶揄ったりしねぇ。今日は、今日だけはお前のことを唯一無二の女だと思ってヤる。ホント悪かったな。ほら、こっちこい。仲直りしようぜ」
「………………私、死ぬんでしょうか?」
何故か後ろに逃げようとする彼女を引きずると、汗を存分に吸った服を剥ぎ取り、脚を開かせて素早く挿入し直した。
力の入らない彼女を簡単に組み敷き、前から突き入れてハメ倒す。そのまましっかりと種付けし直したあと、続けて後ろから、また前からと、なるべく丁寧に貪った。
キャンキャンと、猫から雌犬にチェンジした彼女の嬌声はよく響いた。
お詫びの連続セックスでしこたま彼女に注ぎ込み続けていると、次第に甲板室はパンパンとハメる音だけが鳴るようになった。
お詫びは夜まで続いた。
漏らそうが何しようが構わず彼女の胎の奥を捉え続け、途中から何故か謝罪を始めた彼女の唇を塞ぎ、無心にチ×ポを突き込む。
気付けば彼女は眠りにつき、クロックも疲れでクタクタになっていた。
部屋が酷い惨状になっている気がしたが、気にするのも野暮なこと。
スヤスヤと気持ちよさそうに眠るシュゼットを撫でると、彼女を抱いてそのまま意識を手放した。
その日の夜のこと。
船内で仲良く眠りにつく二人を余所に、彼女は忙しなく船内を歩き回っていた。
あっちの壁に。こっちの柱に。
彼らが部屋から出てこないことを知っていた彼女は、銀の棒状の何かで船のそこいら中に魔力を描いた。
複雑な陣が幾重にも重なった絵。
見る者が見れば、高等な魔法陣であることがすぐに分かるであろう、複数の属性が衝突する式。
少女はピタリと止まってため息をつく。
月明かりが強く反射しているのか。黄金色の瞳が正面を向いて怪しげに輝く。
前を向いているはずなのに、まるで目の前以外を見ているように彼女は瞬きもせずに一点を視る。
──瞼を閉じ、輝きが散る。
全ての準備を終えたとばかりに胸を撫で下ろした彼女は、そそくさと移動した。
そのままデッキの後ろに躍り出ると──。
『海竜様────海竜ベルゴーナ様』
その瞳に、海の後方から迫る数多くの明かりを映した。
夜の水平線を覆う、二十隻もの船団の篝火《かがりび》。
『交渉があります。次の王竜の名前を教えるので、手伝ってください』