白い乳房がこわばり、朱い秘肉が濡れ疼く。
今夜も兄に抱かれる瞬間を夢想する絵梨子。
だけど近親相姦は許されない。十年前のように……
妻や恋人より魅かれ合う兄妹の想いが頂点に達した時、
美しき義姉妹をめぐる相関関係は悲劇へと……
えりこ 妹
まゆみ 女医
本編の一部を立読み
「兄ちゃん、ここで寝たら風邪を引くわ。いま布団を引くから……」
「あ、ああ……」
眩しそうに目を開けた俊介は、絵梨子の顔をまじまじと見た。次の瞬間、俊介の腕が絵梨子の首に絡みついた。絵梨子は俊介のバスローブの胸に顔を埋めていた。
「兄ちゃん……だめ」
しんしんと染みとおる北国の夜、髪に、頬に、乳房に、尻に、太腿に、股間の繁みに感じた俊介の手のぬくもりが、一瞬のうちに甦える。おずおずと俊介の手が、絵梨子の背中から尻へとおりていく。その一つひとつの肉の感触を確かめるように。
俊介の手の動きに応えるように、絵梨子はバスローブの襟に顔を埋めた。襟がゆるんだのか、それとも絵梨子が顔で押しのけたのか、俊介の胸がじかに頬に触れる。俊介の肌の匂い、耳たぶを打つ熱い鼓動、髪をなぶる吐息のそよぎ、十年の間待ちつづけたものが、いま自分のものになろうとしていた。
躯の花芯が甘く痺れ、とろりと熱い蜜のしたたりを吐きだし、股間の花唇がひっそりと濡れて花開く。俊介の手が絵梨子のガウンの襟をかきわけて、やわらかく乳房を包む。
その温かみのなかにすべてを忘れてしまいそうになったとき、最後の余力を振り絞るように激しく雷鳴が轟いた。雷鳴はまるで神の怒りのように絵梨子の耳を打った。
「いけない……お兄ちゃん」
甘美な香りに惹かれて足を踏み入れようとした魔の淵から、引き戻されたような気がした。そこに足を踏みこんだとき、底なし沼のように、もうあとには戻れなくなる。則之に抱いたおぞましさを、自分たち兄妹にも持たなくてはならない。待ちつづけたものが現実のものになりかけたとき、絵梨子はその恐ろしさにおののいた。
心も躯もこれほど俊介を求めていながら、二度と求めてはいけないもの、求められないものだと思うと、はためいた雷鳴にも負けないくらいに、胸も張り裂けるほどの声をあげて叫びたかった。叫びは涙となってほとばしり、俊介の胸を濡らし、ローブの襟に染みこんだ。