奴隷戦士ゲラールが目撃する、王国を滅ぼされたエルフたちの末路。
道行く人間に子種をせがむ同胞に、人間側に裏切り生きる者たち。
我が娘ララノアがきっと祖国を奪還してくれる、その日までは!
種馬として雌奴隷エルフたちに中出しし続ける屈辱と快感の日々。
しかし、挫けぬ心はセックスショーで最愛の者と再会した瞬間に……
サークル青豆腐が贈る震撼の王国滅亡記、eブックス書き下ろし!
(文庫換算135ページ)
●もくじ
1 敗北の歴史と囚われのエルフ戦士
2 人間たちの街
3 ダークエルフの奴隷指導役
4 種馬エルフ戦士の屈辱
5 高ぶる欲求
6 セックスショーのステージへ
7 悪魔の正体は最愛の……
8 娘の嘲笑、父の崩壊
9 壊れたエルフへの鎮魂歌
ララノア エルフ
本編の一部を立読み
「同胞を孕ませて、見世物になることがエルフの誇りなのですか?」
「それは……っ」
いずれ再起を果たす解放軍と合流するために、今は恥を耐え忍んで種馬として奴隷の身に甘んじているのだが、観客の前で真実を口走るわけにはいかない。しかし次に吐き出された言葉は、ゲラールの覚悟を嘲笑った。
「あんな声をあげるなんて、案外可愛いところもあったのですね――父上ぇ?」
「……は?」
一瞬、なんと言われたのかわからなかった。
投げかけられた最後の一言に心臓が跳ね上がり、冷や汗が噴き出す。自分の耳がおかしくなっただけだと、聞き間違いであるはずだと、ゲラールは慌てて目隠しを掴み取った。
ずっと視界を塞がれていた影響で焦点がぼやけているが、徐々にピントが整うと自分に跨っている女エルフの顔が鮮明に映る。
「お久しぶりですねぇ、父上」
満面の笑みを浮かべてゲラールを見下ろしていたのは、サイドテールが特徴的な若いエルフだった。ありえないと、何度も頭で否定し続けるものの少し髪が伸びて大人びた印象を受けるが、彼女を見間違えるはずがなかった。
「なっ……なっ、なぜお前がここにいる! ララノアぁあっ!?」
目の前にいたのは、ゲラールが絶対の信を置く愛娘であるララノアだった。
彼女は数カ月前にここバルローニからアルフィリアら王族を救出し、バリステンを出て潜伏しているはずなのだ。
理解が追いつかず、ゲラールは堪らず絶叫していた。
「お、親子だとぉおっ!?」
「マジでアレがララノアちゃんの父親!?」
店中の人間たちも驚愕してどよめきが起こるが、当のゲラールは混乱の極みにあり、騒然とする周囲の音さえ届いていなかった。