男女比率1:1万の新世界──上級学院二年生になり、
文化祭でも配信者として確固たる実績を残していくユウタ。
募らせる淡い想い、そして拭い去れぬ過去の記憶と共に
ユウタを複雑な眼差しで見つめるミナト大名家当主のサオリ。
そんな状況で迎えたユウタにとって二度目の聖夜祭で、
世界を揺るがす大事件が──運命が流転する、激動の第六部!
第六部 転がり、堕ちる
1 上級学院二年生の文化祭の前日
2 上級学院二年生の文化祭の始まり
3 上級学院二年生の文化祭の視察
4 上級学院二年生の文化祭の倉庫室
5 上級学院二年生の文化祭の倉庫室 サオリ
閑話① 男性管理省大臣の執務室
6 上級学院二年生の文化祭の休日
7 ヨシワラ大名家
8 上級学院二年生の文化祭の二週目の終わり
9 貞操観念
10 告白
11 赤の王 ナナセ
12 上級学院二年生の文化祭の終わり
13 跳び箱の中 サオリ
14 求め合って
15 上級学院二年生の聖夜祭の前日
閑話② リリスと木野侑太
16 上級学院二年生の聖夜祭の朝 レイラ
17 ミナト大名家の大事件
18 上級学院二年生の聖夜祭の始まり
19 上級学院二年生の聖夜祭の求婚
20 上級学院二年生の聖夜祭の大事件①
21 上級学院二年生の聖夜祭の大事件②
22 上級学院二年生の聖夜祭の大事件③
23 上級学院二年生の聖夜祭の大事件④
24 転がり、堕ちる
25 上級学院二年生の聖夜祭最後の求婚
閑話③ 変異体
26 大晦日
27 元旦
28 東京ノア
29 キョウバとルリカ
30 上級学院二年生の終わり
閑話④ セイラム
閑話⑤ リリス
本編の一部を立読み
「ユウタ様~♪ ちょっとだけ跳び箱の中に入ってみませんか?」
「え?」
「エリカさん!」
「いいじゃないですか~♪ 今日は視察に来られている方達だけで、ユウタ様の時間もありますし。ちょっとだけ~♪ 私もユウタ様と一緒に跳び箱の中に入ってみたいですぅ~」
「猫を被った声とはこのことですね」
「エリカ姉様は、自分の欲望には忠実なので」
「あはは。う~ん、ユキシロさんはどうですか? ユキシロさんが嫌でなければ……」
この跳び箱の中に入ると、あの日の出来事がより鮮明に思い出されてしまうかもしれないと、ユウタはユキシロを気遣った。
「私は……い、嫌ではないです。そ、その……この跳び箱は、初めてユウタ様に触れ合えた想い出の場所ですから」
「なら決まりですね♪ 早速入りましょう!」
跳び箱の中に三人で入ると、上手く一段目を塞ぐ。あの時も三人入ると密着状態だったが、今回も同じだ。違うのはあの頃よりもユキシロの胸は大きくなってより密着してくるのと、逆にサオリの大きな胸がエリカの胸に変わったことで少し余裕ができたことか。エリカの胸が小さいのではなく、サオリの胸が大きすぎるのだ。
「これは……ドキドキしちゃう状況ですね♪」
「エリカさん、どこ触っているんですか」
「それは~♪ ユウタ様の逞しいところを♪」
「あっ、ず、ずるい!」
「ユキシロ様も触られたらどうですか?」
「ユウタ様……そ、その……よろしいですか?」
「は、はい。この状況で改めて聞かれると恥ずかしいですけど、ユキシロさんがよければ」
狭い跳び箱の中でユキシロとエリカがユウタの身体を触っていく。
「ユウタ様♪ 私に体重をかけて身体をお預けください」
「は、はい」
エリカに身体を預けたユウタの服を、二人は器用に脱がしていく。狭い中でもユウタの服を脱がすのは問題なかった。
「ユウタ様……お口でご奉仕させていただきます」
「はい……んんっ!」
ユキシロは小さく前屈みになると、ユウタの男根に顔を近づけて口で奉仕していく。狭い跳び箱の中にユキシロのフェラチオの音が響いて、エリカがユウタの口に顔を近づけてキスを始める。
「ユウタ様♪ お口にご奉仕させていただきます♪」
エリカはユウタの乳首を優しく撫でながら、口の中に舌を入れてぐちゅぐちゅと舌と唾液を絡ませていく。
「んんっ♪ んんっ♪ んんっ♪ ぷはぁ♪ ユウタ様の乳首可愛いです♪」
「んんっ、んんっ、んんっ、ちゅぱっ、ちゅぱっ」
「あぐっ! くっ! き、気持ち良いです」
さすがにこの狭い跳び箱の中で挿入するのは難しいだろうとユウタは思っていたが、ユキシロとエリカは違った。
「ユウタ様♪ 私のお腹の上に乗ってくださいませ♪」
「え? 重いですよ?」
「大丈夫でございます♪」
ユウタはエリカのお腹……というより、股間の部分にお尻を乗せる形になる。
「ユウタ様……」
「ユキシロさん……そ、それは……エリカさんに体重が」
「大丈夫です♪ むしろユウタ様のお尻が私の秘部を押してきて……ああっ! き、気持ち良いですから♪」
ユキシロは対面座位でユウタの上に跨ると、勃起した男根を秘部の中に入れていく。
「んぐっ! ああっ……気持ち良いです……」
「はぁはぁ……はぁはぁ……ユウタ様の男根……ああっ! 気持ち良くなってくださいませ……私も気持ち良くて……ああっ!」
「ああっ! んんっ! ユウタ様とユキシロ様が動くと、私も気持ち良くなっちゃいます!」
「ユキシロさん!」
「ユウタ様! んんっ!」
あの日の想い出の跳び箱の中で、ユキシロとエリカと3Pをすることになるとは思いもしていなかったユウタは、この状況に興奮しないわけがない。ユキシロとキスをして舌を絡ませながら腰を動かしていく。男根を上に突き上げようとすれば、お尻の筋肉に力が入る。すると、お尻がエリカの秘部を刺激していく。
「ああっ! ああっ! ああっ!」
「んんっ! こ、これすごいです……ユウタ様のお尻で……秘部が押しつぶされて……すごく気持ち良いですぅ!」
「はぁはぁ……はぁはぁ……ユキシロさん……エリカさん……んんっ!」
普段はあり得ない状況に、ユウタの興奮も最高潮だ。
人は慣れていく生き物である。初めての経験で感じる新鮮な驚きと感動に勝るものはないのは、一度経験して知ったものに慣れていくからだ。
ニホン王国の男性は慣れていってしまう。奉仕活動でも、相手の女性にとっては生涯一度の幸運だろうが、男性は同じことの繰り返しと感じるようになるのだ。本妻との関係にも、多くの男性は慣れからの飽きが生まれる。直接の性行為による最初の子は本妻が産むため、結婚後に本妻と何度も性行為を繰り返すことになり、本妻が妊娠した後に出産までの間は、分妻と性行為をしていく。妻達も夫が同じことの繰り返しで飽きを感じてしまわないように工夫していくが、それにも限度がある。
こうして男性達は飽きていく中で、自分が飽きないように何かの性癖を持ち始めていく。いつでも妻達は抱けるが、いつも同じ性行為ではつまらない。市民の女性は男性に慣れていないため、男性を楽しませるような性行為ができる市民は稀だ。ならば自分自身で飽きを打破しようと目覚めた特殊な性癖は、妻達を喜ばせる場合もあれば、受け入れ難いものの場合もある。
ユウタも同じだと、アオイもユキシロも考えている。ユウタは女性を想う気持ちが本当に強い男性で、常に女性の立場を考えてくれる。性行為でも、自分が気持ち良くなるのではなく女性が気持ち良くなるのを考えて動いてくれる。しかし、ユウタの優しさに甘んじているだけでは、いずれ必ず飽きられてしまう。そうならないために、ユキシロはアオイとユウタの性癖に関して話し合うことは重要だと分かっていた。
エリカがユウタを跳び箱の中に誘った時、ユキシロはすぐにエリカの意図を察した。ただ、それがユウタに失礼ではないかと不安にも思った。ユウタは逆にユキシロが嫌でなければと思ってくれていたので、ユキシロはエリカの考えに乗って跳び箱の中に入った。
狭い跳び箱の中で体勢を工夫しながらの性行為に、ユウタはいつもとは違う状況からものすごく興奮してくれた。ユウタの興奮具合に、ユキシロもエリカも嬉しくて堪らない。ユウタを気持ち良くしようと思っても、いつもはユウタに気持ち良くしてもらって身体の力が入らなくなってしまうのだが、この時は違った。興奮するユウタに興奮したユキシロとエリカの二人で、ユウタに新たな快感を覚えてもらっていったのである。
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
「すごく……汗をかいてしまいましたね」
「もう汗だくです」
ユウタがユキシロの中で射精をして三人の動きは止まった。ユウタの射精と同時にユキシロも絶頂に達していて、エリカはユウタが射精する前にすでに昇りつめていた。
さすがにこれ以上ここで性行為を続けるのは、身体への負担が重い。ユウタは男根をユキシロの秘部の中から引き抜こうとした。しかし、その動きは止まることになる。
『え?』
ユウタの動きが止まったのは倉庫室のドアが開いたからであるが、三人の声が跳び箱の中で重なったのは入ってきたのが意外な人物だったからである。
「お、お母様……」
「サオリさん……」
倉庫室に入ってきたのはサオリだった。サオリは倉庫室の鍵を内側からかけると、ゆっくりとマットの上に移動していく。そしてマットの上で、まだ十一月の始めなのに全身を隠すように着ていた服を脱いでいった。
『ぇ!?』
今度はサオリに聞こえないように、三人の小さな声が跳び箱の中に響いた。
サオリが服を脱ぐとその下には……サキュバススーツを着ていたのであった。