02/06 電子版発売

ふたりの嫂

著者: 美滝しずく

本販売日:2026/01/23

電子版配信日:2026/02/06

本定価:935円(税込)

電子版定価:935円(税込)

ISBN:978-4-8296-4850-6

亡夫の三回忌をきっかけに義弟に抱かれた千鶴。
夫の忘れ形見の世話という名目で続く淫らな逢瀬。
次兄の妻・薫は、浮気をする夫への仕返しから
芳人に接近し、暗闇の中で最後の一線を越える。
三つ巴の禁絆に溺れる、ふたりの兄嫁と義弟。
千鶴は絡み合う痴態をわざと薫に見せつけるが……

目次

第一章 亡夫の三回忌 未亡人兄嫁は義弟との逢瀬で乱れる

第二章 腹いせの誘惑 浮気への仕返しで若兄嫁は迫る

第三章 甘いご奉仕 夫の忘れ形見にお世話をさせてください

第四章 入れ替わった女体 暗闇の中で兄嫁を取り違える

第五章 深まる姦係 大学や電車で僕の大切なひとを抱く

第六章 ふたりの淫嫂 千鶴と薫に搾り取られて……

本編の一部を立読み

第一章 亡夫の三回忌 未亡人兄嫁は義弟との逢瀬で乱れる

 大学三年の春休み、東京で一人暮らしをしている片桐芳人は兄の三回忌に合わせて実家に帰省していた。
(はぁ……やっぱり、食事会は欠席しておけばよかったな。バイトがずらせないとか何とか言って……)
 故人を偲ぶ場には似つかわしくない喧騒を目の前にして、芳人は内心で深いため息をついた。二年前に病気で亡くなった長兄の三回忌で、実家の座敷には親戚や兄の仕事の関係者たちが集まっている。
(兄さんが酒好きだったからって、献杯と称して好き勝手に飲んで騒ぎやがって)
 法要が終わり食事会へと移った途端、今まで神妙そうにしていた出席者たちが、この場に集まった目的を忘れたかのように酒を飲んで談笑しはじめたのだ。
 まるで、法要の堅苦しい空気からようやく解放されたとでも言わんばかりに。
(確かに、あんまりしんみりした空気になるのは亡くなった兄さんも喜ばないだろうけど、こんな場であからさまに親父に取り入ろうとするなんて……)
 兄の部下であった者たちが、創業者である父に群がっておべっかを使う様を見て、芳人は辟易した。父は父で、息子の三回忌であるにもかかわらず、次から次へと注がれる酒に満更でもなさそうに顔を赤く染めている。
(みんな、自分のことしか頭になくて、兄さんのことなんて忘れてるんだ)
 芳人は兄の遺影に目をやる。写真の中で、兄である史彰は柔和な笑みを浮かべていた。家業を継いだ社長として従業員にも慕われていた兄の遺影に、自分以外の人間たちは見向きもしない。
「あっ……」
 そこでふと、芳人は自分と同じように遺影を見つめる人物がいることに気が付いた。和装の喪服に身を包んだ女性、史彰の妻である千鶴だった。
 一瞬、空中で視線が絡み合う。千鶴は芳人に目礼するとさっと視線を逸らした。
(千鶴さん……)
 彼女の姿を見て、芳人の胸は痛んだ。
 ついさっきまで、自分だけが兄のことを偲んでいるのだと勝手に思っていたが、千鶴の伏し目がちな瞳に浮かんだ悲哀は、自分とは比べ物にならない。
「奥さん、酒が足りないよ」
 父の周りに群がっていた一人がそう言って杯を掲げる。
「はい、ただいま」
 千鶴が立ち上がる。千鶴は喪主として出席者をもてなすよう、片桐家の両親から申し付けられていた。しかし、事前に食事を手配して出席者を案内するという喪主としての役割を超えて、今は酒の給仕までさせられているのだった。
「ほら、奥さんも一杯。亡くなった旦那さんに捧げないと」
「いえ、私はお酒は……」
 千鶴が酒を持ってくると、座っていた男が千鶴の手を引いて無理やり横に座らせる。
「きゃっ」
 千鶴はよろけてバランスを崩し、手に持った杯をひっくり返してしまった。酒が千鶴の喪服の胸元を濡らした。
「お、大丈夫ですか。着物を脱いだ方がいい」
「えっ……いや、やめてください」
 酔った男が千鶴の着物に手を掛けるのが見えた。千鶴は抵抗しているが、その力は弱々しく、無遠慮な手によってたちまち胸元が乱されていく。
 芳人は見ていられなくなって立ち上がった。
「いい加減にしてください。父さんも、飲みすぎなんだよ」
 芳人は、部下や仕事の関係者たちにいいように飲ませている父に向かってそう言うと、千鶴に向かって声をかけた。
「千鶴さん、ちょっとここから離れて休んでください。酔っぱらいの相手なんてしなくて良いですから」
「芳人さん……。でも……」
 千鶴が芳人の顔を見る。頬が赤く染まり、目が潤んでいる。千鶴は飲めないからと断っていたようだったが、断り切れずにいくらかは飲まされてしまったのだろう。
「こんな状態で給仕なんて無理ですよ。部屋で休みましょう」
 芳人は千鶴の肩を抱いて立たせると、そのまま出席者たちに背を向けた。着物の生地を隔てて千鶴の身体の熱が伝わってくる。千鶴ははぁっと湿った息を吐き、芳人の首筋にそれがかかる。
「あ、芳人。出るならついでに台所によって何かつまみになりそうなものを……」
 後ろから父に声をかけられるが、芳人は無視して座敷を出る。
「あの……芳人さん。戻らないと……。みなさんのおつまみが……」
 千鶴が切れ長の凜とした目をとろんとさせて芳人を見つめた。
 芳人は至近距離でその熱っぽく艶めいた視線を受けて、酔いのせいだとわかっていても心臓がドクンと飛び跳ねた。
「千鶴さんは気にしないでください。俺が後で持っていきますから」
 芳人は有無を言わせず千鶴を部屋まで連れて行くと、座布団の上に座らせた。
 片桐家は和洋折衷で、芳人や次兄の隆二の部屋など、ほとんどの部屋は洋室だが、座敷以外にも複数の和室があり、そのうちの一つを今千鶴が使っている。
「布団を敷きましょうか」
「いいえそんな、自分でできますから……」
「後のことは心配しないでください。放っておけばそのうち解散するでしょう」
 冗談めかして言うと、千鶴はようやく小さな笑みを芳人に向けた。
「ありがとう……」
「酔いがさめるように、飲み物を持ってきますね」
 美しい兄嫁の上気した笑顔がくすぐったくて、芳人はさっと背中を向けて部屋を出た。台所で千鶴のためにグラスに水を注ぎ、千鶴の部屋に戻る。
 ドアをノックしようとして、芳人はふと動きを止めた。
(千鶴さん……もしかして泣いてるのか?)
 中から抑えるような嗚咽が聞こえてくる。芳人はそっとドアを開け、千鶴の様子を窺った。
 千鶴は枕に突っ伏して小さく肩を震わせている。
(千鶴さん……可哀そうにな)
 ただでさえ、今日は芳人の兄史彰の三回忌で、千鶴からすれば夫を亡くした悲しみを思い出させるような日だった。その上、義実家からは給仕係のように扱われ、挙句飲めない酒を飲まされて着物をはだけさせられた。
(俺は片桐家の人間だけど、まだ学生だし、千鶴さんに何もしてあげられない)
 芳人はどうしていいかわからずに、部屋の入り口で立ち尽くした。

続きを読む

本の購入

定価:935円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:935円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:935円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

定価:935円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます