06/05 電子版発売

十年越しの復讐【元人妻捜査官】

著者: 御堂乱

本販売日:2026/05/22

電子版配信日:2026/06/05

本定価:935円(税込)

電子版定価:935円(税込)

ISBN:978-4-8296-4878-0

十年前の宿怨が、妻となり母となった元捜査官を襲う!
引退して身を隠す弥生に迫る、ヤクザの無慈悲な報復。
最愛の息子を人質に取られ、卑劣な肉槍に沈む37歳。
全裸拘束、仇敵への奉仕、アナルへの野蛮な侵入……
拒むほどに秘肉は疼き、母の貌は淫らな牝に変わる。
狩る側から狩られる側へ。囚われの女豹を待つ悪夢!

目次

第一章 母になった元人妻捜査官

第二章 肉の狂宴 息子を人質にとられて

第三章 身内に潜んでいた裏切り者

第四章 強いられる肛門アクメ

第五章 報復交尾 十年前の恨み

第六章 それでも女豹は死なず

本編の一部を立読み

第一章 母になった元人妻捜査官

 デパートの洋服売り場。十歳になる少年の手を握って歩きながら、戸次秀一は前を進むワンピース姿の女性の尻の丸みを凝視している。
 手を握っているのは、彼が家庭教師として勉強を教えてあげている小学四年生の小早川大輝。前を歩くプロポーション抜群の女性はその少年の母親で、彼の叔母にあたる小早川弥生、三十七歳であった。
 大学二年生になりアパートで独り暮らしを始めた秀一が、彼の母親の妹である弥生から、
「大輝を私立中学に入れたいので、秀一くんに家庭教師をお願いできないかしら」
 と母親を通じて頼まれた時、二つ返事で請け負ったのは、子供の頃からずっとこの美しい叔母に仄かな憧れを抱いていたからだ。
 週に二度、夕方に叔母の家を訪れ、二時間の勉強が終わった後はお茶とお菓子をいただきながら憧れの弥生としばらく世間話ができる。それだけでもう秀一は有頂天、夢見心地なのだが、休日にはたまにこうやって買い物に付き合ったりもする。街を行き交う人々が、美人でプロポーション抜群の弥生にハッとした顔をし、その後に、傍を歩く彼にもチラッと羨望の眼差しを向けるのが愉快だった。まさか夫や恋人と間違われてはいないのだろうが、「知り合い」と思われるだけでも鼻が高かった。「叔母」といっても弥生は若々しく、艶やかな髪を結い上げていなければ女子大生でも通用しそうだ。
(姉妹なのに、どうしてこんなにも違うのだろう?)
 容姿もパッとせず、口やかましいだけの自分の母親の顔を思い浮かべながら、秀一は繰り返しそのことを考えるのだった。
 新築して間もない弥生の家を訪れる日は、前日の夜からウキウキしている秀一であるが、ただひとつ、困っていることがある。なにせ彼は二十歳の健康な男性なのだ。憧れの女性とはいえ、服の上からも分かる弥生の成熟した肉体の魅力に、ついつい目が行ってしまうのだ。
 さすがに正面から向き合っている時にはどうにか自制しているが、今みたいに弥生の後ろについて歩いている時など、肉感的なヒップの形の妖しさ、たわわに揺れるそのボリューム感から目が離せなくなってしまう。「いけない」と思いながらもそうなってしまうのだ。実は昨夜も布団の中で、弥生の裸を想像しながらオナニーをしてしまった。射精する瞬間には思わず、
「ああっ、弥生さんっ」
 と情けない声まで洩らしてしまったのだ。
 そんな秀一のピンク色に染めぬかれた視界の中に、不意に一人の若い女の姿が入り込んできて、前を歩く弥生のワンピースの肩にかかったショルダーバッグの紐を後ろへ引いた。
「あっ!」
 秀一が小さく声をあげた次の瞬間、女の身体は魔法にでもかかったかのようにフワリと宙に浮き、バターンとうつ伏せに床に倒れ伏した。
 その女の腕を背中へ捻じ曲げて動けぬように固めた弥生は、秀一が見たこともない厳しい表情をしている。その表情を見て初めて彼は、女が弥生のショルダーバッグをひったくろうとして、逆に一瞬で取り押さえられたのだと悟った。
 降参だという意思表示なのか、右腕を固められて動けない「ひったくり犯」の若い女は、リノリウムの床を左手で激しくパンパンと叩き、
「若林さんに言われてっ」
 悲鳴に近い声を絞りだした。
「若林」の名に、弥生が(おやっ?)という顔をし、絞め技を緩めた。
 ストレートロングの黒髪が美しい「ひったくり犯」の女は、上体を起こすと、気恥ずかしそうな表情のまま、着ていたスーツの汚れを払い、弥生が差し出した手を握って立ち上がった。
「すみませんでした。でも……さすがですね、先輩」
 女が感服したと言わんばかりに丁寧にお辞儀をし、
「美月彩芽と申します」
 と名乗った。
「私を試したの?」
 と弥生が訊いた。
 いつもの淑やかな人妻に戻ったその顔は眉を八の字に下げ、(困ったわ……)とでも言いたげだ。
「そうなんです。所長が『学んでこい』と言うものですから」
 齢は二十代前半だろうか、ハキハキと答える髪の長いスレンダー美女はICS(潜入捜査班)で有望株の新人捜査官。素質は抜群だが、それを鼻にかけて慢心気味なところがあるため、所長の若林が、今は引退して人妻になり、十歳の男の子もいる小早川弥生(旧姓は倉科)に接触していろいろ学んでこいと命じたのだった。
 そのことが美月彩芽には面白くなかった。たしかに倉科弥生といえば、鮎川玲子と並んでICS内では「伝説の人」ではある。とはいえ、もう十年以上前に引退した先輩捜査官など、彩芽に言わせれば「ただのオバサン」。役立たずの「骨董品」である。そんな骨董品から一体何を学べというのかと不満だった。そこでイタズラ心半分、弥生の反応をみてやれとばかり、「ひったくり犯」の真似事をしてみたのだ。結果、先輩捜査官の驚くべき実力に感服させられてしまった。
 弥生にしてみれば、ただただ迷惑な話だ。
 息子の大輝の手を握ったままで呆気にとられて突っ立っている秀一のほうをチラッと見て、
「連れがいるのよ」
 口元に手を添え、女の耳に小声で囁いた。
「話なら、また今度にして」
 そう言うと、何事が起こったのかと目を丸くしている周囲のデパートの店員や客たちに向かって、
「何でもありません。知り合いなんです。お騒がせして申し訳ありませんでした」
 笑顔で呼びかけた。
 若い女はもう一度弥生に深々と頭を下げると、
「本当にすみませんでした。近いうちにまた、あらためてお詫びに伺います」
 そう言って足早に去っていった。
「ごめんね」
 弥生が言い、何事もなかったかのごとくにまた歩きだしたので、秀一も少年の手を引いてついていくしかない。肝をつぶしたままなので、「いったい今のは何だったのですか?」と訊くこともはばかられた。弥生が以前、都内の探偵事務所に勤めていたことは母親から聞いて知っていたが、その母親も詳しいことは知らないようだった。てっきり事務職だとばかり思っていたが、今の光景を見ると、なんだか相当にヤバイ仕事をしてきたのではないかと思われる。
 だがそんな疑問よりも何よりも、純朴な二十歳の大学生である秀一の頭の中をそのとき占めていたのは、投げられて宙に舞った若い女のタイトスカートの奥に一瞬だけのぞいた逆三角形の小さな黒いパンティ、そして相手の腕を締め技で固めた瞬間、弥生の捲れ上がった水色ワンピースの裾の下にこちらも一瞬だけ垣間見ることができた、官能美溢れる下半身の残像だった。それらはあまりに鮮烈で、秀一が罪悪感を覚えつつ行う自慰行為の際に思い浮かべる女体よりも、はるかに妖しく魅力的だった。
 結局、先ほどの出来事について弥生は何も語らぬまま、そして秀一も何も訊ねないまま、買い物を済ませて三人は帰りのバスの停留所に立った。一緒にいるとどうしても弥生の腰のあたりに目を吸い寄せられてしまうので、
「あの……僕、用事を思いだしたので、ここで」
 秀一が口ごもりながら言うと、
「あ、そうなの?」
 弥生の笑顔は屈託がない。後ろでまとめて結い上げた髪型が気品ある顔立ちに似合って、人妻らしい色香が匂う。先ほど見せた厳しい表情が嘘のような淑やかさだ。
「今日は付き合ってもらって助かったわ。ありがとう」
「いえ、僕でよければ、いつでも言ってください」
「大輝、あなたもお礼をおっしゃい」
「先生、ありがとう」
「どういたしまして」
 少年にとって秀一は従兄にあたるのだが、勉強を教えるようになって以来「先生」と呼ばれている。最初はなんだか「くすぐったい」気がしたが、今ではその呼び方に慣れてしまった。
 母子と別れ、なんだか落ち着かない気持ちのまま街をブラブラ歩き回っていた秀一は、
「よっ、秀一」
 不意に背後から声をかけられ、ポンと肩を叩かれて振り向いた。
「あっ、坂東くん……」
「久しぶりだな。元気だったか?」
「う、うん……」
 体格のいい坂東の隣には、彼の手下らしい目つきのよくない若者が二人いる。嫌な相手に出くわしちまった……と秀一は思った。

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