息子に体を与えるため、買った縄を差しだす明美。
縄で縛られないと、とても息子を受け入れられない。
二十代と見紛うほどの肢体と優しさを求め、
昼となく夜となく母にすがる正文。
そして今夜、ついに母と息子の、
インセントの幕が切っておとされようとしていた!
あけみ 実母
みかこ 看護婦
本編の一部を立読み
「この縄で母さんを縛って」
寝室に入るなり、明美は買ってきたロープをとりだし、正文に背を向けたまま言った。
「身動きできないように、がんじがらめに縛って……そうしないと母さん、駄目なの。とても正文を……あなたを愛してあげることはできないの」
本心だった。実の息子に身をまかす──そんな大それたことは、縛られ、いたぶられ、正気を逸して狂ってしまわなければできるわけがなかった。縄が狂わせてくれる。縄が母親から女に変えてくれるのだ。
「う、うん!」
正文は興奮に震えがちな手で、投げだされたロープを拾いあげた。真新しい、真っ白な縄を手にとれば、いやがうえにも昂り、心がはやる。
明美は、縄をしごく音と正文の昂る気配を背中に聞きながら、着衣をそっと脱ぎはじめた。いよいよ来るところまで来てしまったのだ。ブラウスのボタンをはずす手が、どうしようもなく震えた。なんてはしたない、いけない母親なのだろう。不安と羞恥に、全身がピリピリするほど張りつめた。
スリップを頭から脱ぎ、ホックのとれたブラジャーを両肩から抜き、パンティを両脚からむしりとる。シミひとつない透けるような白い肌にポッと赤味がさし、小気味よくむっちりと突きあがったお尻がプリップリッと揺れる。そのお尻のすぐ上、くびれたウエストの背中あたりに両手首を交叉させて、縄のいましめを待つ。
あまりの妖しさに、正文は何度も何度も生唾を呑みこんだ。
「母さん、こっちを向いて」
差しだされた美しくか弱い生贄に、正文の体内でサディスティックな本能がメラメラと燃えあがる。
「いやっ……恥ずかしいわ」
白い背中に、さらに赤味がます。
「こっちを向くんだ!」
きつい命令口調になっていた。
恥ずかしげに、おののくように正文のほうへ向き直った明美は、腋をきつく閉じ合わせ、両手を下腹の翳りの上に重ねた。
「両手をあげるんだ」
顔をそむけ、目を伏せたまま、明美はおとなしく従った。