母奴隷

著者: 鬼頭龍一

本販売日:1991/03/23

本定価:535円(税込)

ISBN:978-4-8296-0360-4

シチュエーション

息子に体を与えるため、買った縄を差しだす明美。

縄で縛られないと、とても息子を受け入れられない。

二十代と見紛うほどの肢体と優しさを求め、

昼となく夜となく母にすがる正文。

そして今夜、ついに母と息子の、

インセントの幕が切っておとされようとしていた!

登場人物

あけみ 実母

みかこ 看護婦

本編の一部を立読み

「この縄で母さんを縛って」

寝室に入るなり、明美は買ってきたロープをとりだし、正文に背を向けたまま言った。

「身動きできないように、がんじがらめに縛って……そうしないと母さん、駄目なの。とても正文を……あなたを愛してあげることはできないの」

本心だった。実の息子に身をまかす──そんな大それたことは、縛られ、いたぶられ、正気を逸して狂ってしまわなければできるわけがなかった。縄が狂わせてくれる。縄が母親から女に変えてくれるのだ。

「う、うん!」

正文は興奮に震えがちな手で、投げだされたロープを拾いあげた。真新しい、真っ白な縄を手にとれば、いやがうえにも昂り、心がはやる。

明美は、縄をしごく音と正文の昂る気配を背中に聞きながら、着衣をそっと脱ぎはじめた。いよいよ来るところまで来てしまったのだ。ブラウスのボタンをはずす手が、どうしようもなく震えた。なんてはしたない、いけない母親なのだろう。不安と羞恥に、全身がピリピリするほど張りつめた。

スリップを頭から脱ぎ、ホックのとれたブラジャーを両肩から抜き、パンティを両脚からむしりとる。シミひとつない透けるような白い肌にポッと赤味がさし、小気味よくむっちりと突きあがったお尻がプリップリッと揺れる。そのお尻のすぐ上、くびれたウエストの背中あたりに両手首を交叉させて、縄のいましめを待つ。

あまりの妖しさに、正文は何度も何度も生唾を呑みこんだ。

「母さん、こっちを向いて」

差しだされた美しくか弱い生贄に、正文の体内でサディスティックな本能がメラメラと燃えあがる。

「いやっ……恥ずかしいわ」

白い背中に、さらに赤味がます。

「こっちを向くんだ!」

きつい命令口調になっていた。

恥ずかしげに、おののくように正文のほうへ向き直った明美は、腋をきつく閉じ合わせ、両手を下腹の翳りの上に重ねた。

「両手をあげるんだ」

顔をそむけ、目を伏せたまま、明美はおとなしく従った。

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