トー・クン全書

女教師/義母/姉

著者: トー・クン

本販売日:2000/11/20

本定価:1,572円(税込)

ISBN:978-4-8296-3401-1

シチュエーション

「スカートの奥まで見せなきゃいけないの? ポール」「ラルス、あたしはあなたのママなの。ああ、でもどうしよう……」「マイク……とうとうあたしたち、してるのね……」女教師・ルイーズ、義母・ブラッヘ、姉・エマ……トー・クンが描く女性たちは、なぜこんなにも美しくやさしいのか。ポール、ラルス、マイク、三人の少年が味わった、憧れの女性との、インモラルを極めた超イン・モラル……『女教師』『義母』『姉』100万の日本読者を魅了した20世紀最大の名作が、いま完全復活!

登場人物

ルイーズ(23歳)女教師

ブラッヘ 義母

エマ 姉

ガニラ 姉

ミッシェル 妹

本編の一部を立読み

ルイーズは髪に手をやってヘアピンを抜きとり、無造作な仕草で床に落とした。静まりかえった教室の中で、床に落ちるヘアピンの音だけがこだました。両手を上にあげていたので、彼女の乳房はひきしまって上にもちあがり、少年たちの口に食べられたがっているようだった。ほんとうに食べたがっているように、生徒たちは一人のこらずぼう然と大きく口をひらいている。

“もうちょっとの辛抱よ。食べたいのね、あたしのオッパイを。もう少しだけ待ちなさいね。もっと、もっと見せてあげるわ”

心の中でそうつぶやくと、ルイーズはバッグからブラシをとりだし、やわらかなブロンドの髪を梳きはじめた。腕をうごかすたびに乳房が揺れる。揺れてはずむ、むきだしの乳房はひどく刺激的だった。髪を梳きながら、ルイーズはわざと乳房を揺すった。そして、とつぜん彼女はしゃべりはじめた。

「こんなところを見て、女教師に失望したりしてはいけませんよ。女教師がどんなことをするか、ほんとうはみんなも見たいんでしょう? こんなふうに、なにもかも見せるのはとてもつらいことなのよ。とってもいけないことなの。だけどあたしは、一所懸命に女教師にそれをさせようとしているの」

ルイーズが彼女のことを“女教師”という言葉で別人のように表現するのを聞くと妙な感じがした。だが実感もこもっている。生徒たちの目には、たがいに闘っている二人のベネット先生の姿がはっきりとうつった。新しいほうのベネット先生は少年たちの共犯者で、女教師のベネット先生をみんなの前ではずかしめようとしている。だが彼らにとっては、そんなことはどうでもよかった。争い合っている二つの人格を見物しているのがおもしろかったからだ。

少年たちはベネット先生の変わりようを興味ぶかげに眺めつづけた。いずれにしろ、まもなくおかたいベネット先生のほうが闘いに敗れ、はずかしめをうけることになるだろう。彼らはじっとくいいるように見つめた。窮地に立たされたほうのベネット先生はまだ顔を赤らめているが、頬の紅潮はしだいに意味が変わってきた。呼吸が荒くなり、目がキラキラと輝きはじめる。彼らが見ている前で、口もとまで変化していった。まるで、にっこり笑いかけているようだ。

ルイーズは向きを変え、歩きはじめた。最前列の席の前を、いったりきたりしはじめたのだ。一歩進むごとにハイヒールのかかとを鳴らし、そのたびにブルンブルンと乳房が揺れる。ルイーズは揺れる乳房を見おろしながら、胸の思いをためらわずに口にした。

「この一年間、あなたがたが見たがってたのはこれなのね? ちがうかしら?」

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