真夜中の診察室、二人きりの空間。青年の眼前で微笑む、つややかな黒髪の美女は美貌と知性を兼ね備えた29歳の内科医、小此木美冬。「ねえ……私とセックスしたい?」なんとあからさまな挑発。なんと魅惑的な甘言。退屈な入院生活に体力を持てあます若獣はふたつ返事でうなずく。理性も男のプライドもすべて打ち砕かれるような淫靡すぎる特別診療が待ちかまえるとも知らず……。医師という激務の反動が美冬を淫らにするのだろうか。今日も美しき内科医は診察室を訪れる新たな獲物に視線を送る。朱唇に、蠱惑的な微笑みを浮かべながら。
みふゆ(29歳)女医
さとみ(23歳)看護婦
本編の一部を立読み
「時任クンは、私とセックスがしたいのよね」
「はい! したいです」
呼び方が時任さんから時任クンになっていることにも、和志は気づいていなかった。
「私のことが好きだから?」
「そうですよ。当たり前じゃないですか」
「私の言うこと、なんでも聞ける?」
「美冬先生の望むことなら」
「そう。じゃあ、舐めて」
美冬はすっと滑らかに右足を前に突きだしてきた。和志はその足を両手で包みこむようにして支える。
美しい脚だった。まるで高級ブランドの靴そのものというような流麗な脚のライン。足首はきゅっと細く締まり、足の指の一本一本までが気品に満ちている。和志はなんの抵抗もなく顔を寄せ、美冬の足の甲に唇を押し当てた。
「うン」
唇が足の甲に触れると、美冬は小さな色っぽい声をあげた。美しい女医のもらしたかすかな官能の声に、和志の背筋はゾクゾクした。
唇から舌を差しだし、美冬の足の甲に這わせてみる。足の甲には少し弾力があった。舌を押しつけると瑞々しく舌先を押しかえしてくる。味のようなものはなかったが、美冬の足を舐めているのだと思うと、胸が震えるほどの悦びが湧いてくる。足を舐めさせられているという屈辱感はまったくなかった。
「うふン……そうよ。指も舐めて、一本一本、丁寧に舐めるのよ」
美冬は腰を微妙にくねらせながら、まだ椅子の上に載っている左脚を両手でぎゅっと抱えこむ。その表情は、わずかに上気している。自分の舌と唇が女医を感じさせているのだと思うと、和志の性感は沸騰するほど熱くなった。
舌先を足の指のほうに進め、足の親指と人差し指の間に差しこんでみる。美冬の足が、なにかをつかもうとするように丸くなった。
「あぁ……」
女医は瞼を閉じ、首を反らした。恍惚としている表情に見える。下半身に目を落とすと、パンティの股布に、うっすらと沁みがひろがってきている。縦に五センチほどの線のような沁みが、愛液の沁みだということは想像するまでもない。
和志は美冬のパンティを見つめながら、足の親指と人差し指の間を舌を震わせるようにして舐めた。そのたびに美冬は小さなあえぎ声をもらし、足の指を丸めたり伸ばしたりする。パンティの股布にできた沁みも少しずつその範囲をひろげているようだった。
もはや和志は完全にプライドを失っていた。美冬のためなら、本当になんでもできる。そう思いながら、足の親指を唇に咥えこんだ。
「あぁン」
美冬の唇から、はっきりとした官能のあえぎがもれる。和志の理性を狂わせる色っぽい声だった。