美人課長ふたり

28歳…エリート転落の軌跡

著者: 樹月峻

本販売日:2000/09/23

電子版配信日:2009/09/11

本定価:545円(税込)

電子版定価:660円(税込)

ISBN:978-4-8296-0989-7

優雅な肢体に清純な風情を保つ沢村香澄美。

刃物のように危険な美貌と甘美さを併せ持つ西脇杏奈。

二人は出世競争で遅れを取った無能課長の罠にはまり、

恥部も露わにトラブル折衝、羞恥水着でコンパニオン、

果ては、新プロジェクトを巡って自慰合戦まで……

美しき牝獣と化した女課長が織りなす魔性のオフィス!

登場人物

かすみ(28歳)課長

あんな(28歳)課長

ともみ(20歳)新入社員

しずえ(27歳)OL

本編の一部を立読み

(ああっ……そ、そんなことって!)

ブラジャーのストラップと同様、腰の紐も緩んでおり、三角形の布は肌から少し浮きあがっていた。横から見れば、ライトの当たり具合により、繁った翳りを認めることができるだろう。

しかも布は歩くたびに真んなかにずれていくらしく、かなり鋭角な二等辺三角形になっている。布の横にはサインペンでいたずらしたように、縁に沿って黒いギザギザの線が見えた。綺麗にカットした陰毛が、ほんの少しだがはみでているのだ。

股間に手をやり、布をひろげることが杏奈はできなかった。それをやると、今まで陰毛を見せつけながら仕事をしていたことを、認めることになってしまうと思った。恥毛が見えているのではなく、光の加減で陰ができただけだ。そういうふうに客たちに思ってほしかった。

羞恥のパニックのなかで、杏奈ははかない希望にすがりつくしかなかった。

(なんでもないのよ……この私がそんなみっともない格好を晒すはずないわ……)

自分に言い聞かせて、杏奈は正面を向いた。前の布が変わりないのを見て、客たちは満足げな笑みを浮かべている。

杏奈は両脚を交差させ、股を絞りこむように立った。懸命にはみでた恥毛を隠そうとしているのだが、杏奈が思うほどの効果はない。

「そんなことしたって無駄だぜ。気休めにすぎないな」

ライトの後ろから、木崎の声がした。それを聞いて客たちが騒めく。連れと笑い合ったり、杏奈の股間を指さしたりして、皆見ていたものが同じだと確認し合う。

(う、嘘よ……誰も気づいてないわよ。私はそんな醜態を見せないわ……)

別の意味で客たちは笑っているのだと、杏奈は思いこもうとした。しかし、それが傷口を確実にひろげていく。

「おねえさん、こっちのクルマの運転席をもう一度紹介してよ」

「そのあとはこっちに来てよ。パンフレットにわからないところがあるんだ」

客たちは杏奈をじっとさせてはいなかった。あれこれ理由をつけては歩きまわらせる。サインをしてくれと、客の輪のなかに呼びつける者までいた。

水着はもともと皺になりやすい生地だったのだろう。三角形の布は杏奈が動くたびに、秘裂に食いこんでいく。陰毛のはみだし方が大きくなるだけでなく、布の中央は秘肉の形に沿ってへこんでいった。

さすがに杏奈も、自分のあられもない姿を認めざるを得なかった。だが、身体の芯からひろがる熱っぽさのため、どうすればいいのか冷静に考えられない。

杏奈はマイクで説明することができなくなり、クルマの前に突っ立っていた。それでも立ち去る客は一人もいない。とてつもない羞恥に耐え、唇を震わせる杏奈をジッと見ている。

胸を隠すことも杏奈は忘れており、左右とも布の端からピンクの乳輪がのぞいている。

「あ、杏奈さん! もうやめましょう、こんなこと……。み、皆さん、そんないやらしい目で見ないでください!」

たまりかねて叫んだのは香澄美だった。

にじり寄ってくる男どもを追い払い、杏奈の手を取って連れていこうとした。ところが杏奈はその手を振り払う。

「な、なに言ってるのよ。私はあなたと違うのよ。私はなにも恥ずかしいことなんてしてないわ。身体を使って取引先を籠絡したあなたと一緒にしないで……」

続きを読む

本の購入

定価:545円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:660円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:660円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

定価:545円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます