恋愛弱者の男子大学生VSダル絡みマゾメス女友達

元高嶺の花のクール系こじらせ処女編

著者: 寺井外連

電子版配信日:2023/08/25

電子版定価:770円(税込)

クール系の粟飯原結理さんに声をかけられ、気付いたらラブホに!?
元高嶺の花だった 粟飯原さんがエロコスで仕掛けた寝取りエッチは、
処女マンなのにガチイキ連発で完全敗北──メス堕ちしたはずなのに、
「彼女じゃなくてセフレにだったらなってもいいよ」だって!?
陽キャギャル・矢村と林田の恋愛模様にこじらせ女子が参戦!
素直になれないエロエロ三角関係勃発、怒濤の性春編!

目次

〈恋愛弱者の男子大学生再び〉


〈元高嶺の花のクール系こじらせ処女〉


〈そういうふしだらな関係はダメだと思う〉


番外編 ふしだらな関係?

登場人物

ゆり 女子学生

みつき 女子学生

本編の一部を立読み


 矢村との脅威の三日連続デートを終え、ようやく俺に自由な一日が訪れた。
 合コンがあったあの日以降、矢村のウザさは別次元の領域に到達している。三日連続デート(セックス付き)て、彼女でもそんなことしないだろ。他にも、深夜に寂しいからという理由で鬼電、迎えに来るという名目で俺の大学に乗り込み彼女面、匂わせ写真をSNSに投稿、などなど、もはややりたい放題だ。
 当然、周囲から俺と矢村は付き合っていると思われており、この間まで素人童貞だった男がそんな状況で彼女など作れるはずもない。浮気のノウハウなど持ち合わせていないのだ。完全に矢村の思うつぼで非常に腹立たしい限りである。散々彼女面しておいて、未だにキスはさせてくれないし。矢村が本当に彼女なら、もう割り切ってしまえるのだが……。
 そんな矢村だが、今日は友達と遊びにいくとのことだ。この隙に、俺はひと時の自由を噛みしめることにした。矢村といると行けない場所……、物騒な感じのラーメン屋でも行くか、ということで、珍しくエンカウントの危険がない最寄駅へとやって来たのだ。
 矢村の歩くペースに合わせなくていいので、今日の足取りは軽快だ。あいつ、チビだから歩幅狭いんだよな。あとこのコーヒー屋で毎回名前が長すぎてコーヒーなのかもわからない飲み物を買わせてくる。
「なんだよトールって。Mサイズでいいだろ……、あっ」
「……林田くん。奇遇だね」
 コーヒー屋の前、店外に設置された席に一人座っていたのは、なんと粟あ飯い原はらさんだった。もう直ちにこの光景を雑誌の表紙にしていいくらい絵になっている。
「あ、粟飯原さん! こんなとこ来るんだ……。待ち合わせ中?」
 あの合コンで会うまで、粟飯原さんを見かけたことなんて一度もなかった。通っている大学が違うし、生活圏がまったく被っていないのだろうから、別に普通のことだ。だから、見慣れた最寄駅の構内で粟飯原さんを見かけることになるとは予想外だった。
「普通に休憩してるだけだよ。中は落ち着かないから、外の席があったら、いつもだいたいそっちに座ってるの」
 粟飯原さんは、ストローを回して容器の中の氷を弄びながらそう言った。組まれた脚にはデニム地のパンツ、上半身のやたら透けている白いシャツの下に、黒のタンクトップが確認できる。そして、なにより目を引くのが、首に巻かれた黒いチョーカー。全体としてはかっこいい系なんだろうけど、そこはかとなく〝ヤれそうな雰囲気〟を感じるファッションだ。高校のときは女子の中で一番スカート長かったのに。もう、肩とか鎖骨とか全然透けて見えちゃってるし、胸の形もよくわかる。矢村が確かHカップで、それより二回りくらい小さい気がするから、Fカップくらいか? ……いや、多分俺の推測なんてあてにならないし意味ないなこの考察。普通にキモいし。
「あ、そ、そうなんだ……」
「林田くん、暇? よかったら向かいに座ってくれるかな」
「えっ!? ま、まあ、暇っちゃ暇か……」
「……ナンパ除け♥」
 僅かに口元を緩ませた粟飯原さんが俺に送った視線に、ゾクッと一瞬背中が震えた。瞳の奥に隠している妖光が、一瞬垣間見えたような感覚。明け透けな矢村と一緒にいることに慣れた俺にとっては、少々刺激的すぎる。
「偶然だけど、林田くんに会えてよかった。この前は全然話せなくてモヤモヤしてたの」
 会えてよかったとかそういう思わせぶりな台詞を平然と吐くのはやめなさい。ドキドキしちゃうだろ。
「あ、あ〜〜、ごめん、俺合コンとか全然慣れてないから……」
「ふふっ。あの様子見たらわかるよ、誰でも。まあ、私もそうだから、あんまり言えないけど」
 本当かよ。高校時代の文学少女粟飯原さんが言うならまだわかるが、透け透けの服着てチョーカー巻いてるウルフカットの女がそんなこと言ってもな。身体を擦り寄せて、太ももすりすりしながら、「誰がタイプ?」「私は何番目?」とか聞いてきたからなこの人。怪しいものだ。……正直、クール系の女にグイグイこられるのはめちゃくちゃそそられたけど。矢村との一件以降、俺は女性への警戒心が高まっているのだ。もう素人童貞じゃないしな。
「……あの後は二次会とか行った感じ?」
「ん〜〜、あったみたいだけど、私は行ってない。……狙ってた人は取られちゃったから」
「……そういうのもう通じないからな」
 眉ひとつ動かさず思わせぶりなことを言う粟飯原さん。合コンのときも思ったけど、なんだこの男を勘違いさせるようなからかい方は。矢村とは別のベクトルでたちが悪い。俺がもしまだ素人童貞だったらコロっと落とされていたに違いない。まあ、貶してこないぶん矢村よりは不愉快ではないが……。
「前より余裕あるね。矢村さんのおかげかな?」
 再び、妖しく笑う粟飯原さん。……やっぱこの人、矢村とはタイプが違うだけの邪悪な存在なんじゃないか……?
 コップの底から、ズゴゴと音がする。そろそろナンパ除けもお役御免だろう。粟飯原さんがストロー咥えているだけでなんかいやらしく見えちゃうからもう危険だ。
「林田くん、暇なんでしょ? これからご飯でもどう?」
「え、あぁ……、えっと」
 正直、粟飯原さんのほうからこんなグイグイ来られると怖い。高校のときはもっと素っ気なかったはず。この態度、俺のことが好きでもない限り、絶対裏があるだろ。矢村と違って粟飯原さんのことは正直あまり知らないし、ホイホイついていってマジでシャレにならない事態なる可能性もなくはない。怖そうな彼氏にカツアゲされるとか……。
「……ふふっ♥ 一緒にご飯食べるくらいじゃ浮気には入らないと思うよ」
「いや、そこは別に気にしてないんだけど……」
 矢村は彼女じゃないから、別に俺が何をしようと浮気は発生しない。……聞いたら怒りだすかもしれないが。筋違いすぎるだろ。
「じゃあ、いいでしょ? どこ行こっか? 今日は何食べるつもりだったの?」
「え、一応、ラーメンだけど……」
「いいね、ラーメン。行こうよ。……矢村さんと一緒だと行けないもんね」
 誘ったことないからわからないが、「女の子連れててランチにラーメンとかありえないでしょ? 自分の住んでる街なのに、気の利いたお店のひとつも知らないとかさっすが〜♡ 今までデートとは無縁の人生を送ってきただけのことはあるな〜♡」などと宣う様は容易に想像できる。少なくとも、俺のお気に入りの、清潔感のない成人男性が列をなす黄色い看板の物騒なラーメン屋には近づきたがらないだろう。
「……洒落た感じのラーメン屋とか知らんぞ俺」
「大丈夫。私、硬め濃いめ多めが好きだから」
 そんな顔面と格好で硬め濃いめ多めを食うのかよ。元カレの影響か?



「林田くん、にんにくいっぱい入れるのが好きだったんだ」
 結局、近場のチェーン店に入って黙々とラーメンを平らげた俺たち。久しぶりのラーメンは五臓六腑に染み渡った。
「あーー……、確かに今日はそういう気分だったかも」
 もともと黄色い看板の店に行くつもりだったしな。
「しばらくラーメン食べてない感じかな? 最近、ずっと矢村さんといるみたいだし」
「まあ……」
「……ふふっ♥ でも、今日はもう矢村さんとキスできないね……♥」
 粟飯原さんはまた微笑み、小首をかしげて、唇に人差し指をあてて見せる。やたらと矢村を引き合いに出してくるのはなんなんだ。キスはもともとできないぞ。
「これから服買いに行くんだけど、林田くんついてきてよ」
 平坦なトーンで喋りながら、よどみない動きでなんと腕を組んできた粟飯原さん。二の腕に柔らかい感触。クールな雰囲気とのギャップを理解して、完璧に使いこなしている。あざとい女だ。そうわかっていても、俺の正直な心臓はアホみたいに加速した。こんなんだから毎度毎度矢村にもいいようにされているのである。悲しいことだが、童貞のマインドというものは簡単には拭えない。
「え、えっと……。お、俺なんか連れていっても意味ないぞ……」
「え? 林田くんオシャレだよ」
「これは矢村が選んだやつだから……」
 今着てるやつは、確かラガーシャツという代物だと言っていた気がする。
「いいから。男の子の意見が欲しいの」
 粟飯原さんにぐいっと引っ張られた俺の腕が、むにょんっと谷間に埋まる。こ、こんなものなんともない。もっとでっかいおっぱい触ったことあるし! なんともない、なんともない……。
「……顔赤くなってるね。……まるで童貞みたい♥」
 こんな綺麗な人に胸押し当てられたら、童貞じゃなくてもこうなるだろ!
「ど、童貞じゃないから。一応……」
「やっぱり、あの後矢村さんとしたんだ?」
「……ノーコメント」
「まあ、矢村さん、どう見ても最初から林田くん狙い打ちだったよね」
「……さっきから矢村の話ばっかりだな。そんなに気になるなら、直接連絡したらどうだ? あいつ基本暇だからすぐ来ると思うぞ」
「それ、すぐ来るのは林田くんが呼んだときだけだと思うよ。それに、私が遊びたいのは矢村さんじゃなくて林田くんだから。……わかってると思うけど、合コンのときからずっと気になってたの」
 上目遣いで、俺の顔を覗き込む粟飯原さん。矢村より背が高くて、顔がずっと近い。切れ長の目で見つめられると、石になったみたいに身体の動きが止まってしまう。
「な、なんで俺なんか……」
「……矢村さんと同じ理由、かも」
 じゃあ、俺にはわからないじゃないかよ。
「……ね、たまには、他の女の子と〝遊んで〟みてもいいんじゃない?」

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