恋愛弱者の男子大学生VSダル絡みマゾメス女友達

俺の素人童貞をバカにしてくるギャル編

著者: 寺井外連

電子版配信日:2023/07/14

電子版定価:770円(税込)

シチュエーション

恋愛弱者の林田凛吾(リンリン)の素人童貞をバカにしてくるギャル・矢村海月姫
ダル絡みをされていた凛吾だったが持ち前のイケチンで矢村を犯して撃退!
ところが「リンリンのせいだよ」と矢村のエッチな付きまといが激化し……
迫られ続けてセックスしまくってちょっと矢村が好きになりかけている俺 VS
イケチンにメロメロにされて「交際経験無し男」に嵌まってしまったマゾ牝ギャル。
ある意味純愛、ある意味青春!?──ボーイミーツギャルラノベ、開幕!

目次

〈恋愛弱者の男子大学生〉


〈素人童貞をバカにしてくるギャル〉


〈大変なことになってしまった〉


〈リンリンのせいだよ〉


番外編 矢村襲来

登場人物

みつき

ゆり

本編の一部を立読み

<恋愛弱者の男子大学生>





 夕方前の最寄駅、入口の手前のガラス板に映った自分の姿が目に入り、俺は思わず立ち止まる。
〝白のビッグシルエットTシャツ〟と〝黒のスキニー〟を着ておけば間違いはない、というネットの情報を鵜呑みにして揃えたコーディネート。まあまあ様になっている気もするが、正直なところいまいち正解がわかっていないので、家を出てからずっとソワソワとしている。
「ファッションチェック中? へえ~~。リンリン、こんな服持ってたんだ」
 いつのまにかガラスに映っている、もう一つの人影。俺の肩くらいの背丈で、髪型は、表に見える部分は黒色、裏側はピンクという、最近よくみる奇妙なスタイル(インナーカラーというらしい)、ワンピースみたいなデカすぎる緑色のTシャツ(なんと、膝の上くらいまである)を着た女性、不本意ながら、こいつのことはよく知っている。
「……矢村、毎回なんなんだお前は。俺が駅来る度に現れやがって、待ち伏せでもしてんのか?」
「や、あたしもここが最寄なんだから、待たなくても普通に遭遇するっしょ。リンリン見かけたら必ず絡みに行ってるだけ~~♪」
 バシバシと馴れ馴れしく俺の背中を叩くこいつ、矢村海月姫(やむらみつき)。高校の時から、やたらと俺にちょっかいをかけてくるウザい女。大学に入り一人暮らしを始め、住んでるアパートが近所になってからというもの、エンカウント率爆上がり、そのうっとうしさはとどまることを知らなかった。
「公衆の面前で『リンリン』を連呼するのはやめろ。パンダが脱走したと思われたらどうする」
「林田凛吾(はやしだりんご)」だから「リンリン」。高校時代にこいつにつけられた、非常に安直なあだ名だ。俺は一度だってこの呼び方を認めたことはないが、矢村のゴリ押しで今ではすっかり周りの人間に定着してしまっている。「君が噂のリンリン君?」みたいな感じで、おもしろキャラ扱いされて話しかけられることがよくあり、非常に不愉快だ。
「はいはい。……どうしたの? 素人童貞のくせにおめかししちゃって♡ 高級なお店でも行くのかな?♡ AV女優の人とかが指名できるとこ」
「別に普段着だぞ。あと、俺は素人童貞ではあるが、風俗に通いまくっているわけではない」
矢村の一番嫌いなところは、口を開けば俺が素人童貞であることをバカにしてくることだ。成人男性が風俗に行ったことがあって何が悪い。熱を上げて通い詰めてるわけでもないし、純正童貞よりかはマシだろ。
「このコーデ、なんて検索したら出てきたの? あまりに保守的すぎて『メンズ コーデ 20代』とかでも出てこないでしょ」
俺の検索履歴を見抜くな。画像モデルの顔を自分のに置き換えて想像してみて、どのコーデも「なんか違うな」ってなった結果のコレなんだよ。
「舐めんな。ちゃんと店行って、自分で見て選んでるから。安モンでもないし。ほら、上下とも生地がいい」
「生地の良さを気にするのって、中学生の息子に服を買うお母さんと、ブランドを知らない童貞だけらしいよ。そんな人間が自分で服を選ぶより、マネキンが着てるのそのまま買った方がマシだと思う。なんなら今からあたしが服選んであげよっか?♡」
本人のギャルっぽい雰囲気もあり、普段は正直賢くなさそうな印象を受ける喋り方の矢村だが、俺を罵倒するときに限っては七味を売る屋台の店員のようにすらすらと淀みなく喋りやがる。
「あーーうるせ! お前やお前の彼氏みたいなチャラチャラした人間が着るような服なんて御免だ! 童貞が童貞らしい格好して何が悪い!」
「あはは~~♡ 開き直った~~♡ 別に悪くないよ?♡ 童貞らしい格好♡ 似合っててかわいいと思うな~~♡」
ニマニマと憎たらしい笑みを浮かべながら、俺の顔を覗き込んでくる矢村。陽キャ特有の習性か、こいつはやたらと俺と目を合わせようとしてくる。思い通りなってたまるものか、と俺はふいっと顔を逸らした。
「はっ! それに俺はこの後予定があるんでね! お前の着せ替え人形になっている暇はない!」
「え~~? リンリンわかってる? 服選ぶって名目でデートしよって言ってるんだよ?♡ それより大事な予定とかある?♡」
「ある!!!!!!!!」
力を込めて言い放った後、一歩一歩地面をしっかりと踏みしめながら改札の方へ向かう。こういう、男を転がして遊ぶような女の冗談を真に受けてはいけない。少しでも靡いたら最後、童貞の純情を弄ばれた挙句、なにも得られないどころか、金品や信用を失いかねない。報酬を払えば責任を持って自由恋愛(性的なサービス)を行ってくれる風俗嬢の方とは違うのだ。
「リンリン! ちょっと待って! ……パンツ、タグついたままだよ!」
「えっ……!」
立ち止まって振り返り、ズボンの尻の方を確認しようしたところ、足元にしゃがみこんで、待ってましたと言わんばかりのニヤケ面で俺を見上げる矢村の姿があった。
「うっそ~~♡♡♡ やっぱ初めて着たんじゃんこの服♡」
「……蹴っ飛ばしてやろうかお前」
マジでふざけやがってこのチビ女、踏みつぶしたくなる表情をしている。……そしてそのすぐ奥にはTシャツがデカすぎるが故にできた無防備な隙間があり、そこからは二つの大きな乳房の一端が覗いていた。矢村はギャルのくせに胸元の空いた服はほとんど着ない。服越しでもその胸の大きさは一目瞭然だが、毎回直接視認できるのは良くて鎖骨くらいで、どれだけ近寄られても谷間を拝める機会はめったにないという、本人の〝素敵な〟性格を反映したかような性悪おっぱいである。人気アイドルの水着写真は、決まって布面積がべらぼうに多くて肝心なところは何も見えない、みたいな話だ。それが今回は結構ガッツリと露になっているのだから、これはもう僥倖と言うほかない。いつも隠している部分を見てやった、というのも、コッソリ仕返しに成功したようでどこか爽快である。
「リンリンはそんなことしないよ♡ 〝優しい〟、童貞の男の子だもん♡」
これは、優しいだけの男はモテない、という残酷な事実を踏まえた上での皮肉だ。女に暴力を振るうような奴がモテている狂った世の中であるから、矢村のこの揉みごたえのありそうなデカ乳も、どこかで見たようなチャラチャラした格好で、中身のない会話を繰り返す、その場のノリで生きてきたような軽薄な彼氏に毎晩好き放題されているのだろう。いや、実際に矢村の彼氏は見たことないけども。こういう種類の陽キャ女は男を何人もキープしてそうだし、ペニスでものを考えるアホの彼氏が途切れずいるに違いない。顔と身体はいいからな、こいつは。
「……ふん!! 確かに、俺はお前が付き合ってるみたいな女を殴るヤリチン男とは違うからな」
「……リンリン、いつも架空のあたしの彼氏の話するけど、あたし彼氏いないからね?」
……いないんだ。へ、へえ~~。いや、どうでもいいけどな!
「……あっそ、どうでもいいわ」
「ていうか、人の彼女にこんなベタベタしてたら殴られるのはリンリンの方だと思う」
「理不尽すぎる!! ベタベタしてくるのはお前だ!!」

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