通い義母

【お世話させてください】

著者: 鷹山倫太郎

本販売日:2023/10/23

電子版配信日:2023/11/02

本定価:825円(税込)

電子版定価:880円(税込)

ISBN:978-4-8296-4691-5

(こんなおばさんを女として見てくれるのね)
身体を貫く硬直に、濡れた喘ぎを洩らす菜穂子。
足繁く通いつめた独り暮らしの息子の部屋で、
まさか童貞喪失をお手伝いしてしまうなんて。
一度きり、と決めていた美熟女だったが、
和樹の隣室に住む若い女の存在に理性を失い……

目次

第一章 独り暮らしの部屋、義母がお世話する童貞喪失


第二章 お母さんの代わりに隣室のお姉さんがセフレに


第三章 ノーブラで訪れて美乳をアピールしてくる熟女


第四章 初めてのアナル体験は罪深き絶頂とともに


第五章 父の出張中、ダブルベッドで獣になる母と息子


第六章 淫らな夜の始まり、熱い夏の終わり

登場人物

なほこ(38歳)義母

さき(26歳)OL

本編の一部を立読み

第一章 独り暮らしの部屋、義母がお世話する童貞喪失

1

 梅雨の到来を予感させる暗雲が、空に低く立ちこめている。
 電車に揺られること三十分。高杉菜穂子は独り暮らしをしている息子を訪ね、そのアパートの玄関前で息を整えていた。
 自宅を出た時には感じなかった雨の匂いが、地面から立ち上っている。
 幸い降られなかったものの、額にはじわりと汗が滲んでいた。五分袖のカットソーや膝丈のスカートから伸びた手足にも、重く湿った空気が纏わりつき、余計な汗を誘発してくる。
「はぁ、はぁ……。たった十分足らず、駅から小走りしただけで、ゼイゼイしちゃう……。歳は取りたくないわね……」
 とはいえ菜穂子は、まだ三十八歳。
 十八歳の息子がいる母親としては、世間的に見て充分に若いほうだが、どうしても過去の自分と比べてしまう。
 やれやれと小首を振り、インターフォンのボタンを肘で押す。
 すると少し経って、「……はい」と低い声が聞こえてきた。
 不機嫌そうな響きに肩を竦め、声をかける。
「かず君、私よ。手が塞がっているから、ドアを開けて」
 カメラ付きでないにも拘らず、菜穂子は両手に持った紙袋を見せるように揚げた。中には息子の洗濯物や、手料理を詰めた保存容器が入っている。
 程なくして扉が開き、息子である和樹が怪訝そうな顔を覗かせた。
 ぼさぼさの髪に、実家でパジャマ代わりにしていたTシャツとスウェットパンツの、如何にもな寝起き姿に思わず苦笑してしまう。
「なあに、その恰好。もう三時過ぎよ? いくら日曜日だからって、だらけすぎじゃない?」
「あー、いや、まあ……。うん……」
「まあいいわ。はい、これ」
 紙袋を手渡すと、和樹が一言、「ありがと」と呟き、部屋の中へと戻る。
 薄い反応はいつものこと。思春期の少年特有の、反抗期なのだろう。
(少し寂しいけど、お礼を言われるだけ、まだマシかもしれないわね)
 息子の背中を見つめながら吐息を漏らし、後に続いて中に入る。
 1DKの室内は実家の部屋と比べると、案外片付いていた。
 いや、和樹が独り暮らしを始めて、まだ二ヶ月余り。そのうえこうして、三、四日に一度は通って掃除を手伝っているのだから、当然と言えば当然である。
(頼まれもしないのに、私もよく続くものね。まあ、来るなとは言われていないし、好きで焼いている世話だから、全然苦じゃないけれど……)
 それでも、わざわざ独り暮らしをするなんて、とは考えてしまう。
 菜穂子は持参した保存容器を冷蔵庫にしまいながら、和樹が「家を出たい」と言いだした時のことを思いだしていた。



「通学の便利さと、人生経験のため。生活費もバイトで稼ぐ」
 和樹が口にした理由に夫は納得していたが、菜穂子は違った。
 高校を卒業し、今春から和樹が通っている専門学校は、実家からとの距離に大した差はない。
 第一、人生経験云々など、十八歳の息子にはまだ早い。
 しかし、それを指摘するのは気が引けた。
(だってこの子とは、血が繋がってないんだもの……。やっぱり継母なんかと暮らすのはイヤだったのかしら。家族になるのよって伝えた時は、とても喜んでくれたのに……)
 それはおよそ六年前、和樹がまだ小学生の頃のこと。
 菜穂子は初婚だったが、夫は前妻を病気で亡くしてからの再婚で、和樹は夫の連れ子だった。
 だが出会い自体は更に数年前、和樹のほうが先である。
 結婚して専業主婦になった菜穂子だが、前職は小学校の教師。
 そして和樹は、菜穂子が担任を務めていたクラスの生徒だった。



 冷蔵庫の整理を終え、振り返る。
 和樹は部屋の真ん中で、床に体育座りしてスマートフォンを見ていた。
 立てた膝に顎を乗せる癖は昔のまま。母親のいない家に帰るのが嫌で、放課後に一人残り、膝を抱えていた頃の姿と重なる。
 思わず胸が締めつけられ、菜穂子は声を潤ませた。
「……かず君。お昼ごはんはちゃんと食べたの? 学校の宿題は?」
「宿題って……。課題はないよ。もう小学生じゃないんだから、変なこと言わないでよ、菜穂子さん」
 結婚前は「先生」だった呼び方も、彼の小学校卒業を待って「継母」になると、名前呼びに変わった。
 結局今まで、「お母さん」と呼ばれたことは、一度もない。
(思春期の難しい年頃だったもの、無理もないわ。私も夫も、あえて強制しなかったし……)
 当時シングルファーザーだった夫とは、緊密に連絡を取り合っていた。
 女性の目線でサポートするうち、互いに惹かれ合っての結婚だったが、二人とも和樹のことは第一に考えていた。
(この子が懐いてくれていたから、結婚できたのよね。けど今は……)
 空いたグラスを手に、和樹が近づいてくる。
 だが流し台にグラスを置いただけで、こちらを見ようともしない。
 これもまた、彼の成長の証なのだろうか。隣に立った和樹は、既に自分の身長を超えている。が、おそらくもっと背は伸びるだろう。
 菜穂子はまだ辛うじて届く少年の頭に手を伸ばした。
「ねえ、服装はともかく、この寝ぐせはなんとかしたら? お隣さんとかに見られたら、笑われちゃうわよ?」
 引っ越しの挨拶で伺った隣人は妙齢の、しかもかなりの美女だった。
 しかしそんな言葉は和樹に届かず、「うん」と呟いたきり元に戻り、今度は背中を向けて床に胡坐をかいてしまった。
 その後ろ姿に、またしても溜息が漏れてしまう。
(小学生の頃は何度も、先生のことが好きって言ってくれたほど、無邪気に甘えてくれていたのに……)
 十八歳の今になっても昔のままなら、それはそれで問題だろう。
 だがこうも素っ気ない態度を取られ続けては、いくら反抗期だとしても、やるせない思いに駆られてしまう。
(いつかはこの子も大人になって、反抗期も止むのだろうけれど、いったいいつまで続くのかしら。まるで、先の見えないトンネルにいるみたい)
 特に血が繋がっていない分、その不安はより大きい。
 報われない愛情にも虚しさを覚え、つい愚痴の一つも言いたくなる。
「まったく、一人暮らしなんてする意味、あるのかしら……」
「え?」
 思わず口をついて出た呟きに、和樹が応えてしまう。
 ハッとして顔を上げると、怪訝そうな表情で振り向く和樹と目が合った。
 しまった、と、下唇を噛むが、もう遅い。
 いや、この機会に話してみたほうがいいだろう。
 菜穂子はコクリと喉を鳴らすと、穏やかな声で語りかけた。
「ねえ、かず君。実家に戻ってくる気はない?」
「……なんで?」
「やっぱり家族は、一緒にいるべきだと思うの。もちろん、気に入らない点があったら直すわ。それでも、私たちと暮らすのはイヤ?」
 返事を待つが、和樹は答えず俯いてしまう。
 やはり無理なのか。そう思った時、不貞腐れたような呟きが聞こえた。
「……家族でなんか、いられるわけないじゃないか」
「……前の、本当のお母さんのことが、忘れられないから?」
「そんなんじゃないよ。菜穂子さんが父さんと……、夫婦でいる姿を見ていられないんだ」
「え? それって、どういう意味なの?」
「どうって……。い、今でも菜穂子さんのことが、好きだってことだよっ」
 苛立ったように語気を荒げ、和樹が顔を上げた。
 その表情は真っ赤で険しく、思わず怯んで身体が竦んでしまう。
 すると、感情の昂ぶりが抑えきれなかったのか。次の瞬間、菜穂子は立ち上がった和樹の腕の中にいた。
 頭一つ分大きい少年に抱きしめられ、身動きできない。
「ちょ、ちょっと、かず君。お、落ち着いて……」
「俺のほうが父さんより先に、菜穂子さんのことが好きだったんだっ。なのに酷いじゃないか。俺はずっと菜穂子さんのことが……っ」
(この子……。始めから私のことを、女として……)
 少年の告白が実体を伴って下腹に伝わってきた。
「あ、あなた……。こ、これ……」
 訊くつもりもなく呟くと、柔い腹肉に当たる少年の、堅く勃起した男根が脈を打つ。
 菜穂子は和樹に抱かれながら、目を閉じて天を仰いだ。

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