翠桜皇国の仙術使い【学園魔獣編】1 

任務成功のご褒美は種付けエッチって本当ですか?

電子版配信日:2023/11/10

電子版定価:770円(税込)

Eランク術士の俺が率いる、翠桜皇国魔獣課のエリートお嬢様部隊!
九条院かぐや&しずく姉妹、じゃじゃ馬ツンデレの伊智倉めぐみ、
金髪ツインテの真咲あまね、皇女・生良宮みつば──五人の俺の嫁と
満喫した5Pバカンスの思い出に浸る俺に、学園に魔獣襲来の報が!
皇国の平和と築きあげたハーレムを守るため、俺は立ち向かう!
エッチシーン大大加筆、ノクターントップファンタジー、待望の再始動!

目次

1 魔獣課、活動開始! 秘密のフォルダを

2 ハメ撮りハーレム撮影会! かぐやとあまね

3 始まる学園生活! クラスの人気者、かぐや

4 皇都の犯罪者たち! 蒼月会とレイドリング

5 陽刃の決意! 修練場の講演

6 更なる混沌の予兆! 封じられた学園

7 新たに皇都に来る者! 魔獣の築く領域

8 デルバスターの参戦! 動き出す昂劫

9 混迷の領域内! 学園に来たる者たち

10 戦闘開始! 双剣魔公に立ち向かう者たち

11 王子 対 魔族 最後に来た男

12 対決フォルカーナ! 新たなる仙獣

13 九条院家当主は見た! 昂劫という男の異常性

14 学園魔獣騒動の決着! 戦いを終えて……

15 目覚めた男! 騒動のその後

登場人物

かぐや 令嬢

あまね 令嬢

しずく 令嬢

めぐみ 令嬢

みつば 令嬢

本編の一部を立読み

1 魔獣課、活動開始! 秘密のフォルダを

『んでぇ~? どうだったんだよ。ヤったのか? ヤりまくりハメまくりのハーレム旅行を過ごしてきたのか? ん? んん?』
「なんでそんな楽しそうに聞いてくるんだよ!?」
 俺は通話で隣地区を担当する魔獣課の隊長、才葉蓮華《さいばれんげ》と話していた。
 才葉は俺たちが旅行中、このエリアをカバーしてくれていたからな。メールで礼は済ませていたが、改めて通話で直接言っておこうと思ったのだ。
『私の時は毎日逆ハー性活を楽しんでいたけどなぁ』
「乱れてんな……」
 いや、人の事は言えねぇけど! こっちも思いっきりハメまくりのハーレム性活を送っていたけどさ!
 あらためてみんなとの旅行の日々と、そこに至るまでの経緯を思い出す。
 俺、昂劫和重《こうごうかずしげ》は翠桜皇国《すいおうこうこく》の公務員……Eランク術師になる。
 大した魔力もないのに、家柄だけは古いおかげで新設された魔獣課の隊長を任されることとなった。
 配属されたのは、翠桜皇国を代表する高位術師家のお嬢様ばかり!
 皇国四大術師家系の一つ、九条院《くじょういん》家からはしずくとかぐや。伊智倉《いちくら》家からはめぐみ。そして皇族に仕える家系である真咲《まさき》家のあまね。
 ほんっとうにいろいろあったのだが、俺は任務を通して彼女たちと絆を育んでいく。
 そして皇族家系の一つである生良宮《きらみや》家の令嬢、みつばもチームに加わり、俺たち六人は合宿旅行で海へと向かった。
 ちなみに旅行先は九条院家の私有地であり、完全なプライベートビーチだ。あらためて家格のちがいを見せつけられてしまった……。
 海と言えばバーベキュー! そして水着! 俺は恋人となった五人と一緒に、濃厚な七日間をすごす。
 初日の夜から全員で裸の付き合いがはじまり、それはもうとんでもない日々を送っていた。
 もちろん合宿旅行だし、術の修行も怠ってはいない。
 まじめに術の修練を積みつつ、これまでくわしく話していなかった俺の力……「仙術」についても明かしていく。
 既存の術とはまったく別次元のものであること。使用には魔力ではなく天仙力を用い、それを扱えるのは昂劫家の者に限られること。
 俺自身は過去に二回、仙界へと渡って、こちらの世界とは異なる時間を修行に費やしていたことなども話していく。
 仙界では翠桜皇国で伝説として語られる「仙導師」になるべく、修練を積んでいた。しかし最後の試練を乗り越えることができず、俺は仙導師になることなく帰されてしまう。
 久しぶりに人界に帰還したそのとき、双剣魔公《そうけんまこう》のウィーロンをはじめとする魔族にさらわれたみつばとばったり出会ったのはこのタイミングだ。
 俺は仙導師にはなれなかったものの、修練で得た仙術を用いて見事にみつばを救出することに成功した。
 もっともこのときは、彼女が皇族の姫だなんて知らなかったんだけど……。
 これまで人に聞かせたことのない話だったが、五人と共有できて俺はよりみんなが愛おしく思えるようになった。
 それに秘密を明かした上に全員一緒に夜を過ごしたのだ。前よりもチームの空気がよくなったというか……みんなお互いに距離が近くなったように思える。
 こうした点を見ても、合宿旅行はやってよかったと思う。またこのメンバーで行きたいところだけど、自分の稼ぎでどこか連れて行ってやりたいところだ……。
 さて。リフレッシュもできたし、しっかりと働かねぇとな……!
 それはそれとして、才葉には言葉だけではなく目に見える形でお礼をしなければならない。
 俺は才葉の課のみんなで食べられるお菓子をいくつか購入していた。
「とにかく。そっちのオフィスにお土産を送っておいた。みんなで食べてくれ」
『サンキュー! お、そういやよぉ。例の王子の話、聞いたか?』
「執行官たちと協業で、皇都中を駆け回っているんだろ? 聞いたよ」
 ヴァンフォルデン王国からやってきた第三王子、デルバスター。
 彼はレイドリングを炙り出すため、積極的に執行官らと行動を共にしているとのことだった。
 いろいろ噂はある人だが、翠桜皇国の治安維持に協力してくれている形だ。
「案外いい人なのかね」
『どうだろうなぁ~。単に合法的に自分の力を振るいたいだけかもよ? そうそう、これ見てみな』
 スマホに才葉から画像が送られてくる。それは二人の双子美人魔術師の写真だった。
「これは……!」
『例の王子のお付きだってよ。向こうの本物の貴族だぜ。お前のことだ、こういうの好きだろ?』
 写真の双子姉妹は、露出の多いぴっちりとしたハイレグ黒スーツを着ていた。
 翠桜皇国の女術士が着る戦闘スーツ。それの海外版だろう。
 胸と尻がよく出ており、ボディラインがはっきりとわかる。
 そして目つきがキリっとした気の強そうな金髪美人と、おっとりした感じの金髪美人。同じ顔なのに、何故か目で印象が変わる。
 ……正直言って。
「かなりいいな……っ! 海外の戦闘スーツなんてじっくり見る機会がないが……! なんだこの格好……! 二人ともスタイルもいいし……!」
『ははは! お前が喜ぶと思ってなぁ! 撮っておいたんだよ!』
「才葉……! ありがとう……!」
 翠桜皇国における貴人というのは、皇族を指す。術士家系はべつに貴族とかそういう訳じゃない。
 だが海外では絶対王政が敷かれていたり、今も貴族制度を色濃く残している国も多い。
 この二人も本物の貴族であり、スーパーお嬢様なのだろう。
『代わりといっちゃなんだが、教えてくれよ。執行官絡みでお前なにか頼まれてたり、別口で聞いてる話とかあるか?』
 才葉も執行官の動きは気になるのか。俺たちの仕事とは直接絡みはないが、場合によっては連携を取る事態になる可能性もあるからな。
 執行官絡みの業務は基本的にあまり表には出ないし、なんでもいいから情報は拾っておきたい……といったところか。
「ん~……。いいもんくれたし、何か知っていたら話したいんだが……。俺も才葉と知っている情報は同じだ。それ以上はなんも聞いてねぇなぁ。とくに今回、王子絡みで仕事を振られたってこともないし」
『んだよ、面白くねぇなぁ。まぁお前はべつに特異犯罪者捕縛課の所属って訳じゃねぇし。仕方ないか』
 そうなんだよな。犯罪術士を無条件に取り締まれる資格ではあるが、俺自身は特異犯罪者捕縛課の一員として働いている訳じゃない。
『ま、お互い気をつけようや。レイドリングの残党らしき奴も目撃情報が増えてるしな』
「らしいな……。ほぼ間違いなく、蒼月会《そうげつかい》とも繋がりがあるだろうし」
 魔獣課は地域の巡回も仕事の内だ。最近の皇都は何だか物騒だし、いくら担当エリアが小さいとはいえ、こっちは隊員全員まだ学園生。
 あいつらの実力を疑っている訳じゃないが、用心に越したことはないしな。
 俺は才葉との通話を切ると、仕事のメールを作成し始める。けっこう内勤業務が溜まっているのだ。
「……こりゃ今日はみんなには巡回に出てもらって。仕事はみつばに手伝ってもらおうかな……」
 みつばは俺の補佐みたいなポジションだからな。来月の会議資料も作成しなければならない。
 それにそろそろ部下から上司への評価と、俺からみんなに付ける評価を考える時期でもある。
 だいたいこの評価の積み重ねで、パワハラ系の上司は現場から追い出されていくのだ。
「はぁ……。まぁうちは問題ないだろうけど。それにしても仕事が多い……」
 溜まった内勤はさっさと片付けてしまいたい。こんな日に限って、魔獣が出ませんように……。
 そう祈りつつパッパと仕事をこなしていく。
 しずくたちはまだ夏休み中ではあったが、あと数日で学園での授業がはじまる。
 だからというわけでもないが、魔獣課自体は昨日から活動再開していた。
 いつもよりすこし早い時間に、みんながオフィスに集まりはじめる。
「お疲れ様です、かずしげさん」
「お兄ちゃん、おまたせー!」
 みんな名家の生まれだし、学園が休みでも家の用事は多い。だがここ最近は全員集まれる機会が多かった。
 俺はさっそく仕事の割り振りをしていく。
「しずくとあまねは西地区の巡回。めぐみとかぐやは東地区だ」
 予定通り今日は修練ではなく、巡回に出させる。
 みんなももう慣れているし、細かな指示までは必要ないだろう。
「ん。隊長は?」
「俺はまだ片付けないといけない仕事が多くてな……。ここで緊急事態に備えつつ、みつばに資料作成を手伝ってもらおうかと思っているよ」
「ええ。かまいませんわ」
 ありがたい……! ある程度は済ませておいたし、みつばが手伝ってくれるのなら今日中に終えられるだろう。
 ここで声をあげたのはしずくだった。
「あの……かずしげさん」
「ん? どうした?」
「今日は十八時にはあがりたいのですが……」
「そりゃ構わないが。家の用事か?」
 九条院家は四大術師家系筆頭みたいな立ち位置だしな……。しずくもいろいろ都合があるのだろう。
 そう考えていた俺に答えを教えてくれたのはかぐやだった。
「お姉ちゃんはね~。お父さんとその友達と一緒に、打ちっ放しに行くのよね!」
「え……? 打ちっ放しって……ゴルフの?」
 前に俺もしずくと行ったことがあったな。正直、俺よりもうまかった。
「は……はい。その……さっき父から連絡がありまして。急で申し訳ないのですが、わたしにも来るようにと……」
 九条院家当主ともなれば、毎日だれかと会合しているんだろうな……。
 その友人がどういった人物なのかはわからないけど。いずれにせよ俺が口を出せることではない。
「わかったよ。それじゃ巡回ははやめに切り上げようか」
 話がまとまったところで四人は巡回に出ていく。俺はみつばと一緒に資料作成だ。
「あ、旦那さま。担当地区における近年の人口変化と、犯罪術師発生率を拾いたいのですが……」
「それならもう用意してある。こっちのフォルダに……」
 資料を作成するための資料をいくつか用意しておいたのだ。こういうのは本当に無駄だと思う……。
 そうして数時間が経ったころには、どうにか会議資料を完成させることができた。
 俺は台所で自分の飲むコーヒーを淹れ、みつばにはジュースを持っていってやる。
「おつかれ、みつば。助かったよ」
「まぁ……ありがとうございます」
 なんとか次の会議は乗り越えられそうだ。俺たちはテーブルに並びなりながら、お互いにドリンクを口に持っていった。
「みつばが魔獣課に合流してそれなりに日数経ったけど……すぐにみんなに馴染んだよな」
「ふふ……ええ。あまねもいてくれましたし、みんな旦那さまのことが好きですからね」
 あらためて言われるとすこし照れるな……! 魔獣課がはじまったときはこんなことになるなんて、想像もしていなかった。
「それに……出会ってすぐに旅行へ行ったのは大きかったかと」
「ああ……それはまぁ……そうだよな……」
 初日からみんなで裸の付き合いをしたしな! いま思い出してもすごい時間だった……またみんなと旅行に行きたい……。
「そういえば旦那さま……わたしたちのあられもない姿を撮影なさっておられましたよね……?」
「ぅえ!? あ……ま、まぁ、な……!」
 家宝として一生大事にするつもりだぜ!
 みつばは俺に距離を詰めてくる。
「すこし見せていただけませんか?」
「え……!?」
「みなさんのいろんな姿を拝見できましたけど……わたくしも旅行の振り返りをしたいのです」
「ま……まぁ……みつばが見たいのなら……」
 スマホを取り出し、秘密のフォルダを開く。そこにはまる一日かけて振り分けられた、いくつものフォルダがあった。
「ええと……〈しずく・エロ〉に〈非エロ〉〈景色・料理〉……。まぁ。〈複数エロ〉もございますのね」
「口に出されるとすごく恥ずかしい……!」
 みつばの口になんて発言をさせているんだ! というかみつばも読まなくていいのに……!
 最初こそ景色などの写真を眺めていたが、やっぱりみつばも興味があったのだろう。途中からエロフォルダを開いてしまった。
「まぁ……このかぐやさん。いつお撮りになられたのです?」
 みつばが見た画像は、水着姿のかぐやががに股でしゃがみこみ、自ら股間の布地を真横にずらしてカメラにポーズを決めているところだった。
「ああ……初日だったかな……? ほら、みんなで水着のお披露目をしただろ? 海に行って、ログハウスに戻る前くらいだったと思う」
「エッチ中に撮られるのはともかく……そうでないときに自分の恥ずかしい部分を晒し、さらにこうしたポーズを取るというのは、わたくしにはまだ恥ずかしくてできそうにないですわね……」
 いや……案外みつばも、いざ撮りはじめたらノリノリでポーズを取りそうな気がするけど……。
 でもみんなの水着、本当によかったな……!
 かぐやの水着は上下ともに重ね着していてエロかったし、しずくとあまねは結構攻めたデザインの水着だった。
 大人っぽかったのはめぐみだな。みつばはすごく清楚な白ワンピース水着だった。
「あ……じ、自分の……性行為の様子はやっぱり見られませんね……」
 みつばは一瞬映った自分のエロ動画を飛ばし、しずくの動画をじっくりと観察する。
 ああ……旅行に行って初めてハメ撮りしたときの動画だな。たしかかぐやが撮影してくれていたんだったか。
「しずくさん……とても色気がありますわね……」
「ああ……。というかかぐや……しっかりと中出し時には結合部をズームさせていたのか……」
 それでいてしっかりとしずくのイき顔を撮れているのも素晴らしい。普通に動画撮影がうまいな……。
「まぁ……あまねったらこんなに気持ちよさそうな顔をして……」
「めぐみも負けていないけどな」
 いつの間にかみつばと二人でエロ動画鑑賞会がはじまってしまった……!
 動画からは声も漏れ出ているし、めちゃくちゃムラムラしてきた。このままみつばとセックスしたい。
 どうしよう……サクッと終わらせる方向で、みつばとセックスしようかな……。
 でも手を抜いて俺が気持ちよくなるためのセックスというのも、みつばに対して申し訳ない。ぐぬぬ……。
「ん……?」
 ずっとみんなのエロ動画に夢中になっていたが、ふと背後に気配を感じた。振り返ってみると、なんとしずくたち全員が立っている。
 いつの間に帰ってきていたんだ……! というか時計見たらもう普通に時間だったわ……!
 かぐやがニヤニヤした笑みを浮かべている。
「やっと気づいた~。お兄ちゃんもみつばちゃんも、エッチな動画を見すぎだよ~」
「い……いや……これは……」
 なんだか旅行中も似たようなことがあった気がする……!
 しずくは顔を真っ赤にしており、めぐみもやや頬を染めていた。でもその視線には若干のあきれが混じっている。
 あまねはいつも通り無表情だ。でもエロ動画を鑑賞していたことについては、とくになにも気にしていなさそうではある。あまねだし。
「あー……ゴホン。お帰り、みんな」
「ん。ただいま」
「かずさんたちがエッチな動画を見ている間、わたしたちはちゃんと巡回してきたわよ」
 お、俺たちも自分の仕事は終わっているから……! とは言えない。いまはなにを言っても仕事中にエロ動画を見ていた言い訳にしかならない……!
 簡単に報告を受けたところで、かぐやが再びニヤついた笑みを向けてきた。
「それでぇ。お兄ちゃんたちはだれのエッチな動画が一番よかったのかな~?」
「ええ……」
 かぐやからはなんとなく「当然、わたしでしょ?」というオーラを感じる。自信があるのはいいことだ。
 でもその質問はみんなの前で答えにくいって!
 そんな俺に助け舟を出した……つもりでもないのだろうが、みつばはかぐやに視線を向けた。
「かぐやさん。やっぱりプロだっただけあって、動画を撮るほうも撮られるほうも慣れておられますね」
「ん~? まぁそうかも? みつばちゃん、わたしの動画がいいと思ったんだ?」
「どちらかと言えば画像の方でしょうか? かぐやさんらしい魅力がつまった一枚だと思ったので……」
 もしかして、水着でおま×こを見せつけつつポーズをとっていた写真のことを言っているのだろうか。
 たしかにあの写真は、かぐやらしさにあふれた一枚だと思う。
 がに股で大胆に股を開きながらも、カメラに向かって決めポーズをしているし。笑顔も満点だ。
 しぐさ、表情などはかぐやだからこその魅力が詰まっている。
「みつばちゃんも写真ならよく撮られるでしょ?」
「たしかに機会は多いですが、どれも公式行事のものばかりですので。プライベート感の強い写真というのは、思えばほとんど撮ったことがございません」
「ふーん……?」
 ああ……それもなんとなく理解できるな。かぐやもみつばも写真を数多く撮られてきたけど、中身はまったく異なるものだろう。
 かぐやの場合は仕事で撮られていたが、それがプライベートにも活かせているのだ。いまもよく自撮りしているし。
「たしかにみつばちゃんの写真って、どれも堅い感じがあるかも? ……あ、ならさ! 今日はちょっと早く終わったし、撮影のコツみたいなものを教えてあげようか?」
「え……」
「もちろん実際にお兄ちゃんに撮ってもらう形でね! どう、みんな?」
 ちょっと面白そうなことになってきた……! だがしずくが残念そうな顔を見せる。
「わたしはそろそろここを出ないといけないので……」
 まぁそうだな。めぐみもしずくに続く。
「わたしも今日は家の用事が……。なるべく早く帰ってくるように言われているの」
 もしかしたらしずくもめぐみも、忙しいところを魔獣課に来る時間を作ってくれていたのかもしれない。
 次に口を開いたのはみつばだった。
「大変うれしい申し出ですが、夕食の準備がありまして……。今日はあまねと旦那さまのぶんもお作りするので、いまから取りかかりたいのです」
「えー。みんな用事ありかぁ~。……あまねちゃんは?」
 俺たちの視線があまねに移る。彼女はコクンとうなずいた。
「ん。だいじょうぶ。ボクもかわいく写真を撮ってもらいたい」
 あまね……普段からずっと無表情なのに……! やっぱり女の子なんだろうか。というかもともとすごくかわいいし。
「隊長のスマホで撮られるなら……だけど」
「…………! あまね……!」
「んふふ~。いつでもお兄ちゃんのスマホに、自分のかわいい写真を入れておいてほしいのね! それじゃあ、みつばちゃんの料理ができあがるまで、ここで撮影会をはじめちゃいましょうか!」

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