性欲が暴走した美優をなだめて修学旅行に来たものの、
そこは射精警察となった山本さんによる厳しいオナ禁監視下だった。
射精禁止なのに、美優と山本さんの俺への性欲煽りはどんどんエスカレートして……
旅行先から帰宅し、鬱憤を晴らすように妹に中出ししまくった数日後、
俺は見つけてしまった。楕円形の検査薬に表示された赤い二本線を──
大人気長編妹小説、妹が理性を取り戻しても続くイチャラブセックス!
01.射精警察
02.山本さんが本当に悩んでいたこと
03.修学旅行と射精管理の裏道
04.ダブル授乳ダブル手コキ
05.理性が強い妹
06.陽性
07.種付けと幸せ
08.ピンクの検査薬
09.妹は甘やかされたい
本編の一部を立読み
01.射精警察
「お兄ちゃん……私はお兄ちゃんが居なくなったらどうやって生きていけばいいの……」
火曜日の早朝から、啜り泣く声が部屋中の壁に染みついていた。出かける直前の俺のブレザーを、パジャマ姿の美優が引っ張って、まるで今生の別れのように泣きすがっている。修学旅行先までは新幹線での移動で、その発着駅まではバスで向かうため、いつもより早く学校に着かなければならない。
「何度も話し合っただろ? 四日間だけ我慢したら、また土日にデートもできるから」
「それはそうだけど……」
先週まで修学旅行の話をしていなかった俺は、すっかりお兄ちゃん好き好きモードになってしまった美優を、それでも説得したつもりでいた。だが、いざ明日から会えないとなると、美優も堪えていたものを抑えきれなくなったようで、子犬のような瞳で俺を見つめて学校に行かせまいと服を掴んで放してくれない。
妹が相手なのでもちろん無理やりに引き剥がすことなど考えてはいないのだが、実のところ今の俺には美優の腕力にさえ勝てるかどうかもわからなくなっていた。せっかくセックスの経験を重ねて分厚くなった筋肉は、美優のヤクザ的な精液の取り立てによって多量のタンパク質を失い、ついには運動量と反比例するように細まっていた。このままいけばせっかく筋トレで鍛えた腕も枯れ枝みたいになってしまいそうで、修学旅行の都合で離れる期間は、俺の肉体のためには必要な休養だったのかもしれない。
そんな状況になっても、美優と離れるのは寂しいんだけどな。四日も溜まればこれだけした後でも俺も美優も性欲はフル充電だろうし、帰ってからの美優がどれほど恐ろしい淫魔に化けているのか。それは考えないようにしておこう。
「そろそろ行かないと」
俺もギリギリまで美優とエッチをしていたかった。というより、実際のところ寝起きのフェラではきっちり精液を搾り取られていて、それがこれまでの回数からしたらものの数に入らなかったというだけのこと。俺が美優と手を重ねて諌めると、美優も観念して大人しくなった。
「夜には通話してね」
「もちろん。二人部屋だから、鈴原のやつにはどうにか都合をつけてもらうよ」
あいつは美優に恩もあるから、話せば融通してくれるだろう。この頃は女に熱を入れているし、修学旅行中にはそもそも部屋にいない可能性もある。俺と同じで夏前まで童貞のオタクだったあいつが、夏休みの女遊びであそこまで変わってしまうとはな。雰囲気がそうさせるのか経験を積むほどに顔つきも男前になっていて、もはや昔の外見を思い出すことすらできない。
「また四日後に、な」
俺は下手に後ろ髪を引かれることがないように部屋を出て、そのままノンストップで玄関まで下りて家を後にした。通話もできると思うと美優も寂しさが軽減されたのか、最後には手を振って俺を見送ってくれていた。
学校に着くと、校庭にはすでに複数台のバスが停車していて、第二学年の生徒たちがその横のスペースに続々と集まってきていた。俺たちのグループは男子組と小野崎だけがクラスの列に並んでいる。山本さんと川藤の姿はない。出発までそれほど時間が余っているわけでもないんだけどな。
「二人はまだ来てないのか?」
俺が声をかけて、反応したのは高波と小野崎だった。鈴原は眠たい目を擦って頭を重たそうにしている。朝に弱いのは知っているが、それにしたってダルそうというか、俺ほどではないにしても目の下のクマが色濃かった。
「てっきりソトミチと来るもんだと思ってたけど、ちげーの?」
「なんで俺があの二人と」
「川藤はともかく、山本さんとは仲がいいんだろ? 最近忙しそうにしてるのにも関係してるんだと思ってたけど」
「山本さんが放課後に何をしてるのかは知らないよ。むしろ教えてほしいぐらいだ」
「仲良しなのかよくわからん関係だな。……っと、噂をすれば! やっぱマブいぜ山本さんはよぉ!」
高波は相変わらずむさ苦しいぐらいの元気さで、山本さんの姿を見てすぐに駆け寄っていった。隣には川藤も歩いている。二人とも背が高い上に、ロングとボブの長短ヘアのコンビなので、並んでいると見つけやすい。
そんな姿を眺めていた俺の横から、今度は小野崎が声をかけてきた。
「ソトミチくんは大丈夫なの?」
「大丈夫って、何がだ?」
「ものすごくゲッソリしてるから……」
「ああ、これなら心配ないよ。修学旅行中には回復するから」
「へ、へぇ……」
小野崎は苦笑いでとりあえずの納得をして、山本さんたちと合流しに行った。俺もヤツれているのはわかっているのだが、この状態が定常化しているので自覚も薄れている。あのサキュバスから精力を吸われなくなれば体もすぐに元に戻るだろう。翻って美優はといえば、山本さんに負けないぐらいにツヤツヤのムチムチになっていて、あの身長にして一時的にはバストが百センチを超えてたときもあったと思う。いや絶対にあった。最後にしてもらったパイズリが気持ちよすぎて美優の乳に挟まれたまま何度射精したかもはや覚えていない。俺も美優もそういう体質をしている。
「で、鈴原はなんで眠たそうなんだ?」
「それが……夜遅くまで起きててな……ゲームしたり通話したり……」
「今日が修学旅行なのはわかってたんだから自重しとけって」
「ハルマキちゃんに付き合えって言われたら断れないんだよ」
「あ? なんで?」
俺が質問しても、眠いのか決まりが悪いのか鈴原は答えない。鈴原のやつも俺と似たような境遇になっているのだろうか。だとしたらシンパシーを感じるよ。どんな状況なのか夜にでも聞かせてもらおう。
修学旅行の行き先は、初日が軽い観光と、ホテル会場内でのレクリエーション、二日目が文化的施設巡り、三日目が自由行動で、最終日にハイキング程度の自然体験をして家へと帰ることになる。
バスの中ではさすがに男女別で固まるかと思いきや、例によって第一グループが班ごとでまとまった座席となるように担任に願い出たため、ここでも俺たちは班員でペアを組むことになった。
ともなると俺の隣は山本さんか、あるいは山本さんの隣は川藤が座るからやはり鈴原かと考えていたら、なんということか一番ないと思っていた川藤が俺の隣に座ることになった。高波と小野崎が残りのペアで、山本さんは鈴原と座っている。そして二人して早くも就寝モードだった。
これだけバス内が騒がしいのによく眠っていられるものだ。鈴原はハルマキさんとの通話が夜明けまで続いたせいで寝不足だと言っていたが、山本さんは何が理由で疲れているのかな。このところは放課後も忙しない感じだし、俺と同じで修学旅行が休養になるといいのだが。
「……っても、川藤が山本さんと隣でよかったんじゃないか? わざわざ寝る二人を固めなくても」
「そうね。でもあなたと話がしたかったから。奏と鈴原に私からお願いしたの」
なんだと。あの男をミジンコ程度にしか思っていない氷の女王が自ら俺の隣を望んだなんて。モテ期なんだろうか。
「そんな妙な呼び方をされた覚えはないし、私にも彼氏ぐらいいたことあるから。付き合う人間を選んでるだけ」
「普段からもっと冗談とか言ってくれると話しやすいんだけどな」
「そうね。善処するわ」
川藤は切り揃えた毛先を軽くさらってから手癖のように耳を触った。この近さだと耳たぶのピアスの穴まで見える。外だとやんちゃしてたりするのかな。
「で、俺と話したかったって、またなんで?」
山本さんとのことで色々あったものの、川藤にはモテない男の代表みたいな評価をつけられて以来、その印象は変わっていないみたいなのだが。
「直接あなたに興味を持ったわけではないのよ。奏があれだけ入れ込んでた男がどんな人間か、もう少し知りたくなっただけ」
川藤は山本さんと俺が夏休みに親密な関係にあったことを知っている。山本さんが中学生の頃から男と上手くいかなくて悩んでいたことも。しかし、その悩みが解決される過程で、俺の妹でしか抜けない体質がカギとなっていたことまでは、山本さんも話していないはず。
「俺のことってどこまで聞いてるの?」
「それほどには。あなたに恋をしてフラれたっていう、信じられない話をされて聞き流してただけだもの。夏休みにあなたと会った後も、奏はその件だけは頑なに話さなかったし」
悩みの相談先である親友なら少しぐらい話してしまいそうなものだが、秘密はきっちり守ってくれてたんだな。
「山本さんはまだ引きずってたりするのかな? 今日もやたらと疲れてるみたいだし、無理をしてないといいけど」
「それについては安心して。毎日楽しそうにしてるから、きっといい変化よ。というよりあなたも知らないの? なんで奏が忙しいのか」
「し、知らない……」
聞こうと思えば聞ける機会はあったのかもしれない。ここしばらく意識が朦朧としていてそんなどころではなかっただけで。
「あなたにも話してないなら理由があるのでしょうね。なんにしても、しょうもない躓きで人生丸ごと惰性で生きていた以前からすると、活気が戻ってて私は嬉しいわ」
「そうなのか? それは……よかった」
修学旅行中に山本さんと話せる時間があれば本人に聞いてみよう。思い悩んでいないのならいいんだ。山本さんは笑顔が何より似合う人だから。元気でいてくれればいい。
「ところで」
川藤は話を一区切りして、ようやく俺の顔を正面から見た。美人慣れしてしまった俺でもキレイだと思うほどスッとした切れ長の目と鼻筋がとても美しい。
「あなたはどうしてそんなにヤツれているの?」
またそれか。妹に精液を絞られすぎたせいだよ。
「そこまで酷いかな?」
「ええまあ。ゾンビみたいで気色が悪いというか。奏のことがなかったら絶対に話しかけてなかったぐらい不細工だわ」
川藤の毒舌を考慮すると少々過剰なフレーバーが加えられているとして、これだけ言われるのだから事実そうなのだろう。今夜は美優と通話しているうちに寝落ちしてしまうかもしれない。
「疲れているのなら寝る? 私は構わないけど」
「逆にもう少し話したいって言ったら迷惑じゃないかな?」
「それは……意外ね。私が隣を望んだのだし、迷惑なことはないわ」
いつかの美優のようにドライなだけだと思っていた川藤は、こっそりと俺にだけ見せるように口角を上げて微笑んだ。
「思ってたよりあなたと話すのは嫌ではないみたい」
目を合わせながらのひとことに、不本意ながらもときめいてしまった。このギャップにはやられてしまうな。女性経験がないままだったらどうなっていたことか。その頃の俺だったら話しかけてもらえてすらいないか。
と、川藤に不思議な親しみやすさを覚える時間は穏やかに過ぎ去り、バスがサービスエリアを経由することもなく新幹線の発着駅にまで辿り着いた。今度は修学旅行用に開かれた改札ゲートを通ってホームに整列することになっていて、なんということかそのときまで俺と川藤との会話は続いていたのである。俺と川藤のどちら側にその要因があったのかはわからないが、ともかく二人で並び歩いたままお喋りをしていて、クラスごとの整列のために立ち止まったところで、川藤の並な胸の膨らみをガバッと鷲掴みにする影が近づいてきた。
「奈々子ぉ~!」
「ひあっ……らんっ……ちょっと……!」
俺との会話で油断しきっていたのか、胸を弄られた川藤はかつて誰にも聞かせたことがないだろう声を出して、周囲の注目は一点に川藤へと集められた。背後からやってきたその不埒者である親友に、川藤は肘鉄を食らわせてから真っ赤な顔を短い髪で隠した。
「奏……なんなの、まったく」
「だって奈々子がソトミチくんと楽しそうに話してるんだもん」
「悪いの? 班員との交友を深めちゃ」
「奈々子がそれを言うのはズルいじゃん。モテない男とお喋りするのはどうとか言ってたくせに」
「それはそうだけど」
切れ長な目を横に流して、バツが悪そうな顔をする川藤。彼女としても日頃から人を敵視するきらいがあることを自覚しているのだろう。
「なによ。嫉妬?」
「嫉妬。決まってるでしょ。知ってるくせに」
皮肉として投げた言葉を微塵の照れもなくストレートに返されて、ついには反駁する言葉も失った川藤は俺の隣を山本さんと代わった。まあ、川藤は俺と夏休みを過ごしたことで変わった山本さんに興味があっただけで、別に俺と喋りたかったわけではないからな。
新幹線での座席は山本さんが俺の隣に座ることになった。といっても、俺は三人席の窓側で、真ん中に山本さん、その隣に川藤という並びである。新幹線のシートの都合上、六人で一班を維持するには三人席を二つ使うか二人席を三つ使うしかない。
「思ったより変わりないみたいだね」
山本さんはバスで仮眠を取ってこそいたが、体力はそれで完全回復したみたいだった。今にもブラウスのボタンを弾き飛ばしてしまいそうな豊満なバストは、これまで以上の張りを見せているし、俺に対する態度も休み明けと違いがみられない。
「変わりないって?」
「ほら、最近は忙しそうだったから」
「ああ、そのことね。二人きりになったら教えてあげる」
山本さんはウインクを飛ばしてニコッと笑顔を見せる。
「今はダメなの?」
「ダメってことはないけど、コンプライアンス上の問題で、ちょっとね。とっておきのサプライズだから楽しみにしてて」
眩しいくらいの笑みを見て、俺は今更になって山本さんの肌ツヤが以前よりも格段に色良くなっていることに気づいた。川藤が言っていた通り、今の山本さんはきちんと自分の人生を楽しめているらしい。サプライズと言われてしまったら楽しみにしておくしかないな。コンプライアンスって表現は気にはなるけど。
それからホテルに着くまでの小観光として、各班順番に地元の城下町と天守閣を回った。山本さんが高波や小野崎たちとも仲良くペアの時間を作って班を盛り上げてくれたので、それなりにドライなメンツが揃っていたはずの俺たちのグループはどの班よりも初日を楽しんでいたと思う。早めのチェックインをしてからは夕食の前に大会場に集まって、各班の連携を高めるためのクイズ大会や伝言ゲームなんかをやってから、俺たちはそれぞれの部屋に移動した。
三泊する分の大きな荷物はすでに発送済みで、部屋の前には二つのボストンバッグが積まれている。同室である鈴原と中に入ると、二人用なのに居室六畳ほどの小さな部屋ではあったが、バストイレ別で水回りがキレイなところは好印象だった。
「なあ、ソトミチ」
二つ用意されていたベッドにそれぞれで荷物を開けて、着替えの準備をしながら鈴原が話しかけてきた。夕食の後に各部屋で風呂などを済ませて、夜中の九時には消灯となっている。もちろんそんな時間に寝る生徒などいるわけもないが。
「お前、奏とは……、山本さんとは、どういう関係なんだ?」
「あ? なんでそんな質問を?」
俺が問い返すと、鈴原はやれやれとため息をついた。
「どう考えたってお前らの仲の良さは普通じゃないだろ。付き合ってるのか?」
「んー……まあ……そうだな。お前は色々と知ってる身だし、話すべきかもしれないな」
鈴原は山本さんの男性遍歴を知っているし、これだけ勘づいているのであれば隠す必要もない。そう判断して、俺はこれまでのことを、事実だけかいつまんで鈴原に話した。山本さんと恋をして、何度もセックスしてきたこと。結果的に恋人関係には至らなかったこと。そして、その理由が、妹の美優にあることも。
「じょ、情報量が多すぎる……。話を整理させろ。お前が……仮に山本さんと付き合うための条件をクリアして、親密な間柄になったのなら、まあその事実は信じよう。……で、今付き合ってるのが、あの美優さんだってのは……どういうことなんだ? い、妹だよな?」
鈴原が混乱するのも無理はなかった。あのクールな美優しか知らない鈴原からしたら、ましてや実の妹である美優と俺が男女の仲にあるなど、想像すらできない世界だろう。説明の途中で、妹物のエロゲのやりすぎで頭がおかしくなったのかと言われたが、実に尤もなコメントだと思う。
「それがありのままの現実なんだよ。信じてくれとしか言いようがない」
「ソトミチの変わりっぷりを見りゃあ信じることもできるけどよ……でも、そうか。お前も、山本さんも、美優さんも……幸せなんだったらよかったよ」
当然、じゃあいつから童貞じゃなかったのかと聞かれて、オフ会での裏側も話したが、鈴原が怒ることもなかった。こいつもこいつで大人になったらしい。
「ハルマキさんとはどうなんだ? どうやって付き合うことに?」
「俺も付き合ってるわけじゃないんだ。合コンで上手くいかなかったときとかにムシャクシャするものをぶつけ合ってるだけで」
それでラブホで合流してセックスか。夏休みに何度も会っていたとはいえ、まさかの進展の仕方だった。芋臭かった友人が知らないうちに信じられない女性経験をして様変わりしていたという感覚は、これまで俺が秘密を打ち明けてきた全員が感じてきたものだろう。こんな気分になるものなんだな。
「なんとも不健全な関係だな」
「お前が言うな妹に手を出して。……オンゲとかも続けてるから、ヤる以外にもストレス解消のために通話したりゲームしたりしてるんだよ」
ハルマキさんは不満が溜まると鈴原を呼び出してオンラインゲームで吐き捨てるように愚痴るのだという。それが今の二人の関係性で、つまるところセフレなのだが、俺も山本さんとは似たような関係なので咎めることもできない。
「んでハルマキさん以外とはどうなんだ?」
「デートまではもう余裕でいけるぜ。連絡先を交換して遊びに行くまでのノウハウはマスターしてるって感じだな。お前が女日照りのままだったらハウツー本にして売ってやっても良かったが……。つかメルマガで稼げんじゃねえかな俺?」
「怪しい商売に染まるな」
メガネを上げる癖の代わりに前髪を手でさらうようになった鈴原は、「こういうときの反応をキャラのパラメータとして置き換えてみるとよお……」とかオタク癖が抜けきったのかどうかわからないような話をベラベラと始める。元からおしゃべり好きだった鈴原にとっては、山本さんを喜ばせるためにあれこれとネットで調べていたことが、今のリアルでの会話のネタになっているそうだ。デートまではできてもセックスにまで至ることができないのは、こいつの根底にあるのが、女性を喜ばせたいという情熱だからだろうな。いずれは大学も中退してホストになっても俺は驚かない。
「お前も変わったな」
「俺自身でも考えられなかったけどな。環境を変えると体が慣れてくるんだよ。まっ、こんな話が大っぴらにできるのもお前ぐらいだが」
俺も鈴原も特殊な女性経験を積んできた熱心な二次元信奉者だったからな。一般人からしたら受け入れ難いような話でも平然とすることができるのは、互いに友人でいてよかったと思える部分だった。
そんな会話をしているうちに夕食の時間になり、大宴会場にズラリと並べられたすき焼き膳を堪能してから、生徒たちのお楽しみである第一夜がやってきた。美優との通話がしたいので部屋を空けてくれとお願いしたら鈴原は快諾してくれて、高波を含めた新たな仲間たちと不健全な遊びをするべく旅立った。どういうルートかわからんが、他クラスの似たような女子集団と知り合って、今夜は会合が催される予定らしい。そんな女遊びばかりしてどうするのだという話だが、学生のうちの性経験は貴重なものだろうし俺は悪いとは思わない。もはやあいつを陰キャと呼ぶことはできんな。そのうち刺されることにならないよう祈っていよう。
風呂と着替えを済ませて、さあいざ美優と通話をしようと思っていたのだが、メッセージを送っても返信どころか既読すらつかなかった。こちらの準備はとっくにできているし、あまり遅くなると鈴原が戻ってくるので、通話を直接かけてみるも反応はなく。長風呂にでも入っているのかと油断していたところで、ようやく美優からの応答があった。
『お兄ちゃん、ごめん、全然気づかなくて……!』
焦った様子で通話をかけてきた美優はビデオを切っていて、スピーカーの奥からはどこか荒い呼吸が聞こえていた。これはもしかするともしかするかもしれない。
「カメラつけてもいい?」
『も、もうちょっとだけ待って』
美優の速い息継ぎの隙間から、衣擦れの音が聞こえてきて、いかがわしい雰囲気がさらに増していく。この妹は本当にエロいことしか考えてないな。
『お待たせしました』
ようやくビデオ通話に切り替えてくれた美優だったが、髪も服も乱れたままで、ベッドのシーツはシワまみれの様子が映し出されていた。雑に仕舞われてブラジャーからはもっちりと膨らんだ乳房が溢れてきそうでとてもエロい。
「準備中だってメッセージを返してくれてたら俺も待ったのに」
『うん、まあ、そうなんだけど。お兄ちゃんと早くお話がしたかったから』
美優はベッドボードにスマホを置いて、それを覗き込むように両手を突いて体の向きを調整してからベッドにペタン座りする。手櫛で髪を整える仕草が愛らしい小動物のような妹らしさと、身体の至るところに見える成熟した女としてのアンバランスさが、俺の性癖を刺激して興奮させてくる。しばらく射精は必要のない体のはずなのに勃起してしまいそうだった。
一秒でも早くと帰宅してすぐに寝るまでの支度を済ませた美優は、待っているうちにムラムラしてしまって一人エッチに夢中になっていたらしい。よく見ると美優がいるのは俺のベッドだった。美優の体質を考えれば当然の帰着だったとも言える。
「スッキリした後なら落ち着いて話せそうかな」
『スッキリまではしてないんだけどね』
「そ、そうか。普通に話すのは、できそうか?」
『うん……』
美優はしきりに髪を梳かして曖昧な返事。モジモジして顔も赤い。俺に目配せするその合図は、どう考えても欲情してのものだった。
美優は俺とセックスをすると抗い難いほどの性快楽に脳を侵される。それは膣とペニスでの繋がりでなくても、フェラチオをするだけでも同様の現象が起こる。俺とエッチをし始めた当初から美優はこの体質と付き合ってきて、それでも、持ち前の気の強さによって、意思力だけで正気を保ち続けてきた。
しかし、発熱時の甘えモードでガードが緩んだのか、ついには俺との休みないセックスの果てに、美優は性欲の獣になってしまった。原因の一端──というかほぼ俺のせいなので、美優のわがままには従っているものの、本人もドライな自分がしっくりきていると言っていたこともあり命令を聞いてばかりもいられない。
それに、オナニーをしようという流れになれば、俺はまた射精をすることになる。無論、美優との通話エッチに興味がないわけではないのだが、せっかく休養と割り切っていたのにそれでは体が休まらない。なので、しばらくは今日の活動内容を報告したり、秋になったときの旅行先なんかを話していた。だが、美優が真面目に話を聞いてくれるなんてことは当然なく。正面を向いてお喋りしてくれていた美優はベッドに仰向けに寝転んで、上げた脚をスリスリと擦り合わせて悶々としながら、ついには仰ぐような視線を俺に注いでそのお願いを口にしてきた。
『続きしてもいい……?』
あれだけ連日していたエッチが急になくなって、美優の体も物足りなさに耐えかねるのだろう。俺だって今日は射精をする必要はないはずなのに、それが習慣になってしまっているせいで金玉が疼いていた。画面越しの妹があまりに色っぽいこともある。
『お兄ちゃんも一緒にしよ』
「そ、それは、恥ずかしいな……」
『前は毎日のように私の前でしてたじゃん』
「画面越しだとまた違うんだって」
『そうなの?』
美優は平然と服を脱いでいて、まずはブラジャーまでを外しておっぱいを晒している。エロエロモードだとこんなに素直なんだな。……いや、そうか、この妹はカメラ越しに何度もエロい自分の姿を撮って、それを鑑賞しているのか。そろそろあの秘密のSDカードの中身を見せてもらいたい。
『私もオカズが欲しいな』
美優は俺にも脱いでほしいとおねだりしてきた。せめてオナニーする妹を鑑賞するだけなら、ムラムラはするものの性欲の回復には都合がいいと思っていたのに。
俺の精液を飲むようになってから美優はすっかりオナニーにハマってしまった。そのオカズが実の兄であるということへの倫理的な問題意識は、とうの昔に吹き飛んだ。その兄である俺はと言えば、妹をオカズにオナニーすることに罪悪感を覚えたことは一度もない。
ひとまずは露出すればよいとのことなので俺は下半身の衣類を膝まで脱ぎ下ろした。陰部にカメラを向けると、普段は上からしか見ることのない自分のペニスが別角度からワイプに映って、兄妹でエッチをすることとはまた違った背徳感が身を包む。
勃起はまだ半分で、丸っこくてどんぐりみたいだった形状が、ようやく竿と呼ぶにふさわしくなった程度。美優はそんな兄の陰茎を一心に見つめて股座を手でイジっている。ときおりグチュッと水泡を潰すような卑猥な音が聞こえて、そのたびに陰茎がピクリと脈打った。
「なあ、実はさっきから気になってたんだが」
『んっ……ん……ふう…………なあに……?』
「俺のシャツが置いてあるのはどうしてなんだ?」
『ん……なんでだろうね』
美優はオナニーをしているのとは別の手で、ベッドに脱ぎ捨てられていたシャツを拾い上げた。洗濯して置いておいたにしては不自然なシワの寄りがある。主に胸部のあたりに。
『何に使ってたかは教えてあげません』
教えてもらうまでもないがな。
通話の前にもオナニーをしていて、俺からの着信に応えるために急いで着替えてブラジャーまで雑につけたということは、美優は裸シャツで一人プレイに及んでいたことになる。スケスケのシャツに乳首が勃っていたりしたんだろうか。
『お兄ちゃん……なんか、とても猛々しくなっておりますが……』
「興奮と憤りでムラムラしてきた」
美優のオナニーのハマり具合を考えたら、俺と男女の仲になる前から同じようなことをしていた可能性もある。いつだかは自分の下着を使うことは許さないとか言っていたくせにいざ自分が興奮する立場になると見境なしだ。もうしばらくエッチはしたくなかったはずなのに陰茎がイライラして妹を犯したくなってきた。
『お兄ちゃんも擦って』
妹に誘惑されて、ついには俺も止まらなかった。陰茎の猛りを見せつけるようにカメラに近づけて、オナニーをする妹をオカズにオナニーをする。豊満な乳は左右に流れてもなおスフレパンケーキのように膨らんでいて、新芽のように蕾を出す色良い乳首を見ていると、吸いつきたくてたまらなくなった。
『お兄ちゃんの……すごい……っ、ふ あ……挿れてもらえないの寂しい……』
「俺も美優に飲ませられなくて悔しいよ……前みたいに美優の口に出したい……!」
カリ張った亀頭に皮を被せて前後に擦って、触れることのできない女体へと発射口を向ける。目の前でオナニーをして、精液を飲ませることこそが、俺と美優との始まりのエッチだ。それは他のどんなプレイよりも特別で、だからこそ美優の口で受け止めてもらえないことがもどかしい。
『んっ……あっ……あっ……。お兄ちゃん……私、さっきまで寸止めだったから……もうイッちゃう……』
「み、美優……俺も出るかも……!」
『はぁ、はあっ……んんっ……』
美優の体がビクンと跳ねて、快感にとろけてしまいそうな顔に、俺の興奮も高まっていった。しかし、その表情は数秒の遅れを伴って冷静なものになってしまったのである。
『お兄ちゃんはイッちゃダメ』
「え、え……? 美優が一緒にしよって言ったんだろ?」
『それは一緒に気持ちよくなろって意味。射精したら精液が出ちゃうでしょ』
「射精ってのは精液を出すことなんだから、当然だろ」
まさかこの妹はオナニーに誘っておきながら自分で処理できないのは嫌だから出させないとでも言うつもりか。たしかに休息期間にするつもりではあったが、寸止めされるとなるとまた話は別になる。
『とにかくお兄ちゃんは射精禁止』
「美優は?」
『私は女の子だからいいの』
美優は俺のオナニーを止めておきながら、またグチュグチュとアソコをいじって、『はぁっ、はぁっ……』と息を荒くしていく。そんな淫らな姿を兄に見せつけておきながら射精は許さないなんて横暴が過ぎる。
『んあっ……ふぁ、あっ……い、イッちゃう……んっ……!』
「こ、こら、待て美優。ズルいぞ……そんな気持ちよさそうに……!」
『んんっ……はぁ……だって気持ちいいんだもん……お兄ちゃんに見られてるの恥ずかしいけど……っ、あっ、あっ……もうだめっ……ああっ……』
そうしてついに、美優は体をビクビクと痙攣させて、溜まりに溜めた性欲を発散させてしまった。その一部始終を見せつけられていた俺はムラムラしているのに、一人だけスッキリした顔でベッドに横たわっている。
「お、俺も……出すからな……!」
俺は美優の裸をオカズにしながらペニスをシゴいた。美優に禁じられてるだとか休養期間だとかはもうどうでもいい。その気になれば美優は俺が射精できないように体に直接命令をすることができるのだ。そうしないということは、俺に自発的にオナ禁をさせることでより性欲を溜めさせようとしているか、あるいはダメという体で抜かせるためのプレイなんだ。
だったら俺は抜く。ここまで煽られて兄として黙っていられない。もうスマホが汚れたっていい。美優に思いきりぶっかけてやる。
「美優っ……美優っ……! もう出るよ……射精するとこ、見ててくれ……!」
俺の射精宣言に美優は緩んだ頬で画面を見つめるだけ。つまりは合意なのだ。美優に見られながらの射精を自分の手でするのは久しぶりだった。ペニスの先から白濁液が飛び散る様を見ていてほしい。
「み……美優っ……!!」
そうして俺が射精のスイッチを入れるまでのひと擦りをする、直前のことだった。カチャッ、とロックが解除される音がドアから聞こえてきて、まさかこんなに早くに帰ってくると思っていなかった俺は完全に油断していて、ペニスを隠すのが間に合わなかった。ドアノブが捻られると間髪入れず扉が開き、無情にもオナニーの真っ最中である俺の姿はその闖入者の目に晒されてしまったのである。
「こーらソトミチくん、その暴発しそうな危ないものを放しなさい」
パジャマのボタンを弾き飛ばしそうな巨乳を揺らしながら俺にハンズアップを要求してきたのは、男子フロアにいてはならない学園一の美少女だった。山本さんはアメニティを入れていると思われるポーチを脇に挟み、鈴原が持っていたはずのカードキーを指先に構えて銃口のように俺に向けている。
「な……なんで山本さんがここに……!?」