総務部の地味子さんは実はヘンタイエロエロです

著者: 日向弓弦

電子版配信日:2022/03/11

電子版定価:880円(税込)

「お願いです、私とハメ撮り……してください」
会社で目立たない存在の総務の地味子さん(29)が、
大人のおもちゃで、露出プレイで、僕にだけ魅せる淫らな本性。
処女なのにエッチな妄想いっぱいで、ふとした仕草が可愛くて、
恥ずかしがりやなのに大胆で、こぼれる笑顔が愛おしくて……
エロエロすぎる佐和さんに、僕はムラムラとドキドキがとまらない!
(文庫換算 327ページ)

●もくじ
序章 総務部の地味子さん
一章 おもちゃ持参でごめんなさい
二章 私のパートナーになってもらえませんか
三章 ハメて、撮ってくださいませんか
四章 おさんぽプレイはお嫌いですか
五章 会社でなんて恥ずかしすぎます
終章 お日さまの下で

登場人物

佐和(29歳)OL

本編の一部を立読み


「私の……その……裸とか、エッチな姿……見られると、深澤さんは、喜んでくれますか?」
「よ、喜ぶに決まってるじゃないですか」
 即座に断言してくれ、ジンと胸が熱くなった。
(嬉しい)
 翔太の言葉に励まされ、
「なら……わ、私と……セ、セックス……して……く、ください……」
 詰まりながらも、しっかり申し入れた。だが、
「……は? え、ええと……」
 さすがに困惑している。
「セ、セックスして、そ、それを動画に撮ってもらいたいんですっ」
 いわゆるハメ撮りである。
(ずっと興味はあった)
 が、ひとりきりの佐和には不可能だった。ハメてもらうにも撮ってもらうにも、協力者の存在が必要不可欠なのだ。
 翔太もようやく合点がいったようで、
「そ、そういう意味でのパートナーですか……」
 理解はしてもらえたようである。が、心中穏やかではなさそうだった。
(し、失敗した……の?)
 秘密がバレ、性癖に理解を示してもらえたまではよかった。エロ動画談義には花が咲き、仲間意識さえ芽生えて楽しかった。
 そこで終えるべきだった?
「む、無理に……とは言いません。その……私なんか、年上……というか、オバサン? だし……」
 ふと年齢を自覚し、重たいため息が出る。
(抱きたいなんて、思えるわけないわよね……。深澤さん、ずっと年下だもの)
 自分にとっては、たかが数歳。だが若い彼からしたら、その違いの感じ方には彼我の差があるはずだ。
「そ、そんなこと言わないでください。年上であるのはそのとおりで、否定しようがないですが……」
「いいんです……事実ですもん」
 しゅんとなる。
「けど、少なくともオバサンってことはないです」
 きっぱりと言い切った。
「真に受けて……いいんですか?」
「いいですいいですっ、受けちゃってください。ほんとに、年齢的にも、見た目的にも。全然老けてなんてないですから」
「あ、ありがとう……ございます。また気を使わせてしまって……」
「本音ですって! むしろ年上の女性って……なんか……いいなって……」
 モゴモゴと、口の中で喋る。
「え?」
「あ、いや。その……会社では、地味なひとだなあとは思ったんですが……」
「地味……」
「す、すいません。気を悪くしてしまったら――」
「い、いえそれはかまわないんです。さっきも言ったように、自覚していることですので」
「でも、居酒屋でお見かけしたとき、なんかそういう地味さ、なかったんですよ」
「そ、そうなんですか?」
「どっちかというと、惹かれるものを感じたくらいだもんなあ……」
 ひとりごちるようにして、考え込む。だが佐和にとっては、
(ひ、惹かれるだなんて。嬉しいけど……特に何も、変わったことはしていない……わよね)
 いつものように、リモコンローターを股の間に咥えていただけだ。
「お、お世辞でしょうか? それでも……」
 満足気に顔を伏せる。嬉しいことには変わりない。
「いや、そういうんじゃなく。……ああ、そうか。だから……」
 モヤモヤとしたものが綺麗になくなったかのように、さっぱりとした表情をする。
「な、何か気になることでも?」
「いや、ようやくわかったんです。妙にそそられて、会社とは印象違うひとだなって思った理由が」
「そ、そそるって、わた、私のこと、ですか? え、ええと……それは……」
 どういうことか。聞こうとしたが、翔太の主張に遮られた。
「僕、ムラムラしてたんです、あのとき。畠村さんに。お食事してる姿、ずっと拝見させていただいてました」
「いやだ、そんな。恥ずかしい」
 首すじがこそばゆい。手をあてると、熱を帯びている。
(アソコまで……)
 ジンジンとしてしまっていた。意識を傾けると、なおさらうずく。
「それです。その色気です」
「え? ど、どういう……」
 翔太には何が『わかった』のか。佐和本人には見当もつかない。
「じーっと見続けてました。目が離せなかったんです。畠村さんの唇から。このひととキスしたいなあ、て」
「う、嘘だわ。私みたいなオバサンと……キ、キス……だなんて」
 ツイと目をそらす。だが自覚している。否定されることを期待しての素振りだ。案の定、
「嘘じゃないです。それに何度でも言います、あなたはオバサンなんかじゃない」
 否定してくれた。お世辞などではない。「僕は……畠村さんと、セックスしたい」
 心の底から願う、真剣な顔つきをしていた。

続きを読む

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

以下の書店でもお買い求めいただけます