【括約筋】(カツヤクキン)
性器や肛門などの器官を取り巻いている筋肉。
8の字形をしており、性交中にアヌスをいじると女体の反応がよくなると言われ、高竜也が小説中にこだわって表記することが多い。
ここをあまり刺激しすぎると、オシッコを漏らすこともあるので要注意。

【擬音】(ギオン)
「ドピュッドピュッ」「パンパンパンパン」「ジュポジュポ」。
これらは、現代の官能小説において挿入時に使用される擬音の一例である。エロ漫画の擬音に影響されたと推測される。
「すかりすかり」「ツッポツッポ」「ごぼごぼ」
江戸時代の春本における擬音がこちら。現代の擬音より、幾分「湿り気」が少ない気がするが、時代によって、男が感じる擬音には、これほどの差があるのだ。
100年後、200年後の「感じる擬音」とはどのようななものなのか。想像してみてはいかがだろう。
【近親相姦】(キンシンソウカン)
incest(インセスト)、近親者との性交のこと。
母子、父娘、姉弟、兄妹のタブー関係での性交を呼ぶのが普通だろうが、フランス書院文庫では叔父叔母も近親相姦ととらえている。
フランス書院文庫では母子、姉弟が圧倒的に多いのに対し、アメリカのペーパーバックポルノでは父娘のほうが断然多い。
これは日本が母系社会だからだとか、少年の年上女性願望の変形だ、など諸説あるが、いずれにせよ、やさしい母や姉(義理も実も)に教えてもらう、甘える、という世界が好きな読者が圧倒的に多いという事実は今も昔も変わらない。
高竜也や鬼頭龍一、牧村僚がもっとも得意とするところで、高、鬼頭に至っては全作品の8割以上が近親相姦である。

【首引恋慕】(クビヒキレンボ)
いわゆる「四十八手」のひとつ。
男女が向かい合って座り、輪になったヒモを互いの首にかけながら交わる対面座位。ただ、輪はゆるく、あくまで飾りにすぎない。だがたったヒモ一本で、息詰まるような情念の世界が現れる。道具とはこのように使いたいものだ。
【クンニリングス】
女性器を口や舌で愛撫すること。英語ではcunnilingusと表記することから、カンニリングスとも呼ぶ。
小説では略してクンニともいう。古今東西、凌辱派も相姦派もクンニは大好きである。
特に鬼頭龍一のクンニ好きは突出しており、「おいしい、おいしい」「気持ちいい、気持ちいい」と叫び合いながらクンニに溺れる男と女の姿は、滑稽かつ凄絶なものがある。
フェラチオがフルートになぞらえるのに対し、クンニはハーモニカにたとえられる。

【け】(ケ)
ここで毛と書いて髪の毛のことを論ずるつもりは毛頭ない。毛とは、つまり性器周辺に生える陰毛(いんもう)のことである。
恥毛(ちもう)、性毛(せいもう)、陰毛、淫毛(いんもう)、剛毛(ごうもう)、和毛(にこげ)、縮れ毛(ちぢれげ)などの呼び方があるが、どの部分をどう呼ぶかは決まっていない。
ただし、恥丘(三角地帯)に生える毛をさして恥毛と呼ぶことは多い。恥毛と陰毛を分けて書く作家は、主に性器(大陰唇・外陰唇)の周囲に生えているものを陰毛、性毛、淫毛などと表記する傾向がある。
陰毛について、生え方から形状まで執拗な描写で書かれてあるものとして、『姉』『義母』(トー・クン)がつとに有名。
【賢者タイム】(ケンジャタイム)
男性が射精した後に迎える、悟りを開いたように冷静な心理状態のことを指す。
なぜ、このような涼やかな心持ちになるのか。それは、人間の本能によるものだという説がある。太古より人間は、セックスしている最中は無防備にならざるをえない。外敵に襲われた場合、もっとも抵抗しにくい状態だとすら言えよう。射精後どれだけ早く正気に戻り、自分の身と最愛のパートナーを守る態勢を整えることができるかは、命がけの問題だったのだ。

【口唇奉仕】(コウシンホウシ)
口と唇、舌をフルに使い、相手の性器を気持ちよくすること。
ということは、女性の場合はフェラチオ、男性の場合はクンニリングスを指すのであるが、フランス書院文庫では普通、フェラチオのことである。しかも、奉仕という言葉のニュアンスから想像されるように、奴隷となった女性がご主人様のために、心から敬愛の念をこめて、ねっとり、たっぷりと行なうフェラチオをいう。
だから、綺羅光や結城彩雨などの凌辱SM系作家が頻繁に用いる言葉なのである。
【コキュ】
フランス語で「妻を寝盗られた男」という意味の言葉。フランスでは、「妻を寝取られる男」をテーマにした文学や演劇が盛んだと言われている。
大正時代、欧米に留学し、フランスのコキュ文化(寝取られ文化)に憧れた薩摩治郎八は、舞踏会に妻を連れて行き、「浮気をしろ」とけしかけた。だが、軍人出身の厳格な家庭に生まれ育った奥さんは浮気をするのを拒んだという逸話が残されている。