- 【視姦】(シカン)
- 目で女性を犯すこと。かつては覗き(peeping)にも使われていたが、最近では覗きはあくまでも覗き、もしくは窃視と表現し、視姦は明らかに視線で犯すこと、換言すれば、いやらしい目で見つめることである。
とはいえ、男の立場からはあまり視姦とはいわない。つまり、女の立場から「私は目で犯されている、視姦されている」という被虐的な表現に用いられている。
佳奈淳や香山洋一など、M的(マゾ)要素の強い女性を描くのを得意とする作家が、女性の露出シーンと絡み合わせることで視姦の効果を高めるかたちで、上手く取り入れている。
- 【麝香】(ジャコウ)
- 媚薬の効果があるとされている香料。ムスク。異名は「香りの王様」。
オスのジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる。
女性は、排卵期になると「ムスク」の匂いに鋭敏になり性感が敏感になるという言い伝えがあり、フランス、そして江戸時代の日本でも、媚薬として珍重された。
もともとはジャコウジカのメスを引き寄せるためのフェロモンだったが、魅せられたのはメスの鹿でなく、むしろ貪欲な人間たちのほうだった。
- 【秋波】(シュウハ)
- 女性の流し目、色目のこと。
元々は秋の澄みきった水波のことを指し、それが美しい女性の涼しげな目元にたとえられ、さらには女性が男性に送る艶っぽい目つきを意味するようになった。「秋波を送る」で、媚びを売り、色目を使うという意味がある。美しい日本語のひとつと言えよう。
- 【シュナミティズム】
- 老人が裸の処女と添い寝して、若さを回復する回春術。
旧約聖書で、老齢となったダビテ王がいくら重ね着をしても体が温まらなくなったため、シュナミの乙女を抱いて寝た故事が由来。性交は、しない。
川端康成の『眠れる美女』はシュナミティズムをテーマにした作品とも考えられ、「老境の性のあり方とは」という問いに対するひとつの回答であるのかもしれない。
- 【女装】(ジョソウ)
- 文字通り、男性が女性の服装を着用すること。
フランス書院文庫にも例はあるものの、弟分レーベルである美少女文庫で採用されているケースが多い。手違いで女子校に入学してしまったり、弟を溺愛する姉に強要されたりと、不可避的状況に追い込まれてといったケースがほとんどである。
美少女文庫において、一見、複数の「美少女」が描かれていると思われる表紙が、実のところ、そのひとりが男性であるケースは、まま散見される。青橋由高『好き好き大好きお姉ちゃん』などの表紙イラストで確かめてほしい。
母親の下着をこっそり着用し性的興奮を得ようとする試みは、本項では「女装」とは呼称しない。議論を要するところではあるが、少年期から思春期に特有の正常な感覚であると本項では断言しておく。