10/03 電子版発売

魔媚色の町

著者: 綺羅光

本販売日:2025/09/22

電子版配信日:2025/10/03

本定価:1,166円(税込)

電子版定価:1,166円(税込)

ISBN:978-4-8296-4830-8

その町に足を踏み入れた女は二度と逃げられない!
最初の生贄は会社ぐるみの淫謀に堕ちたシンママ。
セクハラし放題の狂った職場で貪られる28歳。
告発しようとした広報社員・恵実も三穴を奪われ、
悪の手先となって、恥辱の性接待を命じられる。
尼山町、それは美牝たちを魔媚色に染める肉檻!

目次

第一章 採用面接で強要された濃紺の水着

第二章 セクハラし放題の異常な会社

第三章 魔媚薬で狂わされるシンママの肉体

第四章 美人広報社員・恵実に迫る包囲網

第五章 密室で強いられるフェラチオ奉仕

第六章 覗き部屋に仕掛けられた百合の罠

第七章 狂気の乱交プレイで堕ちる色地獄

第八章 脱走の果てに待っていた三穴強奪

第九章 淫蕩な娼婦を演じるハニートラップ

第十章 奴隷たちのお披露目と口淫接待

本編の一部を立読み

第一章 採用面接で強要された濃紺の水着

 すぐ前の軽自動車は、のどかな田園地帯のガラガラの道路を、法定速度をきっちり守って走っている。この先もしばらく追い越し禁止のゾーンが続くし、今までの自分ならイラついてクラクションを鳴らすか、急加速して追い抜いていただろう。
「いいでしょう。ハイ、ハイ。こちらものんびり行きますよ」
 増江彰大は独りごちて、小さく鼻を鳴らした。
 出社時間までは十分余裕があるし、急ぐ必要はないと気づいたのだ。やっぱり田舎はいい、心が穏やかになると思った。
 さっきも出がけに妻の早貴と、ここへ引っ越してきてよかったと語り合っていたのである。東京で暮らしていた時の自分は、いつもイライラしていたと妻に言われ、確かにそうだったと改めて反省もした。
 ここ尼山町は関東地方の端に位置する。豊かな山の緑に囲まれており、都心に比べて車の交通量もぐっと少ないせいもあり、空気はさわやかでおいしい。自然豊かな環境の中、時間はのんびりと流れ、大人の自分たちは癒されるし、子育てをするにも打ってつけだ。
 近所の商店街は郊外のショッピングモールの攻勢にも負けず活気があって、旬の野菜や魚が安価で得られる。客と商店主が笑顔で言葉をかわす光景を眺めていると、心がほのぼのとする。
 今日も朝食のテーブルで妻とかわしたそんな会話を反芻し、増江は幸せな気分に浸りながらハンドルを操作した。
 ──増江は三十四歳。東京で医療機器の営業マンをしていたが、残業続きのストレスで重度の不眠症となり、このままでは鬱病に進行する可能性があると医者に忠告された。それが契機となり、思いきって転職し、三カ月前に尼山町へと移住してきた。
 家族は三人。三十歳になる妻の早貴と、二歳の息子がいる。
 法定速度を守り、のんびり田園地帯を走ってゆくと、やがて小高い丘にデクノ・ガムの威風堂々たる白い社屋が見えてきた。そこが増江の新たな勤務先である。
 デクノ・ガム──。増江は子供の頃、同社の目玉商品である味変カレーガムを好んで食べたものだ。茶色のタブレットを噛んだ途端、どぎついスパイスの刺激が舌に広がる。噛めば噛むほどにカレーの味がして胃袋を満足させてくれるが、やがて味は何もしなくなる。
 ところがそれでは終わらないのだ。味の消えたガムをしばらくクチャクチャやっていると、あら不思議、今度はキャラメル味になる。つまりはデザートというわけだ。
 カレーガムは昭和の終わり頃にヒットし、令和の今も売れ続けている。一時、〈味変〉成分に有害物質が含まれていると報道され、製造中止となった期間があったのだが、増江の知らぬ間にいつしか復活を遂げて店頭に並ぶようになっていた。
 同社はガム以外にもタブレット菓子、飴など、いずれも〈味変〉をテーマにしたヒット商品を連発して、そのユニークな営業戦略で、製菓業界において確固たる地位を築いている。昭和初期の創業以来、その本社が置かれているのが尼山町なのである。
 会社を辞めて失業保険の手続きをしつつ、どこか地方での再就職先を探していた増江は、デクノ・ガムの営業の求人を見つけた。所在地の尼山町についてはまったく知識がなかったが、知名度の高い菓子メーカーであり、給料を含めた待遇もかなりの好条件だった。
 自分の冴えないキャリアからして受かる見込みは薄かったが、ダメモトで応募してみたら、幸運にも大当たりが出たのだった。
 妻の早貴も大喜びしていた。気の早い彼女はすでに尼山町について詳しく調べてあって、即座に豆知識を披露して増江をびっくりさせた。
 いわく。移住者への行政の支援が手厚いことや、保育園や町民プール、コンサートホールといった福利厚生施設が整っていること。デクノ・ガムなどの優良企業が支払う税収によって町の財政が安定しており、あえて他の市町村との合併の道は選ばずに町制のままでいること──等々。

 会社敷地内の広大な駐車場に車を入れて、増江彰大は軽く伸びをしながらオフィスへと向かう。本社オフィスの裏手にはいくつもの工場や商品倉庫が建ち並んでおり、駐車場からそちらへ歩いていく者も多い。そんな中に見覚えのある女性がいた。
 芝田未由紀である。
 声をかける前に未由紀も増江に気づいたらしく、こちらを向いた。
「おはようございます」
 先に増江が挨拶をすると、未由紀も微笑みながら挨拶を返してくれる。
 口角が優雅に持ち上がり、整った歯並びがこぼれる。空気の澄んだ秋の朝にぴったりのさわやかな笑顔である。
「どうです? 芝田さん。その後、車の調子は?」
 三週間ほど前、仕事を終えて帰ろうとした増江は、この駐車場で車のエンジンがかからず困っている未由紀と遭遇したのだった。
 調べてみるとバッテリーが上がったわけではない。長年営業車に乗ってきた経験上、増江は何度かこういう車のトラブルに見舞われたことがある。レバーシフトをPに入れ、小刻みに操作しながらエンジンキーをまわす動作を何度か繰り返すと、しばらくしてエンジンがかかった。
 未由紀はオーバーなくらいに感謝してくれた。以来二人は顔を合わせると、親しく言葉をかわすようになっていた。
「はい。おかげさまで、あれから全然問題なく走ってます」
「それはよかった。また何かあったらいつでも声をかけて下さい」
「ありがとうございます、増江さん。私、メカに弱いし、そう言っていただくと、とても心強いです」
 彼女の澄んだソプラノ声を聴くのは心地良い。増江には変な下心があるわけではなく、ただ何気ない会話をしているだけで気分がいいし、その日一日が楽しくなるのだった。
 芝田未由紀は二十八歳、デクノ・ガムの工場でパート勤務している。離婚を経たシングルマザーで、三歳の娘がいると聞いていた。
 敷地を歩きながら育児の話題となった。互いに幼児のいる親として、苦労話のネタは尽きない。未由紀の娘はアレルギー体質で、他にも持病があり、医者にかかることがよくあるという。
「それは心配ですね」
「ええ、まあ。でも娘がいてくれるから、私、頑張れるんだと思いますし」
 未由紀は笑顔を絶やさず話す。
 贅肉のないスレンダーな体型である。サイドパーツにしたボブの黒髪は、顎が隠れる長さで、ツヤツヤして自然な光沢に輝く。
 笑うとやや垂れ目になる清楚な顔立ちは、あどけなさを感じさせ、シングルマザーとして苦労していることが嘘のようだ。増江も最初は、まだ二十二、三の小娘と思っていた。
 こうして話すようになってから未由紀の実情を知るにつけ、驚かされることが多い。工場の主任からも、未由紀は頑張り屋さんで、生活のためにバイトを掛け持ちしていると聞いたことがあった。
 敷地内を社屋と工場との分岐点まで歩いて来て、そこで未由紀と別れた。何だか妙に名残り惜しい気がした。
(大変だよなあ、未由紀さん。俺が何か助けてあげられたらいいんだけど……)
 オフィスに入りながらも、つらつら考えをめぐらせる増江である。
 夫婦仲はいいし、妻の早貴に格別、不満があるわけではない。ただ出産後、すっかり肥満体型となり、オバサン化が始まっている妻と比べ、ほっそりとした体型で初々しさをキープする未由紀が、まぶしく感じられるのも事実なのだった。

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