本販売日:2025/10/23
電子版配信日:2025/11/07
本定価:935円(税込)
電子版定価:935円(税込)
ISBN:978-4-8296-4833-9
「もぉ。そんなに見つめられたらさすがに恥ずかしいわ」
正太の眼前で露わになる会社の事務員・松風佳弥のHカップ。
ご自宅にうかがい、完熟ボディで甘美なセックスを満喫!
政府の少子高齢化対策として始まった【セクシャル休暇】。
気さくなパート主婦、稲原玉美からも指名される正太だが、
生真面目な未亡人上司・灘誓子の態度にもなぜか変化が……
第一章 熟女シンママ 松風佳弥(一)
「全部、受け止めてあげるね」
第二章 熟女シンママ 松風佳弥(二)
「娘の制服だけど、似合ってる?」
第三章 パート勤務 稲原玉美(一)
「オバサンの身体に興味ない?」
第四章 パート勤務 稲原玉美(二)
「火遊びじゃ済まなくなっちゃう」
第五章 未亡人上司 灘誓子(一)
「私、子供が欲しいの」
第六章 未亡人上司 灘誓子(二)
「アナルは妊活を頑張る為のスパイス」
エピローグ
本編の一部を立読み
第一章 熟女シンママ 松風佳弥(一)
「全部、受け止めてあげるね」
(遂に来てしまった……)
午前中の陽射しに燦然と輝く一軒家を見上げながら、心の中で呟く。
新年度を迎えた春が足早に過ぎてGWも終わり、五月後半に差し掛かった今は天気のよい日が長く続いている。太陽は晴れ晴れとして照らされるすべてが輝くようだ。
もちろん、すべて、には佳弥さんが住む松風家も含まれる。
事前に取り決めた約束を守る為に、幼馴染の実家へと僕はひとり赴いた。
否──。正確に言うなら、幼馴染の母親が住む家、だ。
(セクシャル休暇……。まだ信じられないけど、本当に間違いないよね?)
何度も見返したはずなのに未だ実感がなくて、また携帯の画面を覗く。
申請人の欄には、松風佳弥。幼馴染の母親の名前。
被申請人の欄には、秋中正太。僕の名前がある。
会社を通して締結された盟約。
それは、簡単に言えば公的に認められたセックス許可証だ。
「同じ組織に属する者、かつ、相手となる異性が同意し、また会社側でも相互の同意が確認できた場合に限り、特別休暇と諸般に掛かる経費の申請を認める」というのが【セクシャル休暇】の規定内容。
情報化社会が加速して各種ハラスメント問題が身近に感じるくらい当たり前になった現在、至極プライベートな領域である男女間の性交渉に安全さを担保してくれる唯一と言っていい福利厚生制度。
二十五年間奥手なまま生き、異性と密接な関係を結べなかった僕にとって。
正確には、年上好きが高じたせいで普通の恋愛にすら縁遠かった僕にとって、この宣誓文は日常生活に支障をきたすほどに蠱惑的すぎる事前告知。
それが、幼心に甘酸っぱい初恋を捧げたシングルマザーが相手なら尚更だ。
(足元が覚束ない。夢の中を歩いているみたいだ。大丈夫かな、僕……)
晴れやかな期待の陽光を不安の厚雲が遮る。
この数日間は、そんな一喜一憂の独り相撲ばかり。
(思い返せば、自分の力で大事なことを決めた経験、少ないんだよな)
現に今の会社も、就活に失敗してUターンした挙句、偶然再会した佳弥さんに誘われて面接を受け、入社した。
ただ、育児支援を主事業とするせいか社内には男性が少なく、三年目になる今に至っても相変わらず後輩のひとりすらいない。
(新卒、取らないもんなぁ。パートさんとか転職する人は結構来るけど……)
そんな状態なので、僕にとって佳弥さんは仕事においても大先輩。
プライベートではふんわりした性格が強く出ている彼女も、一度仕事モードに入れば手際よくこなす手腕を発揮する。
それは僕が今までに見たことのない佳弥さんの姿で、仕事を振る先の相手さえも考える気の利かせぶりは達人の域だとさえ思う。今まで知らなかった顔を見た僕は再び惚れてしまったし、こうなりたい目標のひとりでもある。
だけど、どちらかと言えばやっぱりプライベートの佳弥さんの方が好きだ。
四十三歳になったはずの今でも美しく保たれた柔和な微笑みが一番似合うのは緊張感のある仕事場よりも、安らぎを覚える家庭の方だと思うから。
(佳弥さんくらい理想の母親像が似合う人も中々いないよなぁ)
保育園の年長から小学校二年くらいまで夕飯とお風呂のお世話になっていた昔の記憶を引きずり出しつつ、佳弥さんを想って描いた艶姿を思い浮かべる。
僕にとって美熟女の基準であり、理想像でもある彼女が誘惑してくれるなら、年齢に見合わない服だって逆に興奮の的となる。体操着に青ブルマ、ナース服、スリットが大胆に走る深紅色のチャイナドレス、破廉恥な逆バニー姿。
バストとヒップが大きく熟れた美体をコスチュームの装いに隠した佳弥さんは恥ずかしそうに、時に大胆不敵に僕の欲情を誘っては淫らな行為に耽る。
特徴的な服装が独特な存在感を発する中、その煽りを受けて浮き彫りになった豊かさは妄想の中でも匂い立つほどに鮮やかで。
今でも変わらない美貌は大人になった僕には充分、いや大人になったからこそ魅力的に映る。毎夜のオカズに困ることはない。
(……あ。そろそろ行かなきゃ)
ふと液晶画面の右上を見ると、約束の時間になっていた。
携帯を仕舞い、久しく遠ざかっていた松風家の敷地を踏む。
お洒落な石畳で彩られたアプローチは昔と変わらない歩み心地で僕を歓迎してくれた。
幼い頃は十何歩も歩いた気がする小道も、今では数歩で終えてしまう。
たった数メートルしかない道。だけど、帰りが遅い両親の代わりに面倒を見てくれた佳弥さん、それにその頃はまだ仲よしだった幼馴染の愛佳とも一緒に帰宅した夕暮れ時の思い出は、今でも大切な宝物。
懐かしさが強くなるだけ、寂しさも同じように強くなる。
そのせいか、一刻も早く佳弥さんに会いたくなってきた。
(もう引き返せない。押すぞ……)
玄関前に立って深呼吸。そしてインターホンを押す。
呼び鈴が無邪気に来訪の鐘を鳴らす。ドキドキしながら数秒待つ。
すると、すぐにスピーカーから馴染み深い声が聞こえてきた。
『はい。松風です』
「お、おはようございます。佳弥さん。来ました」
『おはよう正くん。時間ぴったりね。すぐ行くから待ってて』
わかりました、と伝えて、そこからまた数秒待つ。
長くて短い待ち時間が過ぎる間にも落ち着かなく立っているとガチャリと扉が開き、今日僕を誘ってくれた女性が陽射しのもとに顔を出した。
(あぁ、佳弥さん……。今日もとても綺麗だ)
幼い頃から変わらない優しさで勇気付けてくれる笑顔は女神そのもの。
ウェーブ掛かった栗色の長髪に、お淑やかな長い眉。
微笑みを絶やさない瞳は三日月状に円弧を描いて僕を見守る慈愛の象徴。
幼い頃から変わらない美白に紅色の唇が映える、会社でも一番の理解者だ。
「いらっしゃい、正くん。待ってたわ。さ、どうぞ。中に入って」
「お、お邪魔します」
簡単なやり取りを会釈と共に済ませて、白乳色の土間へと招いてもらう。
その瞬間、ふわっ、と。
松風家が薫らせる女性的な香りが周囲に満ち、あっという間に包み込まれた。
(帰ってきた。佳弥さんの家に)
幼い日の安らぎの象徴が強烈な懐かしさを伴って胸を打つ。
中学生以来、親のお使いで来ても玄関口で引き返すばかりだった。そのせいか十数年ぶりに感じる香りが感動と呼べるくらい心に迫ってきて、余計に嬉しい。
「どうしたの? 立ち止まっちゃって。靴を脱いで上がってもいいのよ」
「えっと。なんだか……懐かしくて。家に歓迎されているみたいだから」
「あら。ふふふ。おかしなこと言うのね」
「あ、いや……。何でもないから忘れてっ」
言った後、自分でも反省するようなトンチンカンな発言だったと気付いて頭がボンッと熱くなる。
恥ずかしさを消すようにバタバタ動いて玄関へ上がろうとすると、そんな僕の様子を見た佳弥さんが小さく笑いながら声を掛けてくれた。
「慌てないで。それに、おかしくても間違いじゃないわ」
「えっ?」
「ずぅっと待ってたんだから。正くんが来てくれるのを。この家も私も、ね」
腰を下ろして靴を脱ぐ僕が、顔を上げて見つめる先。
立ったまま微笑む幼馴染の母親は、実の母親以上に母親だった。