本販売日:2026/03/23
電子版配信日:2026/04/03
本定価:1,144円(税込)
電子版定価:1,144円(税込)
ISBN:978-4-8296-4866-7
名門女子大に通う才媛にして深窓の令嬢・星川藤佳。
政治家の父の醜聞を封じるため、秘書に身を委ねるが、
忠実だったはずの下僕はおぞましき性獣へと変貌!
屈辱の緊縛写真、初めての精呑儀式、アナル強奪……
必死の逃亡も虚しく、肉玩具として使い回される日々。
白皙の肢体が獣字架に釘付けにされる魔淫の肉檻!
第一章 脅迫と緊縛 差し出した名家の誇り
第二章 歪んだ忠誠 わがまま令嬢への折檻
第三章 藤佳陥落 破られた最後の一線
第四章 おぞましき嚥下 清楚な口唇を穢す肉竿
第五章 逃亡の果ての淫獄 野獣をおびき寄せる芳香
第六章 奴隷スワッピング 奪われたお嬢様のアナル
第七章 父の傍での調教 家の中に侵入した毒蛇
第八章 新たな肉の契約 老政治家の狡猾な要求
第九章 権力の贄に堕ちて 蹂躙される三穴
エピローグ
本編の一部を立読み
第一章 脅迫と緊縛 差し出した名家の誇り
レポート課題の西洋美術史に関する調べものを終えると、星川藤佳は大学図書館を後にした。
建物の外部階段はアールデコ風の洒落たデザインだが、扇形に大きく広がっている上に踏み面が狭く、歩き辛いと不評だ。それでも藤佳は軽い足取りで下りていく。白のフレアスカートの裾が揺れ、太腿からふくらはぎの優美なラインがのぞいた。
今日はこれから県の交響楽団の定期演奏会を鑑賞する予定で、もちろん古谷誠人も一緒だ。恋人と、ブラームスの交響曲──。この世界で藤佳の大好きなものが二つ、ワンセットになって組まれた予定なのだから、足取りも軽いはずであった。
キャンパスの中庭を抜けていく。梅雨明けしたばかりで、木立の間から七月の心地良い風が吹いてくる。気持ちよさそうに黒髪を風になびかせながら歩いていくと、後ろから声をかけられた。
見知らぬ女である。メガネをかけて知的な風貌の女性だが、学生にしてはだいぶ大人っぽい雰囲気だ。
「失礼ですけど、星川藤佳さん、ですよね?」
「はい。そうです」
「突然でごめんなさい。私、こういう者です」
女は名刺を手渡した。
肩書は〈名興大学・フランス語講師〉で、名前は篠田玖実とあるが、まったく心当たりはなかった。
「実は私もここの同窓生で、五年前に卒業しました」
「そうですか」
ということは自分より少なくとも七、八歳は年上だ、と藤佳は頭の中で計算した。
藤佳は深窓女子大の二年生で、現在十九歳。専攻は美学芸術学である。
「今日はフランス映画にまつわるイベントがらみの用事があって、恩師の祖父江教授を訪ねました。帰り道で偶然、あなたをお見かけしたものですから」
細面でメガネがよく似合う玖実だが、どこか暗い影を引きずっているようで、向かい合っているといやな予感がうなじにつきまとう。
「でも、どうして私のことをご存知なんですか?」
「ええ。去年、お父様の講演会で、最後にご家族として壇上に上がるのを見ました。とても印象的な光景だったので、よく覚えています」
藤佳の父親、星川慎市郎は、リハビリ施設や高級老人ホームなどを県内に展開する、シルバー世代を対象とした事業の経営者である。他方ではC──県の県会議員でもあり、現在三期目を迎えている。
「それは、どうもありがとうございます」
どう対応していいかわからぬまま、藤佳はひとまず礼を述べた。
「私、お父様に関することで、どうしても藤佳さんのお耳に入れたいことがあって。ちょうどいい機会だし、今、少しだけお時間を頂けませんか?」
父親のこととなると放ってはおけない。藤佳は慎市郎が大好きだし、人間として尊敬もしている。それに今は政治家・慎市郎にとって、とりわけ大事な時期なのだった。
二人は日差しを避け、木陰のベンチに並んで腰かけた。
「まず最初にお断りしておきますけど、私はこの秋に予定されている市長選では、どちらの候補にも与しない、中立のスタンスをとっています」
篠田玖実はきっぱり告げた。
星川慎市郎は来たる十月、十王市の市長選挙に保守陣営から出馬する予定になっていた。
十王市は関東圏にある人口二十数万人の地方都市だ。市長選では中道派の対抗馬がいるのだが、人気や知名度において慎市郎が相手を上回り、レース序盤ではかなり先行しているというのがマスコミの見立てだった。
「高校からの私の友人で、夜職をやっていた赤松瑛子という子がいて、残念なことに彼女、半年前に自殺しました。瑛子の父親は、その責任の一端は星川先生にあり、市長になるのはふさわしくないと考えています。これから選挙が始まり、毎日、先生の名前を聞かされることになるのは耐えられない──。そう言っているんです」
いきなりショッキングな話を聞かせて申し訳ないと、途中で何度も詫びながら、そのくせ玖実は、淡々とした口調で赤松瑛子にまつわるエピソードをしゃべった。
──昨年、十王市で保守系の政治家が集まり、市長選への根回しを兼ねた政策研究会という名目のパーティが開かれたのだ。
星川慎市郎にとってはボスに近い存在の国会議員もパーティに出席し、持ち前の皮肉とユーモアたっぷりの演説で大いに会場を盛り上げた。ところが六十代を過ぎたその議員は、会場でコンパニオンとして働く赤松瑛子に一目惚れした。瑛子はナイトクラブのホステスのかたわら、パーティ・コンパニオンの仕事もこなしていた。
あの子がほしい、と大物議員に駄々っ子のように泣きつかれて、やむなく慎市郎は二人の仲を取り持った。一夜限りのギャラは、慎市郎の秘書から瑛子へ手渡されたという。
ところがその国会議員は、彼女をいたく気に入ってしまい、お忍びで十王市へ毎月やって来ては瑛子を求めるようになった。瑛子が拒むと、間に立つ慎市郎はギャラをぽんと上積みし、何が何でも議員の相手をさせるように仕向けた。
「その議員は、大変な変態だったの。老人のくせに、ハードなプレイが好みのドSだったのよ。変な話を聞かせてごめんなさい」
篠田玖実の口調がくだけてきた。あるいは友人を死なせたことへの怒りがそうさせているのかもしれない。
「瑛子は私に何度も愚痴をこぼしたわ。縄で縛られ、何時間もいたぶられるのがとても辛いって。議員はプレイの間じゅう、口汚く瑛子を罵倒し続けたというの。少しでも反抗したらムチでひどく叩かれたって。ね、そんなことが許されていいと思います?」
「……」
「四回、あるいは五回、そいつに瑛子は買われたの。ナイーブな心はズタズタにされ、自分にはもう生きてる価値がないと思い込んで、そしてとうとう死んだわ。横浜でホテルの部屋から飛び下りて」
「そんな……そんなことがあったなんて。ああっ、私……何も知りませんでした」
藤佳はようやっと声を絞り出す。それでも舌が喉に貼りついて、うまくしゃべれない。
(信じられない──。お父様が、本当に、そんな汚らわしい行為に加担していたなんて)
すると藤佳の胸中を見すかしたかのごとく、篠田玖実が「信じたくない気持ちはわかるわ」と言った。
「でも瑛子の父親に、星川先生からかなりの額の香典が届けられたのは事実よ。何か後ろめたいことがあったからじゃないかしら」
「そうなんですか」
「彼女、ずっと父親と二人暮らしで、親子仲はとてもよかったの。星川先生や国会議員についても、よく愚痴をこぼしていたらしいわ。一度、お父さんに会って確認してみたら?」
「え。私が、ですか?」
「このままだと市長選の前に、一騒動起きそうなの。赤松のお父さん、口をつぐんでいては瑛子が浮かばれないと言ってるわ。彼がマスコミにすべてぶちまけてしまってからでは、もう遅いんじゃないかしら」