悪夢は、同衾する姉弟を
叱れなかった時からはじまっていた!
たぎり狂う若い欲望を美しい母へと向けた純一。
拒絶の言葉を吐きつつも、
熟れた女体は疼き濡れる矛盾──
まきこ(38歳)実母
けいこ 姉
さやか 女子学生
本編の一部を立読み
「お母さん、自分がどうなったかわかってるのかい?」
それは皮肉っているようでもあり、揶揄しているようにも聞こえた。
万紀子の体内を羞恥と屈辱の感情が芽生えかけたが、すぐまた萎んでしまった。勝負であるなら、完全に自分の負けである。万紀子はそれを認めるしかないと思った。
「お尻の穴って、すごくいいらしいね」
ニヤニヤしながらそう言う息子が憎らしい。だが、実際そうだったのだ。万紀子は沈黙を守り通した。
「ま、いいさ。さて次はだ……」
純一は、客に揉み手をしながら品物を売る商人のような仕草で、母の顔を見た。
「四つん這いになってもらいたいのさ」
一瞬、言葉の意味をはかりかねて、万紀子は我が子に怪訝そうな眼差しを向けた。そして、あわてて視線をそらした。いやでもブルブルと威嚇するように震えている長くて太い肉柱が目に入ってしまう。
「さあ、犬みたいに四つん這いになって」
万紀子は渋々と言われた通りの姿勢をとった。
「お尻を明るいほうに向けてよ。それじゃ暗くてよく見えないもの」
純一の目的が、身体の裏側のもっとも人目に触れさせたくない場所とわかった時、万紀子は怨嗟の目で我が子を見た。人間の皮をかぶったケダモノになったという気がした。我が子であればこそ、いっそうの恐怖心が募ってくる。
「二人っきりの秘密さ。ね、お母さん……」
作りものの甘えた声がうとましい。だが、万紀子は要求に応えるしかなかった。
「そうだ、もう少しお尻を高くあげて……そうそう、よく見える」
どこの世界の出来事なのだろう。万紀子はシーツに顔を押しつけて泣いた。
「泣くなんて、お母さんらしくない」
そんな偽善に満ちた言葉なんか聞きたくもないわ!……万紀子は屈辱的な姿勢のまま、彫像のように動かなかった。できることなら、このまま石像かなにかのように、生涯動かなくなってしまいたかった。
純一は万紀子の気持ちを知ってか知らずか、なんともはや淫らな女体の構図に、うっとりとした表情のまま見とれていた。いくら眺めていても、もうこれで充分ということはない、永遠の光景であるように思われるのだ。