離婚妻

著者: 高竜也

本販売日:1987/06/23

本定価:535円(税込)

ISBN:978-4-8296-0132-7

結婚、性生活、あんなものじゃない……

ベッドで懊悩する裕美子に、

隣室から甘く切ない嗚咽が聞こえてくる。

したい、優しく男に抱かれたい……

指を股間に忍ばせながら、本当の、

愛あるセックスを求めて旅立つ24歳の身体!

登場人物

ゆみこ(24歳)人妻

れいこ その他

本編の一部を立読み

夫が見ている……。その意識が、いろんな形で作用していることは、もはや隠しようのない事実であった。

つつましやかだったクリトリスは、黒い茂みの中でしっかりと立ちあがり、指から受ける刺激で歓喜に震えだした。

「いい眺めだ」

夫の声は重かったが、決して不快なものではなかったし、裕美子もまた、その声を聞くことによって、一段と刺激されたように思えた。

「見られて、恥ずかしいかい?」

「決まってるでしょ」

裕美子の声は、以前よりうわずっていた。

「そういう考えは捨てなきゃ」

裕美子は、自分の言っている嘘が夫に見破られているとしても、しばらくは嘘を言わずにはいられなかった。そうでなければ、自分があまりにも簡単に夫の意向や性的趣味に溶けこんでしまっているように思えて、いたたまれなかったのである。

「少しは気持よくなってるんだろう?」

それには裕美子の返事はなかった。正三も、特にその返事を期待していたわけではない。いずれにしても、妻をやがて自分の望むような女に仕上げていく自信はある。

「かなり濡れてきたよ。感じている証拠だと思うがね」

「あなた……」

裕美子の声は、いつのまにかうわずっていた。

「何?」

「見てるの? ずっと」

「ああ、こんな素晴らしい光景から眼を離すなんて、馬鹿げているよ」

「ほんとにそう思う?」

「思うさ。今、君の指を伝わっているおツユが、ヘアを少しずつ濡らしている」

「ああ、そうなのね。あああ……」

裕美子は自分自身の感極まった声を耳にすると、ますます身体が燃えあがった。そして、見られることに少しずつ歓びを感じはじめていた。

「もっと指を使うんだ」

「ええ、してるわ……ほら、見て」

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