高校生の息子をめぐって
妬み、悲しみながらも女体を開く二人の母──
義母・季里子と実母・彩子。
円熟した女の色香が漂う二人には、
息子に抱かれる背徳の意識は消えていた……
きりこ(32歳)義母
あやこ(37歳)実母
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「お母さん、見てごらん」
突然、頭上で啓司の誇らしげな声がした。眼を開けた私は身動き一つできずに、中腰になった息子の下腹部を見つめた。
再び、そこには猛々しい男の道具が、さまざまな色彩の血管をグロテスクに浮き上がらせて宙に向かっていなないていた。
「ほら、これが上反りというんだよ」
いつか、夫が自慢そうに言ったのを思いだしていた。父子とは、なにもかもこんなによく似るものなのかという思いがあった。啓司の怒張も亡夫のように上向きに反りかえり、まるで巨大な天狗の鼻のようであった。
私は思わず手をのばしてそれを掴みそうになる自分に気づいて、ギョッとなった。いやというほどそれを望んでいる自分を知って、空恐ろしくなったが、視線はそれを避けようとはせず、まるで催眠術でもかけられたように釘づけになっていた。
ああ、欲しい……。心の中で真実の叫び声があがったが、もう一方では、母親のくせに……という声があった。心はノーと叫んでいたが、体ははっきり交わりたいと言っている。
「したいんだろう、お母さん」
啓司は、お母さんというところにわざと力をこめて怒張に右手を添えると、これ見よがしにブルンブルンと振り立てた。
息子の言うことは確かに当たっていたが、母親として認めるわけにはいかなかった。
肉体はそれを望んでいたが、頭はかろうじて耐えていた。
「お母さんは、一人でしてたのを見られたくせして、まだそんな強情をはるのかい。そこまでくると可愛くないな」
一人前の口をきいて……と心の内で思ったが、明らかに息子の言うほうが的を得ているのだ。
「しようのないお母さんだな」
その言い方は、しようのない子ねと、母親が甘えん坊に言っているのとまったく同じ調子のものだった。
「じゃ、もう一回おさらいするか」
軽い調子で言ったかと思うと、啓司は人差し指と中指をペロリと舐めて、まだ疼きつづけている亀裂にズブッと差しこんできた。
「うわっ……」
脳天が一撃されたような快感に悲鳴をあげながら、私は身をよじらせた。
「正直になりなよ、お母さん。こんなにおツユをこぼしているのに、したくないだなんて、嘘もいいとこだよ。したいって正直に言いな。ほら、気持ちいいだろ。ほら……ほら……したくないなんて言わせないから」
啓司の指は私の欲情を引きだそうと、胎内で前後左右に躍動しはじめた……。